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判例調査 機械

職務発明対価(業務用エアコン)

3.5% 認定料率
事件番号 令和4年(ネ)第10062号
判決日 2023/01/23
裁判所 知財高裁
認容額 197万3,393円(原告の請求額1億1,100万円に対し約1.8%を認容)

📋 判決要旨

判決日: 2023年1月23日 | 裁判所: 知財高裁 | 料率: 3.5%(仮想実施料率)

(併合: 令和4年(ネ)第10064号。原審: 大阪地裁平成29年(ワ)第7391号等)


三菱電機の元従業員が、ルームエアコン室内機の熱交換器配置に関する複数の職務発明・意匠の相当対価を請求した控訴審。原告は4グループの発明・意匠について対価を求めたが、裁判所は本件各発明2(前面熱交換器の設置角度αとクロスフローファンの翼出口角β2を数値範囲で特定し、送風効率の向上による省エネ・室内機のコンパクト化を実現する技術)のみ対価を認容した。他の3グループはいずれも棄却(発明1: 相当の対価が認められない(詳細は原判決引用部分)、意匠1: 対象製品の室外機に搭載されたファンの形状等が取引される通常の状態で視覚によって認識できず意匠に該当しない、発明3: 被告の職務発明規程に基づく対価支払が不合理とはいえない)。


対価の算定:(自己実施分のみ。国内実施分と海外実施分の2区分で算定。特許がなかった場合に失われたであろう売上=超過売上を推定し、仮想実施料率を掛けて「独占の利益」を算定する方式)


【自己実施分(国内+海外)】

  • 📊 超過売上高割合: 0.5% — ルームエアコンの省エネ性能向上には熱交換器・圧縮機・モータ・送風機等の多数の技術が関与し、本件発明はその一つにすぎない。競合他社(パナソニック・ダイキン・東芝・日立)もそれぞれ独自の省エネ技術を有し、被告以上又は同等の市場占有率を保持していた。さらに、ムーブアイ(=人の位置を検知して気流を制御するセンサー技術)・脱臭・換気・サプリメントエアー等の付加価値機能が他社製品との差別化を図り、対象製品の売上に大きく貢献
  • 📊 仮想実施料率: 3.5%(原判決の認定を控訴審が「事情を総合考慮」として維持)
  • 📊 使用者貢献度: 95%(原判決認定を引用維持)
  • 📊 共同発明者間の原告貢献割合: 60%(共同発明者B・Cにも相応の貢献あり。原判決認定を引用維持)
  • 📊 算定式: 対象製品売上高 × 超過売上高割合(0.5%) × 仮想実施料率(3.5%) × 従業者取分(1−95%=5%) × 原告貢献割合(60%)
  • 結論: 国内実施分+海外実施分−既払金。消滅時効は国内分・海外分とも不成立

認容額197万3,393円(原告の請求額1億1,100万円に対し約1.8%を認容)。

📜 判決文全文

⚠️ 本文はPDFから自動抽出し、プログラムで一括クリーニング処理を行ったものです。変換精度の限界により、誤字・脱字・書式崩れが含まれる場合があります。正確な内容は裁判所公開の原文PDFをご確認ください。

控訴人の主張
被控訴人の主張
裁判所の判断
▼ 判決文全文(クリックで折りたたみ)
主 文

11審原告の控訴に基づき、原判決主文第1項及び第2項を次のとおり変更する。

⑴ 1審被告は、1審原告に対し、197万3393円及びうち33万163

4円に対する平成22年2月26日から、うち3万2208円に対する平成

23年2月26日から、うち1万6725円に対する平成24年2月26日

から、うち1万0410円に対する平成25年2月26日から、うち158

万2416円に対する平成30年4月28日から各支払済みまで年5分の割

合による金員を支払え。 ⑵ 1審原告のその余の主位的請求及び予備的請求をいずれも棄却する。

21審被告の控訴を棄却する。

3訴訟費用は、第1、2審を通じて、これを55分し、その54を1審原告の負担とし、その余を1審被告の負担とする。

4この判決の第1項⑴は、仮に執行することができる。
第1当事者の求めた裁判

11審原告

⑴ 原判決を次のとおり変更する。

⑵ 1審被告は、1審原告に対し、1億1100万円及びうち6100万円に対する平成20年2月26日から、うち5000万円に対する平成22年2月26日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

21審被告

⑴ 原判決中、1審被告敗訴部分を取り消す。

⑵ 上記部分につき、1審原告の請求をいずれも棄却する。

⑶ 1審原告は、1審被告に対し、235万8880円及びこれに対する令和4年3月25日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え(民訴法260条2項に基づく申立て)。
第2 事案の概要
(略称は、特に断りのない限り、原判決に従う。)

1事案の要旨本件は、1審被告の従業員であった1審原告が、1審被告に対し、①主位的請求として、職務発明又は職務創作意匠に該当する原判決別紙特許権・意匠権目録記載の本件発明1、本件各発明2、本件各発明3に係る特許を受ける権利(外国の特許を受ける権利を含む。)及び本件各意匠1に係る意匠登録を受ける権利を承継させた旨主張し、平成16年法律第79号による改正前の特許法(以下「旧特許法」という。)35条3項及び4項、同改正後の特許法(以下、 単に「特許法」という。)35条3項及び5項又はこれらの規定の類推適用並びに平成20年法律第16号による改正前の意匠法(以下「旧意匠法」という。)15条3項において準用する旧特許法35条3項及び4項に基づき、上記特許を受ける権利及び上記意匠登録を受ける権利の承継に係る相当の対価の一部である1億1000万円及びうち6100万円に対する平成20年2月26日から、うち5000万円に対する平成22年2月26日から各支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法(以下「改正前民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を、②本件発明1及び本件発明3-2-2に係る相当対価請求が認められない場合の予備的請求として、1審被告が、1審原告の職務発明である本件発明1及び本件発明3-2-2を製品化するに当たり、1審被告の過失により、発明の構成要件の一部をわずかに充足しない製品となった結果、実質的には発明による利益を享受しておきながら、形式的には発明を実施していないとして相当の対価の支払義務がないと主張することは信義則上の義務に違反するなどとして、民法709条に基づき、損害賠償金800万円及びこれに対する不法行為の後である平成20年2月26日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。原審は、1審原告の主位的請求のうち、本件各発明2に係る相当の対価として197万3393円●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●及び遅延損害金の支払を求める限度で一部認容し、その余の主位的請求及び予備的請求をいずれも棄却した。そこで、1審原告は、原判決中、1審原告敗訴部分を全部不服として本件控訴を提起した。また、1審被告は、原判決中、1審被告敗訴部分を全部不服として本件控訴を提起するとともに、当審において、民訴法260条2項に基づき、仮執行の宣言に基づき給付した235万8880円の返還及びこれに対する給付の日の 翌日である令和4年3月25日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める申立てをした。

2前提事実以下のとおり訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の第2の2記載のとおりであるから、これを引用する。

⑴ 原判決4頁4行目の「なお」から6行目末尾まで、同頁11行目の「及び共同発明者等」を削り、同頁16行目の「特許を受ける権利」の次に「(外国の特許を受ける権利を含む。)」を加える。
(2) 原判決4頁19行目の「ア」を「ア(ア)」と改め、同頁23行目末尾に行を改めて次のとおり加える。

「(イ) 原判決別紙特許権・意匠権目録記載のとおり、本件各発明等に係る特許公報(海外特許権に関するものを含む。)の各「発明者」欄及び意匠公報の各「創作者」欄には,いずれも、1審原告及び1審原告以外の者が発明者又は創作者として記載されている。」

⑶ 原判決5頁18行目の●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●15●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●と、同頁21行目から22行目にかけての●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●と改める。
(4) 原判決7頁21行目の「4条カ」を「4条①カ」と改める。
(5) 原判決8頁16行目の「同規程」を「もの」と、同頁18行目の「上記規程」を「上記(ア)の規程」と、同頁23行目の「9条」を「10条、11条」と改める。

⑹ 原判決10頁9行目末尾に行を改めて次のとおり加える。●(省略)●

⑺ 原判決10頁21行目末尾に行を改めて次のとおり加える。

25●(省略)● ⑻ 原判決11頁3行目末尾に行を改めて次のとおり加える。●(省略)●

⑼ 原判決11頁6行目の●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●と改める。

⑽ 原判決11頁20行目から21行目までを次のとおり改める。

5●(省略)●⑾ 原判決12頁10行目の「援用する旨の意思表示をした。」を「援用した。」と改める。

3争点

⑴ 本件発明1について

ア相当の対価の支払請求(争点1)(ア) 本件発明1に係る相当の対価の額(争点1-1)(イ) 本件発明1に係る相当対価請求権の消滅時効の成否(争点1-2)

イ本件発明1の不実施に係る不法行為の成否(争点2)(予備的請求関係)

⑵ 本件各意匠1について

ア本件各意匠1に係る相当の対価の額(争点3-1)

イ本件各意匠1に係る相当対価請求権の消滅時効の成否(争点3-2)

⑶ 本件各発明2について

ア本件各発明2の実施分(国内実施分)に係る相当の対価の額(争点4-1)

イ本件各発明2に対応する海外特許権に係る発明の実施分(国外実施分)に係る相当の対価の額(争点4-2)

ウ本件各発明2に係る相当対価請求権の消滅時効の成否(争点4-3)

⑷ 本件各発明3について

ア相当の対価の支払請求(争点5)25(ア) 被告規程に基づく本件各発明3に係る対価支払の不合理性の有無 (争点5-1)(イ) 本件各発明3の実施分(国内実施分)に係る相当の対価の額(争点5-2)(ウ) 本件各発明3に対応する海外特許権に係る発明の実施分(国外実施分)に係る相当の対価の額(争点5-3)5(エ) 本件各発明3に係る相当対価請求権の消滅時効の成否(争点5-4)

イ本件発明3-2-2の不実施に係る不法行為の成否(争点6)(予備的請求関係)
第3 争点に関する当事者の主張

1本件発明1について

⑴ 争点1-1(本件発明1に係る相当の対価の額)について以下のとおり訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の第3の1⑴記載のとおりであるから、これを引用する。

ア原判決15頁6行目の「という。」の次に「乙A30」を加える。

イ原判決16頁14行目の「本件発明」を「本件発明1」と改める。

⑵ 争点1-2(本件発明1に係る相当対価請求権の消滅時効の成否)について原判決21頁5行目の「昭和34年法」を「旧特許法」と改めるほか、原判決の「事実及び理由」の第3の1⑵記載のとおりであるから、これを引用する。

⑶ 争点2(本件発明1の不実施に係る不法行為の成否)(予備的請求関係)について以下のとおり訂正し、当審における1審原告の補充主張を付加するほか、原判決の「事実及び理由」の第3の1⑶記載のとおりであるから、これを引用する。

ア原判決の訂正 (ア) 原判決22頁13行目の「昭和34年法上」を「旧特許法上」と、同頁24行目から25行目にかけて、24頁7行目及び12行目の●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●と改める。(イ) 原判決22頁25行目の「という。」の次に「甲A37」を加える。

イ当審における1審原告の補充主張5(ア)原判決は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●を理由として、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●と認定しているが、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●10上記記載は誤記である。(イ) 原判決は、A発明が本件発明1に由来するものではない旨説示するが、A発明は流体力学的に不合理なものであり、新規性喪失の無効事由があるものであるから、原判決の上記説示は失当である。

2本件各意匠1について争点3-1(本件各意匠1に係る相当の対価の額)及び争点3-2(本件各意匠1に係る相当対価請求権の消滅時効の成否)については、原判決の「事実及び理由」の第3の2記載のとおりであるから、これを引用する。

3本件各発明2について

⑴ 争点4-1(本件各発明2の実施分(国内実施分)に係る相当の対価の額)について以下のとおり訂正し、当審における当事者の補充主張を付加するほか、原判決の「事実及び理由」の第3の3⑴記載のとおりであるから、これを引用する。

ア原判決の訂正25(ア) 原判決31頁17行目の「という。」の次に「乙A31」を加える。 (イ) 原判決33頁末行の「設置角度α、β」を「前面熱交換器の設置角度α、背面熱交換器の設置角度β」と改める。(ウ) 原判決36頁12行目の「スクロールファン」を「クロスフローファン」と改める。

イ当審における1審原告の補充主張5(ア) 原判決は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●を理由に1審原告、B及びCの共同発明者間における1審原告の貢献度を60%と認定した。

しかしながら、流体解析を駆使して最適な設置角度αの方針を決定したのは1審原告であり、Cは、その方針に従って熱交換器の観点から、●●●●●●●●●と補足しただけであって、●●●●●●●●●●●●●にすぎない。また、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●製造部所属社員を共同発明者に含めなければ対価が不払となることを懸念したためであり、●●●●●●●15●●●●●形骸化されたものである。以上によれば、原判決の1審原告の貢献度の認定には理由がなく、本件各発明2は、1審原告の単独発明である。

(イ) 原判決は、1審被告において、売上原価が売上価格の約7割であると判示するが、約7割という数値は1審被告の全事業部門のものであるところ、エアコンが属する「家庭電器」は他の事業部門に比べ利益率が高く、その数値としては「0.639169」を採用すべきである。

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●25したがって、本件発明2-1に係る相当対価請求権の遅延損害金の起 算日は、1審被告の1審原告に対する●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●その翌日が起算日となると解すべきである。

ウ当審における1審被告の補充主張5(ア) 本件各発明2の開発においては、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●10●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●などしながら、本件各発明2の「クロスフローファンの回転中心よりも上方に位置する前記前面熱交換器の、水平に対する設置角度αを65°≦α≦90°」という数値範囲が見出されたことからすると、Cは、本件各発明2について大きく貢献しているから、本件各発明2の発明者であることは明らかである。●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●ことができたのであるから、Bが本件各発明2の発明者であることは明らかである。

(イ) 相当の対価算定の基礎となる売上高は、1審被告自体の売上高、すなわち、●●●●●●●●●●●●●●●●●と解すべきであるところ、原判決の判断は、実質的に、1審被告が出荷した対象製品群2は、1審被告の連結子会社により販売されたにもかかわらず、この連結子会社による売上高までも相当の対価の算定の基礎として算入しようとするもの であって、誤りである。

また、原判決が実施高を割り戻す算定に用いた数値は、1審被告の連結損益計算書における売上原価の割合であると考えられるところ、仮に連結損益計算書における売上原価の割合が、連結における対象製品群2の売上原価の割合と等しいとしても、実施高には、売上原価の他に販管費等が加算されるものであり、実施高よりも売上原価の方が小さいものと考えられるから、売上原価の割合で割り戻すと連結売上高より過大となり不合理である。

したがって、原判決が売上高について、実施高を0.7で除して算出している点は誤りである。

10(ウ) 本件発明2-1は、ルームエアコンの室内機のクロスフローファンに関する発明であるところ、仮に省エネに効果があるとしても、それはルームエアコン全体としてみればごくわずかなものであり、顧客吸引力を左右するようなものではない。

また、原判決は、①2003冷凍年度から2005冷凍年度までの1審被告のルームエアコンの売上高の向上に、対象製品群2の販売が貢献していること、②本件発明2-1の技術的意義が熱交換器の配置とクロスフローファンの翼形状(出口角)を同時に具体的な数値で特定した点にあることを、超過売上高の割合を高くする事情として考慮して、その割合を50%と認定した。

しかし、そもそも、本件発明2-1の実施の有無は売上高を左右するものではなく、競合他社が本件発明2-1の実施を望むとは解されない。また、①の1審被告のルームエアコンの売上高の向上に、対象製品群2の販売が貢献していることと、本件発明2-1の実施により超過売上高が生じていたかどうかは関係がなく、②については、前面熱交換器の配置を前提にクロスフローファンの翼の出口角β2等を調整することは、 当業者が適宜設定する事項にすぎず、何らの技術的優位性もないから、いずれの事情も超過売上高の割合を50%と認定する根拠とならない。したがって、原判決が超過売上高の割合を50%と認定したのは誤りであり、その割合は「0」と認定されるべきである。

(エ) 1審原告は、本件発明2-1に係る相当の対価の支払期日について主張するが、仮に特定の日を支払期日として認定し、当該支払期日において将来分の実績等も含めた対価額を支払うべきものとするのであれば、その将来分に係る部分は中間利息を控除して(ライプニッツ係数を乗じて)算出されるべきである。

⑵ 争点4-2(本件各発明2に対応する海外特許権に係る発明の実施分(国外実施分)に係る相当の対価の額)について以下のとおり訂正し、当審における当事者の補充主張を付加するほか、原判決の「事実及び理由」の第3の3⑵記載のとおりであるから、これを引用する。

ア原判決の訂正15(ア) 原判決40頁15行目の「本件発明2-2」を「本件発明2-2に対応する発明」と改める。(イ) 原判決43頁8行目の●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●と改める。(ウ) 原判決45頁6行目の●●●●●●●●●●●●●●●●●●●20と改める。

イ当審における1審原告の補充主張(ア) 原判決は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●25●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●(イ) 省エネ性能及び静音性を維持してコンパクト化を実現した本件発明2-1は欧州での市場要求に適合したものであり、その貢献度を軽んじた原判決の相当の対価の認定は不合理である。

ウ当審における1審被告の補充主張5●(省略)●したがって、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●本件発明2-1に対応する本件各海外特許権2に係る相当の対価算定の基礎となる金額の上限というべきである。

10(イ) 本件発明2-1は従来技術との対比で技術的優位性はないし、実施の有無により、製品の売上高を左右するようなものではない。したがって、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●15●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●相当の対価算定の基礎とすべきである。

⑶ 争点4-3(本件各発明2に係る相当対価請求権の消滅時効の成否)について原判決の「事実及び理由」の第3の3⑶記載のとおりであるから、これを引用する。

4本件各発明3について

⑴ 争点5-1(被告規程に基づく本件各発明3に係る対価支払の不合理性の有無)について以下のとおり当審における当事者の補充主張を付加するほか、原判決の 「事実及び理由」の第3の4⑴記載のとおりであるから、これを引用する。

ア当審における1審原告の補充主張(ア)a ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●本件発明3-2及び3-3は対象製品群3の全機種で実施されており、本件発明3-1は中静圧天埋室内機において、約半分の機種で実施されている。そうすると、実施高は、毎年度、「本件発明3-2=本件発明3-3>本件発明3-1」となるべきところ、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。

また、中静圧天埋室内機は2009年2月に発売されたものであるところ、海外(和歌山分)の本件発明3-1の実施高は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●と辻褄が合わない。さらに、本件発明3-1ないし3-3について、いずれも、●●15●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●ずさんな調査によるものであり、しかも、実施高が、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●となっている。加えて、生産台数は概ね国内:海外=1:2であるが、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●そのような比となっていない。

20b1審被告が2009年2月に発売した中静圧天埋室内機は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●高性能及び低コストである(●●●●)。

したがって、本件各発明3に関する●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●25●●●ものとはいえないから、●●●●●●1審被告の対価の支払は、 本件各発明3を過小評価したものである。

c以上のとおり、1審被告の対価の支払はずさんなものであり、被告社規が予定した対価の支払すら満たないものであって、その支払内容は極めて不合理なものである。

(イ) 1審被告は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●5●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●10●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

イ当審における1審被告の補充主張1審原告は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●旨主張する。しかし、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●15●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

⑵ 争点5-2(本件各発明3の実施分(国内実施分)に係る相当の対価の額)、争点5-3(本件各発明3に対応する海外特許権に係る発明の実施分(国外実施分)に係る相当の対価の額)、争点5-4(本件各発明3に係る相当対価請求権の消滅時効の成否)及び争点6(本件発明3-2-2の不実施に係る不法行為の成否)(予備的請求関係)について原判決の「事実及び理由」の第3の4⑵ないし(5)記載のとおりであるか ら、これを引用する。
第4 当裁判所の判断

1争点1-1(本件発明1に係る相当の対価の額)について以下のとおり訂正するほか、原判決70頁24行目から83頁1行目まで記載のとおりであるから、これを引用する。

⑴ 原判決71頁16行目の「被告製品」を「被告の製品」と改める。

⑵ 原判決81頁15行目から82頁7行目までを次のとおり改める。

「⑵ 本件発明1に係る相当の対価の額について

ア旧特許法35条3項は、「従業者等は、契約、勤務規則その他の定により、職務発明について使用者等に特許を受ける権利若しくは特許権を承継させ、又は使用者等のため専用実施権を設定したときは、相当の対価の支払を受ける権利を有する。」と規定し、同条4項は、「前項の対価の額は、その発明により使用者等が受けるべき利益の額及びその発明がされるについて使用者等が貢献した程度を考慮して定めなければならない。」と規定している。これらの規定によれば、旧特許法35条3項の相当の対価の額は、同条4項の趣旨・内容に合致するものでなければならないというべきであるから、勤務規則等により職務発明について特許を受ける権利を使用者等に承継させた従業者等は、当該勤務規則等に使用者等が従業者等に対して支払うべき対価に関する条項がある場合においても、これによる対価の額が同条4項の規定に従って定められる対価の額に満たないときは、同条3項の規定に基づき、その不足する額に相当する対価の支払を求めることができると解するのが相当である(最高裁判所平成13年(受)第1256号同15年4月22日第三小法廷判決・民集57巻4号477頁参照)。

ところで、旧特許法35条4項の「発明により使用者等が受けるべ き利益」は、使用者等が「受けた利益」そのものではなく、「受けるべき利益」であるから、使用者等が職務発明についての特許を受ける権利を承継した時に客観的に見込まれる利益をいうものと解されるところ、使用者等は、特許を受ける権利を承継せずに、従業者等が特許を受けた場合であっても、その特許権について同条1項に基づく無償の通常実施権を有することに照らすと、「発明により使用者等が受けるべき利益」には、このような法定通常実施権を行使し得ることにより受けられる利益は含まれず、使用者等が従業者等から特許を受ける権利を承継し、当該発明の実施を排他的に独占し得る地位を取得することによって受けることが客観的に見込まれる利益、すなわち「独占の利益」をいうものと解される。また、特許を受ける権利の承継の時点では、将来特許を受けることができるかどうか自体が不確実であり、その発明により将来いかなる利益を得ることができるのかを具体的に予測することは困難であることなどに照らすと、発明の実施又は実施許諾による使用者等の利益の有無やその額など、特許を受ける権利の承継後の事情についても、その承継の時点において客観的に見込まれる利益の額を認定する資料とすることができるものと解される。

そして、使用者等が職務発明についての特許を受ける権利の承継後に第三者との間のライセンス契約に基づいて当該発明の実施を許諾している場合には、その実施料収入が「独占の利益」に該当し、また、使用者等が、第三者に当該発明を実施許諾することなく、自ら実施(自己実施)している場合には、特許権が存在することにより、第三者に当該発明の実施を禁止したことに基づいて使用者が得ることができた利益、すなわち、特許権に基づく第三者に対する禁止権の効果として、使用者等の自己実施による売上高のうち、当該特許権を使用者等に承継させずに、自ら特許を受けた従業者等が第三者に当該発明を 実施許諾していたと想定した場合に予想される使用者等の売上高を超える分(超過売上高)について得ることができたものと見込まれる利益(超過利益)が「独占の利益」に該当するものというべきである。この「超過利益」の額は、従業者等が第三者に当該発明の実施許諾をしていたと想定した場合に得られる実施料相当額を下回るものではないと考えられるので、「超過利益」を「超過売上高」に上記想定に係る実施料率(仮想実施料率)を乗じて算定する方法にも合理性があるものと解される。したがって、かかる「独占の利益」をもって、「その発明により使用者等が受けるべき利益」とし、これと1審被告の貢献の程度(「その発明がされるについて使用者等が貢献した程度」)を考慮して相当の対価の額を認定することは許されるものと解される。また、特許法35条3項及び5項に基づく相当の対価請求権、同項の「その発明により使用者等が受けるべき利益」についても、上記説示したところと同様に解すべきである。

以上を前提に、1審原告の本件発明1に係る相当の対価請求権の存否について判断する。」

⑶ 原判決82頁8行目の「(イ)」を「イ」と、同頁24行目の「(ウ)」を「ウ」と改める。

2争点2(本件発明1の不実施に係る不法行為の成否)(予備的請求関係)について以下のとおり訂正するほか、原判決83頁3行目から85頁13行目まで記載のとおりであるから、これを引用する。

⑴ 原判決83頁3行目の「(ア)」を「⑴」と改め、同頁16行目末尾に「この点に関し、1審原告は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●25●●●●●●の誤記である旨主張するが、同記載が誤記であることを認める に足りる証拠はない。」を加え、同頁23行目の「されたものであり、」から24行目末尾までを「されたものである。」と改める。

⑵ 原判決84頁6行目の「(イ)」を「⑵」と改める。

⑶ 原判決85頁2行目末尾に行を改めて次のとおり加える。

「なお、1審原告は、A発明は流体力学的に不合理なものであり、新規性喪失の無効事由がある旨主張するが、そもそも、A発明が本件発明1を基本特許とするものであることを基礎づける事情は認められないから、1審原告の上記主張は、それ自体、上記判断を左右するものではない。」

⑷ 原判決85頁3行目の「(ウ)」を「⑶」と改め、同頁9行目から13行目までを次のとおり改める。

「⑷ よって、1審原告の本件発明1の不実施に係る不法行為に基づく損害賠償請求は、理由がない。」

3争点3-1(本件各意匠1に係る相当の対価の額)について以下のとおり訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の第4の2記載のとおりであるから、これを引用する。

⑴ 原判決85頁15行目を削り、同頁16行目の「ア認定事実」を「⑴ア認定事実」と改める。

⑵ 原判決87頁5行目から21行目までを次のとおり改める。「(ア) 意匠法2条1項は、「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。)の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下「形状等」という。)であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいうと規定していることに鑑みると、物品の形状等であっても、当該物品が取引される通常の状態で、視覚によって認識することができない場合には、需要者の視覚を通じて美感を起こさせるものとはいえないから、意匠に該当するものではないと解される。」25(3) 原判決87頁22行目の「(ウ)」を「しかるところ、」と改める。
(4) 原判決88頁1行目の「したがって」から2行目末尾までを削り、同頁8行目の「その形状等は訴求されていない」を「その形状等を認識することは困難である」と改め、同頁9行目から13行目までを次のとおり改める。

「以上によれば、対象製品群1の室外機に搭載されたファンの形状等は、ファンが取引される通常の状態で、視覚によって認識することができず、需要者の視覚を通じて美感を起こさせるものとは認められないから、意匠に該当するものとはいえない。したがって、対象製品群1の室外機に搭載されたファンの形状等は、本件各意匠1と同一又はこれと類似するものとはいえないから、その余の点について判断するまでもなく、1審被告が対象製品群1の製造、販売等により本件各意匠1を実施したものと認めることはできない。」(5) 原判決88頁14行目の「(エ)」を「(イ)」と改め、同頁18行目の「その点を」から89頁9行目末尾までを削る。

⑹ 原判決89頁11行目から14行目までを次のとおり改める。

「以上のとおり、1審被告が、対象製品群1において本件各意匠1を実施したものと認めることはできず、本件各意匠1により独占の利益を受けているものと認めることはできないから、消滅時効の成否(争点3-2)について判断するまでもなく、1審原告は、1審被告に対し、本件各意匠1について、相当対価請求権を有するものと認められない。」

4争点4-1(本件各発明2の実施分(国内実施分)に係る相当の対価の額)について以下のとおり訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の第4の3記載のとおりであるから、これを引用する。

⑴ 原判決92頁9行目末尾に行を改めて次のとおり加える。

「「次に前面熱交換器2の方向からファン吸込み領域10に流入させる方法について図6~9により説明する。図6はこの発明の実施形態1の構 成を示す空気調和機の構成図、図7は空気調和機の流跡、図8は熱交換器への風の流入角度と流出角度の関係を示す図、図9は熱交換器の風下側の流れの説明図である。」(【0017】)」

⑵ 原判決102頁7行目の「横流ファン7の」の次に「羽根板8の」を加える。

⑶ 原判決109頁6行目の「また、」を削り、同頁7行目末尾に次のとおり加える。

「また、1審被告の2017年3月期決算短信(A事件(平成29年(ワ)

第7391号事件)原告第16準備書面6頁記載のもの)の「①事業の種類別セグメント情報」によれば、「家庭電器」の平成28年度の「営業損益/売上高」は「69,696/1,004,415」(0.0694)であり、「連結合計」の「営業損益/売上高」の「270,104/4,238,666」(0.0637)よりも大きい(弁論の全趣旨)。」

⑷ 原判決112頁10行目の「スクロールファン」を「クロスフローファン」と、同頁13行目の「入口角」を「翼の入口角」と、同頁15行目の「所定回数のファンモータのときの」を「ファンモータが所定回数回転するときの」と改める。

⑸ 原判決112頁23行目から113頁5行目までを削り、同頁6行目の「また」を「ところで」と改め、同頁7行目の「補償金」の次に「(特許法65条1項)」を、同頁11行目末尾に「これに反する1審被告の主張は採用することができない。」を加える。

⑹ 原判決113頁16行目の「であること」を「であり、エアコンが属する家庭電器の事業分野は他の事業分野に比べて利益率が高いこと」と改め、同頁21行目を次のとおり改める。

「 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●×0.5=●●●●●●●●●」

⑺ 原判決113頁末行から114頁2行目までを次のとおり改める。

「・●(省略)●

⑻ 原判決114頁3行目の「超過売上の割合」を「超過売上高」と改め、同頁21行目から115頁23行目までを次のとおり改める。

「a本件発明2-1は、空気調和機(ルームエアコン)の室内ユニットに搭載される熱交換器の配置について、前面熱交換器の設置角度α及びクロスフローファンの翼の出口角β2を、それぞれ所定の範囲に特定することで、室内ユニットから所定風量を得るのに必要なファンモータ入力や回転数を低減することができ、省エネを図ることができる点にその技術的意義がある。また、前面熱交換器の設置角度αを65°以上とすることで、熱交換器からの水滴がファンへ流入して室内ユニットの外部へ吹き出されること等を防止し、室内ユニットの奥行きをコンパクトにできるという効果もある(【0024】)。もっとも、省エネ、ドレン水の確実な処理及び室内ユニットのコンパクト化という課題自体は、本件発明2-1の特許出願以前から存在するものであり、上記課題に対して、熱交換器を逆V字状にすること、前面熱交換器と背面熱交換器との連結部を送風ファンの中心軸よりも前面側に位置させ、かつ前面熱交換器の傾斜を急な配置にすること、熱交換器を通過した空気がファンの翼に当たる際の空気の流れ方向の変化を滑らかにし、空気流の剥離等を防ぐために、翼形状を変更することといった着想や技術自体は、従来から存在していた(前記⑵ウ)。したがって、本件発明2-1は、ルームエアコンに備えられる基本的な構成要素である熱交換器及びクロスフローファンについて、前面熱交換器の配置及びクロスフローファンの翼形状(出口角)を、同時に、具体的な数値範囲をもって特定したところに技術的な意義があるものと認 められる。b他方で、ルームエアコンの省エネ性能の向上を図る技術には、室内機及び室外機それぞれを見ても、熱交換器、圧縮機、モータ、送風機等に係る種々の技術が存在する。しかも、1審被告のほか、国内の競合他社であるパナソニック、ダイキン、東芝、日立等は、それぞれ、省エネのための独自の基本的な技術を有しており、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●1審被告以上又は同等の市場占有率を保持していたと認められる(上記⑵イ、キ(ウ)、ク(イ)及び(ウ))。また、本件発明2-1は、前面熱交換器の配置及びクロスフローファンの翼形状(出口角)を特定することによって送風の効率を高めるものであるところ、競合他社が、それぞれ独自に、ユニットの構造、熱交換器の配置、ファンの形状等を工夫して製品化をしていることからすれば、競合他社の製品に本件発明2-1をそのまま実施することにより直ちにその性能が向上するものとは認められない。

したがって、本件特許権2の存在により第三者に本件発明2-1の実施を禁止したことに基づいて得ることができた利益は、限られた範囲内のものと認められる。c加えて、1審被告は、対象製品群2の販売に当たり、被告カタログ②において、ムーブアイを大々的に取り上げるとともに、そのほかにも脱臭機能、換気機能、サプリメントエアー機能といった付加価値的な機能をも顧客に対し強く訴求していること、対象製品群2が販売された当時、既にルームエアコンは家庭に広く普及し、省エネ等に係る技術は、競合他社の製品においても採用されていたと考えられることを踏まえると、付加価値的なものとはいえ、このような他社製品との差別化を図る技術は消費者に対する訴求力を高め、対象製品群2の売 上げに大きく貢献したものとみるのが相当である。(ウ) 小括以上の事情を総合考慮すると、本件発明2-1に係る超過売上高は、前記ウの売上高の0.5%と認めるのが相当である。」

⑼ 原判決115頁25行目の冒頭に「(ア)」を加える。

⑽ 原判決116頁14行目の「ものであること」から15行目末尾までを「ものであることを考慮すべきである。」と改め、同頁16行目から117頁14行目までを次のとおり改める。

「(イ) 以上の事情を総合考慮すると、本件発明2-1に係る仮想実施料率は、3.5%と認めるのが相当である。」⑾ 原判決117頁15行目の「キ」を「カ」と、118頁4行目の「ク」を「キ」と、同頁5行目の冒頭に「(ア)」を加え、同行目の「出口角」を「翼の出口角」と改める。

⑿ 原判決118頁20行目から119頁5行目までを次のとおり改める。

「 (イ) これに対し、1審原告は、①流体解析を駆使して最適な設置角度αの方針を決定したのは1審原告であり、Cは、その方針に従って熱交換器の観点から、●●●●●●●●●と補足しただけであって、●●●●●●●●●●●●●にすぎない、②●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●製造部所属社員を共同発明者に含めなければ対価が不払いとなることを懸念したためであり、●20●●●●●●●●●●は形骸化されたものであるとして、本件各発明2は、1審原告の単独発明である旨主張する。

しかしながら、B及びCが相応の貢献をしていることは前記(ア)のとおりであって、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●発明の実体を反映していないものであることを認めるに足りる証拠もない。 したがって、1審原告の上記主張は、採用することができない。

ク小括(ア) 以上のとおり、対象製品群2の国内実施分に係る●●●●●●●●●●●●●●●●●●●、超過売上高は上記売上高の0.5%、仮想実施料率は3.5%、1審被告の貢献割合は95%、共同発明者間の1審原告の貢献割合は60%と認められる。そうすると、本件発明2-1に係る相当の対価の額は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●となる。

●(省略)●(イ) 1審原告は、被告規程に基づき、本件各発明2に係る相当の対価として●●●●●●●●(前記2の2⑺ウ(ア))の支払を受けているので、この既払額を控除する必要がある。上記既払額は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●、その充当後の相当の対価●●●●●●●●●●●●●●となる。したがって、1審原告は、1審被告に対し、旧特許法35条3項及び4項に基づき、本件発明2-1に係る相当の対価として、●●●●●●●●●●の支払を求めることができる。(ウ) ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●20●●●●●●●遅延損害金の起算日となる。」

5争点4-2(本件各発明2に対応する海外特許権に係る発明の実施分(国外実施分)に係る相当の対価の額)について以下のとおり訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の第4の4記載のとおりであるから、これを引用する。

⑴ 原判決119頁10行目の●●●●●●●●●●●●●●●●●●と改め る。

⑵ 原判決119頁15行目及び16行目の各「本件発明2-1」をいずれも「本件発明2-1に対応する発明」と、同頁23行目の「本件発明2-2」を「本件発明2-2に対応する発明」と改める。

⑶ 原判決120頁4行目から5行目にかけての●●●●●●●●●●●●●5●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●と改める。

⑷ 原判決121頁19行目の●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●と改める。

⑸ 原判決128頁15行目の●●●●●●●●●●●●●●と改める。

⑹ 原判決129頁19行目の「出口角」を「翼の出口角」と改める。

⑺ 原判決130頁末行の●●●●●●●●●●●●●●●と改める。

⑻ 原判決131頁14行目から21行目までを次のとおり改める。「(エ) 以上の事情を総合考慮すると、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●20●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●そして、本件発明2-1に係る1審被告の貢献割合が95%、共同発明者間の1審原告の貢献割合が60%であること(前記4⑶ク(ア))によれば、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●相当の対価の額 は、別表1のとおり、●●●●●●●●●●●と認められる。」

⑼ 原判決133頁12行目の●●●●●●●●●●●●●●●と改め、同頁14行目から134頁3行目までを次のとおり改める。

「 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●5●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●10そして、本件発明2-1に係る1審被告の貢献割合が95%、共同発明者間の1審原告の貢献割合が60%であることによれば、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●相当の対価の額は、別表2のとおり、●●●●●●●●●と認められる。

エ当審における1審原告の補充主張について1審原告は、①●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●、②省エネ性能及び静音性を維持してコンパクト化を実現した本件発明2-1は欧州での市場要求に適合したものであり、その貢献度を軽んじるべきではない旨主張する。

しかし、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●25●●を認めるに足りる証拠ない。 したがって、1審原告の上記主張は理由がない。

オ小括以上のとおり、本件各発明2に係る国外実施分に係る相当の対価の額は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●5●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●となる。そして、1審被告は、本件各海外特許権2について、被告規程に基づき、既に特許を受ける権利の承継を受けた対価として1審原告に対し●●●●●●●●を支払済みであるところ(前記第2の2⑺ウ(イ))、これは、後記6⑴イのとおり、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●10●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●に充当され、その充当後の残額は、●●●●●●●●●となる。よって、1審原告は、1審被告に対し、旧特許法35条3項及び4項の類推適用に基づき、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●15●●●●●●●相当の対価として●●●●●●●●●●●の支払を求めることができる。」

6争点4-3(本件各発明2に係る相当対価請求権の消滅時効の成否)について以下のとおり訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の第4の5記載のとおりであるから、これを引用する。

⑴ 原判決134頁5行目を削り、同頁6行目の「ア」を「⑴ア」と改める。

⑵ 原判決134頁11行目から136頁13行目までを次のとおり改める。

「イ(ア) 1審原告は、1審被告に対し、遅くとも本件特許権2の出願日である平成16年3月25日までに本件各発明2に係る特許を受ける権利(海外の特許を受ける権利を含む。)を譲渡し、本件特許権2が平 成20年10月10日に登録され、その後、●(省略)●(イ) 1審被告においては、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●5●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●弁済期が到来したものと認められる。

ウ以上を前提に検討すると、本件特許権2に係る相当対価請求権の弁済期については、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●であるから、1審原告がA事件(平成29年(ワ)第7391号事件)の訴えを提起した平成29年7月31日の時点において、本件特許権2に係る相当対価請求権の消滅時効は完成していない。

また、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●15●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●であるから、1審原告がB事件(平成31年(ワ)第3587号事件)の訴えを提起した平成31年4月22日の時点において、本件各海外特許権2に係る相当対価請求権の消滅時効は完成していない。

⑵ 以上によれば、本件各発明2に係る相当対価請求権の消滅時効は、いずれも認められない。」

7争点5-1(被告規程に基づく本件各発明3に係る対価支払の不合理性の有無)について以下のとおり訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の第4の6記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決136条15行目の「平成16年法35条」を「特許法35条」と、同頁16行目及び19行目の各「を踏まえると」をいずれも「の規定により」と改める。

⑵ 原判決153頁16行目の「乙A9」を「乙B9」と改める。

⑶ 原判決157頁14行目から15行目にかけての「同年」を「平成29年」と改める。

⑷ 原判決158頁12行目末尾に行を改めて次のとおり加える。

「また、1審原告は、1審被告の対価の支払はずさんであり、被告社規が予定した対価の支払すら満たないものであると主張し、その理由として、①●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●10●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●ところ、本件発明3-2及び3-3は対象製品群3の全機種で実施されており、本件発明3-1は中静圧天埋室内機において、約半分の機種で実施されているから、実施高は毎年度、「本件発明3-2=本件発明3-3>本件発明3-1」となるところ、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●15●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●などを指摘し、また、②1審被告が2009年2月に発売した中静圧天埋室内機は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●高性能及び低コストであり●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●20●●●●●●1審被告の対価の支払は、●●●についても過小評価したものであるなどと主張する。

しかし、①については、1審被告が本件発明3-1ないし3-3の各実施高を算定するに当たって、具体的にいかなる製品の実施高を考慮したかは必ずしも明らかではないが、少なくとも、対象製品群3に係る実施高を各実施高に加えていないことを認めるに足りる証拠はなく、1審原 告が指摘する事情から、1審被告が本件各発明3の対価の算定に当たって考慮した実施高が不合理なものであるとは認められない。

また、②については、●●●●●●●●●●●●●●●●●●を検討したものではなく、これによっても、本件各発明3の●●●●●●●●●●●●●●●●●●であると認めることはできない。

したがって、1審原告の上記主張は理由がない。」

⑸ 原判決159頁1行目の「3月」を「4月」と改め、同頁20行目末尾に行を改めて次のとおり加える。

「また、1審原告は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●10●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●支払は不合理である旨主張する。

しかし、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●その支払が不合理であるとはいえない。」

⑹ 原判決159頁末行の「平成16年法」を「特許法」と改め、160頁1行目の「本件発明3-2-2」から2行目の「含め、」までを削り、同頁2行目の「同項に基づく」を「本件各発明3に係る」と改める。

8争点6(本件発明3-2-2の不実施に係る不法行為の成否)(予備的請求関係)について1審原告は、1審被告が、1審原告の職務発明である本件発明3-2-2を製品化するに当たり、1審被告の過失により、発明の構成要件の一部をわ ずかに充足しない製品となった結果、実質的には発明による利益を享受しておきながら、形式的には発明を実施していないとして相当の対価の支払義務がないと主張することは信義則上の義務に違反するから、1審被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求権を有する旨主張する。

しかしながら、前記2で説示したところと同様に、1審被告が上記主張をすることが信義則上の義務に違反するとの事情を認めることはできないから、1審原告の本件発明3-2-2の不実施に係る不法行為に基づく損害賠償請求権は、認められない。したがって、1審原告の主張は理由がない。

9まとめ以上によれば、1審原告は、1審被告に対し、①旧特許法35条3項及び4項に基づき、本件発明2-1に係る相当の対価として●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を、②旧特許法35条3項及び4項の類推適用に基づき、本件発明2-1に●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●相当の対価として●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。
第5 結論
以上によれば、1審原告の請求は、1審被告に対し、197万3393円(前記第4の9記載の①及び②の元金合計額)及びうち33万1634円に対する平成22年2月26日から、うち3万2208円に対する平成23年2月26日から、うち1万6725円に対する平成24年2月26日から、うち1万0410円に対する平成25年2月26日から、うち158万2416円に 対する平成30年4月28日から各支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があり、その余は理由がないから棄却すべきである。したがって、原判決は一部不当であって、1審原告の控訴は一部理由があるから、1審原告の控訴に基づき、原判決を本判決主文第1項のとおり変更することとし、1審被告の控訴は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。

なお、当審における1審被告の民訴法260条2項に基づく申立ては、本案判決の仮執行宣言に基づく給付に係る部分が1審被告に有利に変更されないことを解除条件とするものというべきであるから、これについては判断を示さない。

知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 大鷹一郎
裁判官 小川卓逸
裁判官 遠山敦士 【別表1】●(省略)●【別表2】●(省略)●5

出典: 令和4年(ネ)第10062号 裁判所ウェブサイト掲載の判決文 →

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