「他社が商品に使っているブランドを、うちに譲ってもらえないかと考えています。調べたところ商標登録されていたので、商標権を譲り受けることになりそうです。ただ、そのブランドの商品がどれくらい売れているのかは分かりません。この状態でも、商標権を譲り受けるために支払う金額の目安は出せますか?」──商標の評価額は、その商標を付けた商品の売上をもとに算出します。ただ、商品の正確な売上データは調べてもそうそう出てくるものではありません。
もしかしたら、商品の売上データは、相手に聞けば教えてもらえるかもしれません。ただ、聞くには相手の会社に連絡を取ることになります。その連絡が商標を譲ってほしいという申し入れの始まりとなります。話を持ちかける前に商標の譲渡価格として、どれくらいが目安になるのかは知っておきたいところです。
譲渡価格の目安であれば、相手に売上データを聞かなくても見積もることはできます。会社全体の売上高は帝国データバンクなどの信用調査会社の企業情報に、ブランドがどの商品に使われているかは公式サイトや商品カタログに、載っていることがあります。会社全体の売上高とブランドが使われている商品が分かれば、その商品が全社の売上のうちどれくらいを占めていそうか見当がつき、その商品のおおよその売上が見えてきます。ただし、あくまで見当なので、売上はひとつに確定できません。このような見当をもとに商標の評価額を算出する際は、売上データなどにどう見当をつけたかと、その見当が変わったときに評価額がどこまで変動するのかが示されるのが一般的です。
本記事では、ブランドの売上が分からなくても、商標の評価額を算出するために集めたい4つの材料を説明します。①信用調査会社の企業情報、②サイト・カタログ・店舗など、ブランドの使われ方が分かる資料、③公表されている商標の使用料率(その商標を付けた商品の売上の何%を使用料とするか)の統計、④商標公報・経過情報・登録原簿です。各材料がどこで手に入るか、使うときに気をつけること、そしてこの4つを使って評価額をどう算出するかを商標の価値評価を手がける弁理士の立場から解説します。
① 信用調査会社の企業情報──誰の会社の売上高を取るか
商標権を譲ってもらいたい相手の売上高(全社売上高)は、帝国データバンク・東京商工リサーチといった信用調査会社の企業情報に載っていることがあります。上場していない会社でも、ここで売上高が分かる場合があります。
ただし載っているのは全社売上高で、ブランドごとの売上の内訳はないのが一般的です。また、売上高が百万円きざみで丸められていることもあるので、分かるのはおおよその売上高です。
商標権者と、実際に商標を使って商品を売っている会社が同じとは限らない
商標では、商標権を持っている会社と、その商標を付けた商品を売っている会社が、別の会社であることがあります。たとえば持株会社や管理会社がブランド(商標)をまとめて管理保有し、実際の販売は子会社やライセンスを受けた会社が担っているパターンです。
このようなパターンでは、商標権者の全社売上高は商標の評価額を算出する際にあまり参考になりません。評価額の基準になるのは、商標を付けた商品を売っている会社の売上です。企業情報を取り寄せる相手を間違えると、対象の商品とは関係のない売上高をもとに評価額を算出してしまうことになるので注意が必要です。
そこで、商標権を持っている会社と、商品の販売元である会社が同じかどうかを確認します。商標権者の名称・住所は、商標公報やJ-PlatPatの経過情報で分かります。商品の販売元は、商品のパッケージや商品掲載サイトなどを確認します。
あわせて読みたい:相手の製品別の売上がわからなくても他社特許は評価できる?|公開情報だけで評価額を出す3つの材料
② 譲り受けようとしているブランドが何に使われているか──サイト・カタログ・店舗の情報
商標は、商品やサービスに使う名前です。公式サイト、商品カタログ、通販ページ、店舗の一覧、相手が上場していれば決算説明資料から、譲り受けようとしているブランドが何に使われているかを確認します。
確認するのは主に次の3点です。
- ブランドの立ち位置──商品に付けた名前なのか、店舗の名前なのか、サービスの名前なのか。
- ブランドが使われている商品やサービスの範囲──ブランドがどの商品に使われているか。同じ会社が別ブランドでも商品を売っているなら、その別ブランドの商品の売上は評価する際に除外する必要があります。
- ブランドの規模感を推し量る情報──取扱店舗の数、通販サイトでの取扱点数、シリーズの構成、出荷量や販売数。そのブランドが相手の商売のどれくらいの規模を占めていそうかの見当をつけるのに使います。
信用調査会社の企業情報から取れるのは、全社の売上高です。そこで、全社の売上高のうちブランドが使われている商品やサービスの売上が何割くらいを占めるか、見当をつけます。全社の売上高にその割合を掛けると、ブランドが使われている商品やサービスの売上を見積ることができます。
商品点数などを、そのまま売上の割合にしない
相手が扱っている商品のうち、譲り受けようとしているブランドの商品が2割だったとしても、その商品の売上が全体の2割を占めるとは限りません。商品点数としては1品でも、その1品が売上の大半を占めることもありますし、商品点数が多くても単価の低い商品が大半ということもあります。
商品別の売上データがわからない以上、譲り受けようとしているブランドによる売上をひとつに決めきれない場面がほとんどです。このような場合は、譲り受けるブランドが占める売上の割合を幅にして見積り、商標の評価額も幅を持たせることになります。
③ 公表された商標の使用料率の統計──使う前に確かめること
対象の商品やサービスの売上の見当がついたら、次に決めるのは、その売上の何%を商標の使用料にするかです。この%を料率と呼びます。この料率は商標の評価額を算出するために重要なものとなります。
譲り受けたい商標が自分のものになれば、その商標を借りる際に払う使用料を払わずに済みます。この払わずに済む使用料を、その商標による収益が見込める年数の分だけ足し合わせ、現在の価値に直した額が、その商標の評価額となります。
商標の料率に関する統計で公表されているものに経済産業省の「ロイヤルティ料率に係るアンケート調査結果」(2025年3月)があります。
知的財産の出願をしている約3,000社に、自分の商標を他社に使わせるときの料率がどれくらいかを聞いたものです。商標の有効回答は146件で、料率の平均2.96%、中央値2.0%と公表されています(出典:ロイヤルティ料率に係るアンケート調査 集計表『全体』)。
このような料率を使う前に、このアンケート調査がどのような条件で回答されたものかを確認しておく必要があります。同調査の集計表『調査概要および結果の見方』には、【調査結果の留意点】として次のことが挙げられています。
- 答えているのは使わせる側──ライセンスを与える側の立場で、国内の同業他社に日本の権利を使わせる場合を想定した回答です。
- 非独占が前提──通常使用権(同じ内容の許諾を他社にも与えられるライセンス)を想定して答えられています。譲り受けは権利そのものを手に入れる取引なので、この前提とは異なります。
- 正味販売高に対する割合──売上高そのものではなく、正味販売高に対する料率として回答されています。一般に正味販売高は、返品や値引きを差し引いたあとの売上を指します。信用調査会社の企業情報から取れるのは売上高なので、そのままの売上高を用いて評価額を算出すると、評価額が実際よりも高く出ます。
- 商標は会社名のブランドを除く──商標の料率については、コーポレートブランド(会社名そのもののブランド)以外の商標を許諾した場合の料率を想定して答えられています。会社名と同じブランドには、この統計そのままでは当てはまりません。
- 選択肢で答えられている──回答された料率は、あらかじめ決められた区分から選んで回答する形式になっています。そのため、実際の契約で決められた料率そのものが回答されたわけではありません。
同調査の集計表『各種分類ごとの料率分布』には、商標の料率146件の内訳が次のように掲載されています(「1〜2%」は1%以上2%未満をさします)。
- 1%未満──44件(30%)
- 1〜2%──26件(18%)
- 2〜3%──14件(10%)
- 3〜4%──37件(25%)
- 4〜5%──2件(1%)
- 5%以上──23件(16%)。うち10%以上が8件あります。
商標の料率に関する統計において、中央値は2.0%ですが、回答がその近くに集まっているわけではありません。いちばん多いのは1%未満の44件(30%)、次が3〜4%の37件(25%)で、あいだの2〜3%は14件です。2.0%は、146件を並べたときの真ん中というだけの数字です。
そのため、上述した譲り受けるブランドが占める売上の割合を幅にして見積ったのと同じように、料率についてもひとつには決めることはせず、料率も幅にして見積り、評価額も幅を持たせることになります。
料率は商標の区分ごとの集計なので、評価する商品やサービスとの対応を見る
経済産業省のアンケート調査結果においては、商標の料率は区分ごとに集計されています。区分とは、商標を登録するときに指定する商品やサービスのグループで、第1類から第45類まであります。
たとえば、料率について回答が多いのは第25類と第30類、回答が数件しかないのは第41類・第14類・第35類です。具体的には、次の結果になっています。
- 第25類 被服及び履物──17件・中央値3.0%・平均3.70%
- 第30類 加工した植物性の食品…及び調味料──16件・中央値2.0%・平均1.95%
- 第41類 教育、訓練、娯楽、スポーツ及び文化活動──3件・中央値10.0%・平均14.33%
- 第14類 貴金属…宝飾品及び時計──1件・その1件が10%
- 第35類 広告、事業の管理又は運営…小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供──4件・中央値1.55%・平均15.8%
回答が数件しかない区分では、1件の回答がその区分の料率を決めてしまいます。第41類は3件しかないので、中央値10.0%は真ん中の1件の回答そのものです。第35類は4件で、そのうち1件が60%。この飛び抜けた1件(外れ値)に引っ張られて、平均は15.8%まで上がっています(残る3件の平均は約1.1%)。中央値の1.55%も、4件を並べたときの真ん中2件の平均で、1.55%と答えた回答があるわけではありません。
もうひとつ、区分の中身の問題があります。たとえば第35類には、広告、事業の管理や運営、小売や卸売などのサービスが入ります。第35類の中央値1.55%が、このうちどのサービスについての料率を示しているのかは、集計表からは分かりません。
区分毎に示された料率をそのまま使えるかは、区分毎の回答件数と、回答された料率のばらつきで変わります。回答が数件しかない区分では、その区分に示された料率をそのまま採用しにくいところです。
統計の料率は、何の売上に対する割合か
使用料の料率は、商標を使った商品やサービスの売上に対する割合です。会社全体の売上高に対する割合ではありません。一方で信用調査会社の企業情報から得られるのは全社の売上高です。
全社の売上高に料率をそのまま掛けると、売っている会社の他のブランドの売上も含んだ上で評価されてしまい、評価額が実際よりも高く算出されてしまいます。
商標だけの許諾か、運営の支援なども含む条件か
経済産業省の調査は、自社の商標を他社に使わせている会社に、その見返りとして売上の何%を受け取るかを聞いたものです。たとえば飲食や小売などのフランチャイズでは、商標を使わせるだけでなく、ノウハウや店舗運営の支援、広告費の分担、最低保証(売れ行きにかかわらず支払う下限額)なども契約に含まれます。フランチャイズの料率には、こういった対価まで入っています。一方で、単に商標を使ってよいと認めるだけの契約であれば、料率は商標だけの対価を反映したものとなります。
経済産業省の調査においては、回答された料率が、フランチャイズの料率なのか、商標だけの料率なのかは分かりません。
経済産業省の調査の集計表『全体』と『各種分類ごとの料率分布』にも、【調査結果の留意点】にも、その区別は書かれていません。そのため、こういった観点からも料率をひとつに決めずに幅にして見積り、評価額に幅を持たせたりします。
あわせて読みたい:商標の相当実施料率は?1〜5%の根拠と10%水準のケースを弁理士が解説
④ 商標公報・経過情報・登録原簿──権利の中身と、続けられるか
譲り受ける権利の中身については、次の3つの資料で確認できます。
- 商標公報──譲り受ける商標が、どんな文字やロゴで、どの商品やサービスについて登録されているかが載っています。この商品やサービスを指定商品・指定役務といいます。商標を独占して使えるのは、ここに書かれた商品やサービスについてだけです(商標法25条)。たとえば同じ第25類(被服及び履物)でも、指定商品が「被服」だけなら、靴は入りません。
- 経過情報(J-PlatPat)──譲り受ける商標について、出願から今までにどんな手続がされたかの記録です。存続期間の満了日、更新の有無、これまでに権利者が変わっているかどうかなどが、ここで分かります。
- 登録原簿──特許庁が管理する、商標権についての公式の記録です。前の2つと違い、特許庁に交付を請求して取り寄せます(商標法72条1項。誰でも請求できますが、手数料がかかります。)。譲り受ける相手が本当に権利者か、共有者がいないか、質権(借金の担保)・専用使用権(他社に独占的に使わせる権利)・登録された通常使用権(特許庁に登録された使用許諾)が設定されていないかが分かります(商標法71条1項)。通常使用権が登録されていれば、商標権を譲り受けてもその許諾は消えません(商標法31条4項)。許諾を受けている会社は、権利者が変わっても商標を使い続けられます。専用使用権が設定されていれば、その条件を見たうえで評価が必要となります。
商標権を何人かで共有していることがあります。この場合、交渉しようとする相手が持っているのは商標権の全部ではなく自分の持分だけで、この持分を譲り受けるにも他の共有者の同意が要ります(商標法35条が準用する特許法73条1項)。持分を譲り受ければ自社単独で商標を使えますが、他の共有者も同じ商標を使えます(共有者間の契約に別段の定めがなければ。同73条2項)。そのため、商標権の持分の割合などを考慮した上で評価額に反映させる必要があります。
商標権は10年で期限が来ますが、何度でも更新できます(商標法19条)。ただし、継続して3年以上だれも使っていない指定商品・指定役務については、誰でも取消しの審判を請求できます(商標法50条1項)。譲り受けたい商標が3年以上使っていなければ、譲り受けた直後に取消しを求められることもあります。
商標公報、経過情報、登録原簿に載っているのは商標権の中身までで、譲り受ける商標が実際にどの商品に使われ、どれだけ売れているかは載っていません。
集めた材料は、評価書にどう反映されるか
全社の売上高、ブランドの売上割合、料率の統計、権利の中身が分かれば、次の順で評価額を算出できます。
- 全社の売上高にブランドが占めていそうな売上割合を掛けて、ブランド(商標)を付けた商品やサービスの売上を出す
- その売上に統計の料率を掛けて、1年あたりの使用料相当額を出す
- 使用料相当額を、収益が見込める期間の分だけ足し合わせ、現在の価値に直す
この順に仮の数字を当てはめてみます。相手の全社の売上高を24億円、そのうち対象のブランドが占める割合を20%とすると、対象の商品の売上は4.8億円です。料率を2.0%とすると、1年あたりの使用料相当額は960万円になります。収益が見込める期間は5年と置きます。
1年あたりの使用料相当額960万円を5年分そのまま足せば4,800万円ですが、評価額はその額になりません。5年後の960万円は今の960万円より値打ちが低いとみるからです。この目減りの割合を割引率と呼び、ここでは10%とします。
毎年の960万円を、受け取るのが先になるほど大きく割り引いて足し合わせると、評価額は約3,640万円になります。なお、この計算例は税引前です。実際の評価では、税を差し引いたあとの額を割り引くので、評価額はこの例より低くなります。
ここで使った割合20%・料率2.0%・期間5年・割引率10%は、計算の流れを見せるために仮定的に設定した数字です。妥当な水準として示したものではありませんのでご注意ください。また、統計の料率は正味販売高に対するものなので、実際の評価では、売上高から返品や値引きを差し引いてから料率を掛けます。
こうして算出した評価額は、そのまま相手に払う金額になるわけではありません。実際に支払う額は相手との交渉で決まるので、算出した評価額は、社内でいくらまでなら出せるかを決めるときの出発点になります。ただし、評価額はひとつの数字に定まりません。
全社の売上高のうち譲り受けるブランドが占める割合も、料率も、相手に聞いて得た数字ではないからです。この割合と料率を変えたときの評価額もあわせて検討すれば、相手に支払う金額の上限を決めやすくなります。
上記計算例では、収益が見込める期間を5年と置きました。この年数は、商標権の残りの期間から決めるものではありません。商標権は何度でも更新できるからです。譲り受けるブランドがどれくらいの期間売れ続けそうかをもとに判断します。
なお、ここで算出した評価額は、相手の売上をもとにしたものです。商標だけを譲り受けても、相手の販路や顧客まで移るわけではありません。譲り受けたあとに自社で同じ売上が立つかは、別に見込む必要があります。
あわせて読みたい:商標価値の出し方(簡易RFR)|稟議・譲渡・事業説明で使える基礎ガイド
よくある質問
Q. 相手にブランドの売上を聞いてもよいのでしょうか。
A. 「この商標を譲ってほしい」と相手に切り出す前か、後かで変わります。
切り出す前に「そのブランドはいくら売れていますか」とだけ尋ねても、相手は答える理由はありません。他社に自社事業に関する数字を出すのは、相応の取引関係があるときか、問われた理由に納得したときだけです。
そこで、売上を尋ねる理由を正直に話せば「商標を買い取るために商標の評価額を算出したい」ということになりますが、これでは商標を譲ってほしいと切り出すのと変わりません。
買取価格に目途がついていない状態で話を切り出すと、こちらがいくらまで出せるかを決めないまま話が始まります。そうならないように、予め手に入る材料をもとに商標の評価額を算出しておくことが有効です。
商標を譲ってほしいとの切り出したあとであれば、交渉のなかで売上の開示を求めることができます。開示してもらえれば、見当をもとに設定した数字を実際の数字に置き換えることで、商標の妥当な評価額を算出できます。
ただし、相手が数字を見せてくれるとは限りません。また、見せてくれる場合でも、秘密保持契約を結ぶ必要があることもあります。なので、まずは相手に聞かなくても取得できる材料にもとづいて評価額を出し、いくらまでなら出せるかを決めてから交渉に進むといいかもしれません。
Q. 自社がすでにライセンスを受けて使っている商標を譲り受ける場合も同じですか。
A. この場合は前提が変わります。対象の商品を売っているのは自社なので、外から見当をつけていた売上が自社の帳簿にあり、統計から持ってくるはずだった料率も、現に支払っている使用料から求められます。
外から見当をつける部分がほとんどなくなるので、検討の中心は「収益を何年分見込むか」「今の使用料が、自社のその商品の売上に見合っているか」になります。
現在の使用料が対象の商品の売上の何%にあたるかを確かめる進め方は、「【実例】その商標使用料、安すぎませんか?平均3%に対し「0.6%」だった事例と対策」で扱っています。
Q. 相手がそのブランド名を商標登録していない場合はどうなりますか。
A. 登録がなければ商標権はないので、商標権を譲り受けることにはなりません。出願中であれば、譲り受ける対象は「商標登録出願により生じた権利」です。この権利の承継は、相続などの一般承継の場合を除き、特許庁長官に届け出なければ効力を生じません(商標法13条2項が準用する特許法34条4項)。
出願も登録もない場合は、譲り受ける対象となる権利がありません。その名称が実際にどう使われ、一般にどこまで認知されているかなどを商標権の譲渡とは別に検討することが必要です。この場合の進め方は、個別にご相談ください。
まとめ
相手のブランドの売上が分からなくても、外から手に入る材料からブランドの売上の見当をつければ、商標のおおよその評価額は算出できます。評価額を算出するために集める材料は次の4つです。
- 信用調査会社の企業情報──相手の全社の売上高。ブランドごとの売上の内訳は載っていないので、そのままでは使えません。
- サイト・カタログ・店舗の情報──そのブランドがどの商品やサービスに使われているか。対象となるブランドの売上を出すために使います。
- 公表されている商標の使用料率の統計──経済産業省の調査で、商標の料率は146件で中央値2.0%。ただし、商標の区分ごとの料率の値を使うときは回答件数の確認が必要です。
- 商標公報・経過情報・登録原簿──商標がどの商品やサービスについて独占して使えるか、共有者・質権・専用使用権・登録された通常使用権があるか、更新されているかなどを確認します。
この4つをもとにして、譲り受ける商標を付けた商品やサービスの売上に料率を掛けたりすることで、商標の評価額を算出できます。
※もっとも、これで算出できるのは、譲ってほしいと相手に切り出す前に社内で判断するための目安となる評価額であって、場合によっては相手から実際の売上などを開示してもらう場合もあります。
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参考文献
- 経済産業省「ロイヤルティ料率に係るアンケート調査結果」2025年3月(株式会社野村総合研究所・株式会社帝国データバンク/集計表『調査概要および結果の見方』『全体』『各種分類ごとの料率分布』)
- 商標法(昭和34年法律第127号)13条2項、19条、25条、31条4項、35条、50条1項、71条1項、72条1項/特許法34条4項(商標法13条2項が準用)、73条1項・2項(商標法35条が準用)
この記事を書いた人:弁理士・米田恵太(知育特許事務所)















