商標価値評価は「売却」だけじゃない!無駄な更新コストの削減や社内稟議をスムーズにする4つの実務的活用法

知育特許事務所|商標価値評価は「売却」だけじゃない―無駄な更新コスト削減や社内稟議をスムーズにする4つの実務的活用法

「自社のブランド(商標)には価値がある」──そう感じていても、その価値を具体的な金額として示すには、少し整理が必要です。とくに、商標の更新判断や、広告・販促などの投資判断、譲渡・ライセンスの話が出たときに、客観的な目安がないと意思決定が難しくなりがちです。

「いくらかわからない」状態のままでは、いざという時の交渉で不利になったり、日々の経営判断が根拠を欠いた「感覚」頼みになってしまうこともあります。

当事務所が提供する「商標権の簡易価値評価サービス(一律 11万円・税込)」は、M&Aのための厳密な鑑定書ではありません。「経営判断の曖昧さ」を解消し、社内外に対して「商標(ブランド)の価値を数字で説明する」ための、経営判断に使える評価レポートです。

本記事では、この評価レポートを経営判断にどう活かせるかを、代表的な4つの場面(更新判断/投資判断/譲渡・ライセンス等)に分けてご紹介します。

11万円の簡易評価が、なぜ数百万円の鑑定に代わる「根拠」になるのか

ここで、ひとつ整理しておきたい点があります。「11万円の簡易評価は、どこまで判断材料として使えるのか」という点です。

「精緻な鑑定」と「実務的な目安」の違い

結論から言えば、これは「利用目的の最適化」によるものです。

上場企業のM&Aで買収価格を最終決定する場面や、裁判など第三者への説明が求められる場面では、評価額そのものだけでなく、「どの売上を対象にするか」「将来の伸びをどう見込むか」「リスク(割引率)をどう置くか」といった前提条件まで細かく整理したうえで、詳細な評価(たとえばDCF評価など)が行われます。

一方で、中小企業の社内会議や取引先との協議など、商標を更新するか、広告・販促の投資を続けるか、商標の譲渡・ライセンスを検討するかといった判断を行う場面では、同じ水準の厳密さを前提にすると、コストと時間の負担が大きくなりがちです。

当事務所の「商標権の簡易価値評価」は、裁判やビジネスの現場でも用いられるRFR法(ロイヤルティ免除法)の考え方に基づき、対象売上やロイヤルティ率などの前提を整理したうえで、商標(ブランド)の価値を、一点の断定額ではなく、目安としての価格帯として整理するものです。

商標(ブランド)の価値を算定する流れを定型化することで、資料準備や社内での情報収集にかかる手間・時間を必要以上に増やさず、「商標を更新するか/しないか」広告・販促にどこまで投資するか譲渡・ライセンスの条件をどう組み立てるかといった場面で使いやすい評価レポートにまとめることを重視しています。

つまり、「安かろう悪かろう」ではなく、意思決定のスピードとコストに見合った精度で、経営判断に使える形に整理するための評価レポートです。

※RFR法の具体的な計算方法や、詳細な評価であるDCF法との比較については、以下の記事で解説しています。

経営の「迷い」を断つ!4つの実務的活用シーン

ここからは、評価レポートを経営判断にどう活かせるかを、代表的な4つの場面に分けて整理します。

シーン 1:商標の「更新 vs 放棄」を決める(コスト削減)

商標権は10年ごとの更新に費用がかかります。保有件数が多い企業にとって維持コストは馬鹿になりません。判断材料がないまま、更新を続けるケースも少なくありません。

ここで役立つのが、当事務所の商標権の簡易価値評価(評価レポート)です。この評価レポートで「そのブランドが将来生み出す価値(評価額)」を数値化できれば、判断はシンプルになります。

  • 評価額 > 維持コスト → 更新して守るべき資産
  • 評価額 < 維持コスト → 放棄してコストカット

このように、単なるコスト削減ではなく、「稼ぐ力のあるブランドに予算を集中させる」という戦略的な棚卸しが可能になります。11万円の評価費用をかけても、不要な商標を整理できれば、トータルでのコストメリットは大きくなります。

シーン 2:社内稟議・投資判断における「共通言語」化

新規事業への投資継続や、広告・販促の予算配分を決める際、立場(営業・開発・経理など)によって重視する点が違うため、議論が噛み合いにくいことがあります。

評価レポートは、立場の異なる人同士でも判断の土台にできる「共通言語」になります。「感情」ではなく「潜在的なブランド価値(金額)」という共通の前提を置けるため、「なぜそのブランドに投資するのか」を説明しやすくなり、稟議の通過や合意形成が進みやすくなります。

シーン 3:グループ内再編・事業承継における「価格の妥当性」確保

グループ会社間で商標権を移転したり、事業承継の過程で商標を移す場合(たとえば、創業者の個人名義の商標を後継者や後継会社へ移す、事業譲渡にあわせて商標も移すなどの場合)は、「商標権をいくらで移すか(譲渡価格)」をどう決めるかがポイントになります。

社内で任意に決めた金額のままだと、後から税務上の確認等で「なぜその金額なのか」の説明を求められる場面があり、対応に手間がかかることがあります。そこで評価レポート(簡易RFR評価)を活用すれば、一般的な考え方(評価手法)に基づいて算定した金額の目安として、価格の説明資料(疎明資料)を用意できます。結果として、社内外への説明がしやすくなります。

なお、実際に商標を移す手続きを進める際は、決めた譲渡価格(支払う金額)で進めて問題ないかを、顧問税理士に確認しておくと安心です。

シーン 4:ライセンス・譲渡交渉で「目安となる金額」を用意する

他社から商標の譲渡やライセンスを求められた際、あるいは自社ブランドを売却する際、相場観がないまま交渉に入ると、条件が相手主導になりやすくなります。

評価レポートがあると、「少なくともこのあたりが目安になる」という基準となる金額を持てるため、交渉を組み立てやすくなります。弁理士が算定した評価レポートを提示することで、価格の根拠を示しながら、より納得感のある条件に近づけることができます。

必要資料と守秘(機密保持)について

「評価を依頼するには、膨大な資料が必要なのでは」「情報漏洩が心配」と感じて、依頼をためらう方もいます。
当事務所の簡易評価は、忙しい経営者の方でも進めやすいよう、資料準備の負担を抑えた形で設計しています。

1. 資料は「社内にある概算データ」でOK

監査済みの決算書を何期分も揃える必要はありません。「評価したいブランドに関連する売上の推移」など、社内で把握している概算データがあれば、評価に着手可能です。※ご準備いただく資料の目安は、以下のページで案内しています。

2. 守秘義務と情報の取り扱い(弁理士法30条)

このサービスでは、売上の推移など社内の数字に触れることがあります。そのため「情報が外に漏れないか」は、事前に確認しておきたい点だと思います。

当事務所では、弁理士が直接対応し、弁理士法第30条に基づく守秘義務のもとで、ご相談内容やご提供いただいた情報を取り扱います。未公表の事業計画や数字を含む場合でも、安心してご相談ください。

3. まずは「サンプル」で完成イメージを確認

「11万円払って、期待外れの紙が来たらどうしよう」という不安を解消するため、事前に評価レポートのサンプル(PDF)をご確認いただけます。 どのような構成で、どのような前提条件で算出されるか(目安10〜12ページ)を事前に把握できるため、納品後のミスマッチを防げます。

よくある質問

Q. 評価レポートは、どんな場面で使えますか?

A. 経営判断の「根拠」や「説明材料」として最適です。 具体的には、商標の更新判断(コスト削減)、広告・販促の投資判断、社内稟議の裏付け、グループ内移転や事業承継時の価格説明、ライセンス・譲渡交渉における「相場の目安づくり」などにご活用いただけます。

Q. 評価レポートを裁判やM&Aの最終価格決定にも、そのまま使えますか?

A. いいえ、裁判や大規模M&Aの最終価格決定には不向きです。そうした厳密性が求められる局面では、より詳細な評価手法(DCF法など)や専門家の監査が必要になるためです。本評価レポートはあくまで、迅速な経営判断や交渉の「目安」として使うことに特化しています。

Q. 評価レポートで提示する評価額が「1つの金額」ではなく「価格帯」になるのはなぜですか?

A. 「計算の前提条件」によって、算出される価値が変動するためです。 商標の価値は、「どの事業の売上までを評価に含めるか」や「将来の売上予測」、「適用する料率」などの条件設定によって結果が異なります。そのため、一つの金額に絞り込むのではなく、条件による振れ幅を考慮した「価格帯」として提示することで、より柔軟な意思決定にお役立ていただけます。

Q. どんな商標でも評価できますか?(評価できないケースは?)

A. 基本的には可能ですが、「どの売上がその商標によるものか」の切り分けが難しい場合は、お受けできないことがあります。 (例:商標の使用実態がほとんどない、売上との関連性が極端に薄いなど)。まずは無料相談にて「評価可能か」を確認させていただきます。

Q. 依頼前に、何を準備しておけばいいですか?

A. 「対象ブランドに関係する売上の推移(概算でOK)」が分かるメモや資料があれば、すぐに着手可能です。 監査済みの決算書を何期分も揃える必要はありません。ご準備いただく資料の目安は以下のページでご案内しています。

Q. 売上などの数字を出すのが不安です。情報漏えいは大丈夫ですか?

A. はい、ご安心ください。 弁理士には弁理士法第30条に基づく厳しい守秘義務が課されています。未公表の数字や事業計画が含まれる場合でも、外部に漏れることはありません。

Q. 納期はどのくらいですか?

A. 目安として、必要な情報をいただいてから最短5営業日で評価レポート(PDF)を納品します。お急ぎの場合は無料相談時にお知らせください。

Q. どんな納品物がもらえますか?

A. 評価額の結論だけでなく、「前提条件(対象売上の考え方など)」と「計算プロセス」を明示したレポート(PDF)をお渡しします。 ブラックボックス化せず根拠を示すため、社内説明や交渉でそのままご使用いただけます。

Q. 「ロイヤルティ率」はどう決めるのですか?こちらで用意が必要ですか?

A. お客様側でご用意いただく必要はありません。 業界水準やビジネスモデル、ブランドの強さ等を踏まえて、当事務所が適切な数値を設定・提案します(もし社内での想定値や過去の事例があれば、参考にさせていただきます)。

Q. オンラインだけで完結できますか?

A. はい、全国オンライン対応です。無料相談(オンライン)→必要情報の共有→評価レポート納品、という流れで進められます。

Q. まず無料相談では、何が分かりますか?

A. 無料相談(30分)では、本評価レポート(簡易RFR)が、お客様の目的(交渉・社内稟議など)において「根拠」として使えるかを、弁理士が専門的見地から確認します。

具体的には、商標の使用状況と価値評価の目的を伺ったうえで、本サービスがお客様のケースに適切か、進める場合にどの程度の情報が必要かを整理してお伝えします(資料なし・口頭ベースでOKです)。

まとめ:簡易評価は、経営判断のための「客観的な目安」

商標の価値評価は、会社を売るときだけのものではありません。更新するかどうか、広告・販促にどこまで投資するか、譲渡やライセンスの条件をどう考えるか――こうした判断を行う場面で、金額の目安があると議論の土台が揃い、意思決定が進めやすくなります。

当事務所の簡易価値評価(11万円・税込)は、厳密な鑑定書ではなく、経営判断に使える「目安」と「説明の材料」を整えるための評価レポートです。必要であれば、まずは無料相談で「評価の対象になりそうか」「どの程度の情報が必要か」から整理できます。

次の一歩

まずは無料相談で、この価値評価を利用するメリットがあるか算定に必要な情報は何かを確認できます。弁理士が直接対応します。

👉 商標権の簡易価値評価サービスの詳細ページへ

👉 無料相談(30分)の日程を選ぶ(オンライン)

この記事を書いた人: 弁理士・米田恵太(知育特許事務所)

ABOUT US
米田恵太
知育特許事務所 代表弁理士(弁理士登録番号:第16197号)。 中小企業や個人の方を中心に、商標価値評価(簡易RFR)や 3Dプリント試作×知財戦略のサポートを行っている。商工会議所、金融機関、各種業界団体などでの講演実績も多数。 幼い頃、大切にしていたガンダムのカードをパクられた経験から、「大切なものをパクられないようにする」ために特許・商標・意匠などの知的財産の取得支援を行うとともに、取得した知財の価値を実感できるよう「守るだけでなく活かす」ことを重視している。 支援先は、メーカー、スタートアップ企業、個人発明家、デザイン会社、 マーケティング会社、ミシュラン掲載の飲食店など多岐にわたり、アイデアの保護や出願、3D試作、価値評価など、案件ごとに必要な部分を組み合わせてサポートしている。