地理的表示とは…地理的表示保護制度でブランドを保護する方法

地理的表示とは、夕張メロンのように、産品の名称から生産地を特定でき、生産地などの特性が産品の品質などの特性に結び付いている産品の名称の表示のことです。

地理的表示は地理的表示保護制度により知的財産として保護され、産品などの名称を品質基準とともに登録することができます。登録された品質基準を満たした産品だけしか地理的表示を使用できないため、地域に根ざした農林水産物などの地域ブランドを保護できます。

地理的表示を登録するには、登録しようとする地理的表示に関する産品の品質などの基準を記載した
申請書と、登録をする地理的表示に関する産品の生産業者が一定の品質を満たした産品を生産できるようにする生産行程管理業務規程などの添付書類を作成し、申請書と添付書類を農林水産省に提出します。

提出後、審査が行われ、審査をクリアすると地理的表示が登録され、地域ブランドの保護が可能となります。

地理的表示とは

地理的表示とは、夕張メロンのように、産品の名称から生産地を特定でき、生産地などの特性が産品の品質などの特性に結び付いている産品の名称の表示のことです。なお、地理的表示は英語でgeographical indicationsと言い、地理的表示のことをGIやGI表示と呼ぶことがあります。

地理的表示の例

地理的表示の例としては、北海道のメロンで有名な夕張メロンや、干し柿で有名な市田柿などがあります。

夕張メロン

夕張メロンを栽培する北海道の夕張市は、昼と夜の気温差が大きく、火山灰土壌で水はけがよいなどの生産地ならでは特徴があります。このような生産地で栽培されることにより、特有の風味や触感を有するメロンが生み出されます。

夕張メロンは、生産地の特性とメロンの品質が結び付いているため、地理的表示として登録されています(登録番号第4号)。

市田柿

干し柿で有名な市田柿は、長野県の下伊那郡高森町が発祥の地とされる市田柿を原料として、下伊那郡などで作られます。下伊那郡などの地域は、干し柿の原料となる柿や干し柿を作るのに絶好の環境が整う地域であるため、高品質の干し柿が生み出されます。

市田柿は、生産地の特性と干し柿の品質が結び付いているため、地理的表示として登録されています(登録番号第13号)。

地理的表示保護制度

地理的表示保護制度とは、夕張メロンや市田柿のように、地域に根差した農林水産物などの産品の名称を産品の品質基準とともに登録し、登録した品質基準を満たした産品のみに地理的表示を付けることで、地域に根ざした産品のブランドを保護する制度です。

地理的表示保護制度のメリット

地理的表示保護制度の主なメリットは、

  • 行政が取り締まりをする点
  • 地理的表示の更新費用が不要な点
  • 同種の他の産品との差別化が図りやすい点

があります。

地理的表示を不正に使う者を行政が取り締まる

地理的表示保護制度で登録された地理的表示を不正に使う者がいる場合は、行政が取り締まりをします。

地理的表示保護制度に似た商標制度では、一般的には商標を保有している者が、登録された商標を不正に使う者に対して使用の中止を求めたり、裁判をしたりする必要があります。しかし、地理的表示保護制度では、そのような手間やコストがかかりません。

地理的表示の更新費用は不要

地理的表示保護制度では、地理的表示の更新費用は不要です。

一方、地理的表示保護制度に似た商標制度では、商標の登録を維持するには、定期的に更新費用を支払う必要があります。

地理的表示に関する産品にGIマークを付けることで差別化がしやすい

地理的表示保護制度で登録された地理的表示に関する産品には、品質が保証された産品であることを示すGIマーク(上画像)を使用できます。GIマークを付けた産品を市場に流通させることで、市場に流通している同種の他の産品と差別化を図りやすくなります。

地理的表示保護制度のデメリット

地理的表示保護制度の主なデメリットとしては、

  • 産品の品質管理をする必要がある点
  • 不正な使用に対して自力で対処できない点
  • 地理的表示を登録するために申請書類の作成が必要である点

などがあります。

登録を維持するためには産品の品質管理が必要

地理的表示保護制度では、地理的表示の登録が認められた産品について、適切な品質管理を行っていることや、地理的表示やGIマークを適切に使用していることなどを年に1回以上国に報告する義務があります。

また、適切な品質管理などをしていない場合は、地理的表示の登録が取り消される場合もあります。

地理的表示の不正な使用に対しては自力で対処できない

地理的表示保護制度では、登録が認められた地理的表示を不正に使用する人がいても、自力で対処することはできず、国が取り締まるのを待つ必要があります。

地理的表示の登録をするには申請書類を作成する必要がある

地理的表示保護制度により地理的表示の登録をするには、申請人や産品や名称などに関する条件を満たした申請書類を作成するとともに、生産行程管理業務規程(下記の申請書類と添付書類を作成する)などを作成する必要があります。

八丁味噌のように老舗がGIマークを使えないケースも

地理的表示の登録申請をするには、申請人が生産者団体である必要があります。地理的表示の登録が認められると、登録申請をした生産者団体に加入している者は地理的表示を使用したり、GIマークを付けたりできます。

八丁味噌は地理的表示として登録が認められていますが、八丁味噌の地理的表示を登録した生産者団体には八丁味噌の老舗が加入していません。そのため、八丁味噌の老舗であるのにも関わらず、GIマークを使用できない等の問題があります。

地理的表示の登録申請の方法

地理的表示の登録申請をするには、申請書と生産行程管理業務規程などの添付書類を作成し、農林水産省食料品産業局知的財産課に提出します。

申請書類と添付書類を作成する

地理的表示の登録するためには、登録をする地理的表示に関する産品の品質などの基準を記載した申請書と、登録をする地理的表示に関する産品の生産業者が一定の品質を満たした産品を生産できるようにするための生産行程管理業務規程などの添付書類を作成します。

生産行程管理業務規程とは、地理的表示に関する産品が適切に生産されるように生産業者の生産方法を確認したり、生産された産品を検査したり、生産業者に指導をするなどの業務や、そのような業務の実績について報告書を国に提出したりするなどの業務に関する規程です。

申請書類と添付書類を農林水産省に提出する

地理的表示を登録するために作成した申請書と添付書類は、農林水産省食料品産業局知的財産課に提出します。提出後、学識経験者からの意見を聴取した後、登録に関する審査が行われ、審査をクリアすると登録されます。登録まで早くて6ヶ月程度かかります。

地理的表示の登録が認められる条件

地理的表示の登録が認められるには、生産者団体に関する条件と産品に関する条件と名称に関する条件の3つの条件を満たす必要があります。

生産者団体に関する主な条件

地理的表示の登録を受けるためには、地理的表示の登録を申請する者が生産者団体である必要があります。

また、地理的表示の登録の申請の際には、生産行程管理業務規程を作成するとともに、生産行程管理業務規程を実施できる人員体制などが構築されていることを示す資料も添付する必要があります。

産品に関する主な条件

登録を受けようとする地理的表示に関する産品については、同種の他の産品と差別化できる特徴を有している必要があります。

また、登録を受けようとする地理的表示に関する産品の特性とその産品の生産地とが結び付いている必要があります。

例えば、生産地ならではの気候条件や生産地の地域に伝承された製法などにより特有の品質の産品が産出されるように、生産地の特性とその生産地で生産される産品の品質などの特性が結び付いている必要があります。

名称に関する主な条件

地理的表示の登録が受けれる名称としては、例えば夕張メロンのように、地理的表示に関する産品の生産地の場所や地域が特定できる名称である必要があります。また、地理的表示に関する産品の特徴(同種の産品と差別化できる特徴)が産品の生産地と結び付いていることが特定できる名称である必要があります。

地理的表示として登録が認められる名称としては、目安として25年くらい使用されている必要があります。なお、地理的表示の登録をする名称としては、地名を含まない名称でも登録をすることは可能です。

地理的表示保護制度で地域ブランドを保護できるか検討しよう

地理的表示保護制度により地理的表示の登録がされれば、生産地と結び付いた産品の名称が産品の品質基準とともに登録されます。登録された品質基準を満たした産品だけしか地理的表示やGIマークを付けることができないため、地域に根ざした産品の地域ブランドを保護することができます。

地理的表示保護制度を利用することで、ブランドの名称を独占的に使用できる商標とは異なり、産品の品質を担保することが可能となります。そのため、地理的表示保護制度により、地域に根ざした産品のブランドを保護できるか検討してみましょう。

地域に根ざした産品のブランドの保護方法や地理的表示の登録のことでお困りの場合には、当サイトの無料相談をご利用下さい。

ABOUTこの記事をかいた人

弁理士。当サイトの運営責任者。幼い頃、大切にしていたガンダムのカードをパクられた経験から、大切なものをパクられないようにすべく、特許や商標などの知的財産で大切なアイデアなどを守ったり、活用したりするサポートをしています。 商工会議所、商工会、金融機関、企業など各種業界団体での講演実績も多数。 支援先は、メーカー、スタートアップ企業、個人発明家のみならず、デザイン会社、マーケティング会社、ミシュランに掲載の飲食店など多岐にわたっています。