📜 判決文全文
⚠️ 本文はPDFから自動抽出し、プログラムで一括クリーニング処理を行ったものです。変換精度の限界により、誤字・脱字・書式崩れが含まれる場合があります。正確な内容は裁判所公開の原文PDFをご確認ください。
▼ 判決文全文(クリックで折りたたみ)
第1 請求
2被告は、別紙被告ウェブページ目録記載の各ウェブページ及び別紙被告アカウント目録記載の各Facebookアカウントのプロフィール写真から、別紙被告表示目録記載の各表示を削除せよ。
3被告は、原告に対し、1100万円及びこれに対する令和3年6月29日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
2前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠(以下、書証番号は特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
⑴ 当事者ア原告は、すし店経営、水産物の仕入全般、食材の開発・製造、新商品の開発等の事業を行う株式会社であり、「すしざんまい」という名称の飲食店(以下「原告すし店」という。)を全国的に展開している(甲3)。
イ被告は、魚介類及び水産加工品の輸出入並びに販売、一般食堂の経営及び経営指導等の事業を行う株式会社である。被告は、その完全親会社であるダイショーシンガポール(Daisho(Singapore)PTELTD)の他、ダイショーマレーシア(DAISHOFOOD(M)SDN.BHD.以下「ダイショーマレーシア」という。)、スーパースシ(SUPERSUSHISDN.BHD.以下「スーパースシ」という。)及びダイショータイランド(DaishoThailandCo.、Ltd)とダイショーグループを構成しており、日本での食材の仕入れ及び東南アジアのダイショーグループ各社への輸出を行っている。
ウスーパースシは、マレーシアにおいて、「SushiZanmai」という名称の飲食店(以下「本件すし店」という。)を展開している。
⑵ 原告各商標権原告は、原告各商標権を有している(甲23ないし28)。
⑶ 原告各表示原告は、原告すし店のウェブサイトや店舗の看板、店内で提供される箸袋や醤油袋、ポイントカード、ノベルティグッズなどにおいて、原告すし店の営業を示すものとして、原告各表示を使用している。
⑷ 本件各ウェブページ及び本件各アカウントにおける表示ア被告は、遅くとも平成26年12月頃から現在に至るまで、本件各ウェブページに被告各表示を掲載している。ただし、原告の主張する被告表示1は、フォント及び色は特定されていないが、本件各ウェブページ上の被告表示1は、ゴシック体様のフォントであり、その色は赤である(甲4)。
イ本件各アカウント写真には、被告表示2が存在する(甲20、21)。
⑸ 本件すし店に係る売上げ前記⑴のとおり、被告は、スーパースシを含めたダイショーグループ各社に対して、日本で仕入れた食材の輸出を行っているところ、平成26年から令和5年までの被告のスーパースシに対する売上げのうち、本件すし店に係る売上げは合計1億4475万8151円である。
3争点
⑴ 商標権侵害の成否(争点1)
ア原告各商標と被告各表示の類否(争点1-1)
イ原告各商標の指定役務と被告各表示に係る役務の類否(争点1-2)
ウ被告が原告各商標を「使用」(商標法2条3項)したといえるか(争点1-3)
エ故意又は過失の有無(争点1-4)
⑵ 不競法2条1項1号該当性(争点2)
ア原告各表示が商品等表示として周知といえるか(争点2-1)
イ原告各表示と被告各表示の類否(争点2-2)
ウ被告が原告各表示と類似の商品等表示を「使用」(不競法2条1項1号)したといえるか(争点2-3)
エ本件各掲載行為が他人の営業と混同を生じさせる行為といえるか(争点2-4)
オ故意又は過失の有無(争点2-5)
⑶ 不競法2条1項2号該当性(争点3)
⑷ 損害の発生及び額(争点4)
第3 争点に関する当事者の主張
ア外観被告表示1(SushiZanmai)と原告商標3(SUSHIZANMAI)はいずれも11文字のアルファベットで構成されており、そのうち2文字は大文字であることが共通することに加え、基本的に、アルファベットの小文字は、大文字が簡略化されたものであることからも明らかなとおり、大文字であるか小文字であるかは、外観において大きな相違を生じない。また、被告表示2のうち、赤色の下地部分を「スシ」と白抜きしたスタンプ様の部分はその他の要素に比して極めて小さいものであり、「スシ」という和食料理の一般名称が記載されているにすぎない。そして、背景の円状の模様は、その他の要素の背景の図柄として描かれているものにすぎない。そうすると、被告表示2のうち、すしの一般消費者である需要者や被告が日本において食材の仕入れ等を行う際に、取引の相手方になる需要者にとって支配的な印象を与えるのは「寿司三昧」との漢字及び「SushiZanmai」のアルファベットであり、これらが被告表示2の要部と解される。したがって、原告各商標と被告各表示は外観上類似する。
イ称呼及び観念原告各商標と被告各表示はいずれも「スシザンマイ」という称呼及び「すしに熱中する」という観念を生じさせるものであるから、両者の称呼及び観念は同一である。被告は、被告各表示には平仮名の「すしざんまい」という表示は一切ないから、被告各表示から原告が展開する原告すし店を想起し、その名称としての「すしざんまい」の観念が生じることはないと主張する。しかしながら、観念の判断においては、原告各商標と被告各表示がいずれも「すしに熱中する」という観念を生ずるという点だけをもってしても、両者の同一性・類似性は認められるべきである。また、原告各商標が高い周知・著名性を有することに加え、原告自身、アルファベットの「SUSHIZANMAI」を積極的に使用していること等からすれば、被告各表示に平仮名の「すしざんまい」が使用されていなくても、これに接した需要者は原告すし店を想起する。したがって、被告の上記主張は理由がない。
ウ小括以上のとおり、被告各表示は、原告各商標と外観において類似し、称呼及び観念において同一であることから、両者は類似するものといえる。
ア外観原告商標1は、「つきじ喜代村」、「すしざんまい」及び「SUSHIZANMAI」の各横書きの文字(ただし、「すし」部分は縦書きにも読める。)を組み合わせたものであるが、被告表示2は、原告商標1の文字とは書体が異なる上、「寿司三昧」という縦書きの漢字と「SushiZanmai」という横書きのアルファベットを「T」を横向きにしたような形で組み合わせた部分、赤色の下地部分を「スシ」と白抜きしたスタンプ様の部分及びその背景の円状の模様を一体として組み合わせたものであり、原告商標1とはその態様が全く異なるものである。また、原告商標1の「すしざんまい」の部分は「し」が「す」の左下に位置している点も特徴的であるところ、被告表示2にはそのような特徴はない。このように、原告商標1と被告表示2は全体として全く異なる外観である。また、被告表示1は、「SushiZanmai」というアルファベットによって構成されるものであって、原告商標1のように「つきじ喜代村」、「すしざんまい」、「SUSHIZANMAI」などの文字の組み合わせでもなければ、それらの文字列と一致もせず、両者は、その外観において異なるものである。原告商標2は、「すしざんまい」という平仮名によって構成されているが、被告各表示には「すしざんまい」という平仮名は用いられておらず、両者は、そもそも全く外観が一致しないものである。原告商標3は、「SUSHIZANMAI」という大文字のアルファベットによって構成されるものであるが、被告表示1は「SushiZanmai」であり、同じアルファベットではあるものの頭文字のみ大文字となっている点で、両者の外観は異なる。また、被告表示2は、上記のとおり縦書きの「寿司三昧」と「SushiZanmai」という横書きのアルファベットを「T」を横向きにしたような形で組み合わせた部分、赤色の下地部分を「スシ」と白抜きしたスタンプ様の部分及びその背景の円状の模様と一体となるものであり、原告商標3と全く異なる外観である。したがって、原告各商標と被告各表示の外観は類似しない。
イ称呼原告各商標の文字部分の称呼及び被告各表示の文字部分の称呼が「スシザンマイ」であることは認めるが、「スシ」という部分は一般名称であり、また、「ザンマイ」という部分も「〇〇三昧」など名詞と組み合わせて使用されることは一般的な用法であることから、「スシザンマイ」という称呼に特異性はなく、原告各商標と被告各表示の類似性を判断する上で重要な要素ではない。
ウ観念原告各商標及び被告各表示から「すしに熱中する」という観念を生ずることは認めるが、被告各表示には平仮名の「すしざんまい」という表示は一切なく、被告各表示から、原告が展開する原告すし店を想起することはなく、その名称としての「すしざんまい」の観念が生じることはない。したがって、原告各商標と被告各表示から生じる観念は類似しない。
エ小括以上のとおり、原告各商標と被告各表示の称呼が同一又は類似であったとしても、被告各表示から原告が展開する飲食店である「すしざんまい」の観念が生じるものとはいえず、また、原告各商標と被告各表示は、その外観において大きく異なるものであって、取引者及び需要者において類似のものと受け取るおそれはない。
ア原告各商標の指定役務は「すしを主とする飲食物の提供」であるところ、被告は、本件各ウェブページおいて被告各表示を「手頃な価格で幅広い客層が楽しめる回転寿司。厳選した食材と豊富なメニューで、人気を集めています。」との記載と共に使用するほか、本件各アカウントでは本件すし店の割引情報などのプロモーションと共に使用しており、「すしを主とする飲食物の提供」の広告として被告各表示を使用している。したがって、原告各商標の指定役務と被告各表示に係る役務は同一であるか又は類似している。
イ被告は、被告自身は「すしを主とする飲食物の提供」を行っておらず、スーパースシは日本国内において役務の提供を行っていないから、原告各商標の指定役務と被告各表示に係る役務は類似するとはいえないと主張する。しかしながら、被告は、日本語で作成された日本国内の取引者及び需要者に向けた本件各ウェブページにおいて被告各表示を使用しており、これによって原告各商標に係る日本国内における出所表示機能等を侵害している以上、被告各表示は被告の「すしを主とする飲食物の提供」に係る役務として使用されたものといえる。したがって、被告の主張は理由がない。
ア被告は、遅くとも平成26年12月頃から現在に至るまで、本件各ウェブページにおいて被告各表示を、本件各アカウント写真として被告表示2を、それぞれ掲載しており、本件各掲載行為は、商標法2条3項8号の定める「使用」に該当する行為といえる。
イ被告は、被告各表示はスーパースシがマレーシアにおいて展開する本件すし店に関するものにすぎず、被告自身は「すしを主とする飲食物の提供」を行っていないことなどから、商標法2条3項の定める「使用」に該当する行為も認められないと主張する。しかしながら、商標法2条3項各号における「使用」が、商標権の侵害主体自身の商品又は役務について登録商標と同一又は類似の標章を使用する場合に限られる旨の定めは存在しない。また、商標権者以外の者が提供する商品又は役務について登録商標と同一又は類似の標章が使用されている以上、それが商標権の侵害主体の商品又は役務であるか、その他の第三者の商品又は役務であるかを問わず、登録商標の出所表示機能等は害されることになる。したがって、被告の主張は理由がない。
ア本件各アカウントは、マレーシアにおいて本件すし店を展開するスーパースシが開設・運営しているアカウントであるから、被告において、本件各アカウント写真の掲載を行ったとはいえない。
イまた、被告は、日本においてもマレーシアにおいても、被告各表示を用いて「すしを主とする飲食物の提供」を行っておらず、スーパースシが日本国内で「すしを主とする飲食物の提供」を行っていないことからすれば、本件各掲載行為が商標法2条3項の定める「使用」に該当することはない。
2争点2(不競法2条1項1号該当性)について
ア原告各表示が高い周知性を有することや、日本の外食産業が積極的に海外進出を行っていることが広く知られていることなどを踏まえると、本件各掲載行為によって、すしの一般消費者である需要者をして、マレーシアにおいてスーパースシが展開する本件すし店の運営主体が原告であるとの混同を生ぜしめることは明白である。この点、上記需要者のブログにおいて、「SushiZanmaiを発見。へ~、マレーシアにも進出しているのかぁと、入ってみました。」との記載や、口コミサイト「tripadvisor」において、「クアラルンプールでは寿司三昧、パスタ三昧などの店名をよく見かけます。現地では日本のつきじ喜代村すしざんまいの支店だとすっかり思い込んで利用していました」との投稿が見られるところであり、本件すし店が原告の経営する店舗であるとの混同は実際に生じている。また、ウェブサイトの閲覧者がダイショーグループのウェブサイトであることを明確に認識している場合には、マレーシアにおける本件すし店の運営主体が原告そのものであるとは誤認しない可能性もあるかもしれないが、外食産業の海外展開が当該国や地域におけるエリアライセンスを与えられた第三者によって行われることも一般的であることから、本件においても、ダイショーグループが原告からマレーシアにおけるエリアライセンスを与えられて本件すし店を展開しているとの混同が生じるおそれは極めて高い。
イさらに、被告が日本において食材の仕入れ等を行うに際し、取引の相手方となる需要者においても、被告各表示と接することによって、原告と密接な関係があるなどといったイメージを抱き、被告との取引を開始する可能性がある。
ウ以上のとおり、本件各掲載行為は原告の営業と混同を生じさせる行為であるといえる。
ア本件各ウェブページにも本件各アカウントにも原告に関連する情報は一切表示されていない。むしろ、本件各ウェブページでは、被告各表示とともに、和食レストランである「Rakuzen」、定食屋である「のとや」、寿司を取り扱う店舗ではあるものの原告各表示と全く無関係の「SUSHIJIRO」及び「EDOSUSHI」、麺類・丼ものを扱っている「麺々丼々」、和風パスタの店舗である「パスタ三昧」、炭火焼肉を扱う「RENGA-YA」などといった、他の店舗の表示が並列的に掲載されている。また、原告すし店と本件すし店は外観等も全く異なる。そうすると、取引者及び需要者において、被告各表示だけを取り出して、本件すし店の営業主体が原告であるとか、スーパースシ又は被告が原告と密接な関連性を有すると誤信することは考えられない。マレーシアでは、現在、ダイショーマレーシアの関連会社において、「パスタ三昧PastaZanmai」という事業を展開しており、かつては、「中華三昧ChukaZanmai」及び「お膳三昧OzenZanmai」という事業を展開していたこともあり、「○○三昧」という名称はダイショーマレーシアの関連会社が展開する飲食店であると認識されている。このような点からも、マレーシアにおける本件すし店の営業主体が原告であると混同されることは考えられない。
イ事業者であれば、新規の取引を開始する際の調査によって、被告が原告と全く関係のない会社であることは容易に認識することができるから、被告の取引の相手方となる事業者において、被告が原告のグループ会社であると勘違いして取引を開始することなど、考えられないことである。
ウしたがって、本件各掲載行為について、原告の営業と混同を生じさせる行為であるとはいえない。
⑴ 不競法5条2項又は商標法38条2項よる損害額の算定被告は、本件各掲載行為によって、日本国内の取引者及び需要者や、マレーシア在住者を含む海外在住者のうち、過去に日本に在住し若しくは来日し又は日本食に関心を持ちインターネット上で多数取り上げられている原告すし店を見知った一般消費者に誤認混同を生じさせ、本件すし店の売上げが増大するという利益を得ている。
そして、被告が遅くとも平成26年12月頃から長期にわたって本件各掲載行為に及んだことや、年間10億円を超える被告の売上高の規模に鑑みれば、不競法5条2項又は商標法38条2項により算定される損害額は1000万円を下らない。
⑵ 不競法5条3項1号又は商標法38条3項による損害額の算定アすしのフランチャイズ契約においてフランチャイザーに支払われる料金の相場は売上げの3から10パーセント程度とされているところ、原告各商標は日本国内において周知かつ著名なものであり、その使用による事業上のメリットは極めて大きいことからすれば、一般的な相場の中でも高額なものであることは明らかであるから、原告各商標又は原告各表示に係る使用料率は10パーセントを下回ることはない。
イまた、登録商標の使用又は不正競争による侵害に係る商品等表示の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額を算定する基礎となる売上げについては、被告が、被告各表示を使用することによって、自己の取引上の信頼を高め、事業全般に及ぶメリットを享受していることからすれば、被告の全売上高を基礎とすべきである。
そして、被告の売上高は年間10億円を超えており、被告の主要な事業内容がダイショーグループを構成する会社向けの食材の販売であることなどを踏まえると、不競法5条3項1号又は商標法38条3項により算定される損害額は1000万円を下るものではない。
⑶ 弁護士費用に係る損害額前記⑴及び⑵のとおり、商標法38条2項及び不競法5条2項又は商標法38条3項及び不競法5条3項1号のいずれの条文によって損害額を算定したとしても、原告が被った損害は1000万円を下らないから、本件と相当因果関係のある弁護士費用に係る損害は100万円を下回ることはない。
⑷ 小括以上のとおり、原告には、不競法5条2項若しくは商標法38条2項又は不競法5条3項1号若しくは商標法38条3項により算定される損害の一部である1000万円並びに弁護士費用に係る損害100万円の合計1100万円の損害が生じている。
⑴ 不競法5条2項又は商標法38条2項による損害額の算定について商標法38条2項及び不競法5条2項は損害額について推定すると規定するにとどまり、損害を受けたことについては、原告において立証する必要があるところ、本件においてそれに係る立証は行われていない。加えて、仮に損害を受けたことについて立証がされているとしても、損害額について推定が生じるためには、相互補完関係(取引者及び需要者が侵害品を購入しなかった場合に被侵害者の商品を購入するであろうという関係)が必要であるところ、本件においては、原告はマレーシアに店舗を有していないから、取引者及び需要者が、スーパースシの運営する本件すし店を利用しなかった場合に、原告すし店を利用したであろうという関係も認められず、また、事業者において、被告と取引をしなかった場合に、原告と取引をしたであろうという関係も認められない。したがって、本件において、商標法38条2項及び不競法5条2項の適用は認められない。
⑵ 不競法5条3項1号又は商標法38条3項による損害額の算定についてア原告は、すしのフランチャイズの使用料率は売上の3から10パーセント程度であると主張するが、上記の使用料率は、加盟店としてすしを提供する店舗を運営することを前提とする使用料率であり、その対価としては、開業サポート、経営ノウハウの指導、食材の提供、データ分析なども含まれているところ、本件では被告自身がすしを提供する飲食店を運営しているわけではないのであるから、上記の使用料率は参考にならない。
そして、被告各表示は被告の売上げに全く寄与していないことからすれば、使用料率は0から0.2パーセント程度が適当と考えられる。
イまた、登録商標の使用又は不正競争による侵害に係る商品等表示の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額を算定する基礎となる売上げは、侵害品の売上高と解されているところ、少なくとも本件すし店以外の販売先に対する売上高は、被告各表示とは全く無関係であり、侵害品の売上高には到底該当しない。したがって、登録商標の使用又は不正競争による侵害に係る商品等表示の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額を算定する基礎となる売上げは、被告の本件すし店に対する売上げのみとすべきである。
⑶ 弁護士費用に係る損害額について争う。
第4 当裁判所の判断
⑴ 争点1-1(原告各商標と被告各表示の類否)についてア商標の類否の判断方法について商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品又は役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者及び需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかも、その商品の取引の実情を明らかにし得るかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁、最高裁平成6年(オ)第1102号同9年3月11日第三小法廷判決・民集51巻3号1055頁参照)。そして、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部が取引者及び需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合のほか、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合には、その構成部分の一部を抽出し、当該部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)
第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。
イ原告各商標について原告商標1について原告商標1は、筆書体様の「つきじ喜代村」、「すしざんまい」という文字と、ゴシック体様の「SUSHIZANMAI」の文字(いずれも横書きであるが、「すしざんまい」のうち「すし」の文字については、「し」が「す」の左下に位置し、縦書きのように書かれている。)を上から順に組み合わせたものであり、これらのうち、「すしざんまい」の文字は、他の文字よりも大きく、かつ、太く書かれている。
上記の「つきじ喜代村」、「すしざんまい」及び「SUSHIZANMAI」の各構成部分は、それぞれ、書体や文字の大きさが異なる上、上段、中断及び下段の三段に分かれていることから、外観上、それぞれ独立したものとして明確に区別することができ、それらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないというべきである。そして、「すしざんまい」の文字部分については、他の文字部分よりも大きく、かつ、太く、原告商標1の中央部分に書かれていること、「すし」の部分の配置が通常の記載方向とは異なるものとなっていることからすると、「すしざんまい」の文字部分が、取引者及び需要者に対し商品、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合にも該当するというべきである。したがって、「すしざんまい」を要部として抽出し、それと被告各表示との類否を判断することができるというべきである。原告商標2及び3について原告商標2は「すしざんまい」の標準文字から、原告商標3は「SUSHIZANMAI」の標準文字から、それぞれ成るものである。
ウ被告各表示について被告表示1について被告表示1は、「SushiZanmai」という文字から成るものであり、そのフォント及び色の種類は特定されていない。被告表示2について被告表示2は筆書体様の「寿司三昧」という縦書きの文字と、筆書体様の「SushiZanmai」という横書きの文字を「T」を横向きにしたような形で組み合わせた部分、赤色の下地部分を「スシ」という文字で白抜きしたスタンプ様の部分及びその背景の円状の模様が一体となっているものである。上記の各構成部分については、色、書体、文字の種類(漢字、アルファベット又は片仮名)又は縦書きか横書きかが異なっていることから、外観上、それぞれ独立したものとして明確に区別することができ、それらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められないというべきである。そして、赤色の下地部分を「スシ」という文字で白抜きしたスタンプ様の部分は一般的な料理の名称を記載したものにすぎず、背景の円状の模様は特段の称呼や観念を生じさせるものではないことからすれば、被告表示2において、「寿司三昧」、「SushiZanmai」という文字部分以外の構成部分は、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合にも該当するというべきである。したがって、「寿司三昧」及び「SushiZanmai」を要部として抽出し、それらと原告各商標との類否を判断することができるというべきである。
エ原告商標1と被告各表示の対比原告商標1と被告表示1の類否について前記イのとおり、原告商標1と被告表示1の類否の判断に当たっては、原告商標1の「すしざんまい」を要部として抽出することができる。そうすると、原告商標1の要部は筆書体様の平仮名の「すしざんまい」という外観を有するのに対し、被告表示1はアルファベットの「SushiZanmai」という外観を有する点で、両者は異なるといえる。しかしながら、両者は、いずれも「スシザンマイ」という称呼及び「すしに熱中する」という観念を生じさせるものであり、その称呼及び観念は同一といえる。また、上記の外観上の相違点は、平仮名とアルファベットという表記上の違いにすぎない。以上の外観、観念、称呼等によって取引者及び需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、原告商標1の要部と被告表示1は、同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあると認められるから、類似するというべきである。原告商標1と被告表示2の類否について前記イ及びウのとおり、原告商標1と被告表示2の類否の判断に当たっては、原告商標1の「すしざんまい」を、被告表示2の「寿司三昧」及び「SushiZanmai」を、それぞれ要部として抽出することができる。そうすると、原告商標1は筆書体様の平仮名の「すしざんまい」という外観を有するのに対し、被告表示2は筆書体様の漢字の「寿司三昧」及びアルファベットの「SushiZanmai」という外観を有する点で、両者は異なるといえる。しかしながら、両者の称呼及び観念が同一である点は、被告表示1について説示したところと同様である。また、上記の外観上の相違点は、平仮名とアルファベット又は漢字の表記上の違いにすぎない。以上の外観、観念、称呼等によって取引者及び需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、原告商標1の要部と被告表示2の要部は、同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあると認められるから、類似するというべきである。
オ原告商標2と被告各表示の対比原告商標2は標準文字で記載された平仮名の「すしざんまい」という標準文字から構成されるものであるが、これと被告各表示が類似することは、前記エで説示したところと同様である。
カ原告商標3と被告各表示の対比原告商標3と被告表示1の類否について原告商標3は標準文字で記載されたアルファベットの「SUSHIZANMAI」という外観を有するのに対し、被告表示1はアルファベットの「SushiZanmai」という外観を有しており、両者は「S」と「Z」以外の文字が大文字であるか、小文字であるかという点で異なるといえる。しかしながら、両者の称呼及び観念が同一であることは、前記エで説示したところと同様である。また、上記の外観上の相違点については、両者がいずれも同じアルファベットから構成されており、頭文字以外のアルファベットを小文字にすることは通常行われていることからすれば、その相違点は、表記上のわずかな違いにすぎないといえる。以上の外観、観念、称呼等によって取引者及び需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、原告商標3と被告表示1は、同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあると認められるから、類似するものというべきである。被告表示2について前記ウのとおり、原告商標3と被告表示2の類否の判断に当たっては、被告表示2の「寿司三昧」及び「SushiZanmai」を要部として抽出することができる。そうすると、原告商標3は標準文字で記載されたアルファベットの「SUSHIZANMAI」という外観を有するのに対し、被告表示2は筆書体様の漢字の「寿司三昧」及びアルファベットの「SushiZanmai」という外観を有する点で、両者は異なるといえる。しかしながら、両者の称呼及び観念が同一である点は、被告表示1について説示したところと同様である。また、上記の外観上の相違点についてみると、「SUSHIZANMAI」と「寿司三昧」とは、アルファベットと漢字の表記上の違いにすぎない上、「SUSHIZANMAI」と「SushiZanmai」とは、いずれも同じ文字で構成されており、違いは大文字か小文字かという点のみである。以上の外観、観念、称呼等によって取引者及び需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、原告商標3と被告表示2は、同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあると認められるから、類似するものというべきである。
キ以上のとおり、原告各商標と被告各表示は類似するものと認められ、これに反する被告の主張は採用できない。
⑵ 争点1-2(原告各商標の指定役務と被告各表示に係る役務の類否)及び争点1-3(被告が被告各表示を「使用」(商標法2条3項)したといえるか)についてア本件各掲載行為のうち本件各ウェブページに被告各表示を掲載した行為について前提事実⑴イ及びウ、⑷ア、証拠(甲4、23ないし25)並びに弁論の全趣旨によれば、原告各商標の指定役務は「すしを主とする飲食物の提供」であること、被告は、魚介類及び水産加工品の輸出入等の事業を行う株式会社であり、日本での食材の仕入れ及び東南アジアのダイショーグループ各社への輸出を行っていること、ダイショーグループは、シンガポール・マレーシア・インドネシアなどで「寿司」、「和食レストラン」などの店舗を展開していること、本件各ウェブページは、日本語によって記載された主に日本国内の取引者及び需要者に向けたウェブページであり、被告が管理していること、本件各ウェブページには、スーパースシが展開する本件すし店に関するものとして被告各表示が掲載されており、被告各表示とともに「手頃な価格で幅広い客層が楽しめる回転寿司。厳選した食材と豊富なメニューで、人気を集めています。」との説明が掲載されていることが認められる。このような事情からすれば、本件各ウェブページにおける被告各表示は、すしを主とする飲食物の提供を行う本件すし店を紹介するために掲載されたものであり、「すしを主とする飲食物の提供」と類似の役務に係るものといえるから、原告各商標の指定役務と被告各表示に係る役務とは類似するものといえる。そして、被告が本件各ウェブページに被告各表示を掲載した行為は、「役務に関する広告…を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法2条3項8号)に該当するといえ、被告は原告各商標を「使用」したものと認められる。被告の主張について被告は、被告各表示はスーパースシがマレーシアにおいて展開する本件すし店に関するものにすぎず、被告自身は「すしを主とする飲食物の提供」を行っていないことなどから、被告各表示に係る役務は、原告各商標の指定役務である「すしを主とする飲食物の提供」とは類似しておらず、また、被告が原告各商標を「使用」したとはいえないと主張する。
そこで検討すると、商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」と定めており、この目的を達成するため、商標は、標章をある者の商品又は役務に付することにより、その商品又は役務の出所を表示する機能(出所表示機能)や、取引者及び需要者が同一の商標の付された商品又は役務には同一の品質を期待しており、商標がその期待に応える作用をする機能(品質保証機能)を有するものと解される。本件においては、前記で説示したとおり、本件各ウェブページは主に日本国内の取引者及び需要者に向けたウェブページであり、かつ、被告各表示は「すしを主とする飲食物の提供」という役務に係るものといえるから、被告各表示がマレーシアの本件すし店に係るものであったとしても、本件各ウェブページに被告各表示を掲載した行為は、日本における原告各商標の出所表示機能及び品質保証機能を害し、ひいては、上記の商標法の目的にも反するものであるといえる。
そして、被告各表示が被告自身の事業に関するものではなかったとしても、本件各ウェブページに被告各表示を掲載した行為は被告が行ったものと認められ、上記のとおり、そのような被告の行為によって日本における原告各商標の出所表示機能及び品質保持機能が害されている以上、被告が原告各商標を「使用」していないと評価することはできない。
そうだとすれば、被告の上記主張はいずれも役務の類否や使用行為の有無を左右するものではないというべきである。
イ本件各掲載行為のうち本件各アカウント写真として被告表示2を掲載した行為について前提事実⑴ウ、証拠(甲20、21)及び弁論の全趣旨によれば、スーパースシは、マレーシアにおいて本件すし店を展開していること、本件各アカウントは、本件すし店に係るアカウントであることが認められるが、本件全証拠によっても、被告が本件各アカウントを管理していると認めることはできない。
したがって、本件各アカウント写真の掲載行為については、被告が行ったものと認めることができないから、被告が原告各商標を「使用」したとはいえない。
なお、本件では、不競法違反に関して被告が原告各表示と類似の商品等表示を「使用」(不競法2条1項1号)したといえるか(争点2-3)も問題となっているが、上記で説示したとおり、本件各アカウント写真の掲載行為は被告が行ったとは認められないから、被告が原告各表示と類似の商品等表示を「使用」したともいえない。
⑶ 争点1-4(故意又は過失の有無)前記⑴及び⑵で説示したとおり、原告各商標と被告各表示は類似しており、かつ、被告が本件各ウェブページに被告各表示を掲載した行為は、原告各商標の指定役務と類似する役務において、原告各商標を「使用」したものと評価できる。そうだとすれば、被告には、上記の掲載行為によって原告各商標権を侵害したことにつき、少なくとも過失があったものと推定され(商標法39条、特許法103条)、スーパースシがマレーシアにおいて適法に商標権を取得して適法に事業活動を行っているといった被告の主張する事情は、同推定を覆すに足りないというべきである。
⑷ 小括以上のとおり、本件各ウェブページに被告各表示を掲載した行為は、原告各商標権を侵害する行為であると認められる一方で、本件各アカウント写真の掲載行為は、被告が行ったものとはいえないから、これに関する原告の請求は理由がない。
2争点4(損害の発生及び額)について
⑴ 商標法38条2項による損害額の算定について商標法38条2項は、商標権者等が侵害行為による損害の額を立証することが困難であることから、その立証を容易にするために設けられたものであると解される。そうすると、同項の適用が認められるためには、侵害者による侵害行為がなかったならば商標権者等が利益を得られたであろうという事情が存在する必要があるものと解される。
証拠(乙1)及び弁論の全趣旨によれば、原告はマレーシアにおいてすし店を展開していないことが認められるところ、本件全証拠によっても、日本国内における原告すし店とマレーシアにおける本件すし店の市場が競合すると認めることはできないから、被告による侵害行為(本件各ウェブページに被告各表示を掲載した行為)がなかったならば原告(原告すし店)が利益を得られたであろうという事情が存在すると認めることはできない。したがって、本件では、商標法38条2項を適用することはできない。
⑵ 商標法38条3項よる損害額の算定についてア前提事実⑸のとおり、平成26年から令和5年までの被告の本件すし店に対する売上げは合計1億4475万8151円である。そして、証拠(甲44、乙3)及び弁論の全趣旨によれば、株式会社帝国データバンク作成の「知的財産の価値評価を踏まえた特許等の活用の在り方に関する調査研究報告書~知的財産(資産)価値及びロイヤルティ料率に関する実態把握~」には、商標権における使用料率(ロイヤルティ料率)全体の平均値は2.6パーセント、第43類「飲食物の提供及び宿泊施設の提供」に関する平均値は3.8パーセントであると記載されていることが認められる。
この点について、前提事実⑴のとおり、被告は、スーパースシを含めたダイショーグループ各社に対して、日本で仕入れた食材の輸出を行っているところ、被告が本件各ウェブページに被告各表示を掲載することによって本件すし店(スーパースシ)の売上げが増加した場合、それに伴って被告の本件すし店に対する売上げ(輸出)も増加する関係にあるものと認められる。他方で、前記⑴で説示したとおり、日本国内における原告すし店とマレーシアにおける本件すし店の市場が競合すると認めることはできないことに照らすと、本件各ウェブページへの被告各表示の掲載が被告の売上げに与えた影響は限定的なものであったことがうかがわれる。このような事情に加え、本件各ウェブページにおける被告各表示は遅くとも平成26年12月頃から相当長期にわたって掲載されていたと認められること(前提事実⑷及び弁論の全趣旨)及び商標権侵害があった場合に事後的に定められるべき登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額は通常の使用料と比べて高額となることを考慮すると、被告による原告各商標の使用に対し原告が受けるべき金銭の額に相当する額を算定するための使用料率については、3.8パーセントと認めるのが相当である。そうすると、上記の金銭の額は、被告の本件すし店に対する売上げである1億4475万8151円に使用料率3.8パーセントを乗じた550万0809円であると認められる。
イこれに対し、原告は、前記アの金銭の額を算定するに当たっては、被告が被告各表示を被告各ウェブサイトに掲載することにより自己の取引上の信頼を高めて事業全般に及ぶメリットを享受していることから、被告の全売上高をその基礎とすべきであると主張する。
しかしながら、上記の金銭の額を算定する際に基礎とすべきは、侵害行為に関する売上高であると解されるところ、別紙被告ウェブページ目録記載のとおり、本件各ウェブページに掲載された被告各表示は本件すし店に関するものであり(甲4及び弁論の全趣旨)、それを超えて被告の事業全体に関するものであると認めるに足りる証拠はないから、原告の上記主張は採用できない。
⑶ 弁護士費用について事案の難易、前記⑵で認定した損害額及びその他本件で現れた諸般の事情に照らすと、本件において相当因果関係を有する弁護士費用は50万円とするのが相当である。
⑷ 小括したがって、被告が原告各商標権を侵害したことによって原告が被った損害の額は600万0809円となる。そして、原告の主張及び立証を前提とすれば、仮に被告の不正競争防止法違反による原告の損害発生が認められたとしても、その額は同額を上回るものではないというべきである。
3結論以上によれば、本件各アカウント写真に係る使用の差止め及び削除の請求については、前記1⑵イで説示したとおり、上記写真の掲載行為を被告自身が行ったとは認めることができないから、原告の請求は理由がない。他方、被告各ウェブページに掲載された被告各表示に係る使用の差止め及び削除の請求については、被告が平成26年12月頃から相当長期にわたって本件各ウェブページに被告各表示を掲載していたこと、前提事実⑷アのとおり、本件各ウェブページ上の被告表示1は、ゴシック体様のフォントであり、その色は赤であるが、同表示において、フォントや色彩の果たす役割は小さいことに照らすと、原告の主張する被告各表示に係る差止め及び削除の必要性が認められる。そうすると、原告の差止め及び削除請求は、被告各ウェブページに掲載された被告各表示に係る使用の差止め及び削除を求める限度で理由がある。また、原告の損害賠償請求については、600万0809円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和3年6月29日から支払済みまで民法所定年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。よって、原告の請求は上記記載の限度で理由があるからこれを認容し、その余はいずれも理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官國分隆文
裁判官間明宏充
裁判官木村洋一別紙被告ウェブページ目録1http:以下省略なお、当該ウェブページ内の被告による表示の使用箇所を赤枠で示す。
2http:以下省略なお、当該ウェブページ内の被告による表示の使用箇所を赤枠で示す。以上(別紙被告アカウント目録省略)別紙被告表示目録1SushiZanmai2以上別紙原告商標目録1登録番号 第5003675号登録日 平成18年11月17日商標商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務第30類すし第43類すしを主とする飲食物の提供2登録番号 第5511447号登録日 平成24年8月3日登録商標(標準文字)すしざんまい商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務第30類すし、すしを主とするべんとう第43類すしを主とする飲食物の提供3登録番号 第5758937号登録日 平成27年4月17日登録商標(標準文字)SUSHIZANMAI商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務第30類すし、べんとう、丼物第43類すし・丼物を主とする飲食物の提供以上別紙原告表示目録1別紙原告商標目録1記載の「すしざんまい」「SUSHIZANMAI」「つきじ喜代村」から構成される下記のロゴ2「すしざんまい」との表示3「SUSHIZANMAI」との表示以上
出典: 令和3年(ワ)第11358号 裁判所ウェブサイト掲載の判決文 →