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商標権(OGGETTI・日用雑貨の小売/卸売 第35類)

1% 認定料率
▲顧客吸引力
事件番号 平成29年(ワ)第4106号
判決日 2019/01/31
裁判所 東京地裁
認容額 51万1,052円(38条3項損害金41万1,052円+弁護士費用10万円)

📋 判決要旨

判決日: 2019年1月31日 | 裁判所: 東京地裁 | 料率: 1.0%(商標法38条3項・第35類小売/卸売)

チョコレート専門店の2階で日用雑貨小売店「OGGETTI」を営む原告が、同名の登録商標(第35類・第16類等)に基づき、小売業者向けに日用雑貨の卸売を行う被告に対し、商標権侵害の差止め・損害賠償を請求した事件。被告標章1・2・4〜7は原告商標と類似と認定。被告標章3(展示会名「2016AW OGGETTI Exhibition」)・8(ウェブショッピングサイト名「Web shopping OGGETTI doors」)は全体として一体のデザインをなすとして類似否定。被告の先使用権・継続的使用権・損害不発生の各抗弁はいずれも退けられた。差止請求は被告標章1・2・4〜7について認容。

料率の決め方:(商標法38条3項)

  • 📊 基準: 経済産業省「ロイヤルティ料率データハンドブック」(甲53) — 第35類の平均3.9%(最大11.5%、最小0.5%)

(※同書の元データは[経産省2010年調査報告書](https://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/guideline/list15.html)として公開)

  • 📉 引き下げ要因: 原告の営業規模が小さい(店舗1か所、取扱商品15種類前後)ため、原告商標の顧客吸引力は相当低い
  • 📉 引き下げ要因: 原告は一般消費者向け小売のみ、被告は小売業者向け卸売のみで、営業態様が異なる
  • 📉 引き下げ要因: 本件対象期間の被告売上のうち78.8%が原告商標登録日以前からの取引先に対するものであり、売上は被告の従前の営業努力と取扱商品メーカーの顧客吸引力に依る
  • 📉 引き下げ要因: 被告標章4・5は営業所の看板として設置されていたにすぎず、標章7は掲載先のウェブページが2002年以降放置状態でインターネット販売も行われていなかったことから、いずれも顧客吸引力は極めて低い。標章1・2は対象期間の途中で使用終了、標章6は展示会での3日間のみの使用にとどまる
  • 結論: 上記事情を総合考慮し1%。被告売上4,110万5,249円×1% = 38条3項損害金41万1,052円

認容額51万1,052円(38条3項損害金41万1,052円+弁護士費用10万円)。

📜 判決文全文

⚠️ 本文はPDFから自動抽出し、プログラムで一括クリーニング処理を行ったものです。変換精度の限界により、誤字・脱字・書式崩れが含まれる場合があります。正確な内容は裁判所公開の原文PDFをご確認ください。

裁判所の判断
▼ 判決文全文(クリックで折りたたみ)
主文

1被告は,別紙ウェブサイト目録記載のウェブサイト並びに別紙被告商品

目録記載の各商品の販売に係るパンフレット及びチラシ等の広告を内容と

する情報に別紙被告標章目録記載1,2及び4ないし7の各標章を付して

電磁的方法により提供してはならない。

2被告は,(住所は省略)所在の営業所の外壁及び掲示物に別紙被告標章

目録記載1,2及び4ないし7の各標章を付して展示してはならない。

3被告は,原告に対し,51万1052円及びこれに対する平成29年2

月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

4原告のその余の請求をいずれも棄却する。

5訴訟費用は,これを5分し,その2を原告の,その余を被告の各負担と する。

6この判決は,第3項に限り,仮に執行することができる。事実及び理由
第1 請求

1被告は,別紙ウェブサイト目録記載のウェブサイト並びにパンフレット及びチラシ等の広告を内容とする情報に別紙被告標章目録記載の各標章を付して電磁的方法により提供してはならない。

2被告は,(住所は省略)所在の営業所の外壁及び掲示物に別紙被告標章目録記載の各標章を付して展示してはならない。

3被告は,第1項のウェブサイトから別紙被告標章目録記載1ないし3,7及び8の各標章を抹消せよ。

4被告は,第2項の営業所の外壁及び掲示物から別紙被告標章目録記載4ないし6の各標章を抹消せよ。

5被告は,原告に対し,1272万0174円及びこれに対する平成29年2月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,別紙商標権目録記載の各商標権を有する原告が,被告による別紙被告標章目録記載の各標章の使用行為が上記各商標権の侵害に当たると主張して,被告に対し,商標法(以下「法」という。)36条1項及び2項に基づき,上記各標章の使用の差止めと抹消を求めるとともに,民法709条及び法38条3項に基づき,被告が平成26年10月1日から平成29年1月31日までの間(以下「本件対象期間」という。)に上記各標章を使用したことによる損害賠償金1272万0174円及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成29年2月17日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

1前提事実(争いのない事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認め られる事実)

⑴ 当事者

ア原告は,昭和57年4月17日に設立された菓子類の製造,販売等を目的とする株式会社であり(争いなし),本店所在地の建物1階においてチョコレート専門店「ショコラティエ・エリカ」を,同建物2階において日用雑貨の小売やラッピングサービスの提供を行う店舗「OGGETTI」を営んでいる(乙1)。

イ被告は,平成4年5月18日に設立された日用雑貨の販売等を目的とする株式会社であり(争いなし),別紙被告商品目録記載の各商品(以下「被告商品」という。)を販売している(弁論の全趣旨)。原告の商標権及びその登録商標原告は,別紙商標権目録記載1の商標権(以下「原告商標権1」という。)及び同目録記載2の商標権(以下,「原告商標権2」といい,両者を併せて「原告商標権」という。)を有している(争いなし)。原告商標権1及び2の登録商標は同じである(以下「原告商標」という。)。被告の行為

ア被告は,平成26年10月1日から平成28年5月31日までの間,別紙ウェブサイト目録記載のウェブサイト(以下「被告サイト」という。)において,被告商品の販売に関する広告に別紙被告標章目録記載1及び2の各標章(以下,順に「被告標章1」,「被告標章2」という。)を付して電磁的方法により提供し,もって被告商品の販売について被告標章1及び2を使用していた(弁論の全趣旨)が,その後,被告標章1及び2を抹消した(争いなし)。

イ被告は,平成28年9月1日付けで,被告サイトにおいて,被告が被告商品の販売を目的として開催する展示会の案内広告に別紙被告標章目録記載3の標章(以下「被告標章3」という。)を付して電磁的方法により提 供した上,その後,現在に至るまでその提供した状態を維持し,もって被告商品の販売について被告標章3を使用している(甲9の1,3,弁論の全趣旨)。

ウ被告は,平成26年10月1日から少なくとも本件訴状が送達された平成29年2月16日までの間,(住所は省略)にある営業所(以下「被告営業所」という。)において,被告商品の販売を行っている建物の看板に別紙被告標章目録記載4及び5の各標章(以下,順に「被告標章4」,「被告標章5」という。)を付して展示し,もって被告商品の販売について被告標章4及び5を使用していたが,遅くとも同年4月7日までには,上記看板を取り外した(乙1,弁論の全趣旨)。

エ被告は,平成28年9月14日から同月16日までの間,被告営業所において,被告が被告商品の販売を目的として開催した展示会の案内版に別紙被告標章目録記載6の標章(以下「被告標章6」という。)を付して展示し,もって被告商品の販売について被告標章6を使用した(弁論の全趣旨)。

オ被告は,遅くとも平成14年10月19日までには,被告サイト内の次ウェブページ(以下「被告ウェブページ」という。)において,被告商品の販売に関する広告に別紙被告標章目録記載7及び8の各標章(以下,順に「被告標章7」,「被告標章8」といい,被告標章1ないし8を併せて「被告標章」という。)を付して電磁的方法により提供した上,その後,少なくとも本件訴状が送達された平成29年2月16日に至るまでその提供した状態を維持した(甲11の1ないし4,弁論の全趣旨)。被告標章7URL http:// 以下省略URL http:// 以下省略 URL http:// 以下省略被告標章8URL http:// 以下省略被告による被告商品の販売被告は,平成26年10月1日から平成29年1月31日までの間(本件対象期間)に,被告商品を販売し,合計4110万5249円を売り上げた(乙24の2,30,31,弁論の全趣旨)。なお,被告商品の販売業務において行われる顧客に対する便益の提供は,原告商標権の指定役務又は指定商品と同一又は類似の役務である(弁論の全趣旨)。

2争点原告商標と被告標章との類否

⑵ 被告標章7及び8の使用の有無被告標章1ないし3の商標的使用の有無先使用権の存否継続的使用権の存否損害不発生の抗弁の成否原告の損害の額

3争点に対する当事者の主張(原告商標と被告標章との類否)について【原告の主張】

ア原告商標と被告標章1との対比原告商標と被告標章1は,称呼が同一である上,その外観も,背景の形状と色,頭文字以外が大文字か小文字か,字体等の点は異なるものの,四角形の背景に白抜きで「オジェッティ」の欧文字がブロック体で横書きされている点において共通し,かつ,「Oggetti」という造語ともとれる単語が特徴的で強い印象を与えるため,被告標章1に接した取引者や需要者 においてその営業主体を誤認混同するおそれがある。したがって,原告商標と被告標章1とは類似する。

イ原告商標と被告標章2との対比原告商標と被告標章2は,称呼が同一である上,その外観も,背景の有無や,頭文字以外が大文字か小文字か,字体等の点は異なるものの,「オジェッティ」の欧文字がブロック体で横書きされている点において共通し,かつ,「Oggetti」という造語ともとれる単語が特徴的で強い印象を与えるため,被告標章2に接した取引者や需要者においてその営業主体を誤認混同するおそれがある。したがって,原告商標と被告標章2とは類似する。

ウ原告商標と被告標章3との対比被告標章3の要部は「OGGETTI」の文字部分であるところ,同部分と原告商標とは,称呼が同一である上,その外観も,背景の色,字体といった点は異なるものの,背景に白抜きで「オジェッティ」の欧文字がブロック体を用いて大文字のみで横書きされている点において共通し,かつ,「OGGETTI」という造語ともとれる単語が特徴的で強い印象を与えるため,被告標章3に接した取引者や需要者においてその営業主体を誤認混同するおそれがある。したがって,原告商標と被告標章3とは類似する。

エ原告商標と被告標章4との対比原告商標と被告標章4は,称呼が同一である上,その外観も,背景や下線の有無,頭文字以外が大文字か小文字か,文字の色,字体等の点は異なるものの,えんじ色が使用されている点,「オジェッティ」の欧文字がブロック体で横書きされている点において共通し,かつ,「Oggetti」という造語ともとれる単語が特徴的で強い印象を与えるため,被告標章4に接した取引者や需要者においてその営業主体を誤認混同するおそれがある。 したがって,原告商標と被告標章4とは類似する。

オ原告商標と被告標章5との対比原告商標と被告標章5は,称呼が同一である上,その外観も,背景や下線の有無,頭文字以外が大文字か小文字か,字体等の点は異なるものの,えんじ色が使用されている点,「オジェッティ」の欧文字がブロック体で横書きされている点において共通し,かつ,「Oggetti」という造語ともとれる単語が特徴的で強い印象を与えるため,被告標章5に接した取引者や需要者においてその営業主体を誤認混同するおそれがある。したがって,原告商標と被告標章5とは類似する。

カ原告商標と被告標章6との対比原告商標と被告標章6は,称呼が同一である上,その外観も,背景の有無や,頭文字以外が大文字か小文字か,文字の色,字体等の点は異なるものの,えんじ色が使用されている点,「オジェッティ」の欧文字がブロック体で横書きされている点において共通し,かつ,「Oggetti」という造語ともとれる単語が特徴的で強い印象を与えるため,被告標章6に接した取引者や需要者においてその営業主体を誤認混同するおそれがある。したがって,原告商標と被告標章6とは類似する。

キ原告商標と被告標章7との対比原告商標と被告標章7は,称呼が同一である上,その外観も,背景の有無や,頭文字以外が大文字か小文字か,文字の色,字体等の点は異なるものの,えんじ色と赤色という同系色が使用されている点,「オジェッティ」の欧文字がブロック体で横書きされている点において共通し,かつ,「Oggetti」という造語ともとれる単語が特徴的で強い印象を与えるため,被告標章7に接した取引者や需要者においてその営業主体を誤認混同するおそれがある。したがって,原告商標と被告標章7とは類似する。 ク原告商標と被告標章8との対比被告標章8の要部は中心付近に配置された「Oggetti」に下線が引かれた部分であるところ,原告商標と被告標章8の要部は,称呼が同一である上,その外観も,背景や下線の有無,頭文字以外が大文字か小文字か,文字の色,字体等の点は異なるものの,えんじ色と赤色という同系色が使用されている点,「オジェッティ」の欧文字がブロック体で横書きされている点において共通し,かつ,「Oggetti」という造語ともとれる単語が特徴的で強い印象を与えるため,被告標章8に接した取引者や需要者においてその営業主体を誤認混同するおそれがある。したがって,原告商標と被告標章8とは類似する。

ケ被告の主張について被告は,原告が一つの店舗で一般消費者向けの小売店を営んでいるのに対し,被告は問屋や小売業者向けに卸売のみを行っており,原告商標と被告標章1ないし6とは需要者が全く異なっているから,需要者においてその営業主体を誤認混同するおそれはない旨主張する。しかし,そもそも,被告は,被告サイトや被告ウェブページ,被告が開催する展示会において一般消費者を対象とした小売を行っている。また,原告商標を用いた商品の販売の対象が一般消費者であり,被告標章を用いた商品の販売の対象が主に小売業者であるとしても,原告と被告は最終的には一般消費者が興味を持ち,購入することを予定した同種の商品を取り扱っていること,同一の事業主体が一般消費者向けの商品の小売と卸売を営むことは一般的であること,原告も被告も原告商標又は被告標章を付した商品広告をウェブサイトに掲載しているため,検索エンジンで検索すると,上記両サイトは検索結果において近接した順位で表示されることからすれば,原告商標と被告標章1ないし6との類似性は否定されない。 【被告の主張】

ア原告商標と被告標章1との対比について原告商標と被告標章1は,称呼が同一であるが,原告商標の文字部分が細字で縦長のゴシック体を基調とした字形であり,周囲に配色されたえんじ色とも相まってシックでスマートな印象を与えるのに対し,被告標章1の文字部分は極太字のポップ体を基調とした字形を採用することによってポップな印象を与える点や,2文字目以降が大文字か小文字かという点において異なっており,両者の外観は大きく異なっている。また,「OGGETTI」ないし「Oggetti」という単語自体は特定の観念を生じさせるものではない。以上に加え,原告は一つの店舗で一般消費者向けの小売店を営んでいるのに対し,被告は問屋や小売業者向けに卸売のみを行っており,需要者が全く異なることも併せ考えれば,被告標章1に接した需要者においてその営業主体を誤認混同するおそれはない。したがって,原告商標と被告標章1とは類似しない。

イ原告商標と被告標章2との対比について原告商標と被告標章2は,称呼が同一であるが,原告商標については,えんじ色の正方形中に白抜きで文字が配されているのに対し,被告標章2については,文字部分の周囲に配色されていない上,文字の部分についても,原告商標のそれが細字で縦長のゴシック体を基調とした字形であり,周囲に配色されたえんじ色とも相まってシックでスマートな印象を与えるのに対し,被告標章2のそれは明るい赤色(フェラーリレッド)で極太字のポップ体を基調とした字形を採用することによって明るくポップな印象を与える点や,2文字目以降が大文字か小文字かという点において異なっており,両者の外観は大きく異なっている。また,「OGGETTI」ないし「Oggetti」という単語自体は特定の観念を生 じさせるものではない。以上に加え,被告標章1について述べたのと同様に,原告と被告とは需要者が全く異なることも併せ考えれば,被告標章2に接した需要者においてその営業主体を誤認混同するおそれはない。したがって,原告商標と被告標章2とは類似しない。

ウ原告商標と被告標章3との対比について被告標章3は文字の部分のみを切り離して見るべきではないから,原告商標と被告標章3とは,外観,称呼,観念のいずれについても異なっている上,被告標章1について述べたのと同様に,原告と被告とは需要者が全く異なることも併せ考えれば,被告標章3に接した需要者においてその営業主体を誤認混同するおそれはない。したがって,両者は類似しない。

エ原告商標と被告標章4及び5との対比について原告商標については,えんじ色の正方形中に白抜きで文字が配されているのに対し,被告標章4及び5については文字部分の周囲に配色されていない上,文字の部分についても,原告商標のそれが細字で縦長のゴシック体を基調とした字形であり,周囲に配色されたえんじ色とも相まってシックでスマートな印象を与えるものであるのに対し,被告標章4及び5のそれは明るい赤色(フェラーリレッド)で極太字のポップ体を基調とした字形を採用することによって明るくポップな印象を与える点や,2文字目以降が大文字か小文字かという点,下線の有無の点において異なっており,両者の外観は大きく異なっている。また,「OGGETTI」ないし「Oggetti」という単語自体は特定の観念を生じさせるものではない。以上に加え,被告標章1について述べたのと同様に,原告と被告とは需要者が全く異なることも併せ考えれば,被告標章4及び5に接した需要者 においてその営業主体を誤認混同するおそれはない。したがって,原告商標と被告標章4及び5とは類似しない。

オ原告商標と被告標章6との対比について原告商標と被告標章6は,称呼が同一であるが,原告商標については,えんじ色の正方形中に白抜きで文字が配されているのに対し,被告標章6については,文字部分の周囲に配色されていない上,文字の部分についても,原告商標のそれが細字で縦長のゴシック体を基調とした字形であり,周囲に配色されたえんじ色とも相まってシックでスマートな印象を与えるのに対し,被告標章6のそれは明るい赤色(フェラーリレッド)で,どちらかといえば縦につぶれて縦横で字の太さが異なっており,やや角張った字形を採用することによって明るくポップな印象を与える点や,2文字目以降が大文字か小文字かという点において異なっており,両者の外観は大きく異なっている。また,「OGGETTI」ないし「Oggetti」という単語自体は特定の観念を生じさせるものではない。以上に加え,被告標章1で述べたのと同様に,原告と被告とは需要者が全く異なることも併せ考えれば,被告標章6に接した需要者においてその営業主体を誤認混同するおそれはない。したがって,原告商標と被告標章6とは類似しない。

カ原告商標と被告標章7との対比について原告商標と被告標章7は,称呼が同一であるが,原告商標については,えんじ色の正方形中に白抜きで文字が配されているのに対し,被告標章7については,文字部分の周囲に配色されていない上,文字の部分についても,原告商標のそれが細字で縦長のゴシック体を基調とした字形であり,周囲に配色されたえんじ色とも相まってシックでスマートな印象を与えるのに対し,被告標章7のそれは明るい赤色(フェラーリレッド)で極太字 のポップ体を基調とした字形を採用することによって明るくポップな印象を与える点や,2文字目以降が大文字か小文字かという点において異なっており,両者の外観は大きく異なっている。また,「OGGETTI」ないし「Oggetti」という単語自体は特定の観念を生じさせるものではない。したがって,原告商標と被告標章7とは類似しない。

キ原告商標と被告標章8との対比について被告標章8の要部は「Oggetti」及び「doors」の部分であるから,原告商標と被告標章8とは外観,観念,称呼のいずれにおいても全く異なっており,両者は類似しない。被告標章7及び8の使用の有無)について【原告の主張】被告は,本件対象期間において,被告ウェブページに被告標章7及び8を付して使用していた。被告ウェブページは「Oggetti&doors」で検索する方法やURLを直接入力する方法によらなくても,一般消費者や小売業者が利用することができる検索エンジンにおいて「Oggetti」で検索することによりアクセスすることができるから,被告標章7及び8は卸売及び小売の役務のために使用されていたと認められる。【被告の主張】被告標章7及び8を掲載した被告ウェブページは,「Oggetti&doors」のブランド名で小売を行うために開設されたものであるが,遅くとも平成16年頃には使用されなくなり,上記ブランド名で検索するか,URLを直接入力する以外に閲覧することができず,一般的に閲覧可能な状態で提供されていたものではないから,被告標章7及び8は使用されていたとはいえない。

(被告標章1ないし3の商標的使用の有無)について【被告の主張】 被告標章1ないし3は,以下のとおり,商標的使用されていない(法26条1項6号)。

ア被告は,被告標章1及び2を掲載した被告サイトにおいて,メーカー発行の商品カタログをそのまま掲載しており,被告の需要者である取引業者は,当該カタログに掲載された商品が当該メーカーの商品であることを認識することができ,被告の商品であると認識することはあり得ないから,被告標章1及び2は,商品商標である原告商標権2との関係では,商標的使用に当たらない。

イ被告標章3は,「2016年秋冬被告(オジェッティ)展示会」を欧文字で記述したものにすぎないから,商標的使用に当たらない。【原告の主張】

ア原告は,被告の役務の提供について被告標章1及び2が使用されていると主張しているのであるから,被告標章1及び2が原告商標権2との関係において商標的使用に当たらない旨の被告の主張は反論になっていない。

イ被告の商号は「株式会社オジェッティ」であって,その欧文字の表記は,「OGGETTI」そのものではないから,被告標章3が商標的使用に当たらないとの被告の主張は誤っている。(先使用権の存否)について【被告の主張】被告は,その設立当初から現在に至るまで,不正競争の目的なく,インテリア雑貨,日常雑貨等の卸売の役務について,発注書,受注書,ファックス送信書,営業用資料,封筒,名刺及び求人広告等の取引書類に「OGGETTI」又は「Oggetti」の欧文字の標章を付して頒布してきた。そして,被告の取引先は,原告商標の出願時までに全国各地の著名な百貨店や文具店等を含め700店舗以上にのぼり,上記標章は,需要者であるインテリア雑貨,日常雑貨等の小売業者の間で広く周知されていた。 したがって,被告は,上記標章につき先使用権を有する。【原告の主張】被告が原告商標権1の指定役務又は原告商標権2の指定商品と同一又は類似の役務において被告標章を継続的に使用したとは認められない上,被告が原告商標の出願日までに被告標章につき周知性を獲得していたとも認められないから,被告には被告標章につき先使用権は認められない。(継続的使用権の存否)について【被告の主張】

ア被告は,その設立当初から現在に至るまで,不正競争の目的なく,インテリア雑貨,日常雑貨等の卸売の役務について,発注書,受注書,ファックス送信書,営業用資料,封筒,名刺及び求人広告等の取引書類に「OGGETTI」又は「Oggetti」の欧文字の標章を付して頒布しているから,被告は,意匠法等の一部を改正する法律(平成18年法律第55号。以下「平成18年改正法」という。)附則6条1項に基づき上記の範囲において上記の標章を継続して使用する権利を有する。そして,被告は,被告サイトにおいて,卸売の役務に関する広告に被告標章を付して使用しているのであるから,被告サイトにおける被告標章の使用は上記の範囲に含まれる。したがって,被告は,原告商標権1との関係において,平成18年改正法附則6条1項に基づき,被告サイトにおける被告標章の使用につき継続的使用権を有する。

イまた,被告標章は,平成18年改正法の施行の際に,少なくとも需要者であるインテリア雑貨,日常雑貨等の小売業者の間で広く周知されていたから,被告は,平成18年改正法附則6条3項に基づく継続的使用権も有している。【原告の主張】 ア被告は,原告商標権1の指定役務と同一又は類似の役務において被告標章を継続的に使用したことを具体的に主張立証していない上,被告が主張する継続的使用権の範囲にはウェブサイトにおける使用は含まれないし,被告サイトは平成18年改正法の施行後に開設されたものであって,被告サイトにおける被告標章の使用は,被告が平成18年改正法の施行の際に行っていた業務の範囲を拡大するものでもあるから,被告標章を被告サイトにおいて使用することにつき継続的使用権は認められない。

イまた,被告が平成18年改正法の施行の際に被告標章につき周知性を獲得していたとは認められないから,平成18年改正法附則6条3項に基づく継続的使用権についても認められない。(損害不発生の抗弁の成否)について【被告の主張】

ア被告標章1ないし6の使用について被告は,遅くとも平成8年には,「Oggetti」のブランド名を使用した販売を卸売に特化している。これに対し,原告は,一つの店舗において,原告商標を使用して,一般消費者向けにラッピングや雑貨の小売を営んでいる。そうすると,被告が「Oggetti」のブランド名を使用して行っている販売業と原告が行っている販売業とでは需要者が全く異なり,原告商標の顧客吸引力は被告の上記販売業との関係では全く認められず,原告商標が被告の売上に全く寄与していないことは明らかである。したがって,被告が被告標章1ないし6を使用したことにより原告には使用料相当額の損害は生じない。

イ被告標章7及び8の使用について被告標章7及び8を掲載した被告ウェブページは,遅くとも平成16年頃には使用されなくなり,「Oggetti&doors」のブランド名で検索するか, URLを直接入力する以外に閲覧することができず,一般的に閲覧可能な状態ではなかったから,原告商標が被告の売上に全く寄与していないことは明らかである。したがって,被告が被告標章7及び8を使用したことより原告には使用料相当額の損害は生じない。

ウ原告の主張について原告は,原告商標が被告の売上に全く寄与していないことが明らかであるとは認められない事情として,
①原告が原告商標を掲載したウェブサイトと被告が被告標章を掲載したウェブサイトとが検索エンジンによる検索結果において近接した順位で表示されること,
②原告商標が原告の店舗で使用され,被告標章が被告の展示会で使用されていること,
③同一の事業主体が小売業と卸売業を営むことはよくあることである上,原告の取扱商品も被告の取扱商品も,全て最終的には一般消費者が興味を持ち,購入することを予定した商品であることを主張する。しかし,上記①の事情については,検索エンジンによる検索結果で表示されるウェブサイトは,原告が営むチョコレート専門店の一事業として「OGGETTI」が表示されているものと,(住所は省略)で卸売業を営むオジェッティという会社名の欧文字表記として「OGGETTI」が表示されているものであって,上記両サイトが検索エンジンによる検索結果において近接した順位で表示されたとしても,原告商標を使用した原告の事業と被告標章を使用した被告の事業とを誤認混同させることはないから,原告商標に顧客吸引力があり,被告の売上に寄与していることの理由とはならない。また,上記②の事情については,被告の展示会は被告の取引先である小売業者を対象に開催されたものであり,同展示会において一般消費者に対して商品を販売することはないから,同展示会の対象である小売業 者との関係で,原告商標に顧客誘引力があり,被告の売上に寄与していることの理由とはならない。さらに,上記③の事情については,一般消費者向けの商材を取り扱う事業主体が小売業と卸売業を営むことは,流通システムが整備された今日において,決してよくあることではない上,最終的に一般消費者が購入することを予定した商品であるとしても,原告の取扱商品と被告の取扱商品とは流通経路において販売対象者が全く異なり,一般消費者が小売店において購入する際には被告標章を目にする機会はないから,被告標章を用いた商品の販売対象である小売業者との関係で,原告商標に顧客誘引力があり,被告の売上に寄与していることの理由とはならない。【原告の主張】被告標章は,多様な構成で,被告サイトの至る所に使用されており,被告の主たる標章として使用されているものである。また,原告も被告も原告商標又は被告標章をウェブサイトに掲載しており,検索エンジンで検索すると,上記両サイトは検索結果において近接した順位で表示される。さらに,原告商標は原告の店舗で使用され,被告標章は被告の展示会や原告の取扱商品と同種の商品に係る卸売業の広告でも使用されている。加えて,原告商標を用いた商品の販売の対象が一般消費者であり,被告標章を用いた商品の販売の対象が主に小売業者であるとしても,同一の事業主体が小売業と卸売業を営むことはよくあることである上,原告の取扱商品も被告の取扱商品も,全て最終的には一般消費者が興味を持ち,購入することを予定した商品である。かかる使用態様,商品の性質からすれば,原告商標が被告の売上に全く寄与していないなどということはあり得ないから,被告標章の使用により原告に使用料相当額の損害が生じない旨の被告の主張は認められない。

(原告の損害の額)について 【原告の主張】

ア法38条3項による損害金1157万0174円本件対象期間における被告の売上高は7億7134万4947円を下らず,使用料率を1.5%として計算すると,上記金額となる。「ロイヤルティ料率データハンドブック」(甲53)において,第35類のロイヤルティ料率の平均値は3.9%とされているところ,被告は,数多くの顧客に対して数多くの種類の商品を卸売するに当たり,原告商標と同一又は類似の複数の標章をウェブサイトや看板,展示会の掲示といった多様な場面で使用していたことからすれば,本件において適用すべき使用料率は5%とするのが相当である。

イ弁護士費用115万円被告による不法行為と相当因果関係のある弁護士費用の額は,上記アの金額の10%に相当する額である。【被告の主張】

ア法38条3項による損害金について原告は一つの店舗で一般消費者向けの小売店を営んでいるのに対し,被告は卸売のみを行っているため,原告と被告とは競合関係になく,原告商標の顧客吸引力は被告の販売業との関係では全く認められないこと,被告は被告標章を社名のロゴや社名のアルファベット表記として使用してきたにすぎず,その使用態様も極めて限定的で被告の売上に対する寄与はほとんど認められないこと,被告は原告商標が出願されるはるか前から被告標章を使用しており,本件対象期間における被告の売上はその大半がそれ以前から継続的に取り引きしてきた業者らに対するものであるから,仮に原告商標の顧客吸引力が認められるとしても,それは無視し得るほどに小さいことを考慮すれば,本件において適用すべき使用料率は,原告が訴状で主張していた1.5%を大きく下回るというべきである。 特に,被告は,平成28年1月19日までに,被告サイトのトップページに掲載されていた被告標章2の使用を中止しており,実質的にはこの段階で被告標章の使用を中止したと評価し得るから,同日以降に原告が受けるべき金銭の額はそれ以前に比べて大幅に低い額を算定すべきである。

イ弁護士費用について否認ないし争う。
第3 当裁判所の判断
(原告商標と被告標章との類否)について

1争点原告商標について

ア前記前提事実,証拠(甲12,13)及び弁論の全趣旨によれば,原告商標は,イタリア語で「物,事物,物体等」を意味する「OGGETTO」の複数形である「OGGETTI」(発音は「オジェッティ」)という欧文字がえんじ色の正方形の図形の中に白色のブロック体で横書きされた結合商標であると認められる。

イもっとも,原告商標のうち図形部分はありふれた形状と色彩であり,特定の称呼や観念を生じさせるものでもないのに対し,「OGGETTI」の文字部分は,背景となっている図形部分の色彩との対照により原告商標の中で最も注意を引く部分となっている上,後記ウのとおり,「OGGETTI」という単語は日本国内において一般的に使用される単語ではないため,造語に近いものというべきであり,現に「OGGETTI」という単語をインターネットの検索エンジンにより検索しても検索結果の上位には,原告のホームページと被告サイトしか表示されないこと(甲36)からすると,出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分であると認められる。

ウしたがって,原告商標は,「OGGETTI」の文字部分に出所表示機能があると認められるところ,同部分から「オジェッティ」との称呼を生ずることは当事者間に争いがない。また,上記のとおり,「OGGETTI」は本来, イタリア語で「物,事物,物体等」を意味するが,日本国内において一般的に使用される単語ではなく,特段の観念を生じない。被告標章について

ア被告標章1,2及び4ないし7について前記前提事実ア,ウないしオ及び弁論の全趣旨によれば,上記各被告標章はいずれも「Oggetti」という欧文字がブロック体で横書きされた部分を有しており,「オジェッティ」との称呼を生ずると認められる。なお,上記各被告標章には,文字部分が四角形の中に配置されたもの(被告標章1,4ないし6)や文字に下線が引かれたもの(被告標章4,5)があるが,いずれもありふれた図形等であって,これらの部分に出所表示機能があるとは認められない。OGGETTI」の文字部分は特段の観念を生じない。

イ被告標章3について黒色の概ね正方形の図形の中に,西暦を示すアラビア文字と,秋と冬を意味する英語の頭文字を並べた「2016AW」が1段目に,イタリア語で「物,事物,物体等」を意味する「OGGETTI」(発音は「オジェッティ」)の欧文字が2段目に,英語で「展示会」を意味する「Exhibition」(発音は「エクシビション」)の欧文字が3段目にいずれも白色のブロック体で横書きされた結合商標であると認められるところ,被告標章3は,その文字部分から,「ニセンジュウロクエーダブリュ(又はオータムウィンター)オジェッティエクシビション」の称呼と「2016年秋冬オジェッティ展示会」の観念を生ずると認められる(弁論の全趣旨)。なお,被告標章3のうち図形部分は,ありふれた形状と色彩であって,特段の称呼や観念を生じさせるものでもなく, 出所表示機能があるとは認められない。これに対し,原告は,被告標章3の文字部分のうち「OGGETTI」の部分が被告標章3の要部である旨主張する。しかし,前記説示のとおり,被告標章3は「2016年秋冬オジェッティ展示会」の観念を生じ,文字部分が全体として展示会の名称を形成していると認識されるものであるから,その一部のみを切り離して要部として捉えることは相当でなく,原告の上記主張は採用できない。

ウ被告標章8についてれば,被告標章8は,
①英語で「ウェブでの買い物」を意味する「Web shopping」の欧文字が紺色のブロック体に陰影を付して横書きされ,
②その背後に,イタリア語で「物,事物,物体等」を意味する「OGGETTI」(発音は「オジェッティ」)の欧文字と英語で「ドア」や「玄関口」を意味する「doors」(発音は「ドアーズ」)の欧文字が上下2段に分けられて,前者はややぼかした赤色のブロック体で,後者はややぼかした青色のブロック体でそれぞれ横書きされ,
③その更に背後に,上記「OGGETTI」の文字部分を右方向に90度回転させたものと上記「doors」の文字部分を左方向に90度回転させたものが配置された結合商標であると認められる。そして,被告標章8からは「ウェブショッピングオジェッティドアーズ」等「OGGETTI」は特段の観念を生じないから,同部分からは「ウェブでの買い物オジェッティのドア」あるいは「オジェッティのドア」といった程度の観念を生ずる。この点,原告は,被告標章8の要部は上記②の文字部分のうち「OGGETTI」の部分だけであると主張する。しかし,被告標章8は,単なる文字標章で はなく,全体として一体のデザインをなす標章であるといえるものであるため,需要者において「OGGETTI」の文字部分のみを切り離して認識するとは通常考え難く,前記のとおり,「ウェブでの買い物オジェッティのドア」あるいは「オジェッティのドア」といった観念を想起するものと認められるから,上記②の文字部分のうち「OGGETTI」の部分のみを要部として捉えることは相当ではなく,原告の上記主張は採用できない。類否の判断

ア被告標章1及び2との対比アによれば,原告商標のうち出所表示機能を有する文字部分と上記各被告標章の文字部分とは,全て大文字で表記されているか一部に小文字を含むかの違いはあるものの,いずれも「OGGETTI」の欧文字(小文字も含む。)が横書きされたものである点において同一であって,称呼も同一である。この点,被告は,原告商標の文字部分と上記各被告標章の文字部分とは異なるフォントで表記されて異なる印象を与えるため,両者の外観は大きく異なる旨主張する。しかしながら,前記イで説示したとおり,原告商標の文字部分は,「OGGETTI」という単語自体が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるから,原告標章と上記各被告標章の各文字部分が異なるフォントで表記されていることは両者の類否判断に影響しないというのが相当である。したがって,原告商標と上記各被告標章とは類似すると認めるのが相当である。

イ被告標章3との対比 部分と被告標章3とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても異なるから,類似しないというのが相当である。

ウ被告標章4ないし7との対比部分と上記各被告標章の文字部分とは,全て大文字で表記されているか一部に小文字を含むかの違いはあるものの,いずれも「OGGETTI」の欧文字(小文字も含む。)が横書きされたものである点において同一であって,称呼も同一である。原告商標の文字部分と上記各被告標章の文字部分とが異なるフォントで説示したとおりである。したがって,原告商標と上記各被告標章とは類似すると認めるのが相当である。

エ被告標章8との対比する文字部分と被告標章8のうち出所表示機能を有する文字部分とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても異なるから,類似しないというのが相当である。

オまとめ以上によれば,被告標章1,2及び4ないし7については,原告商標と出所の誤認混同のおそれを生じさせるものであり,原告商標と類似する一方,被告標章3及び8については,原告商標とは類似しないというべきである。需要者に関する被告の主張について被告は,原告が一つの店舗で一般消費者向けの小売店を営んでいるのに対し,被告は問屋や小売業者向けに卸売のみを行っており,原告と被告の需要 者は全く異なっているから,被告標章1ないし6に接した需要者においてその営業主体を誤認混同するおそれはない旨主張する。しかし,原告商標と外観や称呼において類似する各被告標章に小売業者等が接すれば小売業者等がその出所を誤認することは十分あり得る。また,原告商標権1及び2の指定商品及び指定役務が一般消費者向けの小売に限定されているわけでもない(原告商標権1の指定役務には卸売も明記されている。)から,類否判断において考慮すべき取引者・需要者の範囲を小売業者等と異なる一般消費者に限定すべき根拠はない。被告の上記主張によれば,商標権者が現に登録商標を使用している取引の範囲でしか商標権の効力が認められないことにもなりかねないところ,そのような帰結は,登録主義を採用した法の趣旨に反する。したがって,いずれにしても,被告の上記主張は採用できない。被告標章7の使用の有無)について2前記前提事実⑶オによれば,被告は,本件対象期間中,被告ウェブページにおいて,被告商品の販売に関する広告に被告標章7を付して電磁的方法により提供しており,法2条3項8号所定の行為を行っていたのであるから,被告標章7を使用していたと認められる。この点,被告は,被告標章7が掲載されている被告ウェブページは「Oggetti&doors」のブランド名で検索するか,URLを直接入力する以外に閲覧することができず,被告標章7は一般的に閲覧可能な状態で提供されていたものではないから使用されていたとはいえない旨主張する。しかしながら,被告ウェブページには被告標章7が掲示され,被告会社の名称も掲示されている(甲11の2ないし4)のであるから,被告が主張するような方法でなくても「OGGETTI」の欧文字(小文字も含む。)により検索すれば閲覧することができると考えられるし,被告の主張を前提にしても,被告ウ ェブページにアクセスすること自体が制限されているものでもない。したがって,被告の上記主張は採用できない。

(被告標章1及び2の商標的使用の有無)について3被告は,被告標章1及び2を付した被告サイトにおいてメーカー発行の商品カタログをそのまま掲載しているため,被告サイトに掲載されている被告標章1及び2は被告商品の出所を表示する機能を有しないから,商品商標である原告商標権2との関係では商標的使用に当たらない旨主張する。しかしながら,原告は,原告商標権2の侵害行為として,被告が被告商品自体について被告標章を付するなどして使用していると主張しているのではなく,被告が被告商品の販売業務において行われる顧客に対する便益の提供に際して被告標章を使用しており,同役務が原告商標権2の指定商品に類似すると主張しているのであるから,被告の上記主張はその前提を誤っており失当というほかない。(先使用権の存否)について4被告は,その設立(平成4年)当初から,インテリア雑貨,日常雑貨等の卸売の役務について,発注書,受注書,ファックス送信書,営業用資料,封筒,名刺及び求人広告等の取引書類に「OGGETTI」又は「Oggetti」の欧文字の標章を付して使用してきたとして,被告標章につき先使用権を有する旨主張するところ,被告作成の発注書(乙8の1),受注書(乙8の2,9の2),FAX送信書(乙10の1,10の2の1枚目),FAX送信書の添付資料(乙10の2の2枚目),封筒(乙11の1,2),名刺(乙12の1,2)及び求人広告(乙13の1,2)には「Oggetti」の文字部分を含む標章が付されていることが認められる。しかしながら,先使用権の及ぶ範囲は,先使用権者が使用していた商標のみであり,これと類似の商標には先使用権の効力は及ばないと解されるから,被告が書面に付された各標章の外観を捨象した「OGGETTI」又は 「Oggetti」の文字自体について先使用権を有すると解する余地はない。そして,上記各標章と被告標章(ただし,原告商標と類似するとは認められない被告標章3及び8を除く。)を比較しても同一とは認められないから,被告が上記被告標章につき先使用権を有するとは認められない。なお,原告商標の出願時(平成19年4月5日及び平成17年11月28日)以前から本件対象期間の終期(平成29年1月31日)まで継続して使用されていること,及び上記出願時に同標章が被告の役務等を表示するものとして周知になっていたことを認めるに足りる証拠も未だないといわざるを得ない。したがって,被告の先使用権の主張は理由がない。(継続的使用権の存否)について5被告は,その設立当初から,インテリア雑貨,日常雑貨等の卸売の役務について,発注書,受注書,ファックス送信書,営業用資料,封筒,名刺及び求人広告等の取引書類に「OGGETTI」又は「Oggetti」の欧文字の標章を付して使用してきたとして,被告標章につき平成18年改正法附則6条1項及び3項に基づく継続的使用権を有する旨主張する。しかしながら,上記で説示したとおり,被告が上記の各書面に付された各標章の外観を捨象した「OGGETTI」又は「Oggetti」の文字自体について先使用権を有すると解する余地はなく,上記各標章と被告標章とを比較しても同一とは認められないから,被告が被告標章につき継続的使用権を有するとは認められない。なお,上記各書面に付された各標章と同一の標章が,平成18年改正法の施行日(平成19年4月1日)前から本件対象期間の終期(平成29年1月31日)まで継続して使用されていること,及び上記施行日時点に同標章が被告の役務等を表示するものとして周知になっていたことを認めるに足りる証拠も未だないといわざるを得ない。 したがって,被告の継続的使用権の主張も理由がない。

6小括(差止請求及び抹消請求について)以上によれば,原告の差止請求は,被告標章1,2,及び4ないし7については理由がある。一方,上記各被告標章についての抹消請求は,被告標章1及び2については,被告標章7については,被告が現在までこれを使用していることを認めるに足りる証拠はないから,抹消の必要性が認められず,理由がない。(損害不発生の抗弁の成否)について7被告標章1,2及び4ないし6の使用について

ア被告は,被告が行っている卸売との関係では原告商標の顧客吸引力は全く認められず,原告商標が被告の売上に全く寄与していないから,被告が上記各被告標章を使用したことにより原告には使用料相当額の損害は生じていない旨主張する。イびに弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。原告は,菓子類の製造,販売等を目的とする株式会社であり,(住所は省略)にある本店所在地において,チョコレート専門店「ショコラティエ・エリカ」を営んでいるが,その店舗の2階において,一般消費者向けに日用雑貨の小売やラッピングサービスの提供を行う店舗「OGGを同店舗の出入口に設置し,商品を陳列している棚に原告商標を付したポップ広告を展示している(甲6,41)。原告が原告商標を使用して営む店舗は,同店舗のみである(弁論の全趣旨)。 また,原告は,原告のホームページにおいて,原告商標を付した同店舗の紹介記事を掲載している(甲5)。一方,被告は,小売業者を対象とした会員登録制の被告サイトにおいて,インテリア雑貨,生活雑貨,デザイン小物,ステーショナリー,キッチン・ダイニンググッズといった商品のメーカーのカタログを掲載し,会員登録をした小売業者から商品の注文を受けると,当該商品のメーカーから当該商品を仕入れ,注文者に納品するという方法で卸売を行っており(甲14,15の1),同サイトのトップページなどに被告標章1また,被告は,(住所は省略)にある被告営業所にショールーム兼商談スペースを設け,その建物の壁面等に被告標章4及び5を付した看板者との商談を兼ねた展示会を定期的に開催し,その際,展示会の会場にエ,乙14の1,弁論の全趣旨)。なお,被告は,平成16年頃まで,被告標章7を掲載している被告ウェブページにおいて,一般消費者や小売業者が利用することができるインターネット販売を行い,インテリア雑貨や生活雑貨等を販売していた(甲11の1ないし4,弁論の全趣旨)。この点,原告は,被告が被告サイトや被告ウェブページ,被告が開催する展示会において,現に一般消費者向けに小売を行っている旨主張するところ,証拠(甲11の1ないし4)によれば,被告ウェブページは一般消費者も利用することができるインターネットショッピングサイトであることが認められ,被告自身,平成16年頃までは同ページにおいて一般消費者向けに小売を行っていたことを自認している。しかしながら,被告ウェブページは平成14年10月20日以降更新 されていない(甲11の1)上,遅くとも平成27年1月20日までには,被告サイトのトップページからはアクセスすることができない状態になっていた(甲39,弁論の全趣旨)と認められることからすれば,被告ウェブページが平成17年以降も残存していることのみから,直ちに被告が引き続き被告ウェブページにおいて一般消費者向けに小売を行っていたとは認められない。かえって,被告サイトのトップページには,被告がメーカーと小売業者とを仲介するサービスを行っており,一般消費者に対する販売を行っていない旨が明記されている(甲14,39等)。その他,被告が被告サイトや被告ウェブページ,被告が開催する展示会において,現に一般消費者向けに小売を行っていると認めるに足りる証拠はない。に小売を行っているとは認められない。他方,被告は,被告ウェブページは小売を行うために開設されたものである旨主張する。しかしながら,被告ウェブページ自体は何ら利用者を限定していないから,被告ウェブページは一般消費者のほか小売業者の利用にも供されていたと認めるのが相当である。

ウ前記イの認定事実によれば,原告は(住所は省略)で現に原告商標を使用して一般消費者向けに日用雑貨の小売などを行う店舗を営んでいるのであるから,原告商標自体に全く顧客吸引力が認められないとはいえない上,被告は,小売業者に対する卸売に利用している被告サイトや,ショールーム兼商談スペースがある被告営業所,小売業者との商談を兼ねた展示会において,上記各被告標章を使用しており,上記各被告標章の使用が被告の売上に全く寄与していないことが明らかであるとはいえないから,被告が上記各被告標章を使用したことにより原告に使用料相当額の損 害が生じないとは認められない。

エしたがって,被告の上記アの主張は理由がない。被告標章7の使用について

ア被告は,被告標章7が掲載されている被告ウェブページは「Oggetti&doors」のブランド名で検索するか,URLを直接入力する以外に閲覧することができず,被告標章7は一般的に閲覧可能な状態で提供されていたものではないから,原告商標が被告の売上に全く寄与していないことが明らかであり,被告が被告標章7を使用したことより原告には使用料相当額の損害は生じない旨主張する。

イしかしながら,前記イで説示したとおり,原告商標自体に全く顧客吸引力が認められないとはいえないところ,前記2で説示したとおり,被告が主張するような方法でなければ被告ウェブページを閲覧することができないとは考え難い上,被告の主張を前提にしても,被告ウェブページにアクセスすること自体が制限されているものでもないから,被告標章7が被告の売上に全く寄与していないことが明らかであるとはいえず,被告が被告標章7を使用したことにより原告に使用料相当額の損害が生じないとは認められない。

ウしたがって,被告の上記アの主張は理由がない。

(原告の損害の額)について8被告標章1,2及び4ないし7の使用時期について原告が損害賠償請求の対象としている本件対象期間は,平成26年10月1日から平成29年1月31日までである。一方,被告標章1については,平成26年10月1日から平成28年8月5),その後の使用を認めるに足りる証拠はなく,被告標章2については,平成26年10月1日から平成28年5月31日まで使用されていることは なく,被告標章4及び5については,本件対象期間の使用が認められ(前記の期間についてこれを使用していることの主張立証がなく,被告標章7につ以下では,上記認定事実を前提に検討する。法38条3項による損害金

ア原告は,本件において法38条3項による損害金を算定するに当たり適用すべき使用料率は5%とするのが相当である旨主張する。

イそこで検討するに,前記7イ並びに後掲各証拠によれば,次の事実が認められる。平成22年8月31日発行の経済産業省知的財産政策室編「ロイヤルティ料率データハンドブック」(甲53)によると,原告商標権1の商品及び役務の区分である第35類のロイヤルティ料率の平均値は3.9%(最大値11.5,最小値0.5)とされている。原告は,菓子類の製造,販売等を目的とする株式会社であり,(住所は省略)にある本店所在地において,チョコレート専門店「ショコラティエ・エリカ」を営んでいるが,その店舗の2階において,一般消費者向けに日用雑貨の小売やラッピングサービスの提供を行う店舗「OGGETTI」を営んでおり,一般消費者向けに日用雑貨等を販売するに当たり,商品のポップ広告や同店舗の出入口に設置した看板に原告商標を使用しているものの,同店舗の売場面積はそれほど広くなく,取り扱っている商品も15種類前後であって,それほど多くはない(甲6,41)。また,原告は,ホームページ上に掲載している同店舗の紹介記事に原 告商標を使用しているものの,同記事は,同店舗をラッピングサービスの提供を行う店として紹介しており,日用雑貨等の販売を行っていることは紹介されていない(甲5)。他方,被告は,小売業者を対象とした会員登録制の被告サイトにおいて,インテリア雑貨,生活雑貨,デザイン小物,ステーショナリー,キッチン・ダイニンググッズといった商品のメーカーのカタログを掲載し,会員登録をした小売業者から商品の注文を受けると,当該商品のメーカーから当該商品を仕入れ,注文者に納品するという方法で卸売を行っており,また,(住所は省略)にある被告営業所において,商談を兼ねた展示会を定期的に開催したりしている。そして,本件対象期間における被告の売上のうち,被告が平成18年6月1日(原告商標のうち登録日がより早い原告商標権2の登録日の前日)以前から取り引きしていた取引先に対する売上の割合は,78.788%であった(乙34)。また,被告標章1,2及び4ないし7のうち,被告標章4,5及び7については,本件対象期間(平成26年10月1日から平成29年1月31日まで)の全体を通して使用されていたものの,被告標章4及び5は看板として被告営業所に設置されていたにすぎず,被告標章7が掲載されている被告ウェブページではインターネット販売は行われていなかった。他方,その余の被告標章1,2及び6については,本件対象期間の一部の期間(被告標章1については平成26年10月1日から平成28年8月26日まで,被告標章2については平成26年10月1日から平成28年5月31日まで,被告標章6については平成28年9月14日から同月16日まで)に使用されていたにとどまる。

ウ以上によれば,
①原告の営業規模は小さく,原告商標の顧客吸引力は相当低いといわざるを得ないところ,
②本件対象期間においては,原告は一 般消費者に対する小売のみを行っているのに対し,被告は小売業者に対する卸売のみを行っており,両者の営業態様が異なっている上,
③本件対象期間における被告の売上のうち多くの部分が原告商標の登録日以前から取り引きしていた取引先に対するものである。また,
④被告標章4,5及び7については,その使用態様等に照らして顧客吸引力は極めて低いというべきであり,その余の被告標章1,2及び6については,使用された期間が本件対象期間の一部にとどまるものである。これらの事情によれば,被告の売上は,被告が取り扱っている商品のメーカーが有する顧客吸引力や被告が原告商標の登録以前に行ってきた営業努力に依るところが大きいと認められるから,本件において法38条3項による損害金を算定するに当たり適用すべき使用料率は1%とするのが相当である。エ商品の売上額は4110万5249円であるから,本件における法38条3項による損害金の額は,次の計算式のとおり,41万1052円となる。41,105,249 円×1%≒411,052 円(1円未満は四捨五入)弁護士費用被告による原告商標権1及び2の侵害と相当因果関係のある弁護士費用の額は10万円と認めるのが相当である。

9結論よって,原告商標権1及び2の侵害に基づく原告の本件請求は,主文掲記の限度で理由があり,その余は理由がないから,主文のとおり判決する。なお,主文第1項及び第2項については,仮執行宣言を付するのが相当でないから,これを付さないこととする。
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官沖中康人
裁判官横山真通
裁判官髙櫻慎平 別紙ウェブサイト目録URLhttp:// 以下省略 別紙被告商品目録① 携帯シューズ② ネックピロー③ 写真立て④ 鏡⑤ CDラック⑥ チョークボード⑦ アルバム⑧ ギフトバッグ⑨ グリーティングカード⑩ ペーパークリップ⑪ ブックマーカー⑫ ペーパーウェイト⑬ メッセージカード⑭ ランチョンマット⑮ ペーパーナプキン⑯ 木製のおもちゃ⑰ コースター 別紙被告標章目録1234 5678 別紙商標権目録

1登録番号

第5253373号出願日平成19年4月5日登録日平成21年7月31日商標商品及び役務の区分第35類指定商品又は指定役務織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供 2登録番号

第4957889号出願日平成17年11月28日登録日平成18年6月2日商標商品及び役務の区分

第16類紙製包装用容器,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製ハンカチ,紙製テーブルクロス,紙類,文房具類,印刷物,写真立て
第20類木製・竹製又はプラスチック製の包装用容器

第21類ガラス製又は陶磁製の包装用容器,ろうそく消し及びろうそく立て(貴金属製のものを除く。),せっけん用ディスペンサー,花瓶及び水盤(貴金属製のものを除く。),香炉,靴べら

出典: 平成29年(ワ)第4106号 裁判所ウェブサイト掲載の判決文 →

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