意匠図面とは、意匠申請する際に申請したい意匠(真似されたくない意匠)を定めるために作成する図面です。意匠申請する際には、意匠図面として、申請したい意匠を前と後、左と右、上と下から見た少なくとも6つの図面を作成するのが一般的です。
意匠図面の作成から意匠登録までを自分でする場合と、弁理士に依頼する場合では、次のような違いが生じやすいです。
自分で意匠登録をする場合は、意匠登録が認められるかを審査する時に意匠図面の不備が指摘される場合があります。また、意匠登録がされたにもかかわらず、模倣されやすくなりがちです。
それに対し、弁理士に依頼する場合は、意匠登録が認められるかを審査する時に図面の不備が抑制されるとともに、模倣を防止しやすい形で意匠登録をすることができます。ただし、弁理士に依頼すると費用が発生します。
意匠図面とは
意匠図面とは、意匠申請をする際に申請したい意匠(真似されたくない意匠)を特定するために作成する図面です。申請したい意匠の全体像がわかるように申請したい意匠を前後左右上下のそれぞれの方向から見た6つの図面(6面図)が基本的な意匠図面となります。
6面図だけでは申請したい意匠の全体像を表現できない場合は、申請したい意匠を斜めから見た斜視図、申請したい意匠の断面を示した断面図、申請したい意匠を拡大した拡大図などの図面も意匠図面として作成されます。
意匠の申請をするのに基本となる6面図
意匠図面において最も基本的な図面なのが6面図です。6面図とは、申請したい意匠を正面から見た正面図、背面から見た背面図、右から見た右側面図、左から見た左側面図、上から見た平面図、下から見た底面図の6つの図面のことです。



上の画像はiPhoneで有名なアップルが保有している登録意匠(意匠登録第1596042号)の6面図です。このような6面図が意匠図面として基本的な図面となります。
必要に応じて斜視図、断面図、拡大図などが追加される
6面図のみでは意匠の全体像を表現しきれない場合があります。例えば、外面に孔があいている場合や、外面の形状が複雑な場合には、6面図だけでは申請したい意匠の全体像がわからないこともあります。このような場合には、申請したい意匠の全体像が明らかになるように6面図以外の図面を意匠図面として追加する必要があります。
例えば、斜視図や断面図や拡大図などを意匠図面に追加することで、6面図だけでは申請したい意匠の全体像を表現しきれない部分を補い、6面図と他の図面によって申請したい意匠の全体像を明確にします。



上の画像は先ほどのアップルの登録意匠(意匠登録第1596042号)の斜視図、拡大図などです。6面図だけでは、iPhoneのマイク部分が孔になっていたり、コネクタの差し込み口が凹んでいることを表現しきれていませんでした。しかし、斜視図や拡大図などによって、マイク部分が孔になっていたり、コネクタの差し込み口が凹んでいることなどがわかるようになり、申請したい意匠の全体像が明確になります。
その他(意匠図面のサイズ)
意匠図面を作成する場合には、意匠の申請を受け付ける役所(特許庁)が定めるルールに従って作成する必要があります。意匠図面のサイズとしては、横150mm以下かつ縦113mm以下と定められています。
意匠登録を自分でする場合と弁理士に依頼する場合
意匠図面の作成から意匠登録までを自分する場合と、弁理士に依頼する場合では、主に、意匠の審査の面、意匠登録後の面、費用の面で違いが出てきます。
意匠登録を自分でする場合
意匠図面の作成から意匠登録までを自分でする場合は、意匠申請などにかかる費用を抑えることができるメリットがある一方で、意匠登録が認められるかを審査する時に図面の不備が指摘される可能性があったり、意匠登録がされたにもかかわらず、似たような意匠が出回る可能性が高くなります。
意匠出願の審査と意匠登録された後について
自分で意匠登録をする場合、意匠登録が認められるかを審査する時に図面の不備が指摘される場合があります。具体的には、意匠申請する際に作成した意匠図面では、申請したい意匠の全体像が十分に表現されず、申請したい意匠が不明確であるとして、意匠図面の不備が指摘される場合があります。最悪の場合には、意匠登録が認められない場合もあります。
また、自分で意匠登録をすると、意匠申請の際に、真似されたくない意匠をそっくりそのまま意匠図面上に表現してしまう傾向があります。すると、本来表現する必要がない細かい部分まで意匠図面上に表現してしまい、仮に意匠登録が認められたとしても、意匠登録後に似たようなデザインが出回りやすくなる傾向が高くなります。
意匠出願の費用について
自分で意匠登録をすると、意匠申請などの費用を抑えれることができます。意匠申請を例に挙げれば、役所(特許庁)に支払う印紙代(16,000円)などを負担すれば、意匠申請することができます。
意匠登録を弁理士に依頼する場合
意匠図面の作成から意匠登録までを弁理士に依頼する場合には、意匠登録が認められるかを審査する時に図面の不備が抑制されるとともに、模倣を防止しやすい形で意匠登録をすることができるメリットがある一方で、意匠申請などにかかる費用の負担が大きくなるデメリットがあります。
意匠出願の審査と意匠登録された後について
弁理士に意匠登録を依頼すると、意匠登録が認められるかの審査をする時に、図面の不備が指摘されにくくなります。また、仮に審査で図面の不備が指摘されたとしても、対処することが可能となり、意匠登録が認められやすくなります。
また、意匠登録後に似たようなデザインが使われにくくする観点から意匠申請書類を作成するため、意匠登録後に似たようなデザインが使われにくくなります。
意匠出願の費用について
弁理士に意匠登録を依頼する場合には、意匠申請する際に役所(特許庁)に支払う印紙代(16,000円)に加えて、弁理士に支払う手数料などが必要となります。
意匠申請をするのに必要な意匠図面を確認してみよう
意匠申請する際に必要となる意匠図面についてお伝えしました。意匠図面としては、申請したい意匠を前後左右上下から見た6面図や、申請したい意匠に応じて必要となる斜視図、断面図、拡大図などがあります。
意匠登録を自分でする場合には意匠申請の費用を抑えることができる一方で、審査で意匠図面の不備が指摘されたり、意匠登録後に似たようなデザインを使われてしまう場合があります。それに対し、意匠登録を弁理士に依頼すると、意匠申請の費用は高くなる一方で、審査で意匠図面の不備が指摘されにくくなるとともに、意匠登録後に似たようなデザインを使われにくくなります。
申請したい意匠がある場合には、意匠申請するのに必要な意匠図面を確認し、意匠登録を自分でするのか、弁理士に依頼するのか決めましょう。意匠図面として、どんな図面が必要なのか分からない場合や意匠図面を作成するのが難しい場合は、弁理士に依頼しましょう。