📜 判決文全文
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主文
2被告らは,承継参加人に対し,連帯して162万3619円及びこれに対す--る被告株式会社大東貿易については平成17年8月9日から,被告有限会社ハマ・コーポレーションについては平成17年8月7日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。3承継参加人のその余の請求を棄却する。4訴訟費用はこれを60分しその10を被告株式会社大東貿易の負担とし,,,その1を同被告と被告有限会社ハマ・コーポレーションの連帯負担とし,その余を承継参加人の負担とする。5この判決は第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。
第1 請求
第2 事案の概要
(2)脱退原告が有していた特許権脱退原告は,次の本件各特許権を有していた(以下,各別にはアから順に「本件特許権1」,「本件特許権2」という。また,本件各特許権の各請求項1にかかる特許発明を総称して「本件各特許発明,各別にはアから順に」「本件特許発明1」,「本件特許発明2」という。)。ア本件特許権1(甲1,2)a)登録番号特許第1875901号b)発明の名称レンズ付きフイルムユニット及びその製造方法c)出願日昭和62年8月14日--d)出願公告日平成2年7月23日e)登録日平成6年10月7日f)存続期間満了日平成19年8月14日g)請求項1の記載本件特許発明1の願書に添付した明細書(以下「本件明細書1」という。本判決末尾添付の特許公報1参照)の特許請求の範囲の請求項1。の記載は次のとおりである(甲2。)「予め未露光フイルムを内蔵し,このフイルムに対してシャッタ手段を操作することにより露光付与機構を通して露光を付与するようにし,,撮影後にフイルムを取り出したのちは再使用できないようにされたレンズ付きフイルムユニットにおいて,前記ユニット内のフイルム露光枠の一方側に未露光フイルムロールが配置され,フイルム露光枠の反対側に回転可能な巻芯を内部に有するパトローネが配置されており,未露光フイルムの一端と巻芯が予め固定されていること,前記パトローネ内に回転可能に支承された巻芯には,ユニットのフイルム巻取り操作手段を連結させ,前記シャッタ手段が操作された後に,前記未露光フイルムをパトローネ内に巻き込み可能としていること,前記未露光フイルムロールは,該ユニットの製造工程で前記パトローネ内に収納された状態から引き出されて形成されており,該フイルムロールの中心部が中空状態で,未露光フイルムロール収納部に装填されていることを特徴とするレンズ付きフイルムユニット」。h)構成要件本件特許発明1を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,分説した各構成要件をその符号に従い「構成要件A」のように表記する。)。構成要件A:A1予め未露光フイルムを内蔵し,--A2このフイルムに対してシャッタ手段を操作することにより,A3露光付与機構を通して露光を付与するようにし,A4撮影後にフイルムを取り出したのちは再使用できないようにされたA5レンズ付きフイルムユニットにおいて,構成要件B:B1前記ユニット内のフイルム露光枠の一方側に未露光フイルムロールが配置され,B2フイルム露光枠の反対側に回転可能な巻芯を内部に有するパトローネが配置されており,B3未露光フイルムの一端と巻芯が予め固定されていること,構成要件C:C1前記パトローネ内に回転可能に支承された巻芯には,ユニットのフイルム巻取り操作手段を連結させ,C2前記シャッタ手段が操作された後に,前記未露光フイルムをパトローネ内に巻き込み可能としていること,構成要件D:D1前記未露光フイルムロールは,該ユニットの製造工程で前記パトローネ内に収納された状態から引き出されて形成されており,D2該フイルムロールの中心部が中空状態で,D3未露光フイルムロール収納部に装填されていること構成要件E:を特徴とするレンズ付きフイルムユニット。イ本件特許権2(甲3,4)a)登録番号特許第3193229号b)発明の名称レンズ付きフイルムユニット及びその製造方法--c)出願日平成4年8月31日d)登録日平成13年5月25日e)請求項1の記載本件特許発明2の願書に添付した明細書(以下「本件明細書2」という。本判決末尾添付の特許公報2参照)の特許請求の範囲の請求項1。の記載は次のとおりである(甲4。)「製造時に予め写真フイルムとパトローネとがユニット本体に形成されたフイルムロール室とパトローネ室にそれぞれ収納され,撮影後にユニット本体に組み込まれた巻上げノブの回動操作により前記パトローネ内のスプールを回転させ,撮影済みの写真フイルムをパトローネに巻き込むようにしたレンズ付きフイルムユニットにおいて,前記巻上げノブは,その下面に突出させた駆動軸が前記パトローネ室内に突出するとともに,この駆動軸の外周には軸方向に延びた外歯が180度以下の一定ピッチで形成され,前記パトローネのスプールは,ISO規格に準拠した外形寸法を有し,その上端側には前記駆動軸が嵌入する軸孔が形成され,この軸孔内の下部には軸孔の中心軸に関して180度の回転対称となるように突出し,前記駆動軸の外歯に係合しない係合片が設けられており,かつ前記軸孔を形成するスプールの内壁の前記係合片よりも上部には,駆動軸の前記外歯が噛み合う複数の内歯からなるキー溝が180度以下の一定ピッチで形成され,前記巻上げノブの回動操作が,前記外歯と内歯との噛合により前記スプールに伝達されるようにしたことを特徴とするレンズ付きフイルムユニット」。f)構成要件本件特許発明2を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,分説した各構成要件をその符号に従い「構成要件A」のように表記する。)。--構成要件A:A1製造時に予め写真フイルムとパトローネとがユニット本体に形成されたフイルムロール室とパトローネ室にそれぞれ収納され,A2撮影後にユニット本体に組み込まれた巻上げノブの回動操作により前記パトローネ内のスプールを回転させ,A3撮影済みの写真フイルムをパトローネに巻き込むようにしたA4レンズ付きフイルムユニットにおいて,構成要件B:B1前記巻上げノブは,その下面に突出させた駆動軸が前記パトローネ室内に突出するとともに,B2この駆動軸の外周には軸方向に延びた外歯が180度以下の一定ピッチで形成され,構成要件C:C1前記パトローネのスプールは,ISO規格に準拠した外形寸法を有し,C2その上端側には前記駆動軸が嵌入する軸孔が形成され,C3この軸孔内の下部には軸孔の中心軸に関して180度の回転対称となるように突出し,前記駆動軸の外歯に係合しない係合片が設けられており,C4かつ前記軸孔を形成するスプールの内壁の前記係合片よりも上部には,駆動軸の前記外歯が噛み合う複数の内歯からなるキー溝が180度以下の一定ピッチで形成され,構成要件D:前記巻上げノブの回動操作が,前記外歯と内歯との噛合により前記スプールに伝達されるようにしたこと--構成要件E:を特徴とするレンズ付きフイルムユニット。
(3) 被告ら製品a)被告大東貿易は,遅くとも平成12年3月1日から平成17年2月28日までの間,別紙物件目録の別紙1又は別紙2の外観を有し,別紙3,FESTIVALないし6に示す構成を有する,被告ら製品(製品名は「」及び「トロウ君」である)を輸入して,被告ハマ・コーポレーション。等に販売し,被告ハマ・コーポレーションは,被告大東貿易から仕入れた被告ら製品を販売した。被告ら製品は,脱退原告の製造・販売する,本件特許発明1ないし本件特許発明2の実施品であるレンズ付きフイルムユニット(以下「原告製品」という)の使用済みのフイルムユニットを利用した「詰替品」。である。b)被告ら製品は,以下の工程で,撮影済みのレンズ付きフイルムユニットから撮影済みのフイルムを収容したパトローネを取り出した後のレンズ付きフイルムユニットに,新たな未露光フイルムロールを装填して製造されていたものである(甲7,乙14。なお,以下の文中の括弧内のアラビア数字は,別紙物件目録の別紙3ないし6記載の図のアラビア数字に対応し,写真番号は,乙14の写真番号に対応する。)。(先行作業)①市販フイルムのスプール(巻軸)にキー溝を形成する(写真1。)すなわち巻き上げノブ10の駆動軸に形成された複数の係合軸外()(歯)(15)に係合させるために,市販のパトローネ(9)の巻軸(8)にある軸孔(19)の内壁の係合片(20)よりも上部に,上記係合歯(15)に噛合する複数の内歯からなるキー溝(21)を形成する。キー溝の形成は,専用冶具を使って,樹脂を溶かしながら行う。
②紙製カバーを外し,樹脂製のユニット本体を取り出す(写真2。)--FUJIFILM③ユニット本体のレンズ側面等にある,「」のロゴマークを,冶具を用いて熱で樹脂を溶かすことによって消す(写真3)。さらに,FUJIFILMフラッシュ発光部に傷を付け,同部にある「」のロゴマークが見えないようにする。(ケース分離作業)④ドライバー等の工具を用いて,フイルムが入っている部分(パトローネ室)の蓋の爪係合部を外して蓋を開け,背面部分(裏蓋ないし裏カバー)の爪係合部を外しながら裏蓋を浮かせる(写真4,5。)⑤④によってできた裏蓋と本体部との間の隙間にドライバー等の工具を差し込んで,裏蓋の両サイドの溶着部を壊す(写真6。なお,こ)の作業は,工具や破片等により怪我をするおそれや,内部の高電圧部により感電するおそれがあるため,軍手を着用して作業を行う。
⑥裏蓋を引き剥がすようにして,残った溶着部(下側部及びフイルムロール室蓋部)を壊し,裏蓋を外す(写真7。)(清掃作業)⑦流通過程での埃や汚れを洗浄する。
⑧傷ついたレンズなどを交換する。
⑨フイルムカウンター(撮影枚数表示板)部材を回して,フイルムカウンターをセット(初期位置(27」の手前)に再設定)する(写「真8,9。)⑩裏蓋の分離時にフック(爪結合部の爪)が落ちそうになった部分とフイルムを入れる下の部分(フイルムロール室下部)に遮光性粘着性テープを貼り付ける(写真10,11。)(検品工程)⑪フラッシュ発光テスター(発光を検知する検査装置)を用いて,フラッシュの発光テストを行う。フラッシュに,変色,変形,傷,やけ,--異物混入などの不良が見られるものは不良箇所の修理交換を行い,,,修理,交換が行えないものは電子部品を他社から入手して使用し,正常に動作するようにする。
⑫残量不足の電池は検査の上十分な残量を有するものと交換する,,。(暗室作業)以下の暗室作業は,部屋全体を遮光し,赤外線モニターによって作業するものである。
⑬モーターと連結したフイルム巻取用の巻軸に,
①で加工したパトローネから露出しているフイルムの先端を把持した後,上記巻軸を回転させて,パトローネ内の未露光フイルムをすべて巻き出して,フイルムロールを作る(写真12。)⑭巻き上げノブにスプールを挿入し,パトローネ室にパトローネを収納し,フイルムに形成されているパーフォレーションとスプロケットをかみ合わせ,フイルムロールをフイルムロール室に装じんする(写真13。)⑮裏蓋をユニット本体部に被せ,裏蓋とユニット本体部の爪係合部を係合させ,2か所の底蓋部(フイルムロール室とパトローネ室)を閉じる(写真14。)⑯⑩で予め貼り付けておいた遮光性粘着テープを用いて裏蓋をユニット本体部に固定する(写真14。)(検品工程)⑰レンズカバー部分に,新たに作成した樹脂製カバーを被せる。
⑱新しい紙製のカバーをユニット本体の外側に被せる。
⑲店頭に陳列販売するため,新規作成した防湿袋に入れ,包装する。
(4)本件各特許発明と被告ら製品との対比(文中の括弧内のアラビア数字は,被告ら製品を示す別紙物件目録の別紙--3ないし6記載の図のアラビア数字に対応する)。ア本件特許発明1との対比a) 被告ら製品は,未露光フイルム(2)を内蔵し(構成要件A1,この)フイルムに対して,シャッターボタン(3)及び係止めレバー(4)等のシャッタ手段を操作することにより(構成要件A2,露光付与機構)(5)を通して露光が付与される(構成要件A3,レンズ付きフイル)ムユニット(1)である(構成要件A5。)よって,被告ら製品は,構成要件A1ないし3,A5を充足する。b) 被告ら製品においては,ユニット内のフイルム露光枠を背後から見て左側に未露光フイルム収納室(6)が配置され(構成要件B1,フイ)ルム露光枠を背後から見て右側のパトローネ収納室(7)に,回転可能な巻芯(8)を内部に有するパトローネ(9)が配置されており(構成要件B2,未露光フイルム(2)の一端と巻芯(8)が予め固定され)ている(構成要件B3。)よって,被告ら製品は,構成要件Bを充足する。c)被告ら製品においては,前記パトローネ(9)内に回転可能に支承された巻芯(8)には,レンズ付きフイルムユニット(1)のフイルム巻上げノブ(10)が連結されている。フイルム巻上げノブ(10)は,フイルム巻取り操作手段であるから,被告ら製品は,構成要件C1を充足する。また,シャッタ手段が操作された後に,巻き上げノブ(10)が回動可能となり,これを回動操作することによって,未露光フイルム(2)がパトローネ(9)内に巻き込まれていくから,被告ら製品は,構成要件C2を充足する。よって,被告ら製品は,構成要件Cを充足する。d)被告ら製品は,本来予めパトローネ(9)内に収納されている未露光--フイルムロール(2)を未露光フイルム収納室(6)に引き出すための構造を有していない。また,被告ら製品の使用前の状態において,未露光フイルムロールは未露光フイルム収納室6内に引き出されている()。したがって,未露光フイルムロール(2)が,被告ら製品の製造工程で,前記パトローネ(9)内に収納された状態からフイルムを引き出して形成されている(構成要件D1。)また,未露光フイルムロール(2)の中心部は中空状態で(構成要件D2),未露光フイルム収納室(6)に充填されている(構成要件D3)。よって,被告ら製品は,構成要件Dを充足する。e)被告ら製品は,上記の構成(A1ないし3,5,B,C,D)を備えたレンズ付きフイルムユニット(1)である。イ本件特許発明2との対比a)被告ら製品は,製造時に暗室の中で未露光フイルム(2)をパトローネ(9)から引き出してロール状フイルム(2)とし,パトローネ(9)及び当該ロール状フイルム(2)を,レンズ付きフイルムユニット(1)のパトローネ収納室(7)すなわちパトローネ室,及び未露光フイルム収納室(6)すなわちフイルムロール室にそれぞれ収納しており(構成要件A1,撮影後にユニット本体に組み込まれた巻き上げノブの回動)操作により前記パトローネ内のスプールを回転させ(構成要件A2,)撮影済みの写真フイルムをパトローネに巻き込むようにした(構成要件A3)レンズ付きフイルムユニット(構成要件A4)である。よって,被告ら製品は,構成要件Aを充足する。b)被告ら製品は,巻上げノブ(10)の下面に駆動軸(18)がパトローネ室(7)内に突出しており(構成要件B1,駆動軸(18)の外)周には,軸方向に延びた複数の係合歯(外歯)(15)が,歯数30個,約12度すなわち180度以下の一定ピッチで形成されている構(,)(--成要件B2)よって,被告ら製品は,構成要件Bを充足する。c)被告ら製品は,ISO規格に準拠して製造された市販のフイルムを使用していることから当然に,パトローネのスプールがISO規格に準拠した外形寸法を有しており(構成要件C1),その上端側には駆動軸(18)が嵌入する軸孔(19)が形成され(構成要件C2),軸孔(19)内の下部には,軸孔の中心軸に関して180度の回転対称となるように突出し,駆動軸(18)の外歯(15)に係合しない係合片(20)が設けられており(構成要件C3,係合片(20)よりも上部には,駆)動軸(18)の外歯(15)が噛み合う複数の内歯からなるキー溝(21)が,歯数30個,約12度(すなわち,180度以下)の一定ピッチで形成されている(構成要件C4,)よって,被告ら製品は,構成要件Cを充足する。d)被告ら製品においては,巻き上げノブ(10)の回動操作が,外歯(15)とキー溝(内歯(21)との噛合によりスプールに伝達されるよ)うになっている。よって,被告ら製品は,構成要件Dを充足する。e)被告ら製品は上記の構成を備えたレンズ付きフイルムユニット1,()であるから,構成要件Eを充足する。f)以上によれば被告ら製品は本件特許発明2の技術的範囲に属する,,。
2争点
(1)被告ら製品は本件特許発明1の構成要件A4(ひいてはE)を充足するか(争点1)。
(2)脱退原告ないし承継参加人の本件各特許権侵害を理由とする損害賠償請求の許否(争点2)ア被告ら製品について本件各特許権は消尽したか。--イ被告ら製品の輸入・販売について,脱退原告による黙示の許諾があったか。ウ脱退原告の本件各特許権侵害を理由とする損害賠償請求は権利濫用に該当するか。エ被告らが本件特許権1の非侵害の主張をすることは訴訟上の信義則によって制限されるか。
(3)損害額(争点3)ア特許法102条2項に基づく損害額イ特許法102条3項に基づく損害額(予備的)
第3 争点に関する当事者の主張
(被告ら準備書面(7)添付別表)の同社における過去5期分の全体の売上FESTIVAL原価のうちの,トロウ君の売上原価率とその他の売上原価率を算出したものをみると,全体の売上原価率は20.35%となるが,そのうちFESTIVAL,トロウ君の売上原価率だけを取り上げてみると,12.45%となり,被告大東貿易において,全体の粗利益は,レンズ付きフイルムユニットではなくそれ以外のカラケースや飲食店において高く,それによって全体の粗利益率が20%となっていることがわかり,計算鑑定書に現れた粗利益率がほぼ妥当であることが裏付けられる。また,承継参加人は,被告らがサンプル提出を拒んだことを論難するが,被告らがこれを拒んだのは,その必要性がないからであって,事実を隠蔽するような意図は全くない。(3)控除されるべき変動経費について--承継参加人は,販売経費の大部分は粗利益から控除されるべき変動経費に該当しないと主張するが,販売員経費については,計算鑑定書において正しく判断されたとおり,販売経費割合についての実績値平均をもって損害額を計算することが妥当であり,その他の販売費も,商品の性質からして変動経費であることは明らかである。
第4 当裁判所の判断
(2)被告ら製品は,前カバー(11)及び裏蓋(13)と本体部(12)とは,一部爪(フック)で係合された後,遮光性粘着テープで固着されるなどの構成を採っており,撮影後に上記テープを剥がすだけでフイルムを詰め替えて再使用できるわけではなく,裏蓋などを本体から外すために,無理に力を加えて爪係合部をはずそうとすると,爪等がさらに破損することがある上,裏蓋などをはずした後に,フイルムロールを形成し,パトローネをパトローネ室に,フイルムロールをフイルムロール室にそれぞれ装填した上,裏蓋とユニット本体部の爪係合部を係合させ,遮光性粘着テープを用いて裏蓋をユニット本体部に固定するなどの作業を経なければ詰め替えができないものであり,しかも,上記の作業のうち,フイルムロールの形成から裏蓋のユニット本体部への固定に至る作業は,暗室で行わなければならないものである(前b記第2の1(3) )④ないし⑥,
⑩ないし⑯参照。)そうすると,被告ら製品は,一般消費者がフイルムを露光させることなく詰め替えることが困難な構造であり,撮影後にフィルムを取り出した後は再利用できないものというべきである。したがって,被告ら製品は,構成要件A4「撮影後にフィルムを取り出したのちは再使用できないようにされた」を充足するものである。
(3)被告ら製品が,本件特許発明1のその余の構成要件(構成要件A1ないし3,5,B1ないし3,C1及び2,D1ないし3)を充足することは,第2の1(4)ア記載のとおり当事者間に争いがないから,被告ら製品は,構成要件Eをも充足する。よって被告ら製品は本件特許発明1の技術的範囲に属するものである,,。2脱退原告ないし承継参加人の本件各特許権侵害を理由とする損害賠償請求の許否(争点2)について(1)被告ら製品について本件各特許権は消尽したか(争点2ア)について--ア本件各特許発明(物の発明)に係る特許権の消尽本件については,事案の内容に鑑み,インクカートリッジ大合議判決の第2類型(特許製品につき第三者により特許製品中の特許発明の本質的部分すなわち技術的思想の中核をなす特徴的部分を構成する部材の全部又は一部につき加工又は交換がされた場合に当たるか否かについて判断する)。なお,本件において,第2類型を適用する根拠は次のとおりである。特許製品につき第三者により新たに特許発明の本質的部分すなわち技術的思想の中核をなす特徴的部分を構成する部材の全部又は一部につき加工又は交換がされた場合には,特許権者が特許法上の独占権の対価に見合うものとして当該特許製品に付与したものは残存しない状態となり,もはや特許権者が譲渡した特許製品と同一の製品ということはできないのであるから(インクカートリッジ大合議判決参照,このような場合には,特許発明)の本質的部分を構成する部材の全部又は一部に,特許製品に使用されていた中古の部材を取り付けて新たな製品の生産行為をなしたものとみるのが相当である。特許権者は,このような場合には,当該特許発明の生産行為があったものとして当該製品について特許権に基づく権利行使をすることが認められるべきである。イ本件特許権1についてa)本件明細書1の「発明の詳細な説明」欄には,本件特許発明1について,以下の記載がある(甲2。)〔従来技術〕・・・ところで,110フイルムカートリツジ等を利用する上述のレンズ付きフイルムユニツトでは,フイルムの画面サイズが小さいことから,プリントサイズを大きくしたい場合等には鮮明なプリント写真が得にくくなつてくる。このような点からレンズ付きフイルムユニツトに35ミリ幅のフイルム(135フイルム)を用いる試みがなされてい--る。また,この35ミリ幅のフイルムとして,国際標準規格(ISO:1007-1979年版)で規定されたパトローネ付きのものを利用して,レンズ付きフイルムユニツトを分解又は破壊しなくては,これを取り出せないような構造にしておくと,ユーザーには再利用できず,フイルム現像所では現行の現像処理システムを使用することができるレンズ付きフイルムユニツトが考えられる。〔発明が解決しようとする問題点〕しかしながら,上記のパトローネ付き35ミリフイルムをレンズ付きフイルムユニツトに内蔵する場合には新たな問題が生じてくる。すなわちパトローネは未露光のフイルムを遮光状態で収納しているから,,レンズ付きフイルムユニツトの本体部にこれを組み込む作業は容易に行うことができるが,レンズ付きフイルムユニツトの使用後には,撮影済みのフイルムがパトローネから引き出された状態となつており,これを本体部から取り出す作業は暗室で行わなくてはならない。このような暗室作業は,大量の現像処理を考慮したときには非常に煩わしいものになる。また,パトローネから引き出された状態の露光済みフイルムを再びパトローネ内に巻き戻すようにすれば,明室でのフイルム取り出し作業が可能になるが,レンズ付きフイルムユニツトにフイルム巻き戻し機構を設けなくてはならずコストアツプを招くことになるさらに,。,現像所では回収されたレンズ付きフイルムユニツトの全てについて巻き戻し作業が必要になり,明室での作業が可能になるとは言え,作業効率の点からはあまり好ましいものではない。本発明は以上のような背景に鑑みてなされたもので,レンズ付きフイルムユニツトのコストアツプを招くことなく,その本体部から明室で簡単に撮影済みフイルムを取り出すことができるようにしたレンズ--付きフイルムユニツト,及びその製造方法を提供することを目的とする。〔問題点を解決するための手段〕第2の1(2)アh)記載の構成要件AないしDに同じ。〔実施例〕本発明の第1実施例のレンズ付きフイルムユニツトの外観を示す第3図において,ユニツト本体1はプラスチツクの成形によつて作製された本体基部2と,本体基部2の背面側の開口を光密に閉鎖する裏蓋3とからなる。本体基部2には撮影レンズ4,フアインダ窓5,レリーズボタン6が設けられている他,内部にはシヤツタ,フイルム巻き上げ機構などの撮影機構を内蔵している。前記裏蓋3は,本体基部2に超音波溶着などによつて固着され,ユーザーはこれを取り外すことができないようになつている。さらに好ましくは,図示しない紙箱によつてユニツト本体1を常時覆うようにしこの紙箱に撮影レンズ4,,レリーズボタン6を露呈させるための穴を開設し,これらの穴を通して操作できるようにしておく。本体基部2に裏蓋3を取り付ける前の状態を示す第1図において,本体基部2には背面から底面にわたる開口2aが形成され,この開口2aを光密に遮蔽するように裏蓋3の形状が決められている。前記本体基部2には,露光枠10を挟むように未露光フイルムロール室(以下,単にフイルムロール室という)11及びパトローネ室12が設けられている。パトローネ室12の上壁には,巻き上げノブ8の操作に連動し,図中反時計方向に回動するフイルム巻き上げ用のフオーク14が突出している。また,前記露光枠10が形成されたフイルム支持面15は,図示のように裏蓋3側に隆起しており,その上部にはスプロケツト16が臨出している。--前記本体基部2と裏蓋3とからなるユニツト本体1内には,その組立時に予め35ミリ幅のフイルム21を遮光して収納するためのパトローネ20とこのパトローネ20から引き出されたフイルム21とが,,前記フイルムロール室11パトローネ室12にそれぞれ装填される,。ここで用いられるパトローネ20及びフイルム21は,国際標準規格で規定されたものであり,フイルム21の後端はパトローネ20に設けられた巻芯28に固着されている。この装填作業に際し・・・フイルムロール23及びパトローネ20それぞれを・・・フイルムロール室11,パトローネ室12に挿入,し・・・この結果,パトローネ20はパトローネ室12内に残され,またフイルムロール23はフイルムロール室11に置かれるようになる・・・。しかる後に,裏蓋3が開口2aを遮光するように被せられ,超音波溶着によつて本体基部2に固着される。裏蓋3の内面には,本体基部2側のフイルム支持面15と同じように湾曲したフイルム規制面30が形成されている。したがつて,フイルム21を上から押さえつけるようにして裏蓋3を本体基部2に被せこれを固着することによつて,,上側に湾曲されたフイルムの展延部分26は,第2図に示したようにフイルム支持面15に圧着され,フイルム面が浮き上がつたり,波うつたりすることなく,所定の露光位置に位置決めされる。また,このときスプロケツト16がパーフオレーシヨンに噛み合うようになる。もちろん,フイルム規制面30の一部には,スプロケツト16の突出部分を受け入れるための開口が設けられている・・・。以上のフイルム装填及び裏蓋3の取り付け作業は,いずれも暗室で行う必要があるが,フイルムの装填は軸方向から,そして裏蓋3の取り付けはフイルム面の上からというように単純化されているから,こ--れらの作業は前述のような装填治具等を用いることによつて,簡単に自動化することができるようになり,組立コストを低減する上で非常に有効である・・・。レリーズボタン6を操作するとシヤツタ35が開閉し,露光枠10に位置しているフイルムの展延部分26に露光が行われる。その後,巻き上げノブ8を回動操作すると,フオーク14を介して巻芯28が回動するから,露光済みのフイルムはパトローネ20に巻き込まれてゆく。これとともに,フイルムロール23から次のフイルムコマが露光枠10の位置に供給され,スプロケツト16がフイルムの供給に従動して回転する。そして,スプロケツト16の回転によつて1コマ定尺送りが検出されると,巻き上げノブ8がロツクされ次の撮影準備が完了することになる。このようにして撮影を繰り返してゆくことによつて,露光済みのフイルムは順次パトローネ20に巻き込まれてゆく。そして,撮影を完了した後には,そのままの状態で現像所に送られる。現像所で処理を行うときには,分解用の治具等を利用して裏蓋3を取り外すことによつて,従来と同じ状態の撮影済みパトローネを取り出すことができ,それ以降は従来通りの処理でフイルム現像,プリント処理を行うことができる。なお,現像所においてパトローネ20の取り出し作業を簡易化するために,裏蓋3の底部にプルトツプ式でパトローネ取り出し用の開口が形成されるようにしておくと便利である。すなわち,第1図に示したように,パトローネ室側の裏蓋3の底面内壁に破損させやすい溝37を,また外壁には突起38を一体成形しておく。これによれば,突起38に指を引つ掛けてこれを引けば,溝37に沿つた開口ができるから,この開口から撮影済みのパトローネ20を取り出せるようにな--る。しかも,これによりユニツト本体1が部分的に破損されてしまうので,繰り返し使用の精度保証のないフイルムユニツト本体1が再使用されるという事態を防止できるようになる・・・。〔発明の効果〕・・・撮影のたびごとに撮影済みのフイルムはフイルム容器に収納されてゆくから,撮影が済み現像所に回収されたレンズ付きフイルムユニツトを明室で分解しても,撮影済みのフイルムを不用意に外光に曝してしまうというような事故は確実に防止され,現像処理作業を複雑化させずに済むようになる。・・・未露光フイルムをパトローネから引き出すための機構をユニツト本体に設備することが不要となり,レンズ付きフイルムユニツトのコストを大幅に安くし,且つ体裁も良くすることができる。また,撮影者は,通常のカメラ操作と同じように,撮影後に巻上げノブを回すだけでよいから操作が簡単で,誤操作を招くことがない。b)本件明細書1の上記記載によれば,従来技術においては,撮影済みのフイルムがパトローネから引き出された状態となっている場合には,これを本体部から取り出す作業は暗室で行わなくてはならず,非常に煩わしいこと,パトローネから引き出された状態の露光済みフイルムを再びパトローネ内に巻き戻すようにすれば,明室でのフイルム取り出し作業が可能になるが,レンズ付きフイルムユニツトにフイルム巻き戻し機構を設けなくてはならず,コストアツプを招き,さらに,現像所では回収されたレンズ付きフイルムユニツトのすべてについて巻き戻し作業が必要になり,作業効率の点から好ましくないことという問題があったものであり,本件特許発明1は,上記問題を解決するために,パトローネから予め引き出された未露光フィルムをフィルムロールとしてフィルムロール収納部に装填し,撮影の度に撮影済みのフィルムがパトローネに収--納されていく構成を採用した点に,従来のレンズ付きフイルムユニットにはみられない技術的思想の中核を成す特徴的な部分がある。以上からすれば,本件特許発明1の本質的部分は,レンズ付きフイルムのフイルム露光枠の一方側に未露光フイルムロールを配置し,もう一方の側に回転可能な巻芯を内部に有するパトローネを配置して未露光フイルムの一端をパトローネの巻芯に固定する構成要件B,パトローネ内にフイルム巻き取りの操作手段を連結させてシャッタ手段操作後にフイルムをパトローネ内に巻き取り可能とする構成要件C,未露光フイルムロールが製造工程においてパトローネから引き出された状態で形成されているとする構成要件Dにあると認められる。そして,撮影後に現像に出され,撮影済みのフイルムが抜かれた後の原告製品は,内蔵されていたフイルム及びパトローネが存在しなくなっているため,本件特許発明1の構成要件AないしEのすべてを充足しないものである。そして,撮影済みの原告製品を用いて被告ら製品を製造bする工程は,前記第2の1(3) )のとおりであり,市販されているフイbルムからフイルムロールを形成し(第2の1(3) )⑬,巻き上げノブ)にスプールを挿入し,パトローネ室にパトローネを収納し,フイルムに形成されているパーフォレーションとスプロケットをかみ合わせ,フイbルムロールをフイルムロール室に装じんする工程(第2の1(3) )⑭,
⑮)を含むものである。これらの工程を経て,本件特許発明1の本質的部分である構成要件B,C,Dを充足する被告ら製品が製作されることとなる。そうすると,このような被告ら製品を製作する行為は,特許製品中の特許発明の本質的部分を構成する部材の全部又は一部につき加工又は交換するものであるから,被告ら製品は,前記第2類型に該当するものと認められる。すなわち,被告ら製品の上記製作行為は,本件特許発明1--の本質的部分を構成する部材の全部又は一部に,原告製品の中古部品を取り付け組み立てる行為であるとも評価することができる行為であり,,本件特許発明1の実施品の生産行為に当たる。c)被告らは,パトローネ付きフイルムは印刷用紙などと同様の消耗品で交換が予定されているものであるから,市場における特許製品の自由な流通の見地から本件特許発明1の本質的部分を構成する部材に含まれず本件特許発明1の本質的部分を構成する部材はフイルムロール室,,,パトローネ室,パトローネ内の巻芯と連結できる巻き取り操作手段を構成する部材であるところ,被告らはこれらの部材に何ら手を加えていないから,第2類型に該当しない旨主張する。しかし,第2類型にいう「本質的部分」に該当するか否かは,もっぱら当該特許発明の技術的思想の観点から判断されるべきものであって,当該部分が消耗品であるかどうかや市場における自由な流通の観点からの考慮によって判断が左右されるものではなく,前記のフィルムロールの形成と同ロールをフィルムロール室に装じんする工程が,本件特許発明1の本質的部分である部材の全部又は一部の加工又は交換に当たることは前記のとおりである。そもそも,第2類型に該当するものは,もはや特許権者が特許発明の公開の対価を取得した特許製品と同一の製品ということができないものであるから,これに対して特許権の効力が及ぶことは当然であるし,特許権の効力が及ばないとすると,特許製品の新たな需要の機会が奪われることとなって特許権者が害されることになるのであるから,特許権の行使が認められるべきものである。被告らの主張は失当である。ウ本件特許権2についてa)本件明細書2の「発明の詳細な説明」欄には,本件特許発明2について,以下の記載がある(甲4。)--〔従来の技術〕【0003】レンズ付きフイルムユニットに内蔵された135フイルムは,ISO規格で決められているように,撮影枚数に対して幾分余裕のあるフイルム長となっている。この余裕分を積極的に利用し,例えば24枚撮りのフイルムを内蔵しながらも,27枚まで撮影できるようにした「写ルンですエコノショット(商品名)が最近では販売」されている。【0004】このように,ISO規格に準拠した長さの24枚撮りフイルムで27枚まで撮影ができるようにするには,ユニット本体にパトローネ及びフイルムを内蔵するときに,フイルムの最初のコマ位置を正確に設定しておかなくてはならない。というのは,最初のコマ位置設定時のバラツキによって,例えば半コマ分のフイルムがパトローネ側に送られた状態でレンズ付きフイルムユニットを組み立てたとすると,テスト工程でさらに1~2コマのフイルムが送られることを考慮すると,ユーザーが27枚の撮影ができなくなるおそれが生じるからである。【0005】パトローネをユニット本体のパトローネ室に組み込む際には,ユニット本体に設けられたフイルム巻き上げ用のノブとパトローネに内蔵されたスプールとを係合させる必要がある。従来のスプールではその端部に設けられた係合片が180°の回転対称形状であり,またこれに対応してフイルム巻き上げ用のノブも180°の回転対称形状をもつ係合キーが形成されているため,最悪の場合,これらを係合させるには一方を他方に対して180°近く回転させなければならないことがある。〔発明が解決しようとする課題〕【0006】ところが,フイルムの組み込みを行うときには,シャッタ--機構部のテスト工程を考慮し,シャッタ機構部を一定の状態,例えばシャッタチャージが完了する直前の状態にしている。したがってシャッタ機構部と連動関係にあるスプロケットやフイルムカウンタ,さらにはフイルム巻止め機構の状態も一義的に決められ,これに伴ってフイルム巻き上げ用ノブの回転位置も一義的に決まっている。したがって,フイルムの組み込み時に前記ノブの回転位置を適宜調節してスプールの係合片の向きに合わせることができない。【0007】一方,フイルムの組み込みに先立ってパトローネからフイルムを引き出すときに,その引出しの終了時にパトローネとフイルムとの間に大きなテンションをかけた状態にすると,フイルムが伸びたり,フイルムが幅方向にカーリングしてユニット本体に組み込みにくくなることから,パトローネとフイルムとの間に大きなテンションが生じる前にフイルムの引出しを終えるようにしている。このため,フイルムの引出し工程を終えた時点で,スプールの回転位置に多少のバラツキが生じてしまい,そのままの回転位置ではスプールの係合片を前記ノブの係合キーに係合させることができなくなることがある。こうした場合には,係合キーに合わせてスプールの回転位置を調節しなくてはならないが,このときにスプールを180°近く回して合わせたのでは,フイルムの最初のコマ位置設定にくるいが出てしまい,予定した撮影枚数分の撮影ができなくなるおそれが生じる。【0008】この点に関し,特開昭63-271326号公報で知られるように,巻上げノブの軸部の外周に軸方向に延びた複数のリブを形成し,スプールの係合片と即座に噛み合わせるようにしたものがあるが,スプール側の構造は従来どおりであるので,レンズ付きフイルムユニットの製造時に予め装填されたフイルムを使用した後にこれを取り出し,新たなパトローネを装填すればそのまま使用できるようにな--り,不正な詰め替え使用を防ぐことができない。【0009】本発明は上記事情を考慮してなされたもので,レンズ付きフイルムユニットにフイルムを組み込むにあたり,最初のコマ位置設定が大幅にずれることがないようにし,さらには不正な詰め替え使用を防ぐことができるようにしたレンズ付きフイルムユニット及びその製造方法を提供することを目的とする。〔作用〕【0011】上記スプールの外形寸法は,135フイルムパトローネのスプールに関するISO規格に定められた範囲のものであってもよく,あるいはその範囲外のものであってもよい。また,上記ISO規格ではスプールの軸孔の奥に180°の回転対称形状をした板状の係合片があるが,この係合片の上方で180°以下のピッチの内歯と外歯を噛合させる構造にすることによって,スプール自体はISO規格を満たしながらも,内歯と外歯によりきわめてわずかの回転調節をするだけ巻上げノブとスプールとの係合が得られる。そしてスプールの外形形状そのものは,前記係合板を含めてISO規格を満たしているから,このようなスプールをもったパトローネは,従来のフイルムパトローネ製造装置やレンズ付きフイルムユニット製造装置,従来のラボ機器にそのまま用いることも可能である。【0012】また,巻上げノブの外歯をスプールの内歯に噛合させるようにしたから,スプールに内歯がない通常のスプールをもったパトローネはこのレンズ付きフイルムユニットに詰め替え使用することができず,一般ユーザーによる不正なフイルム詰め替えを防ぐ上でも有効である。〔実施例〕(文中の図1は本判決末尾添付の特許公報2記載の図1であり,図3,--図6,図9についても同様である)。【0014】スプール7の端部には,カメラやレンズ付きフイルムユニットの巻取り用の駆動軸が入り込む軸孔3が形成され,スプール7の端縁から寸法D(=3.5mm)の深さ位置には,軸孔3を横切るように係合片10が一体化されている。係合片10は一対の突片からなっており,スプール7を半回転するごとに同じ係合姿勢となる・・。・以上,図1参照)(。【0015】軸孔3が設けられた側のスプール7の端部内壁には,深さDの位置までキー溝12が形成されている。キー溝12は,図3に示したように軸方向に延びた多数の内歯12aを一定ピッチで配列したものでピッチ角θ1 は12° 内壁全周を30等分,()になっている。・・・【0020】本体基部20にはフイルム巻き上げノブ27が回転自在に組み込まれている。図6に示したように,フイルム巻き上げノブ27の底面には駆動軸28が一体化されており,この駆動軸28がパトローネ室24の上壁から突出した状態になっている。駆動軸28の外周には周方向に一定ピッチで配列され,軸方向に延びた複数の外歯からなる係合歯30が形成され,パトローネ室24にフイルムパトローネ2を挿入すると,駆動軸28がスプール7の軸孔3に嵌入し,係合歯30がキー溝12と噛み合う・・・以上,図9参照)。(【0022・・・そして,フイルム巻き上げノブ27とスプール7と】の係合は,係合片10の回転位置にかかわらず,係合歯30とキー溝12との間で行われるため,最大でもスプール7を内歯12aの半ピッチ分だけ回転調節するだけで両者を係合させることができる。【0023】スプール7をこの程度回転してフイルム7を巻戻したとしても,その巻戻し長は高々0.5mm程度であるので最初のコマ位置--設定にはほとんど影響がないしたがってフイルムロール室25には。,ほぼ予定したとおりの長さのフイルム7を確保しておくことができ,24枚撮りフイルムであっても確実に27枚までの撮影を保証することができるようになる。〔発明の効果〕【0029】・・・パトローネの組み込み工程中に,巻上げノブやパトローネのスプールの回転位置を調節しなくても両者が簡単に噛み合うようになる。したがって,最初のコマ位置設定がほとんどずれることなく,簡単にパトローネの組み込みを行うことができるまたパトローネは。,,ISO規格に準拠した外形寸法と係合片とを有しているので,従来のレンズ付きフイルムユニット製造装置や従来のラボ機器に何ら改修を加えずに使用することができる。b)本件明細書2の上記記載によれば,従来技術においては,パトローネに内蔵されたスプールはその端部に設けられた係合片が180°の回転対称形状であり,またこれに対応してユニット本体に設けられたフイルム巻き上げ用のノブも180°の回転対称形状をもつ係合キーが形成されているため,最悪の場合,これらを係合させるには一方を他方に対して180°近く回転させなければならず,フイルムの最初のコマ位置設定にくるいが出てしまい,予定した撮影枚数分の撮影ができなくなるおそれが生じること,レンズ付きフイルムユニットの製造時に予め装填されたフイルムを使用した後にこれを取り出し,新たなパトローネを装填すればそのまま使用できるようになり,不正な詰め替え使用を防ぐことができないことという問題があった。本件特許発明2は,上記問題を解決するために,巻上げノブの駆動軸の外周に180度以下の一定ピッチで外歯を形成し,スプールに形成した軸孔内壁に,180度以下の一定--ピッチで前記外歯が噛み合う内歯を形成し,巻上げノブの回動操作が,前記外歯と内歯との噛合によりスプールに伝達される構成を採用した点に,従来のレンズ付きフィルムユニットにはみられない技術的思想の中核を成す特徴的部分があるすなわち本件特許発明2の本質的部分は。,,構成要件B2,C4,Dにあると認められる。そして,撮影後に現像に出され,撮影済みのフイルムが抜かれた後の原告製品は,内蔵されていたフイルム及びパトローネが存在しなくなっていることから,本件特許発明2の構成要件A,CないしEを充足しないものである。そして,撮影後の原告製品を用いて被告ら製品を製造すbる工程は,前記第2の1(3) )のとおりであり,市販されているフイルムのスプール(巻軸)に,原告製品の巻上げノブに嵌合できるキー溝をbb形成し(第2の1(3) )①,フイルムロールを形成し(第2の1(3) ))⑬,パトローネ,フイルムロールをカメラ部にセットする工程(第2)bの1(3) )⑭,
⑮)を含むものであって,これらの工程を経て,本件特許発明2の本質的部分である構成要件C4,Dを充足する被告ら製品が製作されることとなる。そうすると,このような被告ら製品を製作する行為は,特許製品中の特許発明の本質的部分を構成する部材の全部又は一部につき加工又は交換するものであるから,被告ら製品は,前記第2類型に該当するものと認められる。すなわち,被告ら製品の上記製作行為は,特許発明の本質的部分を構成する部材の全部又は一部に,原告製品の中古部品を取り付け,組み立てる行為であると評価することができるのであり,本件特許発明2の実施品の生産行為に当たる。c)被告らは,本件特許発明2の本質的部分を構成する部材は,底面に突出した駆動軸を有する巻き上げノブ及びそれを可能にしたユニット本体の構造部分でありパトローネ付きフイルムは消耗品で交換が予定され,,--そのスプールの上端に軸孔を設ける作業も困難でないから,そのような部材は本件特許発明2の本質的部分を構成する部材といえず,したがって,キー溝を形成する作業は,本件特許発明2の本質的部分を構成する部材の全部又は一部につき加工又は交換をするものでない旨主張する。しかし,第2類型にいう「本質的部分」に該当するか否かは,前述のとおり,もっぱら当該特許発明の技術的思想の観点から判断されるものであって,当該部分が消耗品であるかどうかや作業の困難性の観点からの考慮によって判断が左右されるものではない。被告の上記主張も失当というほかない。
(2)被告ら製品の輸入・販売について,脱退原告による黙示の許諾があったか(争点2イ)について被告らは,特許製品が市場での流通に置かれる場合,譲受人が目的物につき特許権者の権利行使を離れて自由に業として使用し再譲渡等することができる権利を取得することを前提として取引行為が行われるから,譲渡人・譲受人との間で特段の合意をした場合を除き,当該特許製品を使用・再譲渡等する権利を移転することについて黙示の許諾があった旨主張する。特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者が我が国の国内において当該特許発明にかかる製品を譲渡した場合に,当該特許製品については特許権は消尽し,特許権者は,当該特許製品の使用,譲渡,又は貸渡等に対し,特許権を行使することができないところそのように解する理由のひとつは,,一般に譲渡においては,譲渡人は,目的物について有するすべての権利を譲受人に移転し,譲受人は譲渡人が有していたすべての権利を取得するものであり,特許製品が市場での流通に置かれる場合にも,譲受人が目的物につき特許権者の権利行使を離れて自由に業として使用し再譲渡等をすることができる権利を取得することを前提として,取引行為が行われるものであって,仮に,特許製品について譲渡等を行う都度特許権者の許諾を要するというこ--とになれば,市場における商品の自由な流通が阻害され,特許製品の円滑な流通が妨げられて,かえって特許権者自身の利益を害する結果を来し,ひいては「発明の保護及び利用を図ることにより,発明を奨励し,もって産業の発達に寄与する(特許法1条参照)という特許法の目的にも反することに」なるということにある(最高裁判所平成9年7月1日第三小法廷判決。)そうすると,本件において被告らが黙示の許諾として主張するものは,特許権の消尽を認めるか否かにおいて考慮されているものであり,特許権の消尽か,黙示の許諾かは,特許権の行使を認めない理由についての表現の違いにすぎない。そして,本件において特許権の消尽が認められないことは,
(1)で検討したとおりであるから,これと別個に検討するまでもなく,被告らの上記主張は採用することができない。
(3)脱退原告の本件各特許権侵害を理由とする損害賠償請求は権利濫用に該当するか(争点2ウ)について被告らは,被告ら製品の販売行為は,資源の再利用及び廃棄物の減少化という観点から社会的に評価されるものであるにもかかわらず,自らリユースの努力を怠っていた脱退原告が本件各特許権侵害を理由とする損害賠償請求権を行使することは権利の濫用として許されない旨主張する。しかし,特許法は,発明をしてこれを公開した者に特許権を付与し,その発明を実施する権利を専有させるものであるから,発明につき特許権が付与されたときは,第三者は,その行為が特許権侵害行為に該当すると判断される場合には,特許発明に係る製品の再使用や再生利用しやすい資材の製造,販売等をすることができないのであり,この意味において特許法と環境保全の理念との対立が生じることがあることはやむを得ないところである仮に(,常に環境保全の理念を優先させ,上記のような場合に第三者が自由に特許発明を実施することができると解すると,新たな技術開発への意欲や投資を阻--害することにもなりかねない。)。そうすると,たとえ,特許権の行使を認めることによって環境保全の理念に反する結果が生ずる場合があるとしても,そのことから直ちに,当該特許権の行使が権利の濫用等に当たるとして否定されるべきいわれはない(インクカートリッジ大合議判決参照。)また,脱退原告は,原告製品のリサイクル(原料まで戻して新しいものを作ること)ないしリユース(原料まで戻さずに,修理が必要なものには修理を施した上で,そのまま再使用すること)を行っており,当初生産された原告製品と同一品質を有する製品を再生産している(甲8,9,10の1ないし7,11の1ないし5,12の1ないし5,13の1ないし3,23。)これに対し,被告ら製品は,遮光テープの糊や紙ケースを被せる際に使用する糊が,樹脂に付着し,洗浄では十分に分離できないため,樹脂部分の再利用ができなくなったりフラッシュユニット等の本来リユース可能な部品に,,脱退原告のロゴを消すために傷をつけるため,リユース(再利用)ができなくなるなど,リサイクル,リユースの観点からも問題がある(甲7。した)がって,資源の再利用及び廃棄物の減少化という観点からみて非難されるべきはむしろ被告らのほうであり,脱退原告の特許権行使が権利濫用であるなどということはできない。よって,被告らの上記主張を採用することはできない。
(4)被告らが本件特許権1の非侵害の主張をすることは訴訟上の信義則によって制限されるか(争点2エ)について承継参加人は,被告らは,被告らの脱退原告に対する特許権差止請求権不存在確認請求事件(当庁平成15年(ワ)第15702号,
東京高裁平成16年(ネ)第1563号)において,被告ら製品の販売が本件特許権1を侵害することについて主張・立証を尽くし,またはその機会が与えられていたものであるから,被告らが本件特許権1の非侵害の主張をすることは訴訟上の信義則によって制限される旨主張するので,念のため判断する。--上記の事件においては,被告ら製品が本件特許発明1の技術的範囲に属することを前提としつつ,本件特許権1が特許法39条3項に違反し無効かどうかが争点となったものであって,特許権の消尽及び権利濫用については,控訴審において被告らが主張したものの,時機に後れた攻撃防御方法の提出であるとして民事訴訟法157条1項に基づき却下され,具体的な立証等は行われておらず,裁判所の判断も示されていない(甲5。このような事情)に鑑みれば,被告らが,本件において,主に特許権の消尽及び権利濫用を主張して本件特許権1の侵害の有無を争うことが,ただちに訴訟上の信義則に反するということはできない。
(5)小括以上によれば,脱退原告ないし承継参加人は,被告ら製品について,本件各特許権侵害を理由とする損害賠償請求権に基づく権利行使をすることが許される。
3損害
額(争点3)について承継参加人は,本訴において,平成12年3月1日から平成17年2月末日までの間における被告らによる被告ら製品の輸入・販売行為について,本件各特許権侵害を理由とする損害賠償を請求している。本件特許権1は,平成2年7月23日に出願公告され,平成6年10月7日に登録されてから現在まで存続し,本件特許権2は平成13年5月25日に登録されてから現在まで存続しているから,被告らの上記行為は,平成12年3月1日から平成13年5月24日までの期間については本件特許権1を侵害するものであり,平成13年5月25日から平成17年2月末日までの期間については,本件特許権1及び本件特許権2を侵害するものである。承継参加人は主位的に特許法102条2項に基づいて損害賠償を請求し,,,予備的に同条3項に基づいて損害賠償を請求しているものであるからまず,,,被告らが上記期間内に上記行為により得た利益の額を算定する。--(1) 特許法102条2項に基づく損害額(争点3ア)についてア被告ら製品の売上高a)売上高a第2の1(3) )記載のとおり,被告大東貿易は,被告ら製品(製品名FESTIVAL「」及び「トロウ君)を輸入して,被告ハマ・コーポレー」ションを含む他の企業に販売し,被告ハマ・コーポレーションは,被告大東貿易から仕入れた被告ら製品を販売している。そして,計算鑑定の結果によれば,平成12年3月1日から平成17年2月28日までの間FESTIVALの,被告らにおける「」及び「トロウ君」の各売上高は,別紙A「被告らにおける譲渡数量,売上高,平均販売価格について」の各FESTIVAL被告別の表の各「売上高」欄及び「トロウ君売上高」欄にそれぞれ記載したとおりであると認められる(計算鑑定書2ないし4ページ,計算鑑定書の補充書2の2ページ*2,3ページ*6,5ページ*9,*10,6ページ*13,*14。)b)売上高に関する承継参加人の主張について承継参加人は,脱退原告独自の調査結果(以下「原告調査結果」という)に基づき,上記計算鑑定結果により認められるものに比べ多額の。売上高があった旨主張する。例えば,譲渡数量は,承継参加人がその主張の根拠とする原告調査結果によれば,平成13年2月期は103万個ないし125万個,平成14年2月期は95万個ないし107万個,平成15年2月期は49万個ないし120万個,平成16年2月期は74万個と推計されるのに対し(甲24,計算鑑定結果によれば,被告ら)各々の譲渡数量を合計したとしても平成13年2月期は99万7240個,平成14年2月期は54万0117個,平成15年2月期は58万8647個,平成16年2月期は26万6495個であり(別紙A「被告らにおける譲渡数量,売上高,平均販売価格について」記載の各被告--FESTIVAL別の表の各「譲渡数量欄及びトロウ君譲渡数量欄参照」「」。),原告調査結果と計算鑑定の結果の売上高の差は,主としてこの譲渡数量の差に起因するものである(なお,販売価格は,被告大東貿易におけるFESTIVAL平成16年2月期及び平成17年2月期の「」及び「トロウ君」の平均販売価格並びに被告ハマ・コーポレーションにおける平成1FESTIVAL7年2月期の「」の平均販売価格を除き,それ以外の時期の平均販売価格は,原告調査結果と大差ないか,むしろ高額な場合が多いのであって,計算鑑定結果と原告調査結果とに大差がない。)。しかし,計算鑑定結果によれば,被告大東貿易の輸入数量は,FESTIVAL「」及び「トロウ君」を合計しても,平成13年2月期は96万6560個,平成14年2月期は53万7960個,平成15年2月期は56万2800個,平成16年2月期は33万0840個であるにすぎず,そもそも原告調査結果の譲渡数量よりも少ない(計算鑑定書1ページ。)また,上記計算鑑定の経緯については,計算鑑定人が被告大東貿易を訪問し,同被告が保管していた被告らの会計帳簿等(被告ハマ・コーポレーションに係る資料も被告大東貿易において保管していた)を閲覧。し,被告大東貿易の代表者,総務担当者及び顧問会計事務所の担当者に質問した結果をふまえて行われたものであること,被告大東貿易における輸入数量,輸入原価及び項目別輸入経費に関する資料としては,被告大東貿易の会計帳簿のほか原始証憑として事業年度ごとに一式で保管されていた輸入時の通関資料(インボイス,パッキングリスト等)が存在したこと,同原始証憑の記載は,被告ら製品のほかの詰替レンズ付きフイルムユニットも含めてひとくくりでなされていたため,原始証憑の記載から被告ら製品のみの輸入数量等を明らかにすることは困難であったものの,商品別の仕入台帳(輸入台帳)の記載に基づき原始証憑の存在--をサンプリングで確認したところ,その整合性が確認されたため,仕入台帳を基礎として,輸入数量等についての鑑定がなされたこと,被告ハマ・コーポレーションの仕入れについては同社の仕入台帳に基づいて鑑定をしたこと,また,詰替レンズ付きフイルムユニットの譲渡数量,販売価格,売上高については,被告らの得意先別の売上台帳が,良好に管理されていると判断されたため,売上台帳の記載に基づき鑑定がなされたことが認められる(計算鑑定書6ページ。このような計算鑑定の経)緯に鑑みれば,上記輸入数量等や譲渡数量等に関する計算鑑定結果は,基本的に信用することができるものである。他方,承継参加人の主張する譲渡数量は,あくまで推定値であることに鑑みれば,その根拠となっている原告調査結果は,譲渡数量,販売価格のいずれについても上記計算鑑定結果に基づく認定を覆すに足るものではない。よって,被告ら製品の売上高に関する承継参加人の上記主張は採用することができない。c)販売数量に関する計算鑑定書の記載のうち「製造元区分」に関する記載及びこれに関する被告らの主張についてa上記)に認定した売上高は,計算鑑定結果のうち,被告らの販売すFESTIVALるすべての「」及び「トロウ君」の販売数量の合計を基にしている。しかし,計算鑑定書の「大東貿易の売上高」の項においては,FESTIVAL「」について「富士,」,「コニカ」,「コダック」別に売上高が記載され「トロウ君」についても「富士,,」,「バンダイ」,「コダック」別に売上高が記載されており(計算鑑定書2ページ,被告らは,)FESTIVAL被告らの販売する「」には,原告製品以外に訴外コニカ社,コダック社製品を詰め替えたものがあり「トロウ君」には,原告製品,以外に訴外バンダイ社コダック社製品を詰め替えたものがあるから,,,計算鑑定書に「富士(脱退原告)を製造元として記載された被告ら製」--品の販売数量(計算鑑定書2ページ)のみを基に被告ら製品の販売数量を算定すべきであり「コニカ,」,「コダック」,「バンダイ」を製造元とFESTIVALして記載された「」及び「トロウ君」は被告ら製品の販売数量として算定すべきではない旨主張する。計算鑑定人が上記のような製造元区分別の記載をし,被告ら主張のとおり被告ら製品の販売数量を認定した理由は被告大東貿易の帳簿に,,,上記のような製造元区分が記載されており,計算鑑定人が,鑑定のため被告大東貿易を訪問した際,被告大東貿易から,同一商品名を使用しているものの,得意先ニーズにより譲渡している商品の製造元は異なるとの説明を受けたことに基づくもののようである(計算鑑定書2,7ページ。)しかし,計算鑑定人が被告らの主張に基づいてなした販売数量の上記認定は,次の理由により採用し得ない。
①訴外日本カラーラボ協会が,平成15年5月及び平成17年7月に市場に流通しているレンズ付きフイルムユニットの詰替品のボディの製造元等を調査した際「FESTIVAL」及び「トロウ君」について,原,告製品の詰替品は確認されたものの,他社製品の詰替品は確認されていない(なお,平成15年5月の調査では「トロウ君」の存在自体,が確認されていない。)(甲28。)②脱退原告の社員が,平成15年以降,同原告に回収された詰替品を確認したところ,やはり「FESTIVAL」及び「トロウ君」について,,訴外コニカ社や訴外コダック社の製品を使用したものはなかった(甲28。)③原告において入手した,原告製品,訴外コニカ社製品及び訴外コダック社製品の各詰替品を比較してみると,各社の製品それぞれ,レンズ開口部や充電スイッチ部等の形状及び外観に異なる特徴があり,そ--れに伴って各詰替品の紙ケースの形状も異なっており(甲29,形)状及び外観が異なるカメラを同じ時期に同じ商品名で販売することは考えにくい。
④被告らは,製造元が異なっても同じ製品名「FESTIVAL」で販売していることを示す証拠として「FESTIVAL」名称で紙ケースが異なる製,品4点及び「NEWFESTIVAL」名称の製品1点の写真を提出する(乙15。しかし,そのうち,被告が訴外コニカ社製の詰替品とするも)の(乙15の写真2)については,当該製品のフラッシュ用スイッチ部分が紙ケースで覆われ,使用できない状態になっているのにもかかわらず,紙ケースに「FLASH2ボタン」との記載があるなど不自然な点がある(甲30。また,それ以外の「FESTIVAL」名のものは,上)記のとおり,訴外カラーラボ協会等による調査で存在が確認されていない上,使用されているものは,訴外コダック社から平成5年ないし平成7年ころに販売されていた製品であること甲30も考えると(),詰替品がそもそも正規品よりも後に製造・販売されるものであることを考慮したとしても,本件訴訟及び計算鑑定の対象である平成12年以降に販売されていたものであるとは考え難い。また,被告が,訴外コダック社の詰替品とするもの(乙15の写真3)のうち「NEW FE,STIVAL」名のものは,そもそも本件訴訟の対象とされていないものである。以上の諸事情に加え,計算鑑定人が,弁論準備手続において,売上台帳中の製造販売元の記載は後で全体を作った可能性はある旨コメントしていたこと(弁論の全趣旨(被告ら準備書面(7)において,このようなコメントがあったこと自体は,被告らも否定していない。))を併せ考慮すると,製造元区分に関する被告らの主張及び計算鑑定人の譲渡数量の認定は採用することができない。したがって,「FESTIVAL」及び「ト--ロウ君」は,すべて原告製品の詰替品であって,他社製品は含まれていないものであると認めるのが相当であり,上記アa)認定の売上高をもって損害額算定の基礎とするのが相当である。イ控除すべき費用a)被告大東貿易について①輸入原価被告大東貿易は,被告ら製品を輸入して販売しているから,その輸入原価が控除されるべきことは明らかである。計算鑑定の結果によれば,輸入時の平均単価は,別紙B「損害計算,FESTIVAL表1」のとおり「」については,平成13年2月期が240円平成14年2月期が225円平成15年2月期が231円,,,平成16年2月期が214円,平成17年2月期が198円であると認められ「トロウ君」については,平成13年2月期が240円,,平成16年2月期が195円,平成17年2月期が196円であると認められる(トロウ君」は,平成14年2月期及び平成15年2月「期は輸入されていない(計算鑑定書1ページ)。)。承継参加人は,輸b入時の平均単価は190円である旨主張するが,前記ア)で検討したとおり,輸入数量及び輸入原価に関する計算鑑定結果は信用することができるから,承継参加人の上記主張は採用することができない。FESTIVALそして,被告大東貿易における「」及び「トロウ君」の譲渡数量は,別紙A「被告らにおける譲渡数量,売上高,平均販売価FESTIVAL格について」の被告大東貿易についての表の「譲渡数量」欄及び「トロウ君譲渡数量」欄記載のとおりであると認められる(計算鑑定書の補充書2の2,3ページ。)したがって,被告大東貿易の被告ら製品の輸入原価は,上記輸入平均単価に譲渡数量を乗じた額と認めるのが相当である。なお,例えば--平成15年2月期に販売したものが平成14年2月期に輸入したものの在庫であった場合には,輸入原価は,当該譲渡数量に平成14年2月期の輸入平均単価を乗じて算出するのが正確であろうが,本件においては被告らの在庫記録が不適切であったため,上記のような計算を行うのは困難であり,また,在庫数量による影響は小さいものと考えられるのであるから(計算鑑定書8ページ,計算鑑定書の補充書2ページ,輸入原価は,各期の譲渡数量に当該期の輸入平均単価を乗じ)て(例えば,平成14年2月期の譲渡数量に平成14年2月期の輸入平均単価を乗じて)算出することとする。また,平成14年2月期は「トロウ君」を輸入した事実が認められないため,平成14年2月期の譲渡数量に乗じる同期の輸入平均単価は,それに先立つ直近の輸入時期である平成13年2月期のそれ(240円)を用いるのが相当である。そうすると,輸入原価の額は,別紙B「損害計算表1」の被告大東貿易に関する部分の「輸入原価」欄記載のとおりとなる(計算鑑定書の補充書2の2ページ*3,4ページ*7参照。)ところで,上記売上高から輸入原価を差し引いた額は,売上高の約10%となる(計算鑑定書1ページⅡ1(1)「平均単価」欄,計算鑑定書の補充書2の1ページ2(1)「売上高」欄及び「差引:粗利益」欄参照。この点について,承継参加人は,被告大東貿易の確定申告)書に基づくと同社の粗利益率は約20%と考えられ,主力商品の粗利益率は他製品より高めに設定するのが常識であることや原告調査結果に基づく1個あたりの販売マージンは60円(粗利益率24%)であることにも沿うものであることからすると被告ら製品の粗利益率売,(上高から輸入原価を控除したもの)は,20%として算出すべきである旨主張する。しかし,計算鑑定人が,原始証憑をサンプリングして確認したこと--などから,上記売上高及び輸入原価の算定の元となった,売上高及び輸入状況に関する被告大東貿易の帳簿とこれに基づいた計算鑑定結果が信用できるものであることは既に述べたとおりであるから,承継参加人の上記主張を採用することはできない。
②その他輸入及び販売に係る経費特許法102条2項の「侵害行為により得た利益」の算定においては侵害品の製造ないし販売に相当な因果関係のある費用すなわち,,,製造ないし販売に直接必要な変動費及び個別固定費を控除の対象としていわゆる貢献利益(広義の限界利益)を算定すべきであって,侵害品を製造ないし販売しなくとも発生する費用(一般固定費)は控除の対象とすべきではない。例えば,大企業が多数種類の製品を製造販売する中で,1種類の侵害品を製造販売している場合に控除される費用は,直接の原材料費,運送費などの変動費だけになるのに対し,零細な企業が侵害品のみを製造販売しているような場合,あるいは,侵害品を製造販売するためにのみ新工場を建設した場合には,変動費に加え,工場及び機械の減価償却費,工場従業員の給与などの固定費が侵害品の製造販売に相当な因果関係のある個別固定費とみなされると考えるべきであり,粗利益からこのような経費を差し引いて貢献利益を算定すべきである。したがって,貢献利益の算定においては,被告となる企業の規模,被告となる企業の全売上げに占める対象製品の売上げの割合,侵害品の製造販売に当たって必要となった施設,機械,労力,侵害品の製造・販売の期間など様々な要素を全体的に考慮して,侵害品の製造ないし販売に相当な因果関係のある費用(変動費及び個別固定費)を算定する必要がある。i計算鑑定人は,( )被告大東貿易の会計帳簿及び原始証憑に基づき輸入数量,輸入原価及び項目別輸入経費について調査した結果,上記--輸入原価以外の輸入経費は,会計帳簿上,販売費に属する各勘定にて分散的に処理されており,輸入経費として商品別,月別に把握することは困難であり,販売経費についても,被告の資料管理状態では,特に商品別に管理をしておらず,そのような必要性もない事業規模であったため商品別に把握することはできないと判断し,また,月別の把握も平成13年2月期及び平成17年2月期以外は月次試算表が存在,FESTIVALせず,月次での把握が困難であったものの「」等の輸入譲渡は被告大東貿易の主要事業であったと推察されたため,被告大東FESTIVAL貿易の財務状況から「」等の輸入・譲渡に関する諸経費をii推測することとしたこと,( )事業年度ごとの販売経費は,確定申告書に基づき把握し,その結果,販売費として,販売員給与,販売員旅費,広告宣伝費,容器包装費,発送配達費,その他販売費が確認されiiiたこと,()上記各項目のうち販売員給与以外の項目についてはすべて変動費であると判断され,また,販売員給与については,固定費的要素が含まれると考えられるものの,被告大東貿易の売上高との関連性では必ずしも固定的に発生しているとは判断できない状況にあったivこと,()したがって,販売経費を合理的に固定経費と変動経費に区分して把握することは困難であると考えられたため,販売員給与も含めた上記販売経費すべてが売上高に占める割合を求め,それを貢献利v益算定のための変動費及び個別固定費としたこと,( )上記販売経費は,平成15年2月期のみ販売員給与の負担が大きく突出しているものの,概ね5%台後半から7%台前半で推移しており,各期平均の販売費割合は売上高の7%であることから,上記販売経費を売上高の7%と判断している(計算鑑定書2,4,6,7ページ。)計算鑑定の結果によれば,被告大東貿易は,詰替品を輸入販売することを主たる業務とし,その年間総売上げ額が,平成12年度3億7--881万7000円,平成13年度3億9436万5000円,平成14年度4億4177万円,平成15年度2億5151万円,平成16年度2億4878万9000円の比較的小規模な会社である(計算FESTIVAL鑑定書4ページ)。そして,この売上高の中で被告ら製品(及びトロウ君)が占める割合は,別紙C「被告大東貿易に係る変動経費について」にあるように,平成13年2月期には約69%であったのが平成14年2月期は約35%平成15年2月期には約33%,,,平成16年2月期には約25%と低下したものの,約7割から2割5分程度を占めていたものである(ただし,平成17年2月期には約5%に減少している。)。FESTIVAL被告大東貿易の全売上高の中で被告ら製品(「」及び「トロウ君)の売上高の占める割合が,平成13年2月期から平成16」年2月期までの間,上記のとおり,7割から2割5分であったことを考慮すると,販売員給与のうち,全売上げに占める被告ら製品の売上げの割合に相当する分は,被告ら製品の輸入販売と相当因果関係にある費用であると認めるのが相当であり,これらは個別固定費に該当するものと認められる。また,販売員旅費,広告宣伝費,容器包装費,発送配達費はいずれも変動費であり,全売上げに占める被告ら製品の売上げの割合に相当する分は,被告ら製品の販売と相当因果関係のある費用と認められる。以上からすれば,計算鑑定書が,販売員給与については,固定費的要素が含まれると考えられるものの,被告大東貿易の売上高との関連性では必ずしも固定的に発生しているとは判断できない状況にあったことから,販売員給与も含めた上記販売経費すべてが売上高に占める割合を求め,各期平均の販売費割合が売上げ高の7%であると認めたことは相当である。--これに対し,承継参加人は,被告らは輸入した被告ら製品をそのまま販売しているにすぎないから,変動費は特にかかっていないと考えられ,原告調査結果に基づく1個あたりの販売マージン60円がそのまま被告らの限界利益になると主張する。しかし,輸入した製品をそのまま販売する場合にも販売に伴う経費が発生するのが通常であると考えられ,実際,計算鑑定結果によっても,販売員旅費等販売に伴う変動経費が発生していることは明らかであるから,販売マージンをそのまま限界利益と解するべきとの承継参加人の主張は採用することができない。また,承継参加人は,被告大東貿易が,被告ら製品以外の他のレンズ付きフィルム詰替品を輸入販売していることから,販売員給与は,被告ら製品との関係のみにおいて発生するものではなく,固定費であり,経費として控除されるべきではない,と主張する。しかし,被告大東貿易の全売上高に占める被告ら製品の占める割合が,主要な期間において前記のように7割から2割5分もあることからすれば,販売員給与は被告ら製品の販売と相当な因果関係のある費用とみるべきであり,個別固定費として,全売上げに占める被告ら製品の売上げの割合分でこれを考慮するのが相当である。さらに,承継参加人は,発送配達費についても,年毎に伸びていることからこれを変動費とみることはできない,と主張する。確かに,全体の売上額が減少している平成16年2月期及び17年2月期において,発送配達費が伸びているのはいささか奇異であるものの,金額的には僅少であり,全体への影響は少ないことから,上記認定の経費割合の7%を変更するほどの必要はない。そうすると,控除すべき変動経費の額は,別紙C「被告大東貿易に係る変動経費について」の「変動経費」欄記載の額であると認められ--る。b) 被告ハマ・コーポレーションについて①仕入原価被告ハマ・コーポレーションは,被告ら製品を被告大東貿易から購入(仕入れ)して販売しているから,その仕入原価が控除されるべきことは明らかである。そして,上記認定の事実からすれば,仕入の際の単価は被告大東貿易の平均販売価格に等しいか,これよりも低額になるはずである。しかし,計算鑑定書2ページ(2)「ハマ・コーポレーションにおける仕入れ状況」に記載された,被告ハマ・コーポレーションの仕入台帳の記載に基づく仕入金額及び仕入数量から算出された仕入平均単価は,,被告大東貿易の平均販売価格(計算鑑定書3ページ(3)「大東貿易の平均販売価格」参照)より高額である。また,上記計算鑑定書3ページ記載の被告大東貿易の平均販売価格は,被告ハマ・コーポレーション以外に対する売上高及び販売数量を基に算出されたものであるが(計算鑑定書3ページ注3参照,被告ハマ・コーポレーション向け)の売上高及び販売数量をも併せた売上高,販売数量をもとに計算して,FESTIVALみても「」及び「トロウ君」の平均販売価格は,上記計算鑑定書3ページ記載のそれとほぼ同様であり(別紙A「被告らにおける譲渡数量,売上高,平均販売価格について」の被告大東貿易に関FESTIVALする表の「平均販売価格」欄及び「トロウ君平均販売価格」欄参照,被告ハマ・コーポレーションの仕入台帳の記載はこれと矛)盾する。加えて,被告ハマ・コーポレーションの仕入れについては,同社の仕入台帳に基づき算出されたものであるものの,平成13年2月期から平成15年2月期までの間の「トロウ君」の仕入れが20個しかないのに比べ,平成15年2月期の「トロウ君」の譲渡数量は1--800個あること(計算鑑定書2,4ページ)などからみて,被告ハマ・コーポレーションの仕入台帳の記載には不備な部分が多いこと,計算鑑定人も,計算鑑定書3ページ記載の平均販売価格を用いて粗利益を算定する旨の意見を述べていること(計算鑑定書の補充書2の5ページ*11,6ページ*15)も考慮すれば,仕入単価は,計算鑑定書3ページ記載の被告大東貿易の平均販売価格であると認めるのが相当である。ただし「トロウ君」の平成14年2月期の平均販売価,格370円は,同期の販売個数が120個と他の期に比べ極めて少量であったことに起因するイレギュラーな数値と考えられるから,これをそのまま用いるべきでないが,平成13年2月期は「トロウ君」を含め被告ら製品の売上げが最も多かった時期で,平成14年2月期以降減少傾向にあったこと別紙A(「被告らにおける譲渡数量,売上高,FESTIVAL平均販売価格について」の被告大東貿易に関する表の「売FESTIVAL上高」,「譲渡数量」,「トロウ君売上高」,「トロウ君譲渡数量」欄参照)からすれば,平成14年2月期については,減少傾向にあり,平均販売価格が判明する最も近接した時期である平成16年2月期の販売価格232円を用いて仕入原価を算定すべきであり(計算鑑定書の補充書2の6ページ*15参照,被告大東貿易による販売)の事実が認められない平成15年2月期の「トロウ君」の平均販売価格も,同様の考え方に基づき,平成16年2月期の販売価格232円を用いるのが相当である。なお,例えば平成15年2月期に販売したものが平成14年2月期に仕入れたものの在庫であった場合には,仕入原価は,当該譲渡数量に平成14年2月期の仕入単価(被告大東貿易の平均販売価格)を乗じて算出するのが正確であろうが,本件においては被告らの在庫記録が不適切であったため,上記のような計算を行うのは困難であり,また,算出される金額が少額であるため大きな--差異はないと考えられるのであるから(計算鑑定書9ページ,計算鑑定書の補充書の2ページ,仕入原価は,各期の譲渡数量に当該期の)被告大東貿易の平均販売価格を乗じて(例えば,平成14年2月期の譲渡数量に平成14年2月期の被告大東貿易の平均販売価格を乗じて)算出することとする。したがって,被告ハマ・コーポレーションの仕入原価を算出する際,FESTIVALの仕入単価は「」については,平成13年2月期が263円,平成14年2月期が255円,平成15年2月期が260円,平成16年2月期が233円,平成17年2月期が220円であり,「トロウ君」については,平成13年2月期が274円,平成14年2月期ないし平成16年2月期が232円,平成17年2月期が231円となる。そして,被告ハマ・コーポレーションが販売した被告ら製品の譲渡数量は,計算鑑定結果によれば,別紙A「被告らにおける譲渡数量,売上高,平均販売価格について」の被告ハマ・コーポレーションに関FESTIVALする表の「譲渡数量」欄及び「トロウ君譲渡数量」欄に記載したとおりであると認められる(計算鑑定書4ページ。)したがって,仕入原価は,上記認定の仕入単価(被告大東貿易の平均販売価格)に上記被告ハマ・コーポレーションにおける販売数量を乗じた額であると認められるところ,その額は,別紙B「損害計算表FESTIVAL1」の被告ハマ・コーポレーションに関する部分の「仕入原価」及び「トロウ君仕入原価」欄記載のとおりである(計算鑑定書の補充書2の5ページ*11,6ページ*15参照。)②販売に係る経費a販売に係る経費については,前記)②と同様の考え方に基づき,貢献利益を算定すべきである。--ただし,計算鑑定の結果(計算鑑定書4ページ(4)ハマ・コーポレーションにおける譲渡数量,売上高,販売価格,10ページ(5)財務状況についてのハマ・コーポレーションに関する表)によれば,被告ハマ・コーポレーションの被告ら製品の売上高は,別紙D「被告ハマ・コーポレーションに係る変動経費について」認定のとおり,全体の売上高の0.2%から11%の間を変動しており,全期間を通じて平均しても6.8%を占めるにすぎない。このように,被告ら製品の全売上げ中に占める割合が低い場合は,販売員給与は,被告ら製品の販売がなかったとしても生じる経費であって,被告ら製品の販売と相当な因果関係にある経費とみることはできず,単なる固定費であり,経費として差し引くのは相当ではない。計算鑑定人は,被告ハマ・コーポレーションにおける販売に係る変動経費についても,被告大東貿易に関するそれと同様の考え方に基づき,販売員給与,広告宣伝費,容器包装費,発送配達費,他販売費をすべて変動経費として判断している(計算鑑定書8ページ,計算鑑定書の補充書2の5ページ*12,7ページの*16。しかし,このうち,販売員給与は経費として差)し引くべきではないから被告ハマ・コーポレーションの経費割合は,,別紙D「被告ハマ・コーポレーションに係る変動経費について」のとおりとなり被告ら製品の売上げに対し57%であると認められる,.。承継参加人は,計算鑑定における経費割合の認定については,被告大東貿易に関するそれと同様に論難している。しかし,輸入した製品をそのまま販売する場合にも販売に伴う経費が発生するのが通常であると考えられ,実際,計算鑑定結果によっても,広告宣伝費等販売に伴う経費が発生していることが認められるから,販売マージンをそのまま限界利益と解するべきとの承継参加人の主張は採用することができないことは前同様である。また,発送配達費についてみると,その--推移は同別紙Dに示したとおりであり,やはり発送配達費の増減と被告ハマ・コーポレーション全体の売上げの増減とが関連しているものと認められるから,これについても被告大東貿易の発送配達費と同様に,変動経費として控除するのが相当である。したがって,被告ら製品の販売に係る変動経費として控除すべき項目は,前記計算鑑定結果に現れた販売費のうち,広告宣伝費,容器包装費,発送配達費及び他販売費であると認められる(発送配達費を除いたこれらの経費を変動経費として扱うことについては,承継参加人も争っていない。)。そして,これらの額は,計算鑑定結果によれば,別紙D「被告ハマ・コーポレーションに係る変動経費について」記載のとおりであると認められ(計算鑑定書8ページ【ハマ・コーポレーションの販売費内訳】の「広告宣伝費」,「容器包装費」,「発送配達費」,「他販売費」欄参照,その全体の売上高に占める割合の平均は)約5.7%であるから(同別紙「上記販売費の全体の売上高に占める割合」欄の備考参照,被告ら製品の売上高に占める変動経費の割合)aは,多く見積もったとしても,前記ア)認定の被告ら製品の売上高の5.7%を超えるものではないと認めるのが相当である。そうすると,控除すべき変動経費の額は,同別紙の「変動経費」欄記載の額であると認められる。ウ小括a)以上によれば,特許法102条2項に基づく損害額は,被告大東貿易による被告ら製品の輸入・販売に係る分については,上記認定の被告大東貿易における被告ら製品の各売上高から輸入原価及び個別固定費(販売員給与)及び変動経費を控除した額,被告ハマ・コーポレーションによる被告ら製品の販売に係る分については,上記認定の被告ハマ・コーポレーションにおける被告ら製品の各売上高から仕入原価及び変動経費--を控除した額に相当する額と認められる。その額は,別紙B「損害計算表1」の各被告に関する「損害額」欄記載のとおり,被告大東貿易による販売に係るものが,1940万5220円,被告ハマ・コーポレーションによる販売に係るものが,106万5851円である。b)そして,被告大東貿易による輸入・販売のうち被告ハマ・コーポレーションに対する販売に係る行為及び被告ハマ・コーポレーションによる販売は,被告ハマ・コーポレーションが被告ら製品をすべて被告大東貿易から購入して販売していること,被告大東貿易の取締役が被告ハマ・コーポレーションの代表取締役であること,本件以前から,被告大東貿易は,訴外株式会社フィールテックが製造した本件特許権1を侵害する製品を輸入し,被告ハマ・コーポレーションは,その発売元として販売していたもので,共同して,被告に対し,本件特許権1が無効であることを主張して特許権差止請求権不存在確認の訴えを提起したことなど(甲5に鑑みれば被告らの共同不法行為であることは明らかである),。他方,被告大東貿易による輸入・販売のうち,被告ハマ・コーポレーション以外の者に対する販売に係る行為については,被告らの共同不法行為であるとは認められない。すなわち,上記認定のとおり,被告らは密接な関係にあることは認められるものの被告らは別法人であること,,本件において,被告大東貿易の他者に対する販売に被告ハマ・コーポレーションも関与していたというような事情は何ら窺われないことからすれば,被告大東貿易による輸入・販売のうち被告ハマ・コーポレーション以外の者に対する販売に係る行為については,被告らの共同不法行為であると認めることはできない。c)したがって,被告らは,承継参加人に対し,被告大東貿易による被告ハマ・コーポレーションに対する販売に係る利益及び被告ハマ・コーポ--レーションによる販売に係る利益の限度で連帯して損害賠償の責を負うものであり,被告大東貿易による被告ハマ・コーポレーション以外の者に対する販売に係る利益については,被告大東貿易のみが損害賠償の責を負うものである。被告大東貿易による販売に係る損害合計1940万5220円のうち,被告ハマ・コーポレーションに対する販売に係る利益は,被告大東貿易による譲渡数量に被告ハマ・コーポレーションに対する譲渡数量が占める割合に応じて算出するのが相当である。そして,利益を算出する,FESTIVAL際に控除すべき費用のうち,輸入原価は「」及び「トロウ君」で異なるから,各商品の売上高のうち被告ハマ・コーポレーション向けの分から,各商品の輸入原価のうち被告ハマ・コーポレーション向けの分を控除すべきであり,その他輸入及び販売に係る経費は商品別に分けられていないから,被告ハマ・コーポレーション向けのFESTIVAL「」及び「トロウ君」の各売上げから上記各輸入原価を控除FESTIVALした額から,その他輸入及び販売に係る経費の額に「」及び「トロウ君」の譲渡数量合計に被告ハマ・コーポレーション向けのFESTIVAL「」及び「トロウ君」の譲渡数量合計が占める割合を乗じて算出した被告ハマ・コーポレーション向けの経費を控除し,被告ハマ・コーポレーション向けの販売に係る損害額を算出すべきである。FESTIVALそして,各期の「」の販売に,被告ハマ・コーポレーション向けのそれが占める割合は,別紙E「損害計算表2」の「割合①」欄記載のとおりであり,各期の「トロウ君」の販売に,被告ハマ・コーポレーション向けのそれが占める割合は,同別紙の「割合②」欄記載のとおりであり,各期の被告ら製品の販売全体に被告ハマ・コーポレーション向けの占める割合は,同別紙「譲渡全体に対する割合③」欄に記載したとおりである。よって,被告ハマ・コーポレーション向けの販売に係--る損害は,以下の計算式に基づき算出されるところ,その額は,同別紙「被告ハマ・コーポレーション向け販売に係る損害額」欄に記載した額(小数点以下切り捨て)であるから,これをもって,被告ハマ・コーポレーション向けの販売に係る損害と認めるのが相当であり,その合計額は,55万7768円である。〔計算式〕被告ハマ・コーポレーション向け販売に係る損害FESTIVALFESTIVAL=(各期売上高-各期輸入原価)×各期割合①+(各期トロウ君売上高-各期トロウ君輸入原価)×各期割合②-その他輸入及び販売に係る経費×割合③d) よって,被告大東貿易のみが賠償すべき額は,被告大東貿易による販c売利益額合計1940万5220円から上記)の被告大東貿易による被告ハマ・コーポレーション向けの販売による利益額合計55万7768円を差し引いた1884万7452円であり,被告らが連帯して賠償cすべき額は,上記)の被告大東貿易の被告ハマ・コーポレーション向け販売による利益の額55万7768円に被告ハマ・コーポレーションによる利益の額106万5851円を加えた,162万3619円である。
(2) 特許法102条3項に基づく損害額(予備的主張(争点3イ)について)承継参加人は,予備的に特許法102条3項に基づく実施料相当額の損害賠償を請求している。この承継参加人の予備的主張は,仮に,同条2項の利益の額の損害額が,同条3項に基づく実施料相当額の損害額より低い金額であるとすれば,同条3項の実施料相当額を請求するとの趣旨であるから(弁論の全趣旨,次に,同条3項の実施料相当額について判断する(特許権者)は,特許法102条各項に基づくいずれかの損害のうち,自己に有利なものを選択的に請求することが可能であると解すべきであるこのような解釈は。,--同条2項による利益の額が極めて僅少な金額となる場合もあること,及び,利益の額も,実施料相当額も,いずれもその認定は裁判所の判断に最終的に委ねられるものであり,特許権者が裁判所の最終的な判断を正確に予測し得るわけではないこと,特許権侵害が認定された場合は,損害を被った特許権者を合理的に保護すべきであることを考慮すれば是認されるべきである,。)。aア)実施料相当額の損害を算定する際に基礎とすべき実施料率について本件各特許権の内容・作用効果は,前記第2の1(2),第4の2(1)イaa),ウ)のとおりであり,それらにかんがみると,本件各特許権はいずれも原告製品において重要な役割を占めるものであることが明らかである。すなわち,本件特許権1は原告製品の基本構造に関わる重要な特許であり,本件特許権2も,原告製品を特徴付ける重要な特許であると認められる。また,本件特許1が出願された昭和62年当時のレンズ付きフイルムユニットの国内販売数は年間数百万個であったが,その翌年には年間1000万個を越え,以後急速にその販売数は増加し,近年デジタル撮影機器が急速に普及したことに伴い販売数が減少しているとはいえ,平成16年でも年間約6000万個が販売されており,カラーネガフイルムに占めるレンズ付きフイルムユニットの率は増加していること(甲8)などからみて,原告製品が,消費者に広く受け入れられ,多額の売上げをあげていると認められ,以上からすれば,本件各特許権の実施料率を低く算定するのは相当ではない。また,カメラ等の精密機械器具の実施料率の平均は,イニシャルありの場合は5.3%,イニシャルなしの場合は6.8%で,いずれの場合も5%台とする例が最も多い(実施料率が8%以上の例の大半は技術ではなく商標に関わるものであり,技術に関する例の中でも大半は,メガネ,サングラス,時計,計測器等カメラ以外に関するものである(甲25の1ないし4)。)。--以上の事情を総合考慮すれば,本件各特許権侵害において,実施料相当額の損害を算定するに当たり基礎とすべき実施料率は,本件特許権1について5%,本件特許権2について3%と認めるのが相当である。b) 損害額算定の基礎とすべき被告ら製品の各年度(前年の3月から当年の2月までの間)毎の売上高は,別紙A「被告らにおける譲渡数量,売FESTIVAL上高,平均販売価格について」の各被告別の表の各「売上高」欄及び「トロウ君売上高」欄にそれぞれ記載したとおりであると認められる(前記(1)ア。)そして,前記のとおり,本件特許1は,平成6年10月7日登録で現在まで存続し,本件特許2は,平成13年5月25日登録で現在まで存続しているものであるから,平成12年3月分から平成13年5月分までは,被告ら製品の売上高に本件特許権1のみの実施料率5%を乗じて損害額を算定し,平成13年6月以降の分は本件特許権1及び2の実施料率合計8パーセントを乗じて損害額を算定すべきである。平成13年2月から同年5月までの月別の売上高,平成13年6月から平成14年2月までの間の月別の売上高は,計算鑑定の結果によれば,別紙F「損FESTIVAL害計算表3」の各被告別の表の各「売上高」欄及び「トロウ君売上高」欄にそれぞれ記載したとおりであると認められる(計算鑑定FESTIVAL書添付資料1(1)の月別・取引先別売上状況-大東貿易,
(2)FESTIVALトロウ君の月別・取引先別売上状況-大東貿易,同2(1)の月別・取引先別売上状況-ハマ・コーポレーション,
(2)トロウ君の月FESTIVAL別・取引先別売上状況-ハマ・コーポレーション,
(3)等の月別仕入状況-ハマ・コーポレーション。)。c)以上によれば,特許法102条3項に基づく損害額は,別紙F「損害計算表3」の各被告に関する表の「損害額」欄記載のとおりであり,被告大東貿易による輸入・販売に係るものが,4034万6250円(1--546万1850円と2488万4400円の合計,被告ハマ・コー)ポレーションによる販売に係るものが,94万3630円(3550円と94万0080円の合計)である。被告大東貿易が支払うべき損害額は,特許法102条2項に基づく損害額が1940万5220円であり,同条3項に基づく損害額が4034万6250円であるから,被告大東貿易については同条3項に基づく予備的主張に係る損害額を認めることになる。一方,被告ハマ・コーポレーションが支払うべき損害額は,特許法102条2項に基づく損害額が106万5851円であり,同条3項に基づく損害額が94万3630円であるから,被告ハマ・コーポレーションについては,同条2項に基づく主位的主張に係る損害額を認めることになる。イ共同不法行為による損害についてa)被告大東貿易による輸入・販売のうち被告ハマ・コーポレーションに対する販売に係る行為及び被告ハマ・コーポレーションによる販売は,前記認定のとおり,被告らの共同不法行為である(被告大東貿易による輸入・販売のうち,被告ハマ・コーポレーション以外の者に対する販売に係る行為については,被告らの共同不法行為であるとは認められないことも前記認定のとおりである。)。したがって,被告らは,承継参加人に対し,被告大東貿易による被告ハマ・コーポレーションに対する販売及び被告ハマ・コーポレーションによる販売により生じる損害についてのみ連帯して損害賠償の責を負うものである。b)特許権侵害行為について複数の被告間に共同不法行為が認められる場合における損害額の算定については,特許法102条2項に基づく利益の額の損害賠償請求の場合においては複数の被告の損害額利益の額,()を合算した損害額について連帯して賠償を認めるべきであり,また,同--条3項に基づく実施料相当額の請求の場合には,通常もっとも高額となる末端の販売額に実施料率をかけた実施料相当額を上限とした損害額について連帯してその賠償を認めるべきである。また,本件のように,被告大東貿易について実施料相当額の損害賠償を認め,被告ハマ・コーポレーションについて,利益の額を損害とする賠償を認め,被告ハマ・コーポレーション販売分についてのみ共同不法行為を認める場合においては,両者の行為を共同不法行為として一体としてみる以上,上記の二つの類型のいずれかのうち,もっとも高額な損害額すなわち本件においては双方の利益の額(損害額)を合算した損害額を上限として,連帯してその賠償を認めるべきである。本件においては,被告大東貿易による販売に係る損害合計4034万6250円のうち,被告ハマ・コーポレーションに対する販売に係るものについての実施料相当額は,別紙F「損害計算表3」の被告大東貿易に関する表の「損害額:被告ハマ・コーポレーション向け」欄記載のとおりであり,その合計は,91万4810円であるが,その販売行為により得た利益の額は,前記認定のとおり,55万7768円である。また,被告ハマ・コーポレーションの販売行為により生じた損害は,前記のとおり,利益の額106万5851円である。そうすると,被告らが連帯して賠償すべき額は,被告大東貿易が支払うべき実施料相当額91万4810円のうち,利益の額の相当する内金55万7768円に,前記被告ハマ・コーポレーションによる販売に係る損害106万5851円を加えた,162万3619円である。なお,被告大東貿易のみが賠償すべき損害は,被告大東貿易による輸入・販売に係る損害額4034万6250円から上記55万7768円を差し引いた3978万8482円(4034万6250円-55万7768円)である。
(3)小括--以上のとおり,被告大東貿易については,特許法102条2項に基づく損害額よりも同条3項に基づく損害額のほうが多額であるので,予備的主張である同条3項に基づく損害額をもって,被告らの行為によって本件各特許権が侵害されたことによる損害の額と認め,被告ハマ・コーポレーションについては,特許法102条2項に基づく損害額の方が多額であるので,主位的主張である同条2項に基づく損害額をもって,本件各特許権が侵害されたことによる損害の額と認め,また,両者が連帯して支払うべき損害額については,それぞれが侵害行為により得た利益の合算額を上限として認めることとする。
第5 結論
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官設樂隆一
裁判官古河謙一--
裁判官間史恵--
出典: 平成17年(ワ)第15327号 裁判所ウェブサイト掲載の判決文 →