特許侵害予防調査とは…調査が必要な場合と調査の要点を説明

特許侵害予防調査とは、自社が事業活動する上で、侵害してしまったり、侵害することになりそうな他人の特許を見つけ出す調査です。

例えば、新製品や新サービスを開発した場合や、納入する製品等が他社の特許権を侵害していないことの保証を求められた場合や、新規事業に参入する場合などで特許侵害予防調査が必要となります。

特許侵害予防調査を自社で行う場合は、例えば、自社の新製品が他社の特許を侵害することになるかを調査するのは勿論、新製品に使われる部品についても他社の特許を侵害する可能性があるかを調査する必要があります。

一方、特許侵害予防調査を外部に依頼する場合には、依頼する会社(特許調査の専門会社 or 特許事務所)の特徴を把握した上で、調査を依頼することが大切です。

特許侵害予防調査とは

特許侵害予防調査とは、自社が事業活動する上で、侵害したり、侵害することになりそうな他人の特許を見つけ出す調査です。特許侵害予防調査をすることで、自社の事業活動を妨げる可能性のある特許を把握できます。

なお、どのような場合に特許侵害になるのかについては、他人の特許に抵触しているかを簡易に判断するためのポイントの記事が参考になります。

他人の特許に抵触しているかを簡易に判断するためのポイント

2019.05.30

特許侵害予防調査が必要な場合

▲特許侵害予防調査をすべき3つのパターン

特許侵害予防調査をする必要がある場合として、主に次の3つの場合が考えられます。

1つ目が新製品などを開発した場合です。2つ目が製品等の納入先から納入した製品等が他社の特許権を侵害しない旨の保証を求められた場合です。3つ目が新規事業に参入する場合です。

1.新製品、新サービスを開発した場合や新たな発明をした場合

提供する新製品や新サービスが他社の特許を侵害していると、新製品や新サービスを提供できなくなります。そのため、新製品や新サービスを展開する場合には、新製品や新サービスが他社の特許に引っ掛からないかを前もって調べるために特許侵害予防調査が行われます。

他にも、例えば、画期的な発明が生み出された場合などに、画期的な発明を将来、製品化する際に他社の特許権を侵害すると困るので、危険な特許を事前に把握するために特許侵害予防調査を行うこともあります。

2.納入先などから特許侵害しない保証を求められた場合

自社が納入した製品が他社の特許を侵害していると、納入先の会社は納入された製品を使ったり、販売等したりすることができなくなります。そのため、納入先から納入される製品が他社の特許を侵害していないことの保証を求められることがあります。

このような場合に、自社が納入する製品について特許侵害がないことを説明する報告書を作成するために特許侵害予防調査が行われます。

3.新規事業に参入する場合

ある事業に新規参入しようとする場合、参入しようとする事業に関して他社が既に特許を持っていることがあります。そのため、新規事業に参入しようとする場合には、新規参入するに当たって障害となりそうな特許を洗い出すために特許侵害予防調査が行われます。

特許侵害予防調査をする際の要点

特許侵害予防調査を自社で行う場合には、侵害してしまったり、侵害することになりそうな他人の特許を見過ごさないように調査する必要があります。

一方、特許侵害予防調査を他社に依頼する場合には、依頼する会社(特許調査の専門会社 or 特許事務所)の特徴を把握した上で、調査を依頼することが大切です。

特許侵害予防調査を自社で行う場合

▲特許侵害予防調査では製品と製品の各部品についても調査する

例えば、新製品や新サービスを展開するために特許侵害予防調査を行う場合は、新製品や新サービスそのものが他人の特許を侵害することになりそうかを調査するのは勿論、新製品や新サービスの一部が他人の特許を侵害することになりそうかを調査する必要があります。

3つの部品(部品A~C)を組み合わせて作られる新製品Nに関する特許侵害予防調査を例にすると、新製品Nが他社の特許を侵害しているか調査するだけでなく、個々の部品(部品A~C)についても他社の特許を侵害しているかを調査する必要があります。

特許侵害予防調査を外部に依頼する場合

特許侵害予防調査を外部に依頼する場合の主な依頼先としては、特許調査の専門会社と特許事務所があります。一般的に、特許調査の専門会社と特許事務所とでは、得意とする部分が違うため、両者の特徴を把握した上で、特許侵害予防調査を依頼すると良いでしょう。

特許調査の専門会社に依頼する場合

特許調査の専門会社では、侵害してしまったり、侵害することになりそうな他人の特許を見つけ出すことを得意としています。

その一方で、調査で見つかった特許が侵害されるのか否かとの判断や、特許侵害をどう回避したら良いのかなどのサポートまではしないのが一般的です。

そのため、特許侵害の具体的な判断や、特許侵害の対処などのサポートが不要で、事業活動する上で危険な特許だけを把握したいという場合には、特許調査の専門会社を利用すると良いでしょう。

特許調査サービスを提供している特許事務所に依頼する場合

特許事務所では、特許調査の専門会社と比べると、特許侵害になるか否かの判断や、特許侵害をどう回避したら良いのかなどのサポートを得意としています。

そのため、特許侵害の具体的な判断や、特許侵害の対処などのサポートまで必要とする場合には、特許事務所を利用すると良いでしょう。

特許侵害予防調査の費用の目安

特許侵害予防調査を外部に依頼する場合の費用は、目安として20万円~40万円位です。また、海外の特許について特許侵害予防調査をする場合には、目安として30万円~60万円位かかります。

調査で特許の侵害が発見された場合の対応

特許侵害予防調査で侵害することになる可能性の高い特許が見つかった場合には、今後の事業活動に影響が出ないように、特許侵害を回避するように製品やサービスを設計変更したり、製品やサービスの中止を検討したり、特許権者とライセンス交渉等をする必要があります。

具体的な対応方法については、特許侵害の疑いがある場合の対応を弁理士がわかりやすく説明の記事を参考にして下さい。

特許侵害の疑いがある場合の対応を弁理士がわかりやすく説明

2020.01.07

特許侵害予防調査の必要があるかを検討してみよう

特許侵害予防調査は、自社が事業活動する上で、侵害してしまったり、侵害することになりそうな他人の特許を見つけ出すための調査です。

例えば、新製品や新サービスを開発した場合や、納入する製品等が他社の特許権を侵害していないことの保証を求められた場合、新規事業に参入する場合などにおいては、特許侵害予防調査を行う必要があります。

自社の事業活動に支障をきたさないようにするためにも、特許侵害予防調査をする必要があるかを一度検討してみましょう。

特許侵害予防調査に関するお悩み、ご相談などがある場合には、弊所の無料相談をご利用下さい。

ABOUTこの記事をかいた人

弁理士。当サイトの運営責任者。幼い頃、大切にしていたガンダムのカードをパクられた経験から、大切なものをパクられないようにすべく、特許や商標などの知的財産で大切なアイデアなどを守ったり、活用したりするサポートをしています。 商工会議所、商工会、金融機関、企業など各種業界団体での講演実績も多数。 支援先は、メーカー、スタートアップ企業、個人発明家のみならず、デザイン会社、マーケティング会社、ミシュランに掲載の飲食店など多岐にわたっています。