デザインに関する特許の取り方と特許が取れない場合の対策

デザインに関する特許の取り方と特許が取れない場合の対策|弁理士が解説|知育特許事務所

新しいデザインやパッケージを考えたときに、「これは特許で守れるのか?」「意匠や商標の方がいいのか?」と迷う場面は少なくありません。

デザインに関して特許を取るためには、そもそもデザイン自体に「機能的なアイデア」が含まれているかどうかを見極める必要があります。アイデアが含まれていれば特許の検討ができますし、そうでない場合には、意匠や商標といった別の守り方を選ぶことになります。

この記事では、ゴルフボールなどの具体例を使いながら、デザインに関する特許の取り方と、特許が取れない場合に意匠・商標でどう守るかを整理します。「意匠か特許か…取得すべき権利を選ぶポイント」とあわせて読むと、デザインをどの権利で守るかの全体像が分かりやすくなります。

デザインに関する特許の取り方

デザインに関して特許を取るには、大前提としてデザイン自体にアイデアが含まれている必要があります。

1.デザイン自体にアイデアが含まれているか確認する

▲デザイン自体にアイデアが含まれる例(ブリヂストンのゴルフボール)

例えば、ゴルフボールは、ブランド等によってボール表面のディンプルと呼ばれるくぼみのデザインが異なる場合があります。上の画像はブリヂストンの2種類のゴルフボールです。左右のボールを見比べると、他よりも小さいディンプルの位置が左右のボールで違うことが見て取れます。

ボール表面のディンプルの大きさや配置などが違うと、ボールを打った時の飛距離が変わるため、メーカーはボール表面のデザインに工夫をこらしています。そのため、ボール表面のくぼみは、デザインであるとともに、ボールの飛距離を伸ばすアイデアとも言えます。

デザインに関して特許を取るには、ゴルフボールのようにデザイン自体にアイデアが含まれているのかを先ず確認します。

2.デザインに含まれるアイデアを理解する

デザインにアイデアが含まれている場合には、デザインのどの部分にアイデアが含まれているのかを把握するとともに、デザインに含まれているアイデアの仕組みを理解します。

ゴルフボールのディンプルを例にすれば、ゴルフボールの表面に形状によって空気抵抗が減ることで打った時の飛距離が出るというように、デザインに含まれるアイデアの仕組みを理解します。

3.アイデアについて特許を申請する

デザインからアイデアを抜き出し、アイデアの仕組みも理解できたら、あとはアイデアについて特許出願をします。特許出願して特許が認められれば特許を取ることができます。

特許出願の詳細については、特許申請の方法から特許取得までの流れを弁理士が解説の記事に詳しく書いてあります。

デザインに関して特許が取れない場合の対応

デザインにアイデアが含まれていない場合には、デザインに関して特許を取ることは難しいです。デザインに関して特許が取れない場合には、意匠や商標を取得すると良いでしょう。場合によっては、特許を取る場合よりもデザインを効果的に守ることができるからです。

意匠登録を取得する

デザインに関して特許が取れなくても、デザイン自体が新しかったりする場合には、意匠登録を取得できることもあります。デザインに関して意匠登録を取得することができれば、デザインが真似されるのを防止できます。また、特許を取得してデザインを守るよりもデザインを効果的に守ることができる場合もあります。

商標登録を取得する

デザインの内容によっては、特許が取れない場合であっても、商標登録を取得できる場合があります。デザインに関して商標登録を取得することがで、デザインが真似されるのを防止できます。

補足(意匠特許について)

日本ではデザインを特許や意匠などで保護することができますが、アメリカでは少し事情が異なります。アメリカでは、日本と違って意匠制度がありません。アメリカでは、特許制度の中に意匠特許(Design Patent)と呼ばれるデザインを守る特許があり、特許という法律の中でデザインを守っています。

よくある質問

Q1. デザインでも特許が取れるのですか?

はい、デザイン自体に機能的なアイデアが含まれている場合は、特許の対象になり得ます。ゴルフボールのディンプルのように、「見た目の違いが性能(飛距離など)に影響している」ケースが典型例です。

Q2. デザインにアイデアが含まれているかどうかは、どう判断すればよいですか?

そのデザインが「見た目を変えただけ」なのか、それとも機能・性能にプラスの効果を与えているのかを整理してみると判断しやすくなります。具体的な効果(飛距離が伸びる・装着感が良くなる など)が説明できる場合は、特許の検討余地があります。

Q3. デザインについて特許が取れない場合、意匠と商標はどう使い分ければよいですか?

製品の形や模様そのものを守りたい場合は意匠ロゴやマークなど「出所表示」として機能させたい場合は商標が候補になります。同じデザインでも、意匠と商標を組み合わせて保護を図るケースもあります。

Q4. アメリカなど海外でも同じように守れますか?

日本と異なり、アメリカには意匠制度がなく、意匠特許(Design Patent)としてデザインを守る仕組みがあります。海外も視野に入る場合は、どの国でどの権利を取るべきかを含めて早い段階で戦略を立てることが大切です。

Q5. 自社のデザインが特許・意匠・商標のどれに向くか相談できますか?

はい、可能です。デザインの内容や今後の展開によって最適な組み合わせは変わりますので、当サイトの無料相談からご相談いただければ、前提をお伺いしたうえで候補となる守り方を一緒に整理します。

先ずはデザインにアイデアが含まれているか確認しよう

デザインに関する特許の取り方と特許が取れない場合の対策についてお伝えしました。デザインに関して特許を取るには、デザインにアイデアが含まれている必要があるため、先ずは特許を取りたいデザインにアイデアが含まれているのか確認しましょう。デザインにアイデアが含まれている場合には、デザインに関して特許を取れる可能性があります。

デザインにアイデアが含まれていない場合には、デザインに関して特許を取るのは難しいため、意匠や商標を取得すると良いでしょう。

なお、デザインについて特許・意匠・商標のどれで守るべきか迷う場合には、当サイトの無料相談をご活用下さい。

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この記事を書いた人:弁理士・米田恵太(知育特許事務所)

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米田恵太
知育特許事務所 代表弁理士(弁理士登録番号:第16197号)。 中小企業や個人の方を中心に、商標価値評価(簡易RFR)や 3Dプリント試作×知財戦略のサポートを行っている。商工会議所、金融機関、各種業界団体などでの講演実績も多数。 幼い頃、大切にしていたガンダムのカードをパクられた経験から、「大切なものをパクられないようにする」ために特許・商標・意匠などの知的財産の取得支援を行うとともに、取得した知財の価値を実感できるよう「守るだけでなく活かす」ことを重視している。 支援先は、メーカー、スタートアップ企業、個人発明家、デザイン会社、 マーケティング会社、ミシュラン掲載の飲食店など多岐にわたり、アイデアの保護や出願、3D試作、価値評価など、案件ごとに必要な部分を組み合わせてサポートしている。