標準化とは…企業の標準化戦略の活用事例とともに解説

標準化とは、例えば、ボルトとナットが適切に嵌ったり、通信機器同士が互いに通信できたりするように、一定のルールに従って形状や寸法などの規格や仕様を定め、互換性を確保して安全に利用できるようにすることです。

標準化されることで技術は普及し、標準化された技術を用いる製品などの市場は拡大します。そのため、このような標準化のメリットを事業戦略に活かした標準化戦略を展開することで、市場の拡大を図ることが可能となります。

企業の標準化戦略の活用事例としては、パナソニック株式会社やソニー株式会社が主導で行ったBlu-ray Discの仕様を標準化した事例や、株式会社デンソーのQRコードの基本仕様を標準化した事例などがあります。

標準化とは

標準化とは、一定のルールに従って形状や寸法などの規格や仕様を定め、互換性を確保して安全に利用できるようにすることです。

例えば、乾電池の大きさや電圧が標準化されていることで、どのメーカーの乾電池を使っても安全に利用することができます。同様に標準化されることで、ボルトとナットが適切に嵌ったり、通信機器同士が互いに通信できたりします。

標準化のメリットとデメリット

標準化されることで技術は普及し、標準化された技術を用いる製品などの市場は拡大するなどのメリットがある一方で、標準化されて技術がオープンになると、他社の参入が促進されるなどのデメリットもあります。

標準化のメリット

標準化のメリットとしては、標準化されることで技術は普及し、標準化された技術を用いる製品などの市場は拡大します。

また、例えば、部品の納品先に応じて仕様を変える必要がなくなり、大量生産が可能となり、生産コストを下げることができます。

標準化のデメリット

標準化のデメリットとしては、標準化されて技術がオープンになると、他社の参入が促進されます。その結果、自社のシェアが下がるリスクがあります。

また、標準化された製品は生産コストを下げることができるため、他社の参入もあいまって製品価格が低下する傾向があります。そして、標準化された製品そのものでは、他社との差別化を図ることはできません。

標準化のパターン

標準化の主なパターンとしては、製品の仕様を標準化するもの、ペアになる技術の一方を標準化するもの、インターフェイス部分を標準化するもの、性能基準や評価方法を標準化するものなどがあります。

企業における標準化戦略の活用事例

企業の標準化戦略の活用事例としては、パナソニック株式会社やソニー株式会社が主導で行ったBlu-ray Discの仕様を標準化した事例や、株式会社デンソーのQRコードの基本仕様を標準化した事例などがあります。

パナソニック株式会社やソニー株式会社が主導したBlu-ray Discの仕様の標準化

▲Blu-ray Discの規格を策定する団体の登録商標

パナソニック株式会社やソニー株式会社を中心とするBlu-ray Discの規格を策定する団体が、Blu-ray Discの仕様を標準化しています。

標準化されたBlu-ray Disc を作るには、パナソニック株式会社などが保有する特許を使わざるを得ません。標準化された製品を作るのに使わざるを得ない特許のことを標準必須特許といいます。

標準化された技術は万人が使えるようにするため、無償又は「非差別的かつ合理的な条件」で標準必須特許の使用を認める必要があります。そこで、Blu-ray Discを作りたい場合には、無差別かつ安価に特許のライセンスが認められています。

このようにBlu-ray Discの仕様を標準化することで、Blu-ray Discを普及させて市場拡大を図るとともに、標準必須特許のライセンス収入を得ています。なお、Blu-ray Discの規格ロゴについては商標を取得し、模倣品を排除しています。

株式会社デンソーのQRコードの基本仕様の標準化

▲スマホに表示されたQRコードの例

株式会社デンソー(現:株式会社デンソーウェーブ)は、QRコードとQRコードリーダ(QRコードの読み取り機)というペアになる技術の一方であるQRコードの基本仕様を標準化しています。

QRコードの標準必須特許の使用料を無償にして市場の拡大を図るとともに、QRコードのペアとなるQRコードリーダなどを有償で販売して収益を確保しています。ペアとなる技術の一方を標準化するとともに、ペアとなる技術の他方で収益を確保できるビジネスモデルを構築しています。

デジタルカメラのファイルシステムの標準化

▲キャノン株式会社のデジタルカメラ

キャノン株式会社などが参加しているカメラ映像機器工業会は、デジタルカメラやプリンタなどの機器間で画像のやり取りができるようにファイル名の付け方やフォルダ構成を規定したファイルシステムの規格を標準化しています。

例えば、キャノンのデジタルカメラとエプソンのプリンタのように異なる機器同士での画像のやり取りができるように他社製品とのインターフェース部分の仕様を標準化することで、メーカーを気にせずに製品を選択でき、製品の市場拡大に繋がります。

一方、カメラのレンズなどの、カメラメーカーにおける競争力の源泉となるコア技術については秘匿化することで、デジタルカメラ自体の価格が低下することを抑制でき、各カメラメーカーは競争力を維持できます。

このようにコア技術は秘匿化して価格の低下を抑制する一方で、他社製品とのインターフェース部分の仕様を標準化することで製品の市場拡大を図っています。

大成プラス株式会社の金属と樹脂の接合技術における強度評価方法を標準化

大成プラス株式会社は、金属と樹脂の接合技術を開発し、開発した金属と樹脂の接合技術の強度の評価方法を標準化しています。

大成プラス株式会社でなければできない接合技術の接合強度に関する評価方法を標準化することで、自社技術の性能を客観的に証明でき、他社との差別化を図っています。

標準化を活用するためのポイント

標準化を活用して競争力を高めるには、競争力の源泉となる(他社と差別化を図る)部分以外の技術について標準化するとともに、標準化をすることで市場の獲得と市場の維持を図ることができるビジネスモデルを構築することが重要です。

標準化できる技術があるか検討してみよう

標準化を事業戦略に活かすことで製品の市場を拡大させることが可能となります。そのため、標準化できる技術があるか検討しても良いでしょう。

標準化できる技術があるかを検討する場合は、製品の仕様を標準化できないか、ペアになる技術の一方を標準化できないか、インターフェイス部分を標準化できないか、性能基準や評価方法を標準化できないかを先ずは検討してみましょう。

標準化のことや、標準化された技術と知的財産の保護との関係が分からない場合は、当サイトの無料相談をご利用下さい。

ABOUTこの記事をかいた人

米田恵太

弁理士。当サイトの運営責任者。幼い頃、大切にしていたガンダムのカードをパクられた経験から、大切なものをパクられないようにすべく、特許や商標などの知的財産で大切なアイデアなどを守ったり、活用したりするサポートをしています。 商工会議所、商工会、金融機関、企業など各種業界団体での講演実績も多数。 支援先は、メーカー、スタートアップ企業、個人発明家のみならず、デザイン会社、マーケティング会社、ミシュランに掲載の飲食店など多岐にわたっています。