開発中・発売前の製品に「似た特許」を見つけたら?|高額な鑑定と簡易鑑定の使い分け

開発中・発売前の製品に「似た特許」を見つけたら?高額な鑑定と簡易鑑定の使い分け|知育特許事務所

新しい製品を企画しているときや、試作品ができあがったタイミングで、 「念のため、他社から似たような特許が出ていないか確認しておこう」 と、J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)などで検索をすることがあると思います。

その際に「開発品や発売前の新製品と似た特許」が見つかってしまうと、「そのまま無視して進める」わけにはいかないはずです。 コンプライアンスやリスク管理の観点から、「見つかった特許は問題ない」として進めるにせよ、「設計変更」をするにせよ、社内への説明などのために「外部専門家による客観的な根拠」が必要な場合もあります。

特許侵害になるか否かについて外部専門家に判断を仰ぐ正式な鑑定書は数十万円以上かかることが多いため、「まだ売れるかも分からない製品に、そこまでのコストと時間はかけられない」と相談を躊躇し、リスクを抱えたまま先送りにすることもあるかもしれません。

鑑定書には、フルスペックの正式な鑑定書以外にも簡易な鑑定書があり、目的(社内用か、対外用か)に合わせて使い分ける選択肢が存在します。この記事では、見つかった特許への対応として、「社内判断(GO/STOP)のための簡易鑑定(コメント)」「取引先への説明や、法的根拠を固めるための詳細鑑定(正式な鑑定書)」の2つを、自社の状況に合わせてどのように使い分けるべきか、実務的な判断基準を解説します。

「似ている特許」を見つけた時、現場が直面する課題

開発中や発売前の製品に構成が似ている特許を発見したとき、経営者や開発責任者の方が抱くのは「このまま事業を進めても大丈夫か?」という懸念があると思います。また、次ような課題に直面しているかもしれません。

  • 「社内判断として、侵害か非侵害か、白黒はっきりさせたい」
  • 「もし侵害なら設計変更が必要だが、その要否を早急に決めたい」
  • 「無視して進めた結果、後で訴えられるリスクだけは絶対に避けたい」

侵害成否の判断を弁理士に頼みたいが費用が壁になる場合も

これらの課題を解決するために最も確実なのは、弁理士に専門的な判断(鑑定)を仰ぐことです。しかし、一般的に「正式な鑑定書」の作成費用は高額であるため、依頼を躊躇してしまうのではないでしょうか。

まだ利益を生んでいない開発段階の製品に対して、たった1件の特許侵害の確認のために数十万円以上をかけるのは、予算的に難しい場合も多いと思います。

しかし、すべてのケースで高額な「正式な鑑定書」が必要なわけではありません。社内検討の段階であれば、よりコストを抑えた現実的な選択肢があります。

「簡易鑑定」と「詳細鑑定(正式な鑑定)」の使い分け

侵害の成否を判断すべき特許が特定できているのであれば、あとは「今の状況に、どのレベルの法的判断(簡易鑑定か正式な鑑定)が必要か」を決める段階です。「簡易鑑定」と「正式な鑑定(詳細鑑定)」の内容は特許事務所によって異なりますが、次のような使い分けをしていることがあります。

なお、全てのケースで高額な詳細鑑定が必要なわけではありません。社内向けか、対外向けか、「何のために使うのか(目的)」を明確にすることで、コストと時間を最適化できます。

社内判断なら「簡易鑑定(コメント作成)」

まだ係争になっていない、社内検討の段階であれば、裁判所に提出するような分厚い「正式な鑑定書」はオーバースペックになりがちです。 まずはスピードとコストを重視した「簡易鑑定」が適している場合が多いです。

  • 主な用途: 社内会議での報告、開発のGO/STOP判断、設計変更の要否検討
  • 内容: 特許の権利範囲(請求項)と自社製品を対比し、侵害リスクの有無とその理由を簡潔に報告します。なお、通常、特許が無効かどうかの調査・検討までは含まないケースが多いです。
  • 費用感: 10万円台〜(正式な鑑定の数分の一)※なお、弊所では ¥110,000(税込・固定)で承っております。
  • メリット: 判断までのスピードが早く、社内稟議や意思決定の材料としてコストパフォーマンスに優れています。

対外対応なら「詳細鑑定(正式な鑑定書)」

一方で、外部に対して強い説明責任がある場合や、法的リスクが顕在化している場合は、こちらを選ぶ必要があります。

  • 主な用途: 取引先(納入先)からの証明要求への対応、警告書への回答、訴訟準備
  • 内容:特許の権利範囲(請求項)と自社製品を対比し、侵害リスクの有無とその理由に加え、その特許を無効にできるか(無効資料調査・無効論)まで含めた網羅的な検証を行います。
  • 費用感: 数十万円以上
  • メリット: 法的な権威性が高く、対外的な交渉や防御において強力な根拠資料となります。

そのため、まずは「簡易鑑定」で社内の方針を固め、必要性が高まった段階で「詳細鑑定」を検討する、という進め方が効率的です。 段階的に判断を行うことで、初期コストを必要最小限に抑えることができます。

なお、事業のキーとなる主力製品などについて鑑定するケースでは、リスク管理として1つの特許事務所の弁理士だけに鑑定書を依頼するだけでなく、セカンドオピニオンとして他の特許事務所の弁理士にも鑑定を依頼し、判断の客観性を高めるケースもあります。

簡易鑑定の結果と、その後の具体的なアクション

「簡易鑑定」という判断材料を得ることで、現場の「迷い」は以下のように解消します。

ケースA:「非侵害」との判断が出た場合

弁理士が「貴社製品には、特許の要件〇〇が含まれていないため、権利範囲外です」という根拠を示します。 この専門家の見解を添えて社内説明を行うことで、安心して開発・発売を進めることが可能になります。

ケースB:「侵害の可能性が高い」との判断が出た場合

「今の構造のままだと特許に抵触する可能性が高い」という結果が出ます。 しかし、これは失敗ではありません。量産前に「設計変更」をするという、正しい損切りができるからです。簡易鑑定であれば、「どの構成を変更すれば特許を回避できるか」という具体的なアドバイスも可能です。

どちらの結果であっても、低コストで「不透明なグレー状態」を脱し、事業を進めるための判断材料が手に入ります。

よくある質問

Q. 「簡易鑑定」と「正式な鑑定」で、結論が変わることはありますか?

A. 判断の対象となる特許や製品の構成が変わらなければ、基本的に結論(侵害か非侵害か)が変わることはありません。 ただし、「簡易鑑定」はあくまで製品が特許に引っかかっているかどうか(抵触の有無)に絞った検討とするのが一般的です(※弊所の場合も同様です)。詳細な鑑定を行うことで、特許自体を無効にするための文献が見つかるなど、より有利な主張(無効論)が可能になるケースはあります。

Q. まだ図面が完成しておらず、手書きのメモや構想段階ですが相談できますか?

A. はい、可能です。 現時点での構想をベースに、「この機能や構造を採用すると特許に抵触する可能性がある」といった観点でのアドバイスが可能です。開発の初期段階でご相談いただくことで、設計のやり直しなどの無駄を省き、スムーズに開発を進められます。

Q. 相談した内容や、開発中の製品情報が外部に漏れることはありませんか?

A. 弁理士には法律(弁理士法30条)で守秘義務が課せられており、ご相談内容が外部に漏れることはございません。 特に未発表の製品情報については、細心の注意を払って取り扱いますので、安心してご相談ください。

Q. 簡易鑑定をお願いした場合、納期はどのくらいですか?

A. 案件の難易度や混雑状況にもよりますが、通常は資料をいただいてから1週間〜2週間程度でご報告が可能です。 正式な鑑定書(1ヶ月以上〜)に比べてスピーディに結果をお伝えできるため、開発スケジュールの遅延を防ぐことができます。お急ぎの場合はその旨もお伝えください。

Q. 簡易鑑定をお願いした場合、費用や納期はどのくらいですか?

A. 納期は通常、資料をいただいてから1週間〜2週間程度です。費用については事務所により異なりますが、当所では1件あたり11万円(税込)の固定費用で承っています。タイムチャージ(時間制)ではないため、追加費用を気にせずご依頼いただけます。

具体的な検討には「特許番号」と「図面・仕様書」が必要です

「似ている特許」を見つけたとき、最も避けるべきは、悩み続けて時間を浪費することや、「たぶん大丈夫だろう」と根拠なく進めてしまうことです。

「特許番号」と「開発中の図面や仕様書(または試作品の写真など)」があれば、まずは簡易鑑定で対応可能かどうかの確認(事前検討)が可能です。 資料を拝見した上で、対応の方針(簡易鑑定で十分か、など)や費用について回答いたします。

判断に迷う特許がありましたら、オンラインの30分無料相談などで一度ご相談ください。

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この記事を書いた人:弁理士・米田恵太(知育特許事務所)

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米田恵太
知育特許事務所 代表弁理士(弁理士登録番号:第16197号)。 中小企業や個人の方を中心に、商標価値評価(簡易RFR)や 3Dプリント試作×知財戦略のサポートを行っている。商工会議所、金融機関、各種業界団体などでの講演実績も多数。 幼い頃、大切にしていたガンダムのカードをパクられた経験から、「大切なものをパクられないようにする」ために特許・商標・意匠などの知的財産の取得支援を行うとともに、取得した知財の価値を実感できるよう「守るだけでなく活かす」ことを重視している。 支援先は、メーカー、スタートアップ企業、個人発明家、デザイン会社、 マーケティング会社、ミシュラン掲載の飲食店など多岐にわたり、アイデアの保護や出願、3D試作、価値評価など、案件ごとに必要な部分を組み合わせてサポートしている。