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独自調査 繊維

商標権(被服・VANSPORTS)

5.0% 認定料率
▲顧客吸引力
事件番号 平成24年(ワ)第13929号
判決日 2013/05/30
裁判所 大阪地裁
認容額 2万8,645円

📋 判決要旨

判決日: 2013年5月30日 | 裁判所: 大阪地裁 | 料率: 5.0%(商標法38条3項)

衣料用繊維製品の製造販売を行うケントジャパンが、寝着類・下着類メーカーの日伸に対し、登録商標「VANSPORTS」(第25類・被服、標準文字、第5394885号)を紳士用下着に無断で付して販売したとして損害賠償を求めた反訴事件。商標権侵害自体は争いがなく、争点は損害額のみであった。

料率の決め方:(商標法38条3項)

  • 📊 基準: 原告と第三者間の実際の使用許諾契約における実施料率5%(正味卸売価格ベース)。同契約には最低実施料300万円/年の定めもあり
  • ⚖️ 最低実施料の適用否定: 原告は最低実施料300万円をそのまま損害額と主張したが、裁判所は最低実施料は1年間の許諾を前提とした一時金であり、被告の売上(57万2,916円)では逸失利益を超える賠償となるため不相当と判断。実際の売上高×実施料率で算定すべきとした
  • 被告の2%主張: 被告は「本件商標は著名でなく顧客吸引力が低いから2%が相当」と主張 → 裁判所は根拠が示されていないとして認めず、実際の使用許諾契約の5%を採用
  • 結論: 実際のライセンス契約の料率をそのまま採用し5%。売上高57万2,916円×5%=2万8,645円

認容額2万8,645円。

📜 判決文全文

⚠️ 本文はPDFから自動抽出し、プログラムで一括クリーニング処理を行ったものです。変換精度の限界により、誤字・脱字・書式崩れが含まれる場合があります。正確な内容は裁判所公開の原文PDFをご確認ください。

原告の主張
被告の主張
裁判所の判断
▼ 判決文全文(クリックで折りたたみ)
主 文
1被告は,原告に対し,2万8645円及びこれに対する平成24年12月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2原告のその余の請求を棄却する。

3訴訟費用は,これを50分し,その1を被告の負担とし,その余は原告の負担とする。
第1当事者の求めた裁判
1原告(1) 被告は,原告に対し,300万円及びこれに対する平成24年12月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 訴訟費用は被告の負担とする。
(3) 仮執行宣言2被告(1) 原告の請求を棄却する。
(2) 訴訟費用は原告の負担とする。
第2 事案の概要
1前提事実(当事者間に争いがない。)(1) 当事者原告は,「衣料用繊維製品及び皮革製品の製造,販売,輸出入」等を目的とする会社である。被告は,「寝着類の製造及び卸売」「下着類の製造及び卸売」等を目的とする会社である。
(2) 原告の有する商標権原告は,以下の登録商標(以下「本件登録商標」という。)に係る商標権(以下「本件商標権」という。)を有する。登録番号 第5394885号登録日 平成23年3月4日商品及び役務の区分 第25類指定商品 被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト登録商標 VANSPORTS(標準文字)(3) 被告の行為被告は,平成24年1月21日以降,本件登録商標を付した紳士用下着(以下「被告商品」という。)を販売した(販売数量等について争いがある。)。

2原告の請求原告は,被告に対し,被告の行為により本件商標権を侵害されたとして,本件商標権に基づき,300万円の損害賠償及びこれに対する平成24年12月27日(反訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている。

3争点被告の行為による本件商標権侵害については当事者間に争いがなく,争点は損害額のみである。
第3 争点に関する当事者の主張
👤 原告の主張
【原告の主張】原告は,被告以外の第三者との間で,本件登録商標の使用許諾契約を締結しているところ,その実施料率は5%であり,最低実施料は300万円である。

したがって,本件登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭は300万円であり,これが原告の受けた損害の額である(商標法38条3項)。
👤 被告の主張
なお,後記【被告の主張】のうち,被告商品の販売数量等は知らない。
👤 被告の主張
【被告の主張】被告は,平成24年1月21日から同年6月30日までの間に合計2万7375枚の紳士用下着を販売し,合計572万9160円の売上げを得た。

このうち本件登録商標が付されていたもの(被告商品)の割合は1割を超えず,被告商品の売上げも57万2916円を超えることはない。

本件登録商標は著名な商標ではなく,高い顧客吸引力を有するものではないから,実施料率は2%を超えない。

したがって,原告の受けた損害の額は,せいぜい1万1459円(1円未満切上げ)である。
第4 当裁判所の判断
1原告の受けた損害の額の算定方法原告は,被告以外の第三者との間で,本件登録商標の使用許諾契約を締結しているところ,その最低実施料が300万円であるから,本件登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額(商標法38条3項)も300万円であると主張する。確かに,上記契約に係る契約書(乙8)によると,原告と第三者との間で,本件登録商標の使用に関し,以下の合意のあることが認められる。
① 第三者(被許諾者)は,原告に対し,本件登録商標の使用に対する対価として,本件登録商標を使用する商品の正味卸売価格の5%を支払う。
② 1年当たり300万円の最低実施料を4月末日に支払う。
③ 最低実施料を超過する実施料は4半期ごとに支払う。しかし,上記契約における最低実施料は,本件登録商標の使用を少なくとも1年間許諾することを前提として支払われる一時金であることが明らかである。仮に,被告商品の販売数量にかかわらず,上記最低実施料を原告の受けた損害の額とすると,被告商品の販売数量によっては(同販売数量が最低実施料300万円に相当する限度に達しない場合),原告に逸失利益を超える損害賠償を認めることになるから,相当ではないというべきである。したがって,商標法38条3項により算定されるべき損害額としては,実際に被告が販売した被告商品の売上高に実施料率を乗じたものとするのが相当である。

2原告の受けた損害の額(1) 被告の売上高証拠(甲5~12,甲14の1,甲17,乙1)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。

ア被告は,中国の下着メーカーから紳士用下着を輸入,販売している。メーカーが任意に選択した,10種類の異なる柄の紳士用下着を1つのパッケージにしたものを輸入しており,1つのパッケージ(10枚組)の中に重複する柄の下着は存在しない。本件登録商標を付した被告商品は,複数種類あるため(乙2~4の各2),2つの被告商品が1つのパッケージに含まれる可能性は否定できないものの,他方で,1つのパッケージに必ず被告商品が含まれているというわけでもない。したがって,本件登録商標を付されていたもの(被告商品)も,1つのパッケージ(10枚組)につき,平均1枚含まれているとして計算するのが相当である。

イ被告は,平成24年1月21日から同年6月30日までの間,上記アのパッケージ(10枚組)に含まれる商品を販売したが,その売上げは合計572万9160円であった。なお,被告による上記売上げについては,個々の販売ごとで商品単価が異なっているため,個々の被告商品の単価も不明である。そうすると,被告商品の売上高は,他の商品を含めた上記売上高の平均値の1割として計算するのが相当である。

ウこれらの事実によれば,被告が主張するとおり,被告商品の売上げは,合計57万2916円であったと認める。
(2) 実施料率被告は,本件登録商標が著名な商標ではなく,高い顧客吸引力を有するものではないから,実施料率は2%が相当である旨主張する。しかしながら,2%の実施料率が相当であるとする根拠は何ら示されていない。前記1のとおり,原告が被告以外の第三者との間で本件登録商標の実施料率を5%とする使用許諾契約を現に締結していることからしても,本件では実施料率を5%と認めるのが相当である。
(3) 損害額の算定上記(1)及び(2)の事実からすると,本件登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額(原告の受けた損害の額)は,2万8645円であると認める。[計算式]572,916×0.05≒28,645(1円未満切捨て)

3結論よって,主文のとおり判決する。なお,仮執行宣言の申立てについては,その必要があるとは認められない。

大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 山田陽三
裁判官 松川充康
裁判官 西田昌吾

出典: 平成24年(ワ)第13929号 裁判所ウェブサイト掲載の判決文 →

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