特許の期限切れとは?J-PlatPatでの確認方法(一覧/番号別)を解説

特許の期限切れとは?J-PlatPatでの確認方法(一覧/番号別)を解説|知育特許事務所

特許の期限切れとは、特許の有効期間が満了して特許権の効力がなくなった状態をいいます。

期限切れになった特許と同一内容で再出願しても、特許は認められません。特許が切れた時点で、保護対象だった技術・仕組みは誰でも自由に利用できます。これらの技術や仕組みを用いた製品・サービスを提供しても、特許権侵害には当たりません(差止め・損害賠償の対象外)です。

特許が期限切れかどうかは、特許の検索サイトである特許情報プラットフォームで確認できます。

特許の有効期間は何年?

日本の特許権の有効期間は、原則として出願日から20年です。出願から20年が経過すると存続期間が満了し、その特許は「期限切れ」となります。

期限切れになった特許の内容は、誰でも自由に利用できるようになります。同じ内容で再出願しても新たに特許が認められることはなく、その技術や仕組みを用いた製品・サービスを提供しても特許権侵害にはなりません。

なお、医薬品など一部の分野では、特許の有効期間を一定の範囲で延長できる制度もありますが、基本的な考え方は「出願から20年」が起点です。本記事では、この有効期間の考え方と、期限切れかどうかをJ-PlatPatで確認する方法を中心に整理します。

特許の期限切れとは

特許権の存続期間が満了すると、特許権が失効して特許の期限切れとなる。
存続期間が満了すると、特許は期限切れになる。

特許の期限切れは、特許の有効期間が切れて特許権が失効した状態を指します。特許の有効期間は原則、出願日から20年です。

出願日から20年が経過すると存続期間が満了し、「期限切れ」となります。

期限切れの特許を再出願しても特許は認められない

特許の期限切れ後に、同じ内容で再び出願しても特許は認められません。ただし、期限切れになった特許の技術に新しい工夫や改良を加えた場合は、その改良部分について新たに特許が認められる可能性があります。

特許の期限が切れたら誰でも使用できる

特許権が失効した発明は、誰でも自由に実施できます。したがって、その発明を用いた製品・サービスを提供しても、特許権侵害にはなりません。

また、維持年金(年金)を納付しなかったために権利が消滅した特許の発明も、同様に自由に実施できます。

期限切れの特許の製品などに紛らわしい表示をしてはいけない

期限切れ特許を利用する製品やサービスに、あたかも特許が現在も有効であるかのような表示をしてはいけません。

たとえばすでに権利が消滅しているのに「特許取得済」や「特許登録◯◯号」などと記載すると、消費者に誤解を与えるおそれがあり、虚偽・誤認表示として問題となる場合があります。

期限切れの特許の検索方法

特許の期限が切れているか否かは、特許の検索サイトである特許情報プラットフォームで検索することで確認できます。

検索方法は、①期限切れを一覧でまとめて確認する方法と、②特許番号で個別に確認する方法の2通りがあります。

一覧から特許の期限切れをまとめて確認する方法

特許情報プラットフォームのトップページ

J-PlatPatトップページで「特許・実用新案検索」をクリック

期限切れをまとめて確認するには、「特許・実用新案検索」を使います。

この検索は、結果が3,000件を超えると表示されないため、キーワードなどを使って検索結果を3,000件以内に調整します。

例として、カップヌードルで知られる日清食品株式会社の期限切れ特許を検索してみます。

特許情報プラットフォームの特許・実用新案検索の画面

検索項目を「出願人/権利者/著者所属」に変更し、企業名を入力

まず、検索キーワードの検索項目を「出願人/権利者/著者所属」にし、キーワード欄に「日清食品株式会社」と入力します。

特許情報プラットフォームの特許・特許実用新案検索の検索オプションの画面

「検索オプション」の「開く」をクリック

次に、検索オプションの「開く」をクリックし、検索オプションを表示させます。

特許・実用新案検索の検索オプションを展開した画面

日付指定で「出願日」を選び、検索日から20年以上前を入力

検索オプションの日付指定で「出願日」を選択し、右側の空欄に検索する日から20年前の日付を入力します。例えば、2022年1月25日に検索する場合には、単純に20020125と入力します。

特許の有効期間が出願日から20年であるため、検索日から20年以上前に出願されたものを対象にすることで、まだ期限が切れていない特許がヒットするのを防げます。

また、特許になっていないものがヒットするのを防ぐために、登録案件検索の「登録日ありで絞り込む」にチェックを入れ、検索ボタンをクリックします。

検索した検索結果一覧の画面

検索結果一覧。古い順に並べ替えるには「出願日▲」をクリック

すると、日清食品株式会社が権利者で、今から20年以上前に特許出願がされて特許が認められた案件の一覧が表示されます。古い特許から確認したい場合には、出願日▲をクリックすると古い特許から順に表示されます。

検索結果を出願日の古い順にソートした画像

出願日の古い順に並べ替えた例

古い特許から順に表示された結果一覧において、右端の各種機能の経過情報をクリックします。

経過情報照会の画面

経過情報の上部に「存続期間満了による抹消」とあれば期限切れ

すると、経過情報照会ページが開き、上部の「登録1187752 存続期間満了による抹消」との表示で、この特許が期限切れであることを確認できます。詳細を知りたい場合には「登録情報」をクリックします。

登録情報の画面

登録情報ページで満了日などの詳細を確認

登録情報ページでは、登録細項目記事に「存続期間満了による抹消」「存続期間満了日(1996/02/25)」のように、満了日の詳細が表示されます。

出願日がソートされた検索結果の画面

出願日で並べ替えた検索結果(別例)

なお、古い特許から順に表示された結果一覧の№4の経過情報をクリックすると、経過情報照会ページが開きます。

経過情報照会の画面

「年金不納による抹消」の表示例(維持年金未納による消滅)

ページ上部に「登録13681555 年金不納による抹消」とあるものは、維持年金未納により権利が消滅した案件です。したがって、一覧には存続期間満了による期限切れに加えて、年金不納による消滅も含まれます。

そのため、特許権の存続期間が満了したものだけが検索されるわけではありません。

特許の期限が切れているか個別に確認する方法

特許情報プラットフォームのトップページ

トップページから「特許・実用新案番号照会/OPD」へ

個別の案件は、「特許・実用新案番号照会/OPD」で確認します。

特許・実用新案番号照会/OPDの画面

特許番号(例:4867094)を入力して「照会」をクリック

まず、番号種別「特許番号(B)・特許発明明細書番号」を選び、番号欄に調べたい特許番号(例:4867094)を入力して「照会」をクリックします。

検索結果の画面
検索結果の右端にある「経過情報」をクリック

検索結果の右端にある「経過情報」をクリックし、

経過情報照会の画面
経過情報の上部に「存続期間満了による抹消」と表示されていれば期限切れ

上部に「存続期間満了による抹消」と表示されていれば期限切れです。さらに詳しく知りたい場合は「登録情報」から満了日などの詳細を確認できます。

期限切れの特許を使用したいならJ-Plat-Patで確認しよう

期限切れ特許は特許権が失効しているため、その発明は誰でも自由に実施できます。利用を検討する際は、まず特許情報プラットフォームで期限切れかを確認しましょう。

特許番号が分かる場合は「特許・実用新案番号照会/OPD」、複数をまとめて確認したい場合は「特許・実用新案検索」が便利です。

J-PlatPatを活用して期限切れ特許を正確に把握し、製品開発などに役立てましょう。

よくある質問

Q1. 特許は何年有効ですか?

日本の特許権の有効期間は、原則として出願日から20年です(一部の医薬品などは延長制度あり)。出願から20年が経過し、存続期間が満了すると、特許権は失効して「期限切れ」となります。

Q2. 期限切れになった特許の発明は自由に使えますか?

はい、期限切れになった特許権は効力を失っているため、その発明は誰でも自由に実施できます。同じ技術・仕組みを用いた製品やサービスを提供しても、特許権侵害にはなりません。ただし、他の現行特許や商標・意匠など、別の権利に抵触しないかは個別に確認する必要があります。

Q3. 「年金不納による消滅」と、期限切れによる特許権の消滅はどう違いますか?

どちらも最終的には特許権が消滅する点は同じですが、理由が異なります。期限切れは出願から20年が経過して存続期間が満了した状態を指します。一方、「年金不納による消滅」は、特許権者が維持年金(更新のための年金)を支払わなかったことにより、有効期間の途中で権利が消滅した状態です。いずれの場合も、消滅後の発明は原則として誰でも実施できます。

Q4. 特許が期限切れかどうかを確認する一番簡単な方法は?

特許番号が分かっている場合は、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)の「特許・実用新案番号照会/OPD」で照会するのが最も簡単です。検索結果から「経過情報」を開き、上部に「存続期間満了による抹消」や「年金不納による抹消」と表示されていれば、すでに権利は消滅しています。

期限切れ特許の活用で、あわせて読みたい記事

「権利が切れているはずなのに、本当に使って大丈夫か」「他の特許に抵触していないかが心配」といった場合は、次の関連記事もあわせて確認しておくと、全体像を整理しやすくなります。

「この特許は本当に期限切れなのか」「他に注意すべき権利がないか」など、個別の事情が絡む場面では、弊所の無料相談もご利用ください。J-PlatPatの見方や、他の特許・意匠・商標との関係も含めて整理します。

この記事を書いた人:弁理士・米田恵太(知育特許事務所)

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米田恵太
知育特許事務所 代表弁理士(弁理士登録番号:第16197号)。 中小企業や個人の方を中心に、商標価値評価(簡易RFR)や 3Dプリント試作×知財戦略のサポートを行っている。商工会議所、金融機関、各種業界団体などでの講演実績も多数。 幼い頃、大切にしていたガンダムのカードをパクられた経験から、「大切なものをパクられないようにする」ために特許・商標・意匠などの知的財産の取得支援を行うとともに、取得した知財の価値を実感できるよう「守るだけでなく活かす」ことを重視している。 支援先は、メーカー、スタートアップ企業、個人発明家、デザイン会社、 マーケティング会社、ミシュラン掲載の飲食店など多岐にわたり、アイデアの保護や出願、3D試作、価値評価など、案件ごとに必要な部分を組み合わせてサポートしている。