← 前
その他 (18/46件)
次 →
独自調査 その他

意匠権(収納容器)

3.5% 認定料率
▼寄与度低
事件番号 令和3年(ワ)第20229号
判決日 2024/10/30
裁判所 東京地裁
認容額 944万5,358円

📋 判決要旨

判決日: 2024年10月30日 | 裁判所: 東京地裁 | 料率: 3.5%(意匠法39条3項)

生活雑貨メーカーの八幡化成が、100円ショップ大手の大創産業(ダイソー)に対し、収納容器「バルコロール」の意匠権(第1472070号)侵害を理由に差止め及び損害賠償を求めた事件。原告商品は軟質合成樹脂製の逆楕円錐台形ソフトバスケットで縄紐の把手付き。被告商品(ダイソーのソフトバスケット)も類似形状だが、原告意匠の特徴である上辺の湾曲(=正面・背面で両端から中央へ緩やかに弧を描き、側面では中央が立ち上がる「船のようなカーブ」)がなく直線的。裁判所は両意匠を類似と認定し、差止め・廃棄を認容したが、損害額の大部分を覆滅(=侵害者の利益のうち、意匠以外の要因による部分を差し引くこと)した。

料率の決め方:(意匠法39条2項=侵害者の利益に基づく損害推定、39条3項=覆滅部分のうちライセンス可能な部分の実施料相当額)

  • 📊 基準: 帝国データバンク「知的財産の価値評価を踏まえた特許等の活用の在り方に関する調査研究報告書」(=[経産省2010年調査報告書](https://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/guideline/list15.html))「個人用品または家庭用品」の特許権ロイヤリティ平均値3.5%
  • ⚖️ 料率の評価: 裁判所は、上記統計が特許権に関するもので意匠権ではないこと、「個人用品または家庭用品」に収納容器以外も含まれることを指摘しつつ、事後的に定められるべき使用料率は通常より高額になることも考慮し、3.5%を相当と認定
  • 📉 覆滅: 8割(意匠の購買動機への寄与は2割)
  • 📉 覆滅事由: 市場の非同一性 — 原告商品1,210〜4,950円 vs 被告100〜500円で価格差4〜20倍超、販売経路も異なり、価格差は需要者の購買動機に相当程度影響(ただし両者とも数百円〜数千円の比較的購入しやすい価格帯であり、覆滅割合が非常に大きくなるとは考え難いとも指摘)
  • 📉 覆滅事由: ダイソーのブランド力・営業努力 — ブランド総合力全国5位(USJ・Google・ユニクロ・ディズニーに次ぐ)、国内4,092店舗、年間売上5,493億円で、被告商品の売上に相当程度影響
  • 📉 覆滅事由: 被告商品は原告意匠の一部のみ使用 — 要部の一つである上辺形状が異なり(直線 vs 湾曲)、原告意匠が被告商品の売上に寄与した程度は限定的
  • 競合品の存在: 被告は多数の競合品を主張 → 裁判所は認めず(具体的な市場シェアが不明で、他の収納容器が多数販売されているだけでは覆滅を認められない)
  • 侵害品の機能面・色彩: 被告は需要者が外観より機能面や色彩を重視すると主張 → 裁判所は認めず(被告商品は白色のみで特別な色彩はなく、収納容器として特別な機能も有していないため、これらが売上に寄与したとは認められない)
  • ⚖️ 39条3項の適用範囲: 覆滅8割のうち、市場の非同一性+営業努力による部分は「原告が自ら販売できなかったが、ライセンスすれば対価を得られた部分」として39条3項を適用。一方、意匠の一部のみ使用による部分は「そもそも意匠が売上に寄与していない部分」であり、ライセンスしても対価が発生しないため3項適用なし。3項の基礎売上は国内売上の7割+海外売上=4,564万円
  • 結論: 使用料率3.5%。39条2項損害(限界利益×寄与割合2割)+39条3項損害(4,564万円×3.5%=159万円)+弁護士費用100万円

認容額944万5,358円。差止め・廃棄も認容。

⚖️ 注意: 控訴審(令和6年(ネ)第10086号)で原判決取消・原告全面敗訴(意匠非類似と判断)。

📜 判決文全文

⚠️ 本文はPDFから自動抽出し、プログラムで一括クリーニング処理を行ったものです。変換精度の限界により、誤字・脱字・書式崩れが含まれる場合があります。正確な内容は裁判所公開の原文PDFをご確認ください。

原告の主張
被告の主張
裁判所の判断
▼ 判決文全文(クリックで折りたたみ)
主 文

1被告は、別紙被告商品目録記載の商品を製造し、輸入し、使用し、譲渡し、

貸し渡し、若しくは輸出し、又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。

2被告は、別紙被告商品目録記載の商品を廃棄せよ。

3被告は、原告に対し、944万5358円及びこれに対する令和3年9月4

日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。

4原告のその余の請求を棄却する。

5訴訟費用は、これを10分し、その3を原告の負担とし、その余を被告の負

担とする。

6この判決は、第3項に限り、仮に執行することができる。
第1 請求

1主文第1項及び第2項と同旨

2被告は、原告に対し、1440万3000円及びこれに対する令和3年9月

4日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
第2 事案の概要


1事案の要旨本件は、意匠に係る物品を「収納容器」とする意匠登録第1472070号の意匠権(以下、「原告意匠権」といい、原告意匠権に係る意匠を「原告意匠」という。)を有する原告が、被告による別紙被告商品目録記載の商品(以下、「被告商品」といい、被告商品に係る意匠を「被告意匠」という。)の販売等は原告意匠権を侵害すると主張して、被告に対し、意匠法37条1項及び2項に基づき、被告商品の販売等の差止め及び廃棄を求めるとともに、損害金1440万3000円(意匠法39条2項又は3項により算定される損害額1140万3000円及び弁護士費用に係る損害額300万円)及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和3年9月4日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

2前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠(以下、書証番号は特記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者原告は、プラスチック製品の製造、加工、販売を行う株式会社である。

被告は、日用雑貨、文具、玩具、化粧品及び手芸用品の卸売業並びに小売業等を行う株式会社である。
(2) 原告意匠権(甲5ないし8)原告は、平成24年6月5日、原告意匠に係る意匠登録出願(意願2012-13320。以下「本件出願」といい、本件出願を行った日のことを「本件出願日」という。)をし、同年11月16日付けの拒絶理由通知に対し、同年12月14日に意見書を提出し、平成25年4月25日付けで意匠登録査定を受けた。以上の経過により、原告は、次の登録意匠(原告意匠)に係る意匠権(原告意匠権)を有している。

登録番号 第1472070号出願日 平成24年6月5日登録日 平成25年5月10日創作者 A意匠に係る物品 収納容器意匠に係る物品の説明本物品は、収納容器本体と、その本体の側面上部に取り付けられた把手用のロープとからなる。収納容器本体は、軟質の合成樹脂で一体に形成されており、多目的の収納に用いられる。例えば、衣料、雑誌、新聞、おもちゃ、野菜、乾物などを収納するのに適している。

図面 別紙原告意匠公報図面目録のとおり(3) 被告商品及び被告意匠(乙1、弁論の全趣旨)被告商品は、別紙被告商品目録記載2のとおり、その容量(サイズ)に応じて三種類の商品が存在する(以下、容量が2リットルのものを「イ号」、7リットルのものを「ロ号」、19リットルのものを「ハ号」といい、これらに係る意匠を「イ号意匠」ないし「ハ号意匠」という。)。被告意匠の構成態様は、別紙対比表の「被告商品(イ号意匠)」、「被告商品(ロ号意匠)」、「被告商品(ハ号意匠)」のとおりである。
(4) 公知意匠本件出願日当時、別紙公知意匠目録記載の公知意匠が存在した(以下、同目録記載の各証拠番号に従って「甲9意匠」、「乙2意匠」などという。)(5) 被告の行為被告は、令和3年2月頃から、中国で被告商品を製造し、それを日本国内に輸入した上で、被告の各店舗において販売しており、海外への輸出も行っていた(甲14、弁論の全趣旨)。
(6) 被告商品の売上高及び限界利益

ア被告商品の日本国内における売上高は5981万3900円であり、この金額から被告商品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費を控除した限界利益の額は●(省略)●である。

イまた、前記アの売上高に海外への輸出に係る売上高を加えた金額は、6358万8100円である。

3争点(1) 原告意匠と被告意匠の類否(争点1)(2) 無効の抗弁の成否(争点2)

ア乙2意匠に基づく新規性欠如(争点2-1)

イ乙2意匠等に基づく創作非容易性欠如(争点2-2)

ウ平成24年6月6日から同月8日までの間、東京ビックサイトで開催された「インテリアライフスタイル」という名称の展示会(以下「本件展示会」という。)への出品及び原告とその取引先とのやり取り等により公然知られた意匠に基づく新規性欠如(争点2-3)

エ冒認出願又は共同出願違反(争点2-4)(3) 差止め等の必要性(争点3)(4) 損害の発生及び額(争点4)
第3 争点に関する当事者の主張
👤 原告の主張
1争点1(原告意匠と被告意匠の類否)について(原告の主張)(1) 原告意匠の構成態様について

ア基本的構成態様① 略楕円形状で小判型の底面とこれより大きい略楕円形状で小判型の上面とからなる中空の逆略楕円錐台形状の上面が開口された形状をなす収納容器本体と、その収納容器本体の長手方向の両端上部に対向して設けられた縄紐からなる一対の把手とから構成されている。

イ具体的構成態様② 収納容器本体は、軟質の合成樹脂で一体に形成されており、正面視及び背面視において、上辺の長さと下辺の長さと高さの比率が、約10:7.4:7.4をなしており、また、左右両側面視において、上端部の幅と下端部の幅の比率が約6.7:5.2をなしている。③ 前記一対の把手は、二本の短い縄紐からなっており、前記収納容器本体の長手方向の両端上部の大きく湾曲した面に対向して穿設された左右一対の小さな透孔に太さのある縄紐の両端部を前記収納容器本体の外側からそれぞれ挿通し、縄紐の各端部にひと際目立つ大きな止め結びを形成し、その止め結びの先の縄紐がほつれて末広がり状となっていて、その止め結びの存在が収納容器本体の上端の開口からはっきり見えるようになっており、縄紐の両端部と反対側が収納容器本体の外側にU字状に垂下して設けられている。④ 収納容器本体の正面視及び背面視の上辺は、両端から中央部に向かって緩やかに下方に湾曲した緩やかな円弧を形成しており、両端の高さと中央の高さの比率が約10:8.7をなしている。⑤ 収納容器本体底面の長手方向両端の円弧状部には、その円弧の中央部とその両側に等間隔でそれぞれ三個の小さな突起が設けられている。(2) 被告意匠の構成態様について

ア基本的構成態様① 略楕円形状で小判型の底面とこれより大きい略楕円形状で小判型の上面とからなる中空の逆略楕円錐台形状の上面が開口された形状をなす収納容器本体と、その収納容器本体の長手方向の両端上部に対向して設けられた縄紐からなる一対の把手とから構成されている。

イ具体的構成態様② 収納容器本体は、軟質の合成樹脂で一体に形成されており、正面視及び背面視において、上辺の長さと下辺の長さと高さの比率が、約10:8:7.9をなしており、また、両側面視において、上端部の幅と下端部の幅の比率が約6.8:5.3をなしている。③ 前記一対の把手は、二本の短い縄紐からなっており、前記収納容器本体の長手方向の両端上部の大きく湾曲した面に対向して穿設された左右一対の小さな透孔に太さのある縄紐の両端部を前記収納容器本体の外側からそれぞれ挿通し縄紐の各端部にひと際目立つ大きな止め結びを形成し、その止め結びの先の縄紐がほつれて末広がり状となっていて、その止め結びの存在が収納容器本体の上端の開口からはっきり見えるようになっており、縄紐の両端部と反対側が収納容器本体の外側にU字状に垂下して設けられている。④ 収納容器本体の正面視及び背面視の上辺は水平をなしている。⑤ 収納容器本体底面の長手方向両端の円弧状部には、その円弧の中央部とその両側に等間隔でそれぞれ三個の小さな突起が設けられている。(3) 原告意匠の要部について

ア原告意匠に係る物品は、衣類・タオル・ハンガー・生活雑貨等を収納することを目的とする「収納容器」であって、大きさはさほど大きくなく、床に置いて用いられる生活用品であり、その需要者は個人消費者である。そして、個人消費者が収納容器を観察する場合は、収納容器を斜め上方から見下ろして視認するのが通常である。

このような事情に加え、本件出願の審査段階における拒絶理由通知書で「公知意匠1」として記載されていた甲19の4意匠や、甲10意匠、乙2意匠、乙26意匠等の内容を踏まえると、原告意匠の要部は以下のとおりになる。「略楕円形状で小判型の底面とこれより大きい略楕円形状で小判型の上面とからなる中空の逆略楕円錐台形状の上面が開口された形状をなす合成樹脂製の収納容器本体とその収納容器本体の上面開口部の長手方向の両端上部の大きな湾曲面に対向させて取り付けたU字状の縄紐からなる一対の把手との組合せにより構成され、縄紐からなる把手の両端部が、収納容器本体の側壁に設けられた貫通孔を介して収納容器本体の内部に延設され、その両端部にそれぞれひときわ目立つ大きな止結びが形成されており、その止結びの先のロープの部分がほつれて末広がり状となっており、さらにその結び目の存在が収納容器本体の上端の開口からはっきり見えるようにしたこと」

イこれに対し、被告は、原告意匠のうち「船のようなカタチ」に相当する構成態様、すなわち、収納容器本体の正面視及び背面視の上辺は、両端から中央部に向かって緩やかに下方に湾曲した緩やかな円弧を形成している点(具体的構成態様④)が原告意匠の要部となると主張している。

しかしながら、このような構成態様は、前記アで指摘した公知意匠に含まれるものであって、需要者の注意を惹くものとはいえない。

むしろ、基本的構成態様①のうち「略楕円形状で小判型の底面とこれより大きい略楕円形状で小判型の上面とからなる中空の逆略楕円錐台形状の上面が開口された形状をなす収納容器本体」としての全体形状、特に、小判型の両辺が長い直線状で先端部と後端部が半円状であることによって、全体として「逆略楕円錐台形状」をなしている点を、「船のようなカタチ」として原告意匠の要部とすべきである。(4) 対比

ア共通点原告意匠と被告意匠は、基本的構成態様①並びに具体的構成態様③及び⑤において共通するほか、具体的構成態様②のうち収納容器本体が軟質の合成樹脂で一体に形成されている点で共通する。

上記の態様は、いずれも原告意匠の要部といえるものであるから、原告意匠と被告意匠は要部において共通する。

イ差異点(ア) 具体的構成態様②において、原告意匠では、収納容器本体が、正面視及び背面視において、上辺の長さと下辺の長さと高さの比率が、約10:7.4:7.4であり、また、側面視において、上端部の幅と下端部の幅の比率が約6.7:5.2をなしているのに対し、被告意匠では、収納容器本体が、正面視及び背面視において、上辺の長さと下辺の長さと高さの比率が、約10:8:7.9をなしているのに対し、また、側面視において、上端部の幅と下端部の幅の比率が約6.8:5.3をなしている点に差異点があるが、これらの差異点は僅かな差異にすぎない。

(イ) 具体的構成態様④において、原告意匠では、収納容器本体の正面視及び背面視の上辺が、両端から中央部に向かって緩やかに下方に湾曲した緩やかな円弧を形成しており、両端の高さと中央の高さの比率が約10:8.7をなしているのに対し、被告意匠では、収納容器本体の正面視及び背面視の上辺が水平をなしている点に差異点がある。しかしながら、原告意匠において収納容器本体の上辺が緩やかに凹状に湾曲している構成については、収納容器の分野ではありふれた構成であって需要者の注意を惹く度合いは弱いものである。また、前記アのとおり、個人消費者が収納容器を観察する場合は、収納容器を斜め上方から見下ろして視認するのが通常であるところ、そのような方法で視認した場合、収納容器本体の上辺の形状は需要者の印象に残り難いものである。したがって、上記の差異点も、需要者に異なる印象を与えるものではない。

(ウ) まとめこのように、前記(ア)及び(イ)で指摘した差異点は、両意匠を全体として観察した際に、異なる印象を与えるものではない。(5) 小括以上によれば、原告意匠と被告意匠は要部において共通している上、その差異点は、需要者が両意匠の全体的構成から認識する美感の共通性を凌駕して美感の差異を生じさせるような顕著な差異ではないから、両者は類似する。
👤 被告の主張
(被告の主張)(1) 原告意匠の構成態様について

ア原告の主張のうち基本的構成態様①並びに具体的構成態様②及び⑤の内容は認め、その余は否認ないし争う。

イ具体的構成態様③及び④については、以下のとおりとすべきである(下線部は修正すべき箇所を、括弧付き部分は原告主張の構成態様から削除すべき部分を、それぞれ意味する。)。③’前記一対の把手は、二本の短い縄紐からなっており、前記収納容器本体の長手方向の両端上部の外周面に対向して穿設された左右一対の小さな透孔に(太さのある)縄紐の両端部を前記収納容器本体の外側からそれぞれ挿通し、該縄紐の各端部に(ひと際目立つ大きな)止め結びを形成し、(その止め結びの先の縄紐がほつれて末広がり状となっていて、その止め結びの存在が収納容器本体の上端の開口からはっきり見えるようになっており、当該縄紐の両端部と反対側が)収納容器本体の外側にU字状に垂下して設けられている。④’収納容器本体の正面視及び背面視の上辺は、正面中央部から側面中央の最高位置に向かって大きく湾曲した構成で、両端の高さと中央の高さの比率が約10:8.7をなしている。

ウさらに、原告主張の具体的構成態様に加えて、収納容器本体の側面視の上辺について、次の具体的構成態様を追加すべきである。⑥ 収容容器本体の側面視の上辺は、中央部に向かって大きく立ち上がり、全体が弧状の凸状面として突設した形状である(2) 被告意匠の構成態様について

ア原告の主張のうち基本的構成態様①並びに具体的構成態様④及び⑤の内容は認め、その余は否認ないし争う。

イ具体的構成態様②及び③の内容は以下のとおりにすべきである(下線部は修正すべき箇所を、括弧付き部分は原告主張の構成態様から削除すべき部分を、それぞれ意味する。)。②’収納容器本体は、軟質の合成樹脂で一体に形成されており、正面視及び背面視において、上辺の長さと下辺の長さと高さの比率は、イ号意匠は約10:8.1:7.7、ロ号意匠は約10:7.9:7.6、ハ号意匠は約10:8:7.5で、両側面視において上端部の幅と下端部の幅の比率は、イ号意匠は約6.8:5.1、ロ号意匠は約6.8:5.2、ハ号意匠は約6.8:5.1をなして、しかも、イ号意匠ないしハ号意匠はいずれも正面視及び背面視の中央の高さと両端の高さは1:1で同一である。③’前記一対の把手は、二本の短い縄紐からなっており、前記収納容器本体の側面に対向して穿設された左右一対の小さな透孔に(太さのある)縄紐の両端部を前記収納容器本体の外側からそれぞれ挿通し該縄紐の各端部に(ひと際目立つ大きな)止め結びを形成し、(その止め結びの先の縄紐がほつれて末広がり状となっていて、その止め結びの存在が収納容器本体の上端の開口からはっきり見えるようになっており、当該縄紐の両端部と反対側が)収納容器本体の外側にU字状に垂下して設けられている。該縄紐は、19リットル、7リットル、2リットルに応じて本体の高さに対し、側面視に裸出した縄紐の上下の長さがイ号意匠<ロ号意匠<ハ号意匠という長さの関係になると同時に、ロープ両端部の開脚幅はイ号意匠>ロ号意匠>ハ号意匠の幅関係となるため、ロープの側面視形状は、イ号意匠については略V字状、ロ号意匠については大なるU字状、ハ号意匠については細長U字状を呈して垂下してなる。

ウさらに、原告の主張する具体的構成態様に加えて、収納容器本体の側面視の上辺について、次の具体的構成態様を追加すべきである。⑥ 収納容器本体の側面視の上辺は、水平な直線形状で平坦である。(3) 原告意匠の要部について

ア原告意匠は、逆略楕円錐台形状の上面が開口された収納容器本体と一対のロープ状の把手を設けてなる構成態様を基本とするが、このような構成態様は周知又は公知のものであって、需要者の注意を惹くものではない。他方、原告意匠のうち正面視及び背面視における収納容器本体の上辺は、正面中央部から側面中央の最高位置に向かって大きく湾曲している点、収容容器本体の側面視の上辺は、中央部に向かって大きく立ち上がり、全体が弧状の凸状面として突設した形状である点(具体的構成態様④’及び⑥)は、「船のようなカタチ」として強く印象づけられるものである。したがって、原告意匠の要部については、「ロープからなる一対の把手を両側端面に有する曲線を基調とした船のようなカタチをしている軟質の収納容器本体の全体形状」と考えるべきである。

イこれに対し、原告は、全体として「逆略楕円錐台形状」をなしている点を、「船のようなカタチ」として原告意匠の要部とすべきであると主張する。

しかしながら、原告の主張は、自らが具体的構成態様④として主張する「収納容器本体の正面視及び背面視の上辺は、両端から中央部に向かって緩やかに下方に湾曲した緩やかな円弧を形成しており」という構成態様を無視するものであって、明らかに不当である。

また、原告は、特許庁からの拒絶理由通知に対する主張として、収納容器本体の上辺の形状の違いを強調しており、原告の主張はこのような出願段階の主張と矛盾するものであって、禁反言の法理に基づき許されないものである。(4) 対比

ア共通点原告意匠と被告意匠は、基本的構成態様①が共通するが、このような構成態様は、ありふれた形態であって類否判断を左右する事情ではない。

イ差異点(ア) 具体的構成要件④及び④’について、原告意匠の正面視及び背面視における収納容器本体の上辺は、正面中央部から両側面中央の最高位置に向かって大きく湾曲した形状であり、「船のようなカタチ」を有しているのに対し、被告意匠の正面視及び背面視における収納容器本体の上辺は水平となっている点に差異点がある。また、具体的構成要件⑥について、原告意匠の側面視における収納容器本体の上辺は、「船のようなカタチ」を造形するために、中央部に向かって大きく立ち上がり全体が弧状の凸状面として突設した形状であるのに対し、被告意匠の側面視における収納容器本体の上辺は水平となっている点に差異点がある。このような差異点は、原告意匠の要部である「船のようなカタチ」に係るものであり、需要者に異なる印象を強く与えるものである。
👤 原告の主張
(イ) なお、原告意匠の要部について、前記1(原告の主張)(3)のとおりであると解したとしても、原告意匠と被告意匠のロープの両端部の止め結びの大きさは異なっており、被告意匠は、原告意匠のように「ひときわ目立つ大きな止め結び」を有していない。(5) 小括以上のとおり、原告意匠と被告意匠は、その要部において大きな差異点が存在しているから、類似しない。
👤 被告の主張
2争点2(無効の抗弁の成否)について(1) 争点2-1(乙2意匠に基づく新規性欠如)について(被告の主張)原告意匠の要部は、前記1(被告の主張)(3)のとおり、「ロープからなる一対の把手を両側端面に有する曲線を基調とした船のようなカタチをしている軟質の収納容器本体の全体形状」であり、乙2意匠は、この原告意匠の要部を有する意匠である。

また、原告意匠に係る物品は「収納容器」であるのに対し、乙2意匠に係る物品は「包装用バケツ」であり、両者は同一又は類似する。

このような事情に加え、縄紐の取付位置や結び目の大きさ等の差異は類否に影響するものとは言い難いことも踏まえると、原告意匠は乙2意匠と類似するものといえる。

したがって、原告意匠は、本件出願の時点において新規性を欠くものであったといえるから、原告意匠に係る意匠登録には無効理由がある(意匠法3条1項3号、2号)。
👤 原告の主張
(原告の主張)乙2意匠は、①包装桶本体、②その上面の開口部全体を覆うための着脱可能な横長楕円形状の薄板状の蓋体及び③上記本体の正面及び背面にそれぞれ取り付けられた細紐からなり、U字状に垂下された把手を有しているところ、原告意匠には、上記②(薄板状の蓋体)に相当する構成態様は存在しない。

また、上記①の形状について、乙2意匠では、包装桶本体上面の楕円形状の縦横の長さの比率は、約1:1.8であるのに対し、原告意匠の収納容器本体上面の楕円形状の縦横の長さの比率は、1:1.5となっている。このように、乙2意匠の包装桶本体の上面開口部は、鋭角的に湾曲しており全体として細長くとがった感じの楕円形状となっているのに対し、原告意匠の上部開口部は、鈍角的に湾曲しておりずんぐりとした丸い感じを与える小判型楕円形状となっている点で差異がある。さらに、乙2意匠では、包装桶本体の正面視及び背面視における上辺は略水平をなしているのに対し、原告意匠では収納容器本体の正面視及び背面視の上辺は両端から中央部に向かって緩やかに下方に湾曲した緩やかな円弧を形成している点にも差異点がある。

加えて、上記③の形状について、乙2意匠では、細紐からなる把手部が、包装桶本体の正面及び背面の湾曲がきわめて緩やかな壁面の上部に、それぞれ幅広な間隔で根本部が取り付けられているのに対し、原告意匠では、太くて短い縄紐からなる把手部が、収納容器本体の側面の湾曲の大きい壁面の上部に、狭い間隔で根本部が取り付けられている。このように、把手の形状においても差異点がある。
👤 被告の主張
したがって、原告意匠と乙2意匠は類似するとはいえないから、意匠法3条1項3号に基づく新規性欠如の無効主張は理由がない。(2) 争点2-2(乙2意匠等に基づく創作非容易性欠如)について(被告の主張)仮に原告意匠と乙2意匠が類似しないとしても、当業者は乙2意匠及び乙4意匠ないし乙9意匠に基づき原告意匠を容易に創作できたといえる。すなわち、原告意匠のうち「合成樹脂製の収納容器本体と縄紐からなる把手とを組合せ、収納容器本体の内部に、その本体外部に配置された把手(縄紐)の4つの端部を収納容器本体側壁に貫通させて内部に突出させた」構成は、乙2意匠等によって公然知られたものである。また、原告意匠のうち「4つの端部にそれぞれひときわ目立つ大きな結び目を設け、その結び目の存在が収納容器本体の上端の開口からはっきり見えるようにした」構成も、乙4意匠ないし乙9意匠によって公然知られたものである。したがって、原告意匠の要部となる構成は、当業者であれば、乙2意匠及び乙4意匠ないし乙9意匠に基づいて、容易に創作することができた意匠であるため、原告意匠に係る意匠登録には無効理由がある(意匠法3条2項)。
👤 原告の主張
(原告の主張)乙2意匠と原告意匠との間で多くの差異点が存在することは、前記(1)(原告の主張)のとおりである。
👤 被告の主張
また、乙6意匠及び乙8意匠については、いずれも個人によるインターネット上の投稿記事にすぎず、その具体的な掲載日時等は判然としないから、本件出願前に公知であったとはいえない。さらに、乙4意匠ないし乙9意匠については、乙4意匠及び乙5意匠の把手が縄紐状ではなく細紐状である点、乙6意匠の収納容器本体が角張った箱型の織紙製である点並びに乙7意匠ないし乙9意匠の収容容器本体が角張った箱型の木製である点で、原告意匠との間に差異がある。そして、把手の取付位置等についても、原告意匠と乙4意匠ないし乙9意匠との間では大きく相違している。したがって、原告意匠は、当業者が乙2意匠及び乙4意匠ないし乙9意匠に基づいて容易に創作することができた意匠であるとはいえないから、意匠法3条2項に基づく無効主張は理由がない。(3) 争点2-3(本件展示会への出品及び原告とその取引先とのやり取り等により公然知られた意匠に基づく新規性欠如)について(被告の主張)

ア原告は、本件出願日の翌日(平成24年6月6日)から開催された本件展示会において、原告意匠の実施品である「バルコロール(balcolore)」という名称の商品(以下「原告商品」という。)を出品しているところ、本件展示会は、約600社もの出店が予定された、極めて大規模な国際見本市であった。原告が何ら事前の手続を経ることなく本件展示会に原告商品を出品したとは考え難く、本件出願日(平成24年6月5日)よりも前の時点で、原告商品が掲載されたカタログや写真が本件展示会の主催者に送付され、同主催者は、そのようなカタログや写真を見た上で、出展の可否を審査し、展示会における小間位置を決定したものと考えられる。

イまた、アマゾン合同会社(以下「アマゾン」という。)が、原告商品の取扱いを開始したのは、遅くとも平成24年7月2日であることが確認されており、さらに、原告商品を取扱っている取引先の一つであるBRUNO株式会社(以下「BRUNO」という。)は、原告商品の発売時期を「2012AW」と表記している。そして、原告は、アマゾン及びBRUNO以外にも多種多様の取引先(インテリアショップ、コンセプトショップ、家具店、ネット販売、百貨店、量販店、専門店、ホームセンターなど)を有している。

ウさらに、原告は、平成24年6月5日以前に、原告商品の製作のために必要な金型等を社外の業者に発注しているものと考えらえるが、その際に、原告商品の図面や画像データ等が送付された可能性は高い。

エ以上のような事情からすれば、原告意匠は、本件出願前に公然知られた意匠となっていたといえるから、原告意匠に係る意匠登録には新規性欠如の無効理由がある(意匠法3条1項1号)。
👤 原告の主張
(原告の主張)

ア原告が本件展示会において原告商品を一般公開したのは、本件出願日の翌日である平成24年6月6日からであり、それ以前に原告商品が納品、展示されていた事実はない。

イ原告が、BRUNOに原告商品の出荷をしたのは、平成24年8月30日からであり、他の取引先に対して営業活動を開始したのは、同年6月6日からである。

ウ原告が、本件出願より前に、原告商品の製作に必要な金型を発注していたとしても、発注を受けた会社は、原告との関係で信義則に基づく秘密保持義務を負っているといえるから、このような行為によって原告意匠が公知になったとはいえない。
👤 被告の主張
エしたがって、原告意匠は、本件出願前に公然知られた意匠になっていたといえないから、意匠法3条1項1号に基づく無効主張は理由がない。(4) 争点2-4(冒認出願又は共同出願違反)について(被告の主張)原告意匠の創作者は、当時の原告の代表取締役であったA(以下「A」という。)とされている。しかしながら、Aが原告意匠の創作にどのように関与したかは明らかではないことに加え、原告はデザイナーを正社員として雇用しているため、原告の商品開発には原告のデザイン企画室の関与があったことがうかがわれるにもかかわらず、原告を出願人とする意匠権及び特許権の創作者及び発明者は全てAになっていることにも照らすと、原告意匠は、A単独で創作されたものではなく、原告の他の従業員の単独又は同従業員とAの共同で創作されたものと考えられる。そうすると、本件出願は、冒認出願(意匠法48条1項3号)であるか、共同出願の規定(同法15条1項、特許法38条)に反するもの(意匠法48条1項1号)であるから、原告意匠に係る意匠登録には無効理由がある。
👤 原告の主張
(原告の主張)被告は、原告意匠がAではない原告の従業員の単独又は同従業員とAの共同で創作されたものと主張するが、単なる憶測にすぎず、原告意匠の創作者はAである。

したがって、冒認出願又は共同出願違反に基づく無効主張は理由がない。
👤 原告の主張
3争点3(差止め等の必要性)について(原告の主張)被告商品の販売等は、原告意匠権を侵害する行為であり、本件では、原告意匠権に基づく被告商品の販売等の差止め及び廃棄の必要性がある。
👤 被告の主張
(被告の主張)否認ないし争う。
👤 原告の主張
4争点4(損害の発生及び額)について(原告の主張)(1) 意匠法39条2項による損害額の算定

ア推定される損害額について被告商品の日本国内における売上げに係る限界利益の額は●(省略)●であり、この金額が、意匠法39条2項に基づき原告が受けた損害額と推定される。

イ推定の覆滅事由について(ア) 意匠権者と侵害者の業務態様等の相違(市場の非同一性)a被告は、原告商品と被告商品の販売チャンネルが大きく異なっていると主張する。しかしながら、原告は、個人消費者に対して直接商品を販売しているわけではないものの、原告商品は、小売業者の店舗を通じて個人消費者に対して販売されているものであって、原告商品も被告商品も、実店舗を通じて個人消費者に対して販売されているという点においては変わりがない。そうすると、被告の主張する事情は、推定の覆滅事由とはならない。bまた、被告は、原告商品と被告商品の販売価格が大きく乖離している点を推定の覆滅事由として主張するが、両者の販売価格はいずれも安価な価格帯に収まっており、その価格差が大きいとはいえないから、被告の当該主張は理由がない。

(イ) 市場における競合品の存在被告は、収納容器の市場には多数の競合品が存在すると主張する。しかしながら、被告から提出された証拠に記載されている商品は、いずれも原告意匠の特徴を有しておらず、原告商品と被告商品との関係で競合品と呼べるようなものではない。したがって、これらの商品の存在は、推定の覆滅事由とはならない。

(ウ) 被告の営業努力被告は、被告の営業努力が推定の覆滅事由に該当すると主張するが、被告商品を大量に販売できたのは、被告商品が原告意匠と類似する外観を有していたからであり、被告の営業努力によるものとはいえないから、被告の当該主張は理由がない。

(エ) 侵害品の性能(機能、性能等の意匠以外の特徴)及び被告商品は原告意匠の一部のみを用いていること被告は、需要者は、収納容器を購入するに際し、外観よりもその機能面を重視することや、原告商品の外観において考慮すべきなのは色彩及び「船のようなカタチ」に相当する構成態様であることを主張する。しかしながら、前記(ウ)で主張したとおり、被告商品を大量に販売できたのは、被告商品が原告意匠と類似する外観を有していたからであり、被告の主張する機能や外観等を重視したものではないから、被告の当該主張は理由がない。

(オ) まとめ以上によれば、被告の主張する事情はいずれも推定の覆滅事由とはならない。よって、原告は、被告に対し、意匠法39条2項により推定される損害額として1140万3000円を請求することができる。(2) 意匠法39条3項による損害額の算定

ア意匠法39条3項の適用について本件においては、意匠法39条2項による推定が覆滅される場合であっても、原告が本件意匠の実施許諾をすることができるから、推定が覆滅された部分については、意匠法39条3項を適用することができる。

イ使用料率について類似の裁判例においては、その売上高の8パーセントや10パーセントといった使用料率が認められているところ、原告商品は、おしゃれな収納容器として多数の雑誌に取り上げられており、優れたデザインといえることからすれば、本件における使用料率は、上記の割合を下回ることはない。以上に加えて、意匠権侵害をした者に対して事後的に定められるべき使用料率は、通常の使用料率に比べて自ずと高額になること、被告は、本件訴訟において侵害論の心証開示を受けた後も被告商品を販売しており、被告による原告意匠権の侵害態様は悪質であることなどからすれば、本件における使用料率は、被告商品の売上高の20パーセントとすべきである。

ウまとめしたがって、仮に意匠法39条2項による推定が覆滅されたとしても、その部分については、同条3項により算定された損害が認められるべきであって、意匠法39条2項又は3項により算定された損害額の合計は1140万3000円を下回ることはない。(3) 弁護士費用に係る損害額原告は、被告の不誠実な対応により、弁護士に本件の解決を委任せざるを得なくなり、これに要した弁護士費用は300万円を下回ることはない。(4) 小括以上によれば、原告に生じた損害の合計額は1440万3000円となる。
👤 被告の主張
(被告の主張)(1) 意匠法39条2項による損害額の算定

ア推定される損害額について原告は、被告商品の日本国内における売上げに係る限界利益の額である●(省略)●が意匠法39条2項に基づき原告が受けた損害額と推定されると主張する。しかしながら、意匠法39条2項の適用を受けるためには、原告において損害の発生を立証する必要があるところ、原告は、原告商品の売上げを開示しておらず、被告商品の販売後も、原告商品の売上げは増加している可能性がある。そうすると、本件では、損害の発生が立証されていないから、意匠法39条2項を適用することはできない。

イ推定の覆滅事由について(ア) 意匠権者と侵害者の業務態様等の相違(市場の非同一性)a原告は、自社店舗を通じて個人消費者に対して直接販売しておらず、原告の販売先である小売業者は、いわゆる高級な商品を取り扱う店舗ばかりである。これに対し、被告は、被告の各店舗において、被告商品を個人消費者に対して直接販売している。bまた、被告商品は、イ号(2リットル)が100円、ロ号(7リットル)が300円及びハ号(19リットル)が500円という金額で販売されていた一方で、原告商品のうちイ号の大きさに相当する商品の販売価格は、2000円を超えるものも存在していた。cこのように、原告商品と被告商品は、その販売チャンネルが全く異なっている上、市場における販売価額も大きく乖離している。そして、原告は、原告商品の売上げを明らかにしておらず、被告商品が販売された後も、上記の売上げは増大している可能性が高い。以上の事情は、推定の覆滅事由に該当し、その覆滅割合は9割を下回ることはない。

(イ) 市場における競合品の存在収容容器の市場では、数えきれないほど多数の商品が販売されており、多くの競合品が存在していることは明らかである。仮に被告商品が存在しなかったとしても、個人消費者が高額な原告商品を購入することは想定しがたく、このような市場における競合品の存在も推定の覆滅事由となる。

(ウ) 被告の営業努力被告は、令和4年の売上高が5493億円であり、国内に4042店舗、海外に2296店舗を有する、著名なガリバー企業である。また、被告は、日経BPが主催する「ブランド・ジャパン2023」の一般生活者編の「総合力」ランキングにおいて、5位を獲得している。このような被告の営業努力は推定の覆滅事由に該当し、その覆滅割合は9割を下回ることはない。

(エ) 侵害品の性能(機能、性能等意匠以外の特徴)及び被告商品は原告意匠の一部のみを用いていることa需要者は、収納容器を購入するに際し、外観よりもその機能面(収納能力、持ち運びやすさ、柔軟さ、省スペース化、コンパクトさ、丈夫さ、耐水性、汚れのとれやすさ、子供への安全性、用途の多様さなど)を考慮するものといえ、ホームページ等における原告商品の紹介でも外観以外の機能面が強調されている。b原告商品の外観において、需要者が着目するのは、その色彩に加え、「船のようなカタチ」に相当する構成態様、すなわち、正面視及び背面視における収納容器本体の上辺は、正面中央部から側面中央の最高位置に向かって大きく湾曲しており、側面視における収容容器本体の上辺は、中央部に向かって大きく立ち上がり、全体が弧状の凸状面として突設した形状を有しているという構成態様である。

この点は、原告商品が一般社団法人日本流行色協会理事長賞を受賞した際の受賞理由として、色彩に関する指摘がされていること、原告のホームページや原告商品につけられたタグにおいて、「まるで船のようなカーブのカタチが愛らしい」、「まるで船のカタチが愛らしい」と記載されていることなどからも、明らかである。

これに対し、被告商品は、白色の商品しか存在しておらず、「船のようなカタチ」に相当する構成態様を有していない。c以上のような侵害品の性能及び被告商品は原告意匠の一部のみを用いていることも推定の覆滅事由となる。

(オ) まとめ以上によれば、本件における推定の覆滅割合は9割5分を下回ることはない。(2) 意匠法39条3項による損害額の算定

ア意匠法39条3項の適用について原告は、意匠法39条2項の推定が覆滅された部分について、同条3項の適用があると主張するが、前記(1)の事情からすれば、推定が覆滅された部分について、被告が原告に対して実施許諾を得る必要性は存在せず、被告は自らのブランド力などを生かして被告商品を販売することができたというべきである。

そのため、本件では、同条2項の推定が覆滅された部分について、同条3項を適用することはできない。

イ使用料率について株式会社帝国データバンク作成の「知的財産の価値評価を踏まえた特許権等の活用の在り方に関する調査研究報告書~知的財産(資産)価値及びロイヤリティ料率に関する実態把握~本編」においては、「個人用品または家庭用品」に係る発明については、そのロイヤリティ料率は平均3.5%とされているところ、収納容器の分野は、商品の外観ではなく、その機能が重視される分野であること、また、収容容器の外観については、主に色彩やカラーバリエーションが最も考慮されるが、原告意匠はこれらの要素とは無関係であることを踏まえると、本件における使用料率は、上記の平均値とされている3.5%の半分強である2%とすべきである。(3) 弁護士費用に係る損害額否認ないし争う。
第4 当裁判所の判断

1争点1(原告意匠と被告意匠の類否)について(1) 判断基準登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は、需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものとされており(意匠法24条2項)、この類否の判断は、両意匠の構成を全体的に観察した上、意匠に係る物品の性質、用途、使用態様を考慮し、更には公知意匠にない新規な創作部分の存否等を参酌して、当該意匠に係る物品の看者となる需要者が視覚を通じて最も注意を惹きやすい部分(要部)を把握し、この部分を中心に対比して認定された共通点と差異点を総合して、両意匠が全体として美感を共通にするか否かによって判断するのが相当である。
(2) 原告意匠と被告意匠に係る物品の同一性について証拠(甲8、乙14)及び弁論の全趣旨によれば、原告意匠と被告意匠に係る物品は、いずれも生活雑貨などの家庭用品を収納する容器であり、同一であると認められる。
(3) 原告意匠及び被告意匠の構成態様について証拠(甲8の2、乙1)及び弁論の全趣旨によれば、原告意匠は別紙原告意匠目録記載のとおりの、被告意匠は別紙被告意匠目録記載のとおりの、基本的構成態様及び具体的構成態様をそれぞれ有していることが認められる(以下、裁判所の認定した同各目録記載の構成態様の種類及び項番に従って「基本的構成態様①」ないし「具体的構成態様⑥」という。)。なお、当事者間では、具体的構成態様②、③、④及び⑥について、両意匠の構成態様に争いがあるが、以下のように認定することができる。まず、被告意匠の具体的構成態様②については、証拠(乙1)及び弁論の全趣旨によれば、イ号意匠ないしハ号意匠の収納容器本体の上辺の長さ等はそれぞれ異なるものと認められるから(別紙対比表「被告商品(イ号意匠)」、「被告商品(ロ号意匠)」、「被告商品(ハ号意匠)」欄参照)、被告主張のとおりの各意匠の長さの比率を認定することができる。次に、具体的構成態様⑥については、証拠(甲8、乙1)及び弁論の全趣旨によれば、側面視における収納容器本体の上辺の形状は被告主張のとおりであると認められるから、そのとおりの構成態様を認定することができる。他方、具体的構成態様③については、前提事実(3)、証拠(甲8、乙1)及び弁論の全趣旨によれば、原告意匠及び被告意匠は、いずれも、太めの紐縄及び大きい止め結びを有しているものと認められ、本件全証拠によっても、イ号意匠ないしハ号意匠における収納容器本体の外側に存在する縄紐の具体的な長さは明らかではないことから、基本的に原告主張のとおりの構成態様を認定することができる。また、具体的構成態様④については、証拠(甲8、乙1)及び弁論の全趣旨によれば、正面視及び側面視における収納容器本体の上辺の湾曲の程度は緩やかなものと認められるから、原告主張のとおりの構成態様を認定することができる。
(4) 対比

ア共通点原告意匠と被告意匠は、略楕円形状で小判型の底面とこれより大きい略楕円形状で小判型の上面とからなる中空の逆略楕円錐台形状の上面が開口された形状をなす収納容器本体と、その収納容器本体の長手方向の両端上部に対向して設けられた縄紐からなる一対の把手とから構成されるという基本的構成態様において共通している(基本的構成態様①)。

また、両者は、具体的構成態様のうち、上記一対の把手は、二本の短い縄紐からなっており、収納容器本体の長手方向の両端上部の外周面に対向して穿設された左右一対の小さな透孔に太さのある縄紐の両端部を収納容器本体の外側からそれぞれ挿通し縄紐の各端部に大きな止め結びを形成している点、その止め結びの先の縄紐がほつれて末広がり状となっていて、その止め結びの存在が収納容器本体の上端の開口から見えるようになっている点、収納容器本体の外側に存在する縄紐がU字状に垂下して設けられている点(具体的構成態様③)、収納容器本体底面の長手方向両端の円弧状部には、その円弧の中央部とその両側に等間隔でそれぞれ三個の小さな突起が設けられている点(具体的構成態様⑤)において、共通する。

イ差異点原告意匠では、正面視及び背面視において、収納容器本体の上辺の長さと下辺の長さと高さの比率が、約10:7.4:7.4となっており、また、側面視において、収納容器本体の上端部の幅と下端部の幅の比率が約6.7:5.2となっているのに対し、被告意匠では、正面視及び背面視において、収納容器本体の上辺の長さと下辺の長さと高さの比率は、イ号意匠では約10:8.1:7.7、ロ号意匠では約10:7.9:7.6、ハ号意匠では約10:8:7.5となっており、側面視において、収納容器本体の上端部の幅と下端部の幅の比率は、イ号意匠では約6.8:5.1、ロ号意匠では約6.8:5.2、ハ号意匠では約6.8:5.1となっている点に差異点がある(具体的構成態様②。以下、この差異点を「差異点1」という。)。

そして、原告意匠では、収納容器本体の上辺が、正面視及び背面視においては、両端から中央部に向かって緩やかに下方に湾曲した緩やかな円弧を形成しており、また、側面視においては、中央部に向かって立ち上がり、全体が弧状の凸状面として突設した形状であるのに対し、被告意匠では、いずれも水平な直線形状となっている点に差異点がある(具体的構成態様④及び⑥。以下、この差異点を「差異点2」という。)。

ウ原告意匠の要部(ア) 意匠に係る物品の性質、用途及び使用態様前記(2)のとおり、原告意匠と被告意匠に係る物品は、いずれも生活雑貨などの家庭用品を収納する容器であるから、その需要者は個人消費者であると認められる。

そして、需要者である個人消費者は、収納容器として物を収納する際には、その使用のしやすさや持ち運ぶ際の便利さの観点から、物を収納し又は収納することなく床等に収納容器を置いた際には、その見た目の美しさ等の観点から、それぞれ、両意匠に係る物品を観察し、選択するということができる。そうすると、両意匠に係る物品の性質、用途及び使用態様に照らし、収納容器として物を収納する際の使用のしやすさ等観点からは、収納容器全体の形状等である基本的構成態様①が需要者の注意を惹く部分であるとともに、物を収納し又は収納することなく床等に置いた際の見た目の美しさ等の観点からは、収納容器としての外形を特徴付ける部分の形態である具体的構成態様③、④及び⑥が、最も強く需要者の注意を惹く部分であるということができる反面、形状の細かな比率に係る具体的構成態様②や収納容器本体底面の小さな突起に係る具体的構成態様⑤は、需要者の注意を惹く部分ということはできない。

(イ) 需要者の注意を惹く部分に係る公知意匠a基本的構成態様①について甲9意匠、甲19の1意匠、甲19の4意匠、乙2意匠、乙26意匠及び乙27意匠においては、中空の逆略楕円錐台形状の上面が開口された形状をなす収納容器本体であるという点で構成を有するものと認められる。

しかしながら、上記の各公知意匠のうち乙2意匠以外の意匠は、縄紐からなる一対の把手は有しておらず、乙2意匠は、縄紐からなる一対の把手を有しているものの、同把手は、収納容器本体の長手方向ではなく、短手方向の両端上部に設けられている。

他方、乙6意匠ないし乙8意匠においては、収納容器本体の長手方向の両端上部に縄紐からなる一対の把手を有していることが認められるものの、これらの意匠においては、収納容器本体が略箱状となっており、中空の逆略楕円錐台形状の上面が開口された形状をなす収納容器本体という構成を有していない。b具体的構成態様③について前記aのとおり、具体的構成態様③について、乙6意匠ないし乙8意匠は、収納容器本体の長手方向の両端上部に太さのある縄紐からなる一対の把手を有しているところ、同把手は、収納容器本体の長手方向の両端上部の外周面に対向して穿設された左右一対の小さな透孔に収納容器本体の外側から挿通されており、縄紐の各端部に大きな止め結びを形成していること、収納容器本体の外側に存在する縄紐はU字状に垂下して設けられていることが認められる。しかしながら、原告意匠の収納容器本体は、軟質の合成樹脂で一体に形成されているが(具体的構成態様②)、乙6意匠及び乙7意匠の収納容器本体は、いずれも合成樹脂とは異なる材料によって製作されたものである。c具体的構成態様④及び⑥について甲9意匠、甲10意匠、甲19の4意匠、乙26意匠及び乙27意匠においては、収納容器本体の上辺が、正面視及び背面視においては、両端から中央部に向かって緩やかに下方に湾曲した緩やかな円弧を形成し、かつ、側面視においては、中央部に向かって立ち上がり、全体が弧状の凸状面として突設した形状を有していることが認められる。d検討前記aないしcのとおり、原告意匠の基本的構成態様①の一部、具体的構成態様③、④及び⑥については、それぞれ類似する公知意匠が存在するとは認められるものの、それらの構成態様を全て兼ね備えた公知意匠は見当たらない。

(ウ) まとめ以上のような意匠に係る物品の性質、用途及び使用態様並びに公知意匠の内容からすれば、原告意匠の収納容器全体の形状及びその外形を特徴付ける部分の形態である基本的構成態様①並びに具体的構成態様③、④及び⑥を組み合わせた部分がその要部であると認められる。

エ差異点についての評価(ア) 差異点1(正面視及び背面視における収納容器本体の上辺の長さと下辺の長さと高さの比率、両側面視における収納容器本体の上端部の幅と下端部の幅の比率が異なっている点)は、要部ではない部分の差異にすぎない上、その比率の差はわずかなものにすぎない。また、差異点2(正面視、背面視及び側面視における収納容器本体の上辺の形状が異なっている点)については、要部の一部に関する差異ではあるが、前記ウ(イ)cのとおり、正面視、背面視及び側面視において、収納容器本体の上辺を湾曲させることは、公知意匠にも見られた部分であって、原告意匠の効力範囲を適正に確定する上で、この部分のみをもって要部ととらえるのは相当ではない。そして、別紙原告意匠公報図面目録記載1ないし3の斜視図、正面図、右側面図によれば、上記部分の湾曲の程度はさほど大きいと評価できない上、前記ウ(ア)のとおり、需要者である個人消費者が収納容器を見た目の美しさ等の観点から観察するのは、主として、物を収納し又は収納することなく床等に置いた際であると考えられ、その場合、収納容器の斜め上方から見下ろされることが想定されるため、上記部分の湾曲や弧状の凸状面として突設した形状は、際立ちにくいといえる。したがって、正面視、背面視及び側面視における収納容器本体の上辺の形状の違いが需要者の視覚を通じて起こさせる美感に与える影響は、限定的なものにとどまるというべきである。なお、証拠(乙1)及び弁論の全趣旨によれば、具体的構成態様③について、イ号意匠ないしハ号意匠では、収納容器本体の外側に存在する紐縄によって構成されているU字の高さが異なることが認められるが、仮にこの点を原告意匠と被告意匠の差異点であると捉えたとしても、その差が大きいとはいえず、このような差異が美感に与える影響は小さいものと認められる。

(イ) 以上のとおり、差異点1及び2は原告意匠が看者に起こさせる美感に決定的な影響を与えるものではないのに対し、要部の大部分において前記アの共通点がみられることからすれば、両意匠は、差異点が共通点を凌駕するものではないというべきである。
(5) 小括したがって、原告意匠と被告意匠は、全体として需要者に一致した印象を与えるものであって美感を共通にするといえるから、被告意匠は原告意匠に類似すると認められる。

2争点2(無効の抗弁の成否)について(1) 争点2-1(乙2意匠に基づく新規性欠如)について証拠(乙2)及び弁論の全趣旨によれば、原告意匠と乙2意匠の意匠に係る物品は類似するものと認められる上、両意匠は、略楕円形状で小判型の底面とこれより大きい略楕円形状で小判型の上面とからなる中空の逆略楕円錐台形状の上面が開口された形状をなす収納容器本体と、縄紐からなる一対の把手から構成されている点(基本的構成態様①)、同把手は、二本の短い縄紐からなっており、収納容器本体の外周面に対向して穿設された左右一対の小さな透孔に収納容器本体の外側からそれぞれ挿通しており、縄紐が収納容器本体の外側にU字状に垂下して設けられている点(具体的構成態様③)において、共通することが認められる。しかしながら、両意匠の間には、原告意匠は、収納容器本体の長手方向に把手が設けられているのに対し、乙2意匠は、収納容器本体の短手方向に把手が設けられている点(基本的構成態様①)、原告意匠は、太さのある縄紐が使用されており、収納容器内側に大きな止め結びが形成されているのに対し、乙2意匠は細い縄紐が使用されており、収納容器内側に存在する止め結びは大きなものとはいえない点(具体的構成態様③)、原告意匠においては、収納容器本体の上辺が、正面視及び背面視においては、両端から中央部に向かって緩やかに下方に湾曲した緩やかな円弧を形成しており、また、側面視においては、中央部に向かって立ち上がり、全体が弧状の凸状面として突設した形状であるのに対し、乙2意匠は、いずれも水平な直線形状になっている点(具体的構成態様④及び⑥)において、差異点が存在するものと認められる。そして、上記の把手の取付位置、紐縄の太さ、止め結びの大きさ及び正面視、背面視及び側面視における収納容器本体の上辺の形状は、物を収納し又は収納することなく床等に置いた際の見た目の美しさ等の観点及び収納容器として物を収納する際の使用のしやすさ等の観点から、いずれも需要者の注意を惹く部分であるといえる。そうすると、これらの差異点が両意匠の美観に与える影響は大きいものがあるというべきである。したがって、原告意匠と乙2意匠は、全体として需要者に一致した印象を与えるものとはいえず、両意匠が類似するとはいえないから、原告意匠に係る意匠登録に新規性欠如(意匠法3条1項3号、2号)の無効理由があるとは認められない。
(2) 争点2-2(乙2意匠等に基づく創作非容易性欠如)について

ア意匠法3条2項は、物品との関係を離れた抽象的モチーフとして意匠登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合を基準として、当業者が容易に創作をすることができる意匠でないことを登録要件としたものであるから、上記モチーフを基準として、その創作に当業者の立場からみた意匠の着想の新しさないし独創性があるものと認められない場合には、当業者が容易に創作をすることができた意匠に当たるものとして、同項に係る無効理由が存するものと解するのが相当である(最高裁昭和45年(行ツ)第45号同49年3月19日第三小法廷判決・民集28巻2号308頁、最高裁昭和48年(行ツ)
第82号同50年2月28日第二小法廷判決・裁判集民事114号287頁参照)。

イ被告は、仮に原告意匠と乙2意匠が類似しないとしても、原告意匠は、当業者が乙2意匠及び乙4意匠ないし乙9意匠に基づいて容易に創作することができたものであるから、意匠法3条2項の無効理由が存在すると主張する。そこで検討すると、原告意匠と乙2意匠との間には、前記(1)で指摘した差異点が存在する。次に、原告意匠と乙4意匠及び乙5意匠との間においては、原告意匠では、中空の逆略楕円錐台形状の上面が開口された形状をなす収納容器本体という構成を有するのに対し、乙4意匠及び乙5意匠では、上部が開口した略箱状の収容容器本体という構成を有する点(基本的構成態様①)、原告意匠は、太さのある縄紐が使用されており、収納容器内側に大きな止め結びが形成されているのに対し、乙4意匠及び乙5意匠は細い縄紐が使用されており、収納容器内側に存在する止め結びは大きなものとはいえない点(具体的構成態様③)、原告意匠においては、収納容器本体の上辺が、正面視及び背面視においては、両端から中央部に向かって緩やかに下方に湾曲した緩やかな円弧を形成しており、また、側面視においては、中央部に向かって立ち上がり、全体が弧状の凸状面として突設した形状であるのに対し、乙4意匠及び乙5意匠は、いずれも水平な直線形状になっている点(具体的構成態様④及び⑥)において、差異があるものと認められる。

また、乙6意匠、乙7意匠及び乙8意匠は、収納容器本体の長手方向に一対の把手が設けられている点や、一対の把手には太さのある縄紐が使用されており、収納容器内側に大きな止め結びが形成されている点において(基本的構成態様①及び具体的構成態様③)、原告意匠と共通するが、原告意匠では、中空の逆略楕円錐台形状の上面が開口された形状をなす収納容器本体という構成を有するのに対し、乙6意匠、乙7意匠及び乙8意匠では、上部が開口した略箱状の収容容器本体という構成を有する点(基本的構成態様①)、原告意匠は軟質の合成樹脂で一体に形成されているのに対し、乙6意匠、乙7意匠及び乙8意匠は、軟質の合成樹脂以外の材質が使用されている点(具体的構成態様②)、原告意匠においては、収納容器本体の上辺が、正面視及び背面視においては、両端から中央部に向かって緩やかに下方に湾曲した緩やかな円弧を形成しており、また、側面視においては、中央部に向かって立ち上がり、全体が弧状の凸状面として突設した形状であるのに対し、乙6意匠、乙7意匠及び乙8意匠は、いずれも水平な直線形状になっている点(具体的構成態様④及び⑥)において、差異がある。

さらに、原告意匠と乙9意匠との間においては、原告意匠では、中空の逆略楕円錐台形状の上面が開口された形状をなす収納容器本体と、その収納容器本体の長手方向の両端上部に対向して設けられた縄紐からなる一対の把手という構成を有するのに対し、乙9意匠は、上部が開口した略有底円筒状である収納容器本体と、その収納容器本体上部に対向して設けられた縄紐からなる一対の把手という構成を有する点(基本的構成態様①)、原告意匠は軟質の合成樹脂で一体に形成されているのに対し、乙9意匠は、軟質の合成樹脂以外の材質が使用されている点(具体的構成態様②)、原告意匠においては、収納容器本体の上辺が、正面視及び背面視においては、両端から中央部に向かって緩やかに下方に湾曲した緩やかな円弧を形成しており、また、側面視においては、中央部に向かって立ち上がり、全体が弧状の凸状面として突設した形状であるのに対し、乙9意匠は、いずれも水平な直線形状になっている点(具体的構成態様④及び⑥)において、差異がある。そして、収納容器は、その性質上、その形状について多様な選択肢があるとはいえないものの、収納容器の具体的な寸法や把手の形状及びこれらの素材については、その機能面から制約されるところは少なく、当業者は新しい着想に基づく独創性を発揮する余地がある上、意匠の創作は、個々の構成態様だけではなく、それらの結合に基づく全体としての美感を基準として判断すべきものである。そうすると、原告意匠の基本的構成態様①並びに具体的構成態様③、④及び⑥という構成を全て兼ね備えている点は、上記のとおり公知意匠にはみられない独自のものであり、原告意匠に独特の美感をもたらすものというべきである。

したがって、原告意匠を創作することに、当業者の立場からみた意匠の着想の新しさないし独創性があるものと認められないということはできないから、原告意匠に係る意匠登録に創作非容易性欠如(意匠法3条2項)の無効理由があるとは認められない。
(3) 争点2-3(本件展示会への出品及び原告とその取引先とのやり取り等により公然知られた意匠に基づく新規性欠如)について

ア意匠法3条1項1号の「公然知られた意匠」について、その文言や、刊行物に記載された意匠(同項2号)と区別して「公然知られた意匠」を規定していることからすれば、「公然知られた」というためには、意匠登録出願前に、日本国内又は外国において、不特定又は多数の者に秘密でないものとして現実にその内容を知られたという事実が必要であると解すべきである。

イ被告は、①本件展示会への出品及び②原告とその取引先とのやり取り等により原告意匠は公然知られた意匠となっていたと主張する。しかしながら、上記①について、証拠(乙37)及び弁論の全趣旨によれば、原告商品は、本件出願日の翌日である平成24年6月6日から開催されていた本件展示会に出品されていたこと、本件展示会への出品のための搬入は、同月4日及び5日に行われたことが認められるが、本件全証拠によっても、原告商品の具体的な搬入時期及び搬入方法並びに搬入後の管理状況は明らかではなく、本件展示会への出品のための搬入が本件出願前に行われていたとしても、それだけで原告意匠の内容が不特定又は多数の者に秘密でないものとして現実に知られたという事実を認めることはできない。

次に、上記②について、証拠(乙14、15)及び弁論の全趣旨によれば、インターネット上のショッピングサイトであるアマゾンにおける、原告商品の取扱開始日は平成24年7月2日となっていたこと、原告商品を取り扱っているBRUNOのウェブページにおいて、原告商品の発売時期は「2012AW」(平成24年秋)と記載されていることが認められるものの、これらの事実は、本件出願後に原告商品が販売されていたことを示すものにすぎず、本件出願前に、原告意匠の内容が不特定又は多数の者に秘密でないものとして現実に知られたことを直ちに意味するものではない。

また、証拠(甲26、証人A)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、本件出願前に、原告商品の金型の発注を行っていることが認められるものの、本件全証拠によっても、原告から発注を受けた取引先が不特定の者であるとは認められない上、このような取引先は、原告商品に係る情報について信義則上の守秘義務を負っていると解されることからすれば、上記の事実も、原告意匠の内容が不特定又は多数の者に秘密でないものとして現実に知られたことを裏付けるものではない。

以上に加え、他に原告意匠の内容が本件出願より前に日本国内又は外国において不特定又は多数の者に秘密でないものとして現実に知られたと認めるに足りる証拠はないから、原告意匠に係る意匠登録に新規性欠如(意匠法3条1項1号)の無効理由があるとは認められない。
(4) 争点2-4(冒認出願又は共同出願違反)について被告は、原告意匠が、A単独で創作されたものではなく、原告の他の従業員の単独又は同従業員とAの共同で創作されたものであるから、本件出願は、冒認出願であるか、共同出願の規定(意匠法15条1項、特許法38条)に反するものであると主張する。しかしながら、Aは、原告意匠を自ら創作した旨証言し、同人作成の陳述書(甲26)にも同趣旨の記載がある。他方で、証拠(乙21、22、証人A)及び弁論の全趣旨によれば、原告にはデザイン企画室が存在しており、同企画室には、大学等でデザインを専攻した人物が所属していたことが認められるものの、このような事実は、A以外の原告に所属する人物が原告意匠の創作に関与し得たことを示すものにすぎず、本件全証拠によっても、そのような人物が原告意匠の創作に実際に関与した事実を認めることはできないから、Aの上記証言等が信用できないということはできず、他にその信用性を否定するに足りる証拠はない。したがって、本件出願が冒認出願又は共同出願の規定に反するものとは認められないから、被告の上記主張は採用できない。

3争点3(差止め等の必要性)について被告商品の内容、被告の行為態様及び本件に現れた諸事情を総合考慮すると、本件においては、被告による被告商品の製造、輸入、使用、譲渡、貸渡し、輸出並びに譲渡及び貸渡しの申出の差止めの必要性が認められ、被告商品の廃棄の必要性も認められる。

4争点4(損害の発生及び額)について(1) 意匠法39条2項による損害額の算定

ア意匠法39条2項の適用の可否及び同項により推定される損害額について(ア) 被告は、原告は原告商品の売上げを開示しておらず、被告商品の販売後も、その売上げが増加している可能性もあり、本件では、損害の発生が立証されているわけではないから、意匠法39条2項を適用することはできないと主張する。しかしながら、意匠法39条2項は、意匠権者等が侵害行為による損害の額を立証することが困難であることから、その立証を容易にするために設けられたものであり、そのような同項の趣旨からすれば、同項の適用が認められるためには、侵害者による侵害行為がなかったならば意匠権者等が利益を得られたであろうという事情が存在すれば足りるものと解され、同項の適用のために、侵害者の侵害行為によって意匠権者等の売上げが減少したという事情が存在する必要があるとはいえない。この点に関し、証拠(甲12、甲13)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、本件出願後、原告意匠を用いた「バルコロール(balcolore)」という名称の商品(原告商品)の販売を継続していることが認められる。そうだとすれば、本件においては、侵害者による侵害行為がなかったならば意匠権者等が利益を得られたであろう事情が存在するものといえるから、意匠法39条2項を適用することができる。したがって、被告の上記主張は採用することができない。

(イ) そして、前提事実(6)アのとおり、被告商品の日本国内における売上高(5981万3900円)から、被告商品の製造販売に直接関連して追加的に必要となった経費を控除した限界利益の額は●(省略)●である。したがって、この金額が、意匠法39条2項に基づき原告が受けた損害額と推定される。

イ推定の覆滅事由について(ア) 意匠権者と侵害者の業務態様等の相違(市場の非同一性)前提事実(5)、証拠(甲29ないし甲31、乙46ないし48)及び弁論の全趣旨によれば、被告商品は、被告の各店舗において販売されており、その価格は、イ号(2リットル)が100円、ロ号(7リットル)が300円、ハ号(19リットル)が500円であったこと、原告商品は、株式会社東京インテリア家具(家具やインテリアの小売店)、株式会社ファミリア(子供用品等を扱う小売店。以下「ファミリア」という。)、アルファロメオ、アバルト等を扱う自動車ディーラー、株式会社アダストリア(アパレル業者)等を通じて販売されており、その価格は、最低で1210円、最大で4950円(サイズは不明なものが多いが、ファミリアでは、7リットルの商品が1320円、19リットルの商品が2200円で販売されている。)であったこと、原告商品は、楽天市場等のインターネット上のショッピングサイトでも販売されており、その価格は、2リットルの商品について、最低で1680円、最高で2306円であったことが認められる。

このように、原告商品と被告商品は、その販売経路が異なることに伴って販売価格に差が生まれており、両者の価格を比較すると、最も小さいものでも原告商品の価格が被告商品の価格の約4倍(ファミリアで販売されている原告商品とロ号の比較)であり、大きなものでは原告商品の価格が被告商品の価格の20倍を超えるもの(楽天市場等のインターネット上のショッピングサイトで販売されている原告商品とイ号の比較)も存在しており、原告商品及び被告商品の上記の価格差は小さいとはいえない。そして、原告商品や被告商品は、生活雑貨などの家庭用品を収納する容器であり、主に自宅で使用される実用品といえ、そうだとすれば、上記の販売価格の差異は、需要者の購買動機に相当程度影響を与えていると認めるのが相当である。

他方で、原告商品と被告商品は、インテリア商品でもあることからすると、その需要者の中には、価格を重視せず、デザイン性や色彩を重視して、安価な商品がない場合は、高価な商品を購入するという者も少なからず存在するものと推認できる上、原告商品と被告商品の価格は、いずれも数百円から数千円の範囲にとどまっており、比較的購入しやすい価格帯であることに照らすと、上記の販売価格の差異による覆滅割合が非常に大きなものになるとは考え難い。

これらの事情を踏まえると、意匠権者と侵害者の業務態様等の相違(市場の非同一性)は推定の覆滅事由に該当すると認められる。

(イ) 市場における競合品の存在被告は、収納容器については数えきれないほど多数の競合品が存在していることが推定の覆滅事由になると主張する。

しかしながら、競合品の存在について、証拠(乙38)及び弁論の全趣旨によれば、インターネット上のショッピングサイトで「収納バスケット」などのキーワードで検索すると多数の商品が表示されることが認められるものの、これらの商品や原告商品の市場におけるシェアは明らかではなく、単に他の収納容器が多数販売されているという事実のみをもって、推定の覆滅を認めることはできないというべきである。

したがって、被告の上記主張は採用できない。

(ウ) 被告の営業努力証拠(乙39、43)及び弁論の全趣旨によれば、被告はいわゆる100円均一ショップを展開する企業であるところ、被告の令和4年の年間売上高は5493億円、従業員数は合計2万4605人(正社員585人、臨時従業員数2万4020人)、日本国内の店舗数は4092店舗であること、株式会社日経BPコンサルティングが実施した「ブランド・ジャパン2023」の一般生活者編の「総合力」ランキングにおいて、被告はUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)、Google、UNIQLO(ユニクロ)、Disney(ディズニー)に次ぐ5位となっていることが認められ、このような被告の企業規模の大きさや知名度の高さは被告商品の売上げに相当程度影響を与えているものというべきである。そうすると、上記の事情は被告の営業努力の観点から推定の覆滅事由に該当するものと認められる。

(エ) 侵害品の性能(機能、性能等意匠以外の特徴)及び被告商品は原告意匠の一部のみを用いていること被告は、①需要者は、収納容器を購入するに際し、外観よりもその機能面やその色彩を考慮すること、②被告商品は、需要者が着目する「船のようなカタチ」に相当する構成態様である具体的構成態様④及び⑥を有していないことが推定の覆滅事由になると主張する。

しかしながら、上記①について、証拠(乙1)及び弁論の全趣旨によれば、被告商品は白色の商品しか存在しないことが認められ、本件全証拠によっても、被告商品が収納容器として特別な色彩や機能を有していということはできない。そうだとすれば、被告商品の色彩や機能が、その売上げに寄与したとは認められないから、侵害品の性能による推定の覆滅を認めることはできない。

他方、上記②について、前記1(4)イのとおり、原告商品と被告商品との間には、差異点1及び2が存在しており、特に差異点2(正面視、背面視及び側面視における収納容器本体の上辺の形状が異なっている点)は、原告意匠の要部の一部に関する差異といえることを踏まえると、原告意匠が被告商品の売上げに寄与した程度は限定的なものであったというべきである。

したがって、侵害品の性能(機能、性能等意匠以外の特徴)は推定の覆滅事由であると認めることはできないが、被告商品は原告意匠の一部のみを用いていることは推定の覆滅事由に該当するものと認められる。

(オ) まとめ以上によれば、意匠権者と侵害者の業務態様等の相違(市場の非同一性)、被告の営業努力及び被告商品は原告意匠の一部のみを用いていることは推定の覆滅事由に該当するものといえ、被告商品の購買動機の形成に対する原告意匠の寄与割合は2割と認めるのが相当であるから、上記の限度で推定が覆滅される。

ウ小括したがって、意匠法39条2項により算定される損害額は、●(省略)●(=●(省略)●×0.2)と認められる。
(2) 意匠法39条3項による損害額の算定

ア意匠法39条3項の適用の可否について(ア) 意匠権者は、自ら意匠を実施して利益を得ることができると同時に、第三者に対し、意匠の実施を許諾して利益を得ることができることに鑑みると、侵害者の侵害行為により意匠権者が受けた損害は、意匠権者が侵害者の侵害行為がなければ自ら販売等をすることができた実施品又は競合品の売上げの減少による逸失利益と実施許諾の機会の喪失による得べかりし利益とを観念し得るものと解される。

そうすると、意匠法39条2項による推定が覆滅される場合であっても、当該推定覆滅部分について、意匠権者が実施許諾をすることができたと認められるときは、同条3項の適用が認められると解すべきである。

(イ) これを本件において見ると、意匠権者と侵害者の業務態様等の相違(市場の非同一性)及び被告の営業努力による推定覆滅部分については、実施許諾をすることができたものと認められるが、被告商品は原告意匠の一部のみを用いていることについては、原告意匠が売上げに寄与していないことを理由に推定が覆滅されるものであるから、この部分について、実施許諾をすることができたものとは認められない。

(ウ) そうだとすれば、意匠権者と侵害者の業務態様等の相違(市場の非同一性)及び被告の営業努力に係る推定覆滅部分についてのみ、意匠法39条3項の適用があると解するのが相当である。

イ登録意匠又はこれに類似する意匠の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額について(ア) 登録意匠又はこれに類似する意匠の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額を算定する際の基礎となる金額は、侵害行為に関する売上高であると解されるところ、前提事実(6)のとおり、被告商品は日本国内の売上高は5981万3900円であり、これに海外への輸出に係る売上高を追加した金額は6358万8100円である。

そして、前記アのとおり、意匠権者と侵害者の業務態様等の相違(市場の非同一性)及び被告の営業努力に係る推定覆滅部分についてのみ、意匠法39条3項の適用があるところ、前記(1)イ(ア)、(イ)及び(エ)で説示した内容に加えて、原告意匠と被告意匠との差異点が美感に与える影響は限定的なものにとどまること(前記1(4)エ)などを総合考慮すると、上記の推定覆滅部分に相当する被告商品の売上高は、日本国内の売上高の7割に相当する部分と認められる。

そうすると、本件において、上記の金銭の額を算定する際の基礎となる金額は、上記の日本国内の売上高に海外での売上高を加えた4564万3930円(=(5981万3900円×0.7)+(6358万8100円-5981万3900円))となる。

(イ) 次に、使用料率について、証拠(乙59)及び弁論の全趣旨によれば、株式会社帝国データバンク作成の「知的財産の価値評価を踏まえた特許等の活用の在り方に関する調査研究報告書~知的財産(資産)価値及びロイヤルティ料率に関する実態把握~」には、特許権に関する「個人用品または家庭用品」の使用料率(ロイヤリティ)の平均値は3.5パーセントであると記載されていることが認められる。

この点について、上記の「個人用品または家庭用品」の使用料率(ロイヤリティ)の記載は特許権に関するものにすぎない上、そこにいう「個人用品または家庭用品」の具体的な内容も明らかではなく、しかも、上記の使用料率(ロイヤリティ)平均値は、収納容器とは異なる用品を含めた数値であるものと推認される。

他方で、意匠権侵害をした者に対して事後的に定められるべき実施に対し受けるべき使用料率は、通常の使用料率に比べて自ずと高額になるものと解される。以上の事情を総合考慮すると、本件において、登録意匠又はこれに類似する意匠の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額を算定する際の使用料率は、被告商品の売上高の3.5パーセントとするのが相当である。

(ウ) したがって、意匠法39条3項により算定される損害額は、159万7537円(=4564万3930円×0.035)と認められる。
(3) 弁護士費用事案の難易、前記(1)及び(2)で認定した損害額並びにその他本件で現れた諸般の事情に照らすと、本件において相当因果関係を有する弁護士費用は100万円とするのが相当である。
(4) 小括以上によれば、被告が原告意匠権を侵害したことによって原告に生じた損害額は合計944万5358円となる。
第5 結論
以上によれば、原告の請求は、被告に対し、被告商品の販売等の差止め及び廃棄並びに944万5358円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和3年9月4日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。よって、原告の請求は上記の限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官國分隆文
裁判官塚田久美子
裁判官木村洋一(別紙)被告商品目録

1商品名「WITHCORDSOFTBASKET」(ソフトバスケット(紐付き))

2容量及びサイズ下表のとおり容量(ℓ)サイズ(mm)税抜き小売価格(円)縦幅横幅高さ2135210159100719029022030019270400313500以上(別紙)原告意匠公報図面目録

1斜視図

2正面図

3右側面図

4平面図

5底面図以上(別紙)公知意匠目録

1甲9(平成11年7月20日を特許日とする米国発行の公報(特許番号:意匠412,228))

2甲10(平成12年8月7日発行の意匠公報(意匠登録第1081783号))

3甲19の1(特許庁意匠課公知資料番号HA21006791)

4甲19の2(特許庁意匠課公知資料番号HB08021684)

5甲19の3(特許庁意匠課公知資料番号HC02033769)

6甲19の4(特許庁意匠課公知資料番号HJ22079731)

7甲19の5(特許庁意匠課公知資料番号HJ22050451)

8乙2(平成21年6月3日公告(公開)の中国発行の公報(CN300935313D))

9乙3(個人ブログに掲載されていたもの)10乙4(平成18年1月19日公開の公開特許公報(特開2006-15015)に掲載されていたもの)11乙5(平成4年3月18日公開の公開実用新案公報(平4-33369)に掲載されていたもの)12乙6(個人ブログに掲載されていたもの)13乙7(「100円グッズ、かご、カラボ、スノコ、使える!アイデア収納」と題する書籍に掲載されていたもの)14乙8(個人ブログに掲載されていたもの)15乙9(インターネット上のショッピングサイトで掲載されていたもの)16乙26(平成20年9月10日公告(公開)の中国発行の公報(CN300826894D))17乙27(平成23年12月28日公告(公開)の中国発行の公報(CN301774006S))以上(別紙)原告意匠目録

1基本的構成態様① 略楕円形状で小判型の底面とこれより大きい略楕円形状で小判型の上面とからなる中空の逆略楕円錐台形状の上面が開口された形状をなす収納容器本体と、その収納容器本体の長手方向の両端上部に対向して設けられた縄紐からなる一対の把手とから構成されている。

2具体的構成態様② 収納容器本体は、軟質の合成樹脂で一体に形成されており、正面視及び背面視において、収納容器本体の上辺の長さと下辺の長さと高さの比率は、約10:7.4:7.4であり、また、側面視において、収納容器本体の上端部の幅と下端部の幅の比率は約6.7:5.2である。

③ 一対の把手は、二本の短い縄紐からなっており、収納容器本体の長手方向の両端上部の外周面に対向して穿設された左右一対の小さな透孔に太さのある縄紐の両端部を収納容器本体の外側からそれぞれ挿通し、縄紐の各端部に大きな止め結びを形成し、その止め結びの先の縄紐がほつれて末広がり状となっていて、その止め結びの存在が収納容器本体の上端の開口部から見えるようになっており、収納容器本体の外側に存在する縄紐はU字状に垂下して設けられている。

④ 正面視及び背面視において、収納容器本体の上辺は、両端から中央部に向かって緩やかに下方に湾曲した緩やかな円弧を形成している。

⑤ 収納容器本体底面の長手方向両端の円弧状部には、その円弧の中央部とその両側に等間隔でそれぞれ三個の小さな突起が設けられている。

⑥ 側面視において、収納容器本体の上辺は、中央部に向かって立ち上がり、全体が弧状の凸状面として突設した形状である。以上(別紙)被告意匠目録

1基本的構成態様① 略楕円形状で小判型の底面とこれより大きい略楕円形状で小判型の上面とからなる中空の逆略楕円錐台形状の上面が開口された形状をなす収納容器本体と、その収納容器本体の長手方向の両端上部に対向して設けられた縄紐からなる一対の把手とから構成されている。

2具体的構成態様② 収納容器本体は、軟質の合成樹脂で一体に形成されており、正面視及び背面視において、収納容器本体の上辺の長さと下辺の長さと高さの比率は、イ号意匠では約10:8.1:7.7、ロ号意匠では約10:7.9:7.6、ハ号意匠では約10:8:7.5で、側面視において、収納容器本体の上端部の幅と下端部の幅の比率は、イ号意匠では約6.8:5.1、ロ号意匠では約6.8:5.2、ハ号意匠では約6.8:5.1であり、イ号意匠ないしハ号意匠の正面視及び背面視における収納容器本体の中央の高さと両端の高さの比は1:1である。

③ 一対の把手は、二本の短い縄紐からなっており、収納容器本体の長手方向の両端上部の側面に対向して穿設された左右一対の小さな透孔に太さのある縄紐の両端部を前記収納容器本体の外側からそれぞれ挿通し縄紐の各端部に大きな止め結びを形成し、その止め結びの先の縄紐がほつれて末広がり状となっていて、その止め結びの存在が収納容器本体の上端の開口から見えるようになっており、収納容器本体の外側に存在する縄紐はU字状に垂下して設けられている。

④ 正面視及び背面視において、収納容器本体の上辺は水平な直線形状である。

⑤ 収納容器本体底面の長手方向両端の円弧状部には、その円弧の中央部とその両側に等間隔でそれぞれ三個の小さな突起が設けられている。

⑥ 側面視において、収納容器本体の上辺は水平な直線形状である。以上

出典: 令和3年(ワ)第20229号 裁判所ウェブサイト掲載の判決文 →

📚 出典

📄 判決文を読む(裁判所ウェブサイト)→

この料率データをもとに、御社の知財価値を算定しませんか?

相場データだけでは分からない、御社固有の技術価値・市場環境を加味した客観的な評価書(PDF)を作成します。

✅ 税込 ¥110,000(定額) ✅ 最短5営業日 ✅ オンライン完結

🔍 データ品質について

本要旨は判決文全文をAIにより構造化抽出し、AIによる複数回の照合チェックを実施しています。

ただし、内容の正確性を完全に保証するものではありません。実務でのご利用に際しては、上記の出典リンクより原文をご確認ください。

← 料率データベース一覧に戻る