特許申請するには、発明をした人の氏名等を書いた願書に特許を取りたい発明の内容をまとめた書面を添付して特許庁に提出します。願書には、発明を詳細に説明した明細書と、発明のエッセンスを書いた特許請求の範囲と呼ばれる書面と、発明の要点をまとめた要約書を添付します。必要に応じて発明の理解を助ける図面も添付します。
特許申請後には、申請した発明が特許に値するかを審査して貰うため、特許申請の番号などを記載した審査請求書を特許庁に提出します。審査請求書の提出後、暫くすると、審査結果が通知されます。
特許を認めないとの結果ならば、審査結果に応じて特許を取りたい発明の内容を直す書面や、直した発明で特許が認められることを説明した書面を特許庁に提出します。すると、再び、審査がされます。
特許を認めても良いとの結果が出たなら、特許料と呼ばれる料金を納付する特許料納付書を特許庁に提出すると、特許を取得できます。
特許申請の方法
特許申請するには、発明をした人の氏名等を書いた願書に特許を取りたい発明の内容をまとめた書面を添付して特許庁に提出します。
1.特許申請の前に検索をする
既に世の中にあるアイデアや発明と同じものを特許申請しても特許が認められません。無料で使えるデータベースの特許情報プラットフォームを使って同じようなアイデアや発明があるかを調べましょう。
特許情報プラットフォームの使い方などは、無料の特許データベース3選と各データベースでの特許の検索方法の記事を参考にして下さい。
特許情報プラットフォームを上手に使えない方は、弊所の無料相談をご利用下さい。無料相談の中で簡易に調査をさせて頂くことも可能です。
2.特許申請の申請書類を作成する
調べた結果、同じようなアイデアや発明が見つからなければ、特許の申請書類を作成しましょう。作成する申請書類としては、発明をした人の氏名等を書いた願書と、特許を取りたい発明の内容をまとめた書面を作成します。
調べた結果、同じようなアイデアや発明が見つかった場合は、特許申請を諦めるのも1つの方法です。特許申請を目指す場合は、アイデアを煮詰めて、オリジナリティーの高いものにした上で、申請書類を作成しましょう。
2-1.願書を作成する
発明をした人の氏名等を書いた願書を作成します。願書などの申請書類を作成する場合には、特許出願書類の書き方ガイドを参考にしても良いでしょう。
2-2.明細書を作成する
特許を取りたい発明を詳細に説明した明細書を作成します。
2-3.特許請求の範囲を作成する
特許を取りたい発明のエッセンスを書いた特許請求の範囲と呼ばれる書面を作成します。
2-4.要約書を作成する
特許を取りたい発明の要点をまとめた要約書を作成します。
2-5.必要に応じて図面を作成する
必要に応じて、特許を取りたい発明の理解を助ける図面を作成します。
申請書類にはノウハウを書かないように注意
特許申請をすると、申請から1年半後に申請内容がインターネット上に公開されます(参考:特許が公開される理由と公開された特許の調べ方)。
ノウハウにして守りたい内容は申請書類に書かないように注意しましょう。ノウハウにすべきか特許を取るべきかについては、ノウハウにすべきか特許を取るべきか…判断基準を簡易に解説の記事を参考にして下さい。
発明の内容に応じた特許申請のポイント
システムについて特許申請を考えている場合には、システムの特許を取るときに気を付けるべき3つのポイントの記事を参考にして下さい。
WEBサービスや飲食店などのサービスについて特許申請を考えている場合には、サービス業での特許の取り方を実例とともに説明の記事を参考にして下さい。
製品のデザインについて特許申請を考えている場合には、デザインに関する特許の取り方と特許が取れない場合の対策の記事を参考にして下さい。
上記以外の発明について、特許申請のポイントを知りたい場合は、弊所の無料相談をご利用下さい。
3.特許申請をする
申請書類が完成したら、作成した申請書類を特許庁に提出します。提出方法は、郵送・持参・インターネットを使う、の3つの方法があります。
申請書類を特許庁に郵送
郵送の場合には、14,000円分の特許印紙(特許庁、郵便局、一般社団法人発明推進協会で購入可能)を貼った願書と、その他の申請書類を封筒に入れて特許庁に郵送します。送り先は、〒100-8915、東京都千代田区霞が関三丁目4番3号、特許庁長官宛です。
郵便局で特許印紙を購入する場合、特許印紙を置いていないところが多いので、近隣の大きな郵便局に問い合わせて確認すると良いでしょう。
郵便局の窓口で封筒に押される消印(日付印)の日付が特許の申請日となります。消印がかすれて日付がわからない場合は、特許庁に書類が到達した日が申請日になります。同じ発明が複数、特許申請された場合、申請日が早い人に特許が認められます。
消印がかすれるのが心配な人は、郵便局の窓口に提出した日を証明できる簡易書留、書留、特定記録郵便などを利用しても良いでしょう。また、封筒の表面に出願関係書類在中と朱書きして、郵便物の取違を防ぎましょう。
特許庁に持参
申請書類と14,000円と本人確認できる免許証などを持参して特許庁に行きます。特許庁に入館するには、特許庁の受付で受付票の記入や本人確認などが必要です。特許庁のホームページの特許庁へのアクセスと入館案内を確認しておくと良いでしょう。
特許庁に入館できたら、1階の特許印紙販売所で14,000円分の特許印紙を購入して願書に特許印紙を貼り、1階にある出願課受付カウンターに申請書類を提出しましょう。受付時間は、平日の9時から17時です。
インターネットで申請
インターネットで申請する場合は、最寄りの知財総合支援窓口にある専用のパソコンを借りてインターネットで申請をします。支援窓口の担当者が特許申請を無料でサポートしてくれます。
個人名義で特許申請する場合には、マイナンバーカードが必要です。マイナンバーカードの取得方法は、マイナンバーカード総合サイトで確認しましょう。
法人名義で特許申請する場合には、商業登記に基づく電子証明書が必要です。商業登記に基づく電子証明書の取得方法は、法務省のホームページの電子証明書取得のご案内で確認しましょう。
マイナンバーカードなどの準備ができたら、知財総合支援窓口に連絡をして、インターネットで特許申請したい旨を伝えて特許申請する日時を予約しましょう。当日、窓口担当者のサポートを受けて特許申請します。
・wordで作成した願書、明細書、特許請求の範囲、要約書の電子データ
・ ビットマップ又はJPEG形式で保存した図面の電子データ又はA4の紙で作成した図面(図面がある場合)
・申請書類の電子データを記録したUSBメモリ
・マイナンバーカード又は電子証明書と設定したパスワード
・特許申請の費用(14,000円)※特許庁に支払う費用
専用のソフトを自宅のパソコンにインストールして自宅で特許申請をする方法もありますが、初心者の方は、特許申請を無料でサポートしてくれる知財総合支援窓口の利用をおすすめします。
4.郵送及び持参の場合は手数料を支払う
郵送又は持参で特許申請した場合には、紙で提出した書面を電子化するための手数料を支払う必要があります。料金は、1,200円+700円×申請書類の枚数です。申請後1~2週間以内に振込用紙が送付されるので、振込をします。インターネットで特許申請した場合は、電子化の手数料は不要です。
特許申請後から特許取得までの手続き
1.審査請求の手続き
特許申請後には、先ず、申請した発明が特許に値するかを審査して貰うため、特許申請(特許出願)の番号などを記載した審査請求書を特許庁に提出します。
特許申請して審査結果が出るまでの期間
特許申請後、直ぐに審査請求書を提出すれば、特許申請から1年2ヵ月程度で審査結果が通知されます。個人や中小企業の場合は、早く審査をして貰うこともでき、早い審査ならば、特許申請から2ヶ月程度で審査結果が通知されます。
2.特許申請の審査結果に対する手続き
特許を認めないとの審査結果が通知された場合は、審査結果を踏まえて特許を取りたい発明の内容を修正する書面(手続補正書)や、修正した発明で特許が認められることを説明した書面(意見書)を特許庁に提出します。提出すると、再び、審査がされます。
3.特許料の納付手続き
特許を認めても良いとの審査結果が通知された場合は、特許料と呼ばれる特許を登録するための料金を納付する特許料納付書を特許庁に提出すると、特許を取得できます。
特許申請を個人でやるか弁理士に代行してもらうか
特許申請を個人でやるならば、特許申請から特許取得までの手続きを全て自分自身でやる必要があります。特許申請を弁理士に代行してもらう場合には、特許申請から特許取得までの手続きを代行してもらえます。
個人でやる場合と弁理士に代行してもらう場合のメリットをデメリットを把握した上で、個人でやるか弁理士に代行してもらうかを決めると良いでしょう。
特許申請を個人でする場合
特許申請を個人でする場合には、費用面でメリットがあるのに対して、申請書類の作成面などでデメリットが一般的にあります。
個人で特許申請する場合のメリット
個人で特許申請する場合のメリットには、費用面でのメリットがあります。
特許申請の費用を抑えることができる
個人で特許申請することで、特許申請にかかる費用を抑えることができます。一般的な特許申請であれば、3万円以内に費用を抑えることができます。
個人で特許申請する場合のデメリット
個人で特許申請する場合のデメリットには、申請書類に不備がでたり、時間と手間がかかるなどがあります。
特許申請の申請書類に不備が出やすい
作成した申請書類の不備により、特許が取れるはずの発明なのに特許が取れなくなったり、守れるはずの発明が十分に守れなくなることがあります。
守れるはずの発明が十分に守れなくなるということについては、特許とは?弁理士が初心者にむけてわかりやすく解説との記事の「4-2.特許を使う際に注意すべきこと」を参考にして下さい。
申請書類の作成などに時間と手間がかかる
特許申請の申請書類の作成や、特許申請をする前の調査などに時間や手間がかかります。
無駄な特許申請をしてしまう場合がある
特許申請前に行う調査の不備により、同じ発明が既に特許申請されているのを知らずに特許申請してしまい、特許申請の費用と時間を無駄にすることがあります。
特許申請を弁理士に代行してもらう場合
特許申請を弁理士に代行してもらう場合には、申請書類の作成面などでメリットがあるのに対して、費用面などでデメリットが一般的にあります。
特許申請を弁理士に代行してもらうメリット
弁理士に特許申請を代行してもらう場合のメリットには、申請書類の作成などやってもらえるなどのメリットがあります。
適切な申請書類を作成してもらえる
弁理士に適切な申請書類を作成してもらうことで、特許が取れるはずの発明なのに特許が取れなくなる事態を防ぐことができます。
面倒な作業を全部やってくれる
特許申請前の調査、申請書類の作成、申請書類の提出など、面倒な作業は弁理士がやってくれます。
無駄な特許申請するのを回避できる
特許申請前の調査を弁理士がしてくれる場合には、適切な調査が期待できます。調査で同じ発明が見つかった場合には、特許申請を見送ることで、無駄な特許申請を回避できます。
特許申請を弁理士に代行してもらうデメリット
弁理士に特許申請を代行してもらう場合のデメリットには、費用が高くなるなどがあります。
特許申請の費用が高くなる
特許申請を弁理士に依頼すると、特許申請の費用が高くなります。因みに、当サイトを運営する弊所では、特許申請するのに35万5千円(税込)かかります。当サイトを運営する弊所の特許申請サービスをご希望の場合には、無料相談をご利用下さい。
弁理士を探すのに手間がかかる
弁理士に依頼したことがない人ならば、信頼できる弁理士を探すのに時間と手間がかかるでしょう。
特許申請を自身でやるか弁理士の代行を使うか検討しよう
特許申請をするには、先ずは、特許申請を検討している発明と同じものが既に特許申請されていないかを調査します。調査して問題がない場合には、特許申請する発明をした人の氏名等を書いた願書に特許を取りたい発明の内容をまとめた書面を添付して特許庁に提出します。
特許申請をするには、事前に調査をしたり、申請書類を作成したりする必要がありますが、自分自身で特許申請をするのか、弁理士に代行をしてもらうのかにより、やるべきことが違ってきます。先ずは、自身で特許申請をするのか、弁理士に代行してもらうかを検討してみましょう。
当サイトを運営する弊所の特許申請サービスにご興味がある場合には、名古屋市や愛知県で特許申請の依頼ができる特許事務所の記事をご覧下さい。愛知県から遠方のお客様にも対応しております。