📜 判決文全文
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主文
①イ号物件ではステン レスバンド7であるのに対して,ロ号物件ではワイヤー締め具7である点(構成要件F,
②イ号物件では鋼製管4の外周に水膨張ゴム11を)設けているのに対して,ロ号物件ではその外周に発泡ゴム製の緩衝材11を設けている点(構成要件G)においてそれぞれ相違し,その外の構成は一致する。したがって,ロ号物件は,イ号物件と同様に,本件特許発明の構成要件のうち,構成要件A,E及びFを充足する。なお,被告らは,本件特許発明との関係で,上記①記載の相違点を主張しないものとしている。3( ) 被告らによる被告物件の製造販売行為について被告サンリツ技研は,平成14年3月から平成18年8月31日までの間に,製品名を「スペーサージョイントDR」とする製品を製造し,被告サンリツは,これを購入して第三者に販売した。このうち,少なくとも,平成17年12月末日までに製造販売した製品は,イ号物件である。4( ) 原告による警告及び本件特許発明の補正等の経緯についてア原告は,被告サンリツに対して,平成15年7月22日,本件特許発明の特許出願に係る特許公報を同封した通知書を送付する方法で,被告物件が本件特許発明の技術的範囲に属する旨の警告以下本件警告という(「」。)をした(甲6。)イ特許庁審査官は,上記特許出願について,平成16年2月2日付けの拒絶理由通知書により,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないことを理由として拒絶理由の通知をした(乙1。)これに対して,原告は,平成16年4月23日,特許請求の範囲を変更することを内容とする手続補正書及び上記拒絶理由に対する意見書を提出した(乙2,3。)具体的には,特許請求の範囲について,「マンホール用止水可とう継手」 を「マンホール構造用止水可とう継手」に修正し「筒状可とう体の少な,くとも一部が前記筒状体及び前記管に固定されており」という構成のうち「及び前記管」の部分が削除され,この点について新たに「前記筒状可とう体の一端が前記立坑内から締め付け可能な締結バンドによって前記管の外周に締め付け圧着固定され」という構成を追加するものである。ウイの結果,本件特許発明は,平成16年8月17日に特許査定され,同年9月17日に登録された。エ原告は,イの補正の後からウの登録までの間には,改めて被告らに警告をしていない。
2争点
1( ) 被告物件の製造販売行為について直接侵害が成立するか(争点1。)ア被告物件は,構成要件Bを充足するか(争点1-1。)イ被告物件は,構成要件Cを充足するか(争点1-2。)ウ被告物件は,構成要件Dを充足するか(争点1-3。)エ被告物件は,構成要件Gを充足するか(争点1-4。)2( ) 被告物件の製造販売行為について間接侵害が成立するか(争点2。)ア被告物件は,本件特許発明の生産にのみ用いる物か(争点2-1。)a)イ号物件は本件特許発明の生産にのみ用いる物か争点2-1-a,()。b)ロ号物件は本件特許発明の生産にのみ用いる物か争点2-1-b,()。イ被告物件は,本件特許発明による課題の解決に不可欠なものか(争点2-2。)3( ) 補償金について(争点3)ア本件警告は,特許法65条1項の警告か(争点3-1。)イ補償金の額について(争点3-2)4( ) 損害賠償金について(争点4)ア被告らが平成18年1月1日以降に製造販売した製品の構成について (争点4-1)イ特許法102条2項の被告らの利益について(争点4-2)ウ特許法102条2項の規定により損害と推定すべき利益の額について(争点4-3)
第3 争点に関する当事者の主張
第4 当裁判所の判断
物件目録1及び2参照,この部分が鋼製管4と管3との間の負荷)及び変位を吸収する作用を果たすことは明らかである。したがって,被告物件は,構成要件Bの「筒状体」に相当する鋼製管4の内側に同構成要件Bの「筒状可とう体」に相当する本体ゴム5を備えているといえるから,構成要件Bを充足するものと認められる。ウ被告らは,本件特許発明の技術思想は,筒状体の内側は柔結合,その外側は剛結合という構成にあるから「筒状体の内側」とは,筒状可とう体,のすべての部分が筒状体の内側のみに位置するというべきであるという解釈を前提として,被告物件では,本体ゴム5の折り返し部5aが鋼製管4の外側に位置し,筒状体とマンホール壁との間の負荷及び変位をも吸収するものであるから,本件特許発明の技術思想とは異なるものであって,被告物件は,構成要件Bを充足しないと主張している。しかしながら,上述のとおり,このような解釈は相当でない上,被告物件のうち,イ号物件では折り返し部5a以外の部分,ロ号物件では折り返し部5aと緩衝材11以外の部分は,マンホール壁用充填剤である止水モルタル8及びエポキシ系接合剤14によって鋼製管4にそれぞれ固定されている。 そうすると,イ号物件では鋼製管4の大半の部分,ロ号物件では鋼製管4のおよそ半分の部分が,マンホール壁用充填剤によっていわゆる剛結合されているから,折り返し部5aや緩衝材11が筒状体とマンホール壁の間の負荷及び変位をも吸収する作用を果たしているとまで認めることはできない。したがって,被告物件の筒状体の外側が筒状体とマンホール壁との間の負荷及び変位をも吸収する構成を有することを前提とする被告らの主張は,その前提を欠くものであって,これを採用することはできない。また,本件特許発明のマンホール構造用止水可とう継手の技術的思想の中核は,マンホール壁と管との接合部の破損を防止することにある。そうすると,仮に,被告物件において,筒状体の外側において筒状体とマンホール壁との間の負荷及び変位を吸収する作用効果をも有する構成が認められる場合であっても,なお,被告物件が,筒状体と管との間の負荷及び変位を吸収する作用効果を同様に奏するものであることを左右するものではない。したがって,このような構成が付加されたことにより,追加的な作用効果が認められる場合であっても,被告物件には本件特許発明の構成が一体性を失うことなく備わっており,本件特許発明と同一の作用効果を奏するといえるから,被告物件が,構成要件Bを充足することは明らかである。2( ) 争点1-2(被告物件は,構成要件Cを充足するか)について。ア構成要件Cは「筒状可とう体が,前記筒状体と前記管との間の変位を,吸収する弾性体から形成され」という構成を定めている。被告物件の本体ゴム5が鋼製管4と管3との間の変位を吸収する弾性体であることについては争いはないから,被告物件が,構成要件Cを充足することは明らかである。イ被告らは,折り返し部5aが筒状体とマンホール壁との間の変位をも吸 収する弾性体であるから,被告物件は,構成要件Cを充足しないと主張する。1しかしながら,前記( )のとおり,被告物件の構成では,折り返し部5aや緩衝剤11が筒状体とマンホール壁の間の負荷及び変位を吸収する作用を果たしていることまでを認めることはできないから被告らの主張は,,その前提を欠くため,これを採用することはできない。仮に,被告物件が,筒状体の外側において筒状体とマンホール壁との間の負荷及び変位をも吸収する構成を有すると認められる場合であっても,1前記( )のとおり,このような構成は,追加的な作用効果を付加するものにすぎず,被告物件には本件特許発明の構成が一体性を失うことなく備わっており,本件特許発明と同一の作用効果を奏するといえるから,被告物件は,構成要件Cを充足するというべきである。3( ) 争点1-3(被告物件は,構成要件Dを充足するか)について。ア構成要件Dは「筒状可とう体の立坑壁面側の一端が前記筒状体に固定,され」という構成を定めている。被告物件では,本体ゴム5の立坑壁面側の一端である折り返し部5aがステンレスバンド6により鋼製管4に固定されているから,被告物件が構成要件Dを充足することは明らかである。イ被告らは,構成要件Dの「筒状可とう体」とは,筒状体の内側でこれと管との間の変位を吸収する弾性体であることを前提として,折り返し部5aは,筒状体の外側に位置するものであるから,筒状可とう体ということはできないというべきであり,そうすると,折り返し部5aを除く本体ゴム5は,鋼製管4の立坑壁面側の一端には固定されていないと主張する。しかしながら,折り返し部5aは本体ゴム5と一体であること,また,1上記( )のとおり,本体ゴム5のすべての部分が鋼製管4の内側に位置する必要はないこと等を考慮すると,折り返し部5aは,筒状可とう体の一 部であると認めるのが相当である。したがって,被告らの主張は,その前提を欠くため,これを採用することはできない。4( ) 争点1-4(被告物件は,構成要件Gを充足するか)について。ア構成要件Gは「筒状体の外周がマンホール壁用充填剤によって固定さ,れる」という構成を定めている。本件特許発明は,筒状体と筒状可とう体とを備えたマンホール構造用止水可とう継手を対象とする発明であるからマンホール壁用充填剤自体は,,管と同様に,本件特許発明の構成そのものではなく「マンホール構造用,止水可とう継手」の構成を定めるために規定されたものである。そうすると,構成要件Gは「マンホール壁用充填剤によって固定され,る」構成の「筒状体の外周」と解すべきである。また,その「固定される」時点とは,構成要件Eの「管の外周に,前記マンホール構造用止水可とう継手が装着され」る時点及び構成要件Fの「管の端部の外周に締め付け圧着固定され」る時点と同様に,構成要件Eの「マンホール構造を形成する際」であると解するのが相当である。そして,被告物件の鋼製管4の外周は,その施工の際には,マンホール壁用充填剤によって固定されることになるから(別紙物件目録1及び2記載の「4.施工方法の説明」参照,被告物件は,構成要件Gを充足する)というべきである。イ被告らは,構成要件Gの「筒状体の外周」とは,筒状体の外周すべてをいうものと解釈すべきであることを前提として,被告物件の鋼製管4の外周の一部は,折り返し部5aや緩衝材11により覆われているため,すべての外周がマンホール壁用充填剤によって直接固定されるものではないから,被告物件は,構成要件Gを充足しないと主張する。しかしながら,筒状可とう体のすべての部分が筒状体の内側のみに位置 すると解釈すべきではないのと同様に,筒状体のすべての外周がマンホール壁用充填剤によって直接固定されていない場合であっても,被告物件における本体ゴム5は,なお,筒状体と管との間の負荷及び変位を吸収するという作用効果を奏するものである。したがって,被告物件では,鋼製管4の一部が,マンホール壁用充填剤によって直接固定されている以上,被告物件は,構成要件Gを充足すると認めるのが相当である。よって,被告らの上記主張には理由がない。5( ) 結論以上のとおり,被告物件は,本件特許発明のすべての構成要件を充足し,本件特許発明の技術的範囲に属するから,被告物件の製造販売行為については,直接侵害が成立すると認められる。
2争点
3(補償金について)について1( ) 争点3-1(本件警告は,特許法65条1項の警告か)について。ア特許法65条1項の警告について特許登録出願人が出願公開後に第三者に対して特許登録出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をするなどして,第三者がその出願公開がされた特許登録出願に係る発明の内容を知った後に,補正によって特許請求の範囲が補正された場合において,その補正が元の特許請求の範囲を拡張,変更するものであって,第三者の実施している物品が,補正前の特許請求の範囲の記載によれば発明の技術的範囲に属しなかったのに,補正後の特許請求の範囲の記載によれば発明の技術的範囲に属することとなったときは,出願人が第三者に対して特許法65条に基づく補償金支払請求をするためには,その補正後に改めて出願人が第三者に対して同条所定の警告をするなどして,第三者が補正後の登録請求の範囲の内容を知ることを要するが,その補正が,願書に最初に添付した明細書又は図面に記 載した事項の範囲内において補正前の特許請求の範囲を減縮するものであって,第三者の実施している物品が補正の前後を通じて発明の技術的範囲に属するときは,その補正の後に再度の警告等により第三者が補正後の特許請求の範囲の内容を知ることを要しないと解するのが相当である(最高裁昭和61年(オ)第30号,第31号同63年7月19日第三小法廷判決参照。)イ本件警告についてこれを本件警告についてみるに,本件特許発明の特許出願に係る請求項48の特許請求の範囲は,上記第2の1( )のとおり「マンホール用止水,可とう継手」を「マンホール構造用止水可とう継手」とし「筒状可とう,体の少なくとも一部が前記筒状体及び前記管に固定されており」という構成のうち「及び前記管」の部分を削除して,この点について新たに「前記筒状可とう体の一端が前記立坑内から締め付け可能な締結バンドによって前記管の外周に締め付け圧着固定され」という構成要件(以下「本件追加要件」という)を追加して,補正されたものである。。本件追加要件は,筒状可とう体の少なくとも一部が管に固定されているという構成を更に具体化してその固定の態様を限定するものであるから,,特許請求の範囲を減縮するものである。また,被告物件の本体ゴム5の一端5bは,立坑の中心側から締め付けることが可能な締結バンドであるステンレスバンド7又はワイヤー締め具7によって管3の外周に締め付け圧着固定されるから,被告物件が,本件追加要件を充足することは明らかであってこの点については争いがない,。これと同様に,本件追加要件は,筒状可とう体が管に固定される態様を限定するものであって,筒状可とう体の少なくとも一部が管に固定されているという補正前の構成自体を変更するものではないから,被告物件が補正前の請求項8の構成要件も充足することは明らかである。 そうすると,上記補正は,補正前の特許請求の範囲を減縮するものであり,かつ,被告物件は,補正の前後を通じて本件特許発明の技術的範囲に属するものであると認められる。したがって本件警告は特許法65条1項の警告であると認められる,,。なお,被告らは,被告物件は,補正前には本件特許発明の技術的範囲に属しなかったものの,その後の補正によりこれに属するようになったものであると主張している。しかし,被告らの主張は,具体的な根拠が明らかでなく,上記のとおり,その理由がないことは明らかである。ウ結論以上のとおり,本件警告は,特許法65条1項の警告であると認められる。2( ) 争点3-2(補償金の額について)についてアイ号物件の売上高について計算鑑定の結果によれば,平成15年8月1日から平成16年9月16日までの間の被告サンリツの売上高は,3372万5540円であると認められる(計算鑑定書1頁。なお,被告らは,売上高については,特段)争っていない。イ実施料率について被告物件は被告サンリツの委託により被告サンリツ技研によってすべて製造されているという取引の実情からすれば,被告サンリツの売上高を基準として,被告らに対する相当な実施料を算定すべきであり,また,本件特許発明の構成及び作用効果並びに後記認定のとおり被告物件の利益率が相当に高いことを考慮すると,補償金の額は,その算定の基礎とすべき実施料率を5パーセントとして,これに被告サンリツの売上高を乗じた金額とすべきである。ウ結論 被告サンリツにあっては本件警告後その発明を実施し,被告サンリツ技研にあっては本件警告により特許出願に係る発明であることを知ってその発明を実施した者であるといえる上に,前記第2の1(1)のとおり,被告サンリツは,被告サンリツ技研に対し被告物件の製造を委託してこれを購入して第三者に販売するものであるから,被告サンリツと被告サンリツ技研の各行為は,客観的に関連し共同するものと認められる。したがって,被告らは,原告に対して,特許法65条1項及び5項の規定により,連帯して,補償金として,168万6277円を支払う義務がある。
3争点
4(損害賠償金について)について1( ) 争点4-1(被告らが平成18年1月1日以降に製造販売した製品の構成について)について3ア第2の1( )のとおり,被告らは,少なくとも,平成15年8月1日から平成18年8月31日までに,製品名を「スペーサージョイントDR」とする製品を製造販売し,このうち,平成15年8月1日から平成17年12月末日までに製造販売した製品がイ号物件であることは,当事者間に争いがない。イ被告らは,平成18年6月1日から同年8月31日までに製造販売した製品は,ロ号物件であると主張している。そうすると,被告らは,少なくとも,この期間には,イ号物件又はロ号物件の構成を有する被告物件を製造販売したことが認められる。ウ被告らは,上記ア及びイ以外の期間である平成18年1月1日から同年5月末日までに製造販売したスペーサージョイントDRという製品は「」,イ号物件やロ号物件とは異なる被告物件以外の製品であると主張している。しかしながら,被告らは,この製品の構成について何ら立証しない上, この期間には,イ号物件をホームページに掲載していたことからすると,被告らは,少なくとも,平成18年5月末日までは,イ号物件を引き続き製造販売していたと認めるのが相当である。エ以上のとおり,結局のところ,被告らは,平成15年8月1日から平成18年8月31日までの間,本件特許発明の技術的範囲に属する被告物件を製造販売していたことが認められる。2( ) 争点4-2(特許法102条2項の被告らの利益について)についてア売上高についてa)被告サンリツについて計算鑑定の結果によれば,平成16年10月1日から平成18年8月31日までの間の被告サンリツの売上高は,合計9150万2746円であると算定されている(計算鑑定書3頁。この売上高は,計算鑑定)人が販売データの商品名に被告物件の製品名である「スペーサージョイントDR」を意味する「SJDR」の記載がある販売取引の売上高を集計し,かつ,サンプルベースで請求書と販売データとの照合手続をなした上で,算定されたものであると認められる(計算鑑定書4頁。)したがって,計算鑑定の結果は信用性の高いものであるから,被告サンリツの売上高は,9150万2746円であると認めるのが相当である。b)被告サンリツ技研について計算鑑定の結果によれば,平成16年10月1日から平成18年8月31日までの間の被告サンリツ技研の売上高は,合計5303万1733円であると算定されている(計算鑑定書4頁。)aこの計算鑑定の結果は,上記ア)と同様に,信用性の高いものであるから,被告サンリツ技研の売上高は,5303万1733円であると認めるのが相当である。 c)販売数量について計算鑑定の結果によれば,被告サンリツの販売数量は4387個であり,被告サンリツ技研の販売数量は4442個であると算定されている(計算鑑定書3頁。)この数量は,売上高と同様に,計算鑑定人が販売データの商品名に被告物件の製品名である「スペーサージョイントDR」を意味する「SJDR」の記載がある販売取引の数量を集計し,かつ,サンプルベースで請求書と販売データとの照合手続をなした上で,算定されたものであると認められる(計算鑑定書4頁。)したがって,計算鑑定の結果は信用性の高いものであるから,販売数量は,被告サンリツにあっては4387個,被告サンリツ技研にあっては4442個であると認めるのが相当である。なお,計算鑑定書では「サンリツの平成16年10月1日~平成1,7年12月31日のSJDRの販売数量は3023個であるのに対して,サンリツ技研の同期間のSJDRの販売数量は3056個であり,サンリツの販売数量のほうが33個多い。同様にサンリツの平成18年1月~同年8月のSJDRの販売数量は1364個であるのに対して,サンリツ技研の同期間のSJDRの販売数量は1386個であり,サンリツの販売数量のほうが22個多い。」(計算鑑定書6頁)と記載されている。これを前提に,計算鑑定人は,被告サンリツ又は被告サンリツ技研において販売データへの販売数量又は製品名の入力の誤りをした可能性があると指摘している(計算鑑定書6頁。)しかしながら,計算鑑定の結果によれば,計算鑑定の対象期間において販売数量が55個多いのは,被告サンリツではなく,被告サンリツ技研であるから,計算鑑定人は,この点において前提を誤ったものと認められる。 そうすると,被告サンリツ技研はその製造に係る被告物件をすべて被告サンリツに販売しているという取引の実情からすれば,被告サンリツの数量の方が被告サンリツ技研の数量よりも少ない理由は,被告サンリツが計算鑑定の対象期間に被告物件55個を返品されたと推認するのが相当である。このような推認は,計算鑑定書における「SJDRに関するサンリツの販売数量とサンリツ技研の販売数量とは概ね等しい。すなわちサンリツやA社では在庫を持たず,顧客の注文があった場合には,物流としてはサンリツ技研から直接,顧客へSJDRを出荷する。ただし帳簿上は,サンリツ技研から(時期によってはA社を経由して)サンリツへ販売し,サンリツから顧客へと販売を行なっている。また外部顧客が返品をした場合など,サンリツがSJDRの一時的な在庫を持つ場合があるが,その数量はごく僅かであり,鑑定結果に重要な影響を与えるものでない」という記載(計算鑑定書2頁)から認められる取引の。実情からも裏付けられるものである。したがって,被告サンリツ及び被告サンリツ技研の販売数量自体は,合理的に認められる数量であるとして,これを前提に被告らの利益を算定するのが相当である。d)被告らの主張について被告らは,被告物件を「V-150」,「V-200」,「V-250」,「V-300」,「V-350」,「V-400」,「V-450」,「HPD400」,「HPD450」,「HPD500」,「HPD600」,「HPD700」,「HPD800」及び「HPD900」の14種類とした上,その種類ごとに「ケーシング」,「既設」及び「現場」とを区分し,その区分ごとに号単位に分けている。その上で,号単位でAタイプ(ケーシング立抗用)及びBタイプ(既設人孔到達用(乙10の1参)照)の2種類の平均販売単価をそれぞれ算出して,これらに各販売数量 を乗じて算定した合計額を売上高であると主張している。しかしながら,被告物件の号単位の平均販売単価及びこれに対応する各販売数量については,計算鑑定の対象期間の一部(乙4ないし乙7)を除き,具体的な立証がない。したがって,被告らの前提とする売上高は,具体的な計算根拠を欠くものであって,上記計算鑑定の結果による認定を覆すに足りるものではない。イ控除すべき費用についてa)被告サンリツについて①仕入高について計算鑑定の結果によれば,被告サンリツの仕入高は,被告サンリツ技研の売上高に等しいものとみなして,被告サンリツ技研の売上高である5303万1733円としている(計算鑑定書4頁。)1前記第2の1( )ウのとおり被告サンリツが販売した被告物件は,,すべて被告サンリツ技研が製造販売したものであることについては,当事者間に争いがない。そうすると,上記の計算鑑定の計算根拠は,合理的であるから,被告サンリツの仕入高は,5303万1733円と認めるのが相当である。なお,被告らは,この点について,特段争っていない。
②運賃について(i) 計算鑑定の結果によれば,運賃は,123万1975円であると算定されている(計算鑑定書3頁。)具体的には,被告サンリツが計上している全製品に関する運賃を総勘定元帳から集計した上で,これに全製品の売上高に占める被告物件の売上高の割合を乗ずるものとしている。ただし,被告サンリ ツが計上している運賃には,書類等の製品以外のものを送付するために計上されている宅配便運賃や支店で計上された運賃も混ざっていたため,運送会社から請求があったものであって本社で計上された運賃と顧客に対して支払った運賃に限定するものとし,さらに,少額の販売において顧客より徴収した運賃を控除した上で算定されている(補充鑑定書4頁。)このような計算鑑定の経緯によれば,運賃に関する計算鑑定の結果は,基本的に信用できるものである。したがって,運賃は,123万1975円であると認められる。ii( ) これに対して,被告らは,
①被告物件の1梱包当たりの重量が20キロ程度であること,
②主に利用する運送業者の平均運賃は380円から1300円までの平均である840円であること③V,「150」から「HPD900」までの14種類の被告物件の1梱包当たりの被告物件の個数は平均1.85個であることを根拠として,被告物件の一製品当たりの運送賃は,少くとも400円であると主張している。しかしながら,上記①及び③については,具体的な立証がなく,
②については,被告らの所在する富山県内の運賃(380円)と北海道までの運賃(1300円)を,取引の実情を考慮することなく単純に平均していることからすると,被告らの主張する運賃は,あくまで推定値であって,上記計算鑑定の結果による認定を覆すに足りるものではない。したがって,被告らの主張は,採用することができない。
③新技術申請費(下水道新技術推進機構認証費用)について計算鑑定の結果によれば,5年間の認証費用に要する新技術申請費である309万3965円を計算鑑定の対象期間で按分して,118 万6018円と算定している(計算鑑定書3頁。)被告らも,同様に,計算鑑定の対象期間で按分する方法で算定しており,新技術申請費については,特段争っていない。したがって,新技術申請費は,118万6018円であると認められる。
④カタログ費用について(i) 計算鑑定の結果によれば,カタログ費用は,計算鑑定の対象期間内に発注された被告物件用のカタログの購入費用である78万9000円であると算定している(計算鑑定書3頁。)この結果は,被告サンリツが集計したカタログの購入費用をすべて請求書及び総勘定元帳で照合したものであり,信用性が高いものと認められる(計算鑑定書5頁。)したがって,カタログ費用は,78万9000円であると認められる。ii( ) 被告らは,計算鑑定の対象期間内に発注したカタログ費用の外にも,当該期間よりも前に発注した在庫のカタログ費用も含めるべきであると主張する。この点について,計算鑑定人は,被告サンリツには,カタログの消費数量や在庫数量等の記録が存在しないため,期首在庫金額及び期末在庫金額が明らかではなく,購入金額を発注金額としたものであるとしている(補充鑑定書5頁。)そうすると,期首在庫金額を立証する証拠がない上,被告らの主張によっても,なお,平成18年6月6日に発注した3000枚のカタログ(乙10の2)に関する期末在庫金額を除く必要が生ずるものの,被告らは,これを主張立証していない。したがって,被告らの主張は,採用することができない。
⑤出荷手数料について計算鑑定の結果によれば,計算鑑定人は,出荷手数料を控除すべき費用とは認めていない。この理由は,出荷手数料は,緊密な関係を有する被告サンリツと被告サンリツ技研との間で決められたものであるから,経済合理性のないおそれがあること,また,出荷手数料の根拠となる費用は,人件費であると考えられるものの,被告物件の出荷にこれを明確に関連づけることは困難であることを理由とするものである(補充鑑定書5頁。)しかしながら,被告らの主張によれば,出荷手数料は,包装費,伝票作成費その他の手数料であるから,少なくとも包装費については,被告物件を梱包するにあたり個別に要する費用であると認められる。また,証拠(乙11)によれば,被告サンリツが被告サンリツ技研に対して出荷手数料として被告物件の一製品当たり200円の支払をした事実が認められる。以上によれば,被告サンリツ技研が被告サンリツの関連会社であって,被告サンリツが被告サンリツ技研に対して被告物件の製造を委託しているという関係が認められる場合であっても,出荷手数料の根拠となる費用に実態があり,現実にその支払が認められる以上,少なくとも包装費に相当する費用は控除すべき費用であると認めるのが相当である。そうすると,被告物件の形状及び重量その他の事情を考慮すれば,被告物件の一製品当たりの包装費は200円とするのが相当であり,出荷手数料の合計額は,これに被告サンリツの販売数量である4387個を乗じた87万7400円であると認めるのが相当である。
⑥ロイヤリティについて(i) 計算鑑定の結果によれば,計算鑑定人は,ロイヤリティを控除す べき費用とは認めていない。この理由は,ライセンサーである有限X会社創研の代表取締役であるは,被告サンリツ技研の代表取締役でもあるから,ロイヤリティの料率は経済的合理性のない可能性があるというものである(計算鑑定書6頁,補充鑑定書5頁。)この点について,被告らは,被告サンリツは有限会社創研に特許第3497151号の特許権乙13特願2002-19359(。)のロイヤリティとして被告物件の一製品当たり350円を支払っている(乙14)から,ロイヤリティを経費計上すべきであると主張しているため,以下検討する。ii( ) 特許権実施許諾契約書(乙14)によれば,有限会社創研は,被告サンリツとの間で,平成11年10月1日,発明の名称を「管部の接続構造」とする特許出願第62-278691号の特許権を独占的に実施することを許諾すること(第1条,ロイヤリティの)金額については被告サンリツが販売する製品及び品種ごとに別途定めること(第2条)等を内容とする契約を締結している。また,同契約書に添付されているロイヤリティに関する覚書によれば(乙14の5枚目,有限会社創研は,被告サンリツとの間で,平成15)年10月1日,被告物件の一製品当たりのロイヤリティの金額を350円とする契約を締結していることが認められる。しかしながら,これらの契約の対象とされている特許権は,特許出願第62-278691号の特許権であって,被告らの主張に係る特許第3497151号の特許権(乙13)ではないから,被告らの主張は,その前提を欠くものである。したがって,被告らの主張は,採用することができない。
⑦展示会(下水道展)費用について(i) 計算鑑定の結果によれば,計算鑑定人は,展示会費用を控除すべ き費用とは認めていない。この理由は,被告物件は,展示品の一品目にすぎないため,被告サンリツは,被告物件がない場合であっても下水道展に出展していたとも考えられ,また,展示会費用と被告物件の売上高の増減との関連性も明確ではなく,展示会費用から被告物件のみに費やされた費用を個別に特定することが困難であるというものである(補充鑑定書5頁。)ii( ) 下水道展に関連する証拠(乙15,16の1ないし4)によれば,下水道展は,業界における重要な宣伝の機会であり,被告サンリツは被告物件の外にも,,スペーサージョイントSR,同NⅡs,ML支管,ML支管V型,キラト,1号マンホール,VU短管,スレンダホールその他の被告サンリツの販売する製品を幅広く展示していることが認められる。また,下水道展に関する費用としては,出展関係費用として,出展料金,重機リース,電気代,装飾,ガイドブック記事広告が計上されており,その外には,宿泊費,飲食費その他の費用が計上されている。これらの費用のうち,出展料金及びガイドブック記事広告は,毎年定額であるものの,その他の費用は,年毎に変動していることが認められる。そうすると,下水道展が宣伝の機会として重要なものであり,被告サンリツの販売する製品が幅広く展示されているという事実からすれば,少なくとも,下水道展の費用の相当部分を占める装飾費用は,被告物件の展示の増減により変動するものと認められるから,これに被告サンリツの全売上高に占める被告物件の割合を乗じた金額を展示会費用として控除すべきであると認めるのが相当である。したがって,展示会費用は,平成16年から平成18年までの装飾費用の合計額である319万4835円に売上高に占める被告物 件の割合である6パーセント(計算鑑定書4頁)を乗じた額である19万1690円であると認めるのが相当である。iii() 被告らは,被告サンリツは,平成15年から平成18年まで展示会費用として合計915万9511円を支払っており,下水道展の展示品のうち被告物件の割合は25パーセント相当であるから,,展示会費用の25パーセントに当たる228万9877円は,控除すべき費用として認めるべきであると主張する。しかしながら,被告らは,被告サンリツが販売する製品を「ML支管,ML支管V型」,「SJ-NⅡs,SJ-SR,キラト」,「SJ-DR」及び「その他」の4つのグループに分類できることを理由として,被告物件の割合を25パーセントとすべきであると主張するものの,展示会費用は通常は展示品の数に応じて増減するものであるから,被告物件の割合は,現実に出展された製品の数量の割合で算定するのが相当である。そうすると,例えば,平成16年の下水道展でいえば,搬入品目に係る合計数量である14個のうち,被告物件の数量は僅か1個のみであるから,被告らの主張する割合は,明らかに展示会の実情とは異なるものである。したがって,被告サンリツの販売する製品が幅広く展示されているという展示会の実情からすれば,上記(ⅱ)のとおり,被告物件の割合は,被告サンリツの全売上高に占める被告物件の割合とするのが相当である。また,装飾費用以外の費用のうち,出展料金及びガイドブック記事広告は,毎年共通の費用であって,被告物件が出展されない場合であっても必要とされる固定費用であると認められ,その他の費用は,被告物件の出展により変動する費用であるとしても,その具体 的な立証がないため,結局,控除すべき費用と認めることはできない。したがって,被告らの主張は,採用することができない。b)被告サンリツ技研について①材料費について(i) 計算鑑定の結果によれば,材料費は3693万3783円と算定されている(計算鑑定書4頁。)この費用は,被告サンリツが提出した「サイズ別仕入先一覧」に基づいてサイズ別の必要材料の数量を特定し,これに仕入先が発行した請求書に基づいて必要材料の期間別の単価(当該期間中に単価が変動するものにあっては平均値とする)を乗ずることによって。算定されたものであることが認められる(計算鑑定書5頁。)したがって,計算鑑定の結果は信用性の高いものであるから,材料費は3693万3783円と認めるのが相当である。ii( ) 被告らは,上記材料費が被告らの主張に係る材料費と異なる理由について,
①本体ゴムについては,仕入れの際に運賃も負担しているものの,計算鑑定では当該運賃を計上していないこと,
②エポキシ樹脂については,計算鑑定ではアルミパック代とシール代を計上していないこと,
③段ボールについては「V150,」,「V250」の使用サイズに間違いがあることによるものであると主張している(乙15。)しかしながら,被告らの主張は,いずれの点についても立証がなく,販売データ,請求書その他の具体的な資料に基づくものではないから,上記計算鑑定の結果による認定を覆すに足りるものではない。
②人件費について (i) 計算鑑定の結果によれば,人件費は759万2095円と算定されている(計算鑑定書4頁。)計算鑑定人は,
①ヒアリングにより製造工程及び設計工程に関与する人員を把握するとともに「期間集計勤怠台帳」から計算鑑定,の対象期間の実労働時間を把握したこと,
②「月別給与一覧表」から給与及び賞与支給額を把握するとともに,個人別に会社が負担する社会保険料を把握したこと,
③退職金規定から退職金必要積立額を把握したことにより,個人別の人件費をそれぞれ算出している。次に,計算鑑定人は,上記の各人件費に「旧DR加工時間」に記載されているサイズ別の製造時間を乗じて,控除すべき人件費を算定している(計算鑑定書5頁,補充鑑定書12頁。)さらに,特注品にあっては,別途,設計が必要となるため,ヒアリングにより把握した設計に要する時間に設計工程の単位時間当たりの人件費を乗じた費用に販売データより認定した特注品の件数を乗じて特注品に要する人件費を求めている(計算鑑定書5頁。)このような計算鑑定の経緯によれば,計算鑑定の結果は信用性の高いものであるから,人件費は759万2095円と認めるのが相当である。ii( ) 被告らは,
①計算鑑定人は,被告物件の製造に関与しない人員を含めて9名の人件費を前提に計算しているものの,現実には,このうちの5名しか製造に関与していないこと,
②計算鑑定人の算定した時間当たりの人件費については,設計部門にあってはこれを認めるものの,製造部門にあっては低いことを理由として,計算鑑定の結果は相当ではないと主張している(乙15。)しかしながら,被告らは,乙15の別表2において,個人別の人件費,労働時間及び時給単価をそれぞれ算定しているものの,いず れも具体的に立証されていないから,信用性が低いといわざるを得ない。したがって,被告らの主張を採用することはできない。
③水道光熱費について計算鑑定の結果によれば,水道光熱費は22万5547円と算定されている(計算鑑定書4頁。)この費用は,総勘定元帳から把握した被告サンリツ技研の水道光熱費を被告物件の売上高の割合で按分することによって算定されたものであることが認められる(計算鑑定書5頁。)したがって,計算鑑定の結果は信用性の高いものであるから,水道光熱費は22万5547円であると認めるのが相当である。なお,被告らは,この点については,特段争っていない。
④消耗品費について(i) 計算鑑定の結果によれば,消耗品費は57万7496円と算定されている(計算鑑定書4頁。)この費用は,総勘定元帳から把握した被告サンリツ技研のすべての消耗品費を全体の売上高に占める被告物件の売上高の割合で按分することによって算定されたものであることが認められる(計算鑑定書5頁。)したがって,計算鑑定の結果は信用性の高いものであるから,消耗品費は57万7496円であると認めるのが相当である。ii( ) 被告らは,被告サンリツ技研のすべての消耗品費の額については認めるものの,全体の売上高に占める被告物件の売上高の割合で按分するのではなく,被告物件,スペーサージョイントGL及びスペーサージョイントSRの3種類の製品の売上高に占める被告物件の売上高の割合(31パーセントないし34パーセント)で按分す べきであると主張している。しかしながら,被告らは,消耗品を費消する被告サンリツ技研の製造機械が上記3種類の製品のみの製造に使用されていることを具体的に立証していない。また,被告らは,平成15年4月1日から平成19年3月31日までの期間に生じた消耗品費を平成15年8月1日から平成18年8月31日までに被告サンリツが製造販売した6112個で除した金額である372円を被告物件の一製品当たりの消耗品費として算定するものの,消耗品費が生じた期間と被告物件が製造された期間とが異なるものであるため,被告主張に係る被告物件の一製品当たりの消耗品費は,不正確なものである。したがって,被告らの主張は信用性が低いため,これを採用することはできない。
⑤機械償却費について(i) 計算鑑定の結果によれば,計算鑑定人は,機械償却費を控除すべき費用とは認めていない。この理由は,被告サンリツ技研の製造機械は,被告物件を製造するための専用的な機械ではなく,他の製品も製造する一般的な機械であるため,被告物件を製造しない場合には,他の製品を製造することができるというものである(計算鑑定書6頁,補充鑑定書6頁。)ii( ) 被告サンリツ技研の製造機械は,一般的な機械であって,被告サンリツ技研の全売上高に占める被告物件の売上高の割合は,約6パーセントであることを考慮すれば(計算鑑定書3頁,被告サン)リツ技研は,仮に,被告物件を製造しない場合であっても,これらの機械を購入したと考えられる。そうすると,これらの機械償却費は被告物件の製造に直接必要となる費用ではないことはもとより,,被告物件を製造するために追加的に必要となる費用ともいえない。 したがって,機械償却費を控除すべき費用として認めるのは相当ではない。iii() 被告らは,被告サンリツ技研の製造機械は,被告物件,スペーサージョイントGL及びスペーサージョイントSRの専用的な機械であるから,機械償却費は,これらの3種類の製品の売上高に占める被告物件の売上高の割合によって按分する方法で控除すべき費用として認めるべきであると主張している。しかしながら,被告らは,上記のとおり,被告サンリツ技研の製造機械がこれらの3種類の専用的な機械であることを裏付ける証拠を提出していないため,被告らの主張は信用性が低く,仮に,これを裏付ける証拠が提出された場合であっても,被告サンリツ技研の製造機械は,なお,被告物件のみの専用的な機械と認めることはできないから,上記(ⅱ)の結論を左右するものではない。したがって,被告らの主張は,採用することができない。ウ小括a)被告サンリツの利益の額a被告サンリツの利益の額は,上記ア)の売上高である9150万2a746円から上記イ)により認められる控除すべき費用の合計額である5730万7816円を除いた額である3419万4930円となる。b)被告サンリツ技研の利益の額b被告サンリツ技研の利益の額は,上記ア)の売上高である5303b万1733円から上記イ)により認められる控除すべき費用の合計額である4532万8921円を除いた額である770万2812円となる。3( ) 争点4-3(特許法102条2項の規定により損害と推定すべき利益の額 について)について1ア前記第2の1( )のとおり,被告サンリツ技研は,被告サンリツの関連会社であり,被告サンリツは,被告サンリツ技研に対し被告物件の製造を委託してこれを購入した上で,第三者に対し被告物件を販売しているものである。そうすると,被告サンリツと被告サンリツ技研は,それぞれ本件特許権を侵害する者に当たるのみならず,客観的に関連し共同して本件特許権を侵害したものであるから,特許法102条2項の規定により損害の額と推2定される利益の額は,上記( )ウのとおり,被告サンリツと被告サンリツ技研のそれぞれの利益の額の合計額である4189万7742円となる。イ被告らは,被告サンリツ技研が被告サンリツに販売する行為は本件特許権の侵害行為ではなく,その準備行為であるとして,特許法102条2項の規定により損害の額と推定される利益の額は,被告サンリツの利益の額に限られると主張する。しかしながら,被告サンリツ技研と被告サンリツは別法人であって,被告サンリツ技研は被告物件を製造しこれを販売する行為によって本件特許権を侵害していると認められるから,これを本件特許権の侵害行為の準備行為であると認めることはできない。したがって,被告らの主張には理由がない。ウ以上の次第で,被告らは,原告に対して,連帯して,損害賠償金として,4189万7742円を支払う義務がある。4( ) まとめ上記のとおり,被告らは,原告に対して,連帯して,補償金である168万6277円及び損害賠償金である4189万7742円の合計額である4358万4019円を支払う義務がある。
第5 結論
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官設樂隆一
裁判官中島基至
裁判官古庄研
出典: 平成18年(ワ)第1702号 裁判所ウェブサイト掲載の判決文 →